赤い森

1944年8月。第二次世界大戦の終局は、まだ誰も知らない。

下シレジアの化学工場で、囚人の技術者が目撃した三本の緑の輪を巻いた砲弾。

ロンドンの情報機関に届いた報告書は、荒唐無稽な噂として握り潰されかけていた。だが、その数字が示す生産規模は、従来の化学兵器の常識を超えていた。

報告書は赤い公文書箱に収められ、首相のもとへ運ばれる。

一方、東部戦線では、誰も知らない兵器が静かに戦場へ近づいていた。

情報を伝えようとする者。信じることを拒む者。そして、秘密を守るためにすべてを犠牲にする者。

一本の報告書が戦争の行方を変えるのか。それとも、真実が明らかになる前に、すべてが手遅れになるのか。

戦場を動かすのは、砲声だけではない。

第二次世界大戦を舞台に、秘密兵器と情報戦、そして歴史の分岐点を描く架空戦記。