1944年8月1日 下シレジア、ディーエルンフルト
砲弾には、緑の輪が三本巻かれていた。
タデウシュ・コヴァルスキは、それを数えるのをやめられなかった。床の細いレールを台車が通るたびに、心の中で一つずつ数を足す。七百三十二。七百三十三。数えていると知られたら、二度と台車を押すことはない。それでも数えた。クラクフの大学で化学を教えていた頭は、何も考えないでいることに耐えられなかった。
充填棟の空気は、いつも生あたたかい。屋根の換気扇が回っていても、八月の熱が鉄骨の間に溜まっている。囚人はゴムの前掛けと手袋を着けられ、彼らの頭の上には「決して破るな」と書かれた札が下がっていた。破った者がどうなるのか、ここにいる者は全員知っている。先月、ウクライナ人の若い囚人が、手袋の小さな裂け目に気づかずに一日を終えた。翌朝、彼の寝台は空いていた。
ここで作られているものが何なのか、誰も口にしない。ドイツ人の技師たちはそれを「製品」と呼ぶ。コヴァルスキには分かっていた。これは、この世界のどの軍隊もまだ知らない毒だ。前の戦争で塹壕に流されたガスとは、物が違う。それが、緑の輪を巻かれて、貨車一両分ずつ倉庫へ運ばれていく。
「止まるな」
背後で、監視の伍長が靴で床を叩いた。コヴァルスキは台車を押した。七百三十四。
その日の夕方、点呼を待つ列の中で、電気工のヤネクがすれ違いざまに小声で言った。ヤネクは囚人ではない。強制労働で連れてこられた民間人で、日曜には村へ帰れる。そして、村には森へ続く道がある。
「ワルシャワが立った。今日の午後五時だ」
コヴァルスキは前を向いたまま、唇だけで答えた。
「数を書いておく。次の日曜に」
その夜、藁布団の下で、彼は替えの巻煙草の紙に、爪の先ほどの小さな数字を書きつけた。緑の輪。七百三十四。一日あたりの貨車の数。倉庫の棟の数。書き終えて、黒い天井を見上げた。
この紙切れが世界のどこかで誰かの手に届いたとして、その誰かは、これを信じるだろうか。
1944年7月8日 ノルマンディー、サン=ロー西方
ハロルド・ブレナン軍曹は、この戦車の音が好きになれなかった。
シャーマンは咆えた。ギアを入れるたびに車体が沈み、エンジンの音で今何速なのかが分かった。だがこの怪物は、咆えない。前の機関室で二基のディーゼルが低く唸り、足の下のどこかで、発電機が蚊の羽音のような高い音を立てている。変速の継ぎ目がない。ただ、唸りが大きくなれば速くなり、小さくなれば止まる。
「軍曹、こいつの名前、本当にショートブルっていうんですか」
砲塔の床で、新入りの装填手が訊いた。ウォルター・パイク、十九歳。本名はそうだが、誰もがダニーと呼んだ。オハイオの牧場から来たという。先週まで、本物の戦車に乗ったこともなかった。
「書類にはそう書いてある」とブレナンは言った。「寸詰まりの雄牛だ。重さは約百トン、角は百二十七ミリ。いいから、ヘルメットの顎紐を締めろ」
「締めてますよ」
「もう一段きつくだ」
無線手のサム・ウィテカーが、小さく笑った。砲手のエディ・マーシュは照準器から目を離さない。二人とも、この戦車の最初の急発進を、訓練場で一度ずつ身をもって知っている。
生け垣の向こう、一マイル半の畑の奥に、パンターがいる。午前中に、隣の大隊のシャーマンを三両焼いたやつだ。ブレナンは、一週間前に自分のシャーマンが燃えた日のことを、考えないようにしていた。前席の二人は、出てこなかった。
「オルテガ、稜線まで上がれ。砲塔だけ出したら止まれ」
「了解」と、車体の前方、エンジンのすぐ後ろの操縦席から声が返ってきた。
唸りが、跳ね上がった。
次の瞬間、百トンの鉄が蹴飛ばされたように前へ出た。ブレナンは車長席の背もたれに押しつけられ、ウィテカーは持っていた日誌を落とした。そしてパイクは、砲尾の後座ガードにたっぷりと顔をぶつけた。
「――紐を締めろと言った」
「締めて……ました……」
戦車は、稜線の手前で嘘のように止まった。ブレナンは照準潜望鏡に額を押し当てた。畑の向こう、林の縁に、緑と茶色の斜めの面が見える。パンターの正面装甲だ。
「砲手、徹甲榴弾。距離千八百。林の縁、右の大きい楢の左」
「見えた」とマーシュが言った。
その瞬間、林の縁が光った。パンターが先に撃ったのだ。
金属の鐘を、巨人が拳で殴ったような音がした。砲塔内の電球が一つ割れ、天井から塵が降った。それだけだった。
ブレナンは、自分が息を止めていたことに気づいた。シャーマンなら、この一発で終わっていた。
「――撃て」
山が崩れたような音がした。砲尾が後ろへ飛び、続けて、自動装填装置のチェーンがごろりと回る。パイクは自分の仕事がないことに戸惑いながら、運ばれていく次弾を身を縮めて見送っていた。
照準器の中で、林の縁の緑と茶色の面が、内側から弾けた。
「命中。――オルテガ、下がれ」
戦車は、前に出たのと同じ速さで、後ろへ滑った。稜線の陰に沈む。三十秒後、さっきまで砲塔があった場所に、別のドイツ戦車の弾が土煙を上げた。
その夕方、大隊本部から無線が入った。ウィテカーが書き取った紙を、ブレナンは懐中電灯で読んだ。
「突破口は開いた。第三軍は東へ走る。補給を待たず、各部隊は前進を続けよ」
燃料を待たずに。ブレナンは、車体の左右に張り出したスポンソンを拳で叩いた。鉄板の代わりの薄いアルミの向こうで、八千リットルのディーゼルが、重く鳴った。
「軍曹」と、額に絆創膏を貼ったパイクが言った。「この戦車、どこまで行けるんですか」
ブレナンは、地図の上で、指を東へ滑らせた。セーヌ川を越え、ライン川を越え、地図の端で指が止まった。
「この地図の外までだ」