ヒューマンアンデッドになってしまった。 作:ノン・カテゴリー
あれから……1月以上経ったけど、いっこうに連絡がこない。
あのプロメスとか言ってた白い兄ちゃんが言う所の統率者? っつーのとか、全然知らんって感じや。
まあ、いつまで経っても暇してて腹はすく。死なないとか言っても空腹を感じる以上、何もしないでいることは人間としては出来ないことだ。……まあ要するに、俺は俺でそれなりに生活はしとったってことや。
あの天使になんか放置された当日。とりあえずバケモンに変身してから、テキトーにその辺に潜ってタコを捕まえる。
バケモンへの変身いうのもこう、何か自分が自分でなくなるみたいな感覚みたいなのとかは全然ないっちゅーか、本当
こう、伊達にバケモノみたいな恰好しとるわけやないってことや。あのヘンな姿、なんっちゅーか物凄いエネルギーみなぎっとる。水の中でも数時間くらいは無呼吸で活動できるし、めっちゃパワーあってサメとかもちょっとチョップすればそれだけで気絶しとるし。目もなんか日中夜水中陸上場所問わず、この感じやと上空とか宇宙とかでも、とんでもないくらい遠くまで見えるんやろうなって確信があった。
試しにバケモン状態でものすんごい遠くの方を見てから、そこにいたイノシシみたいなのに弓つがえて放ったら、当然のように命中したんけど。そこから人間に戻って歩いていったら、フツーに1.5日くらいかかってびっくりしたわ。明らかに人間の射程やない。
見た目はなんかファンキーっちゅーかパンクっちゅーかアレな感じな割に、スーパーマンになったって気分やなあ……。
「まあ見た目もバケモンやから、そのままバケモンってだけなんやろうけど」
人の姿に戻ってちりちり火で炙って、俺はそのイノシシを焼いたり齧ったり。昨日作っといた干しダコもかじったり、なんだかんだで空腹を紛らわす。
益体なくモグモグもすぐに終わらないし、俺は今の身体スペックを反芻してた。
潜在能力解放とかいっとったか、このたすき掛けみたいなベルトの、ワイ……、ワイ……、ワイなんとかモノリス? ってやつ。
フツーの人間がンなことしても
くよくよ落ち込む暇はない。そんなことより腹は減るし、何より何かやること考えてないと暇を超えた暇や。
現代娯楽は全く無いし、店もなし、砂糖もなし、
で、なんか不穏なこと言っとったあのプロメス。あの言葉、まあまあ気になるねん。
「俺負けたら人類繁栄できへんとか言うとったけど……、俺の遺伝子、未来から連れて来とるんよな? 人類繁栄してるやん」
何て言うんやっけこう、たいむぱら……、タイムパラドックス! 意味よーわからんけど、そういうの起きるン違うんか?
ま、でもそのあたり考えると、なんやかんや俺が勝てるってことなんか?
それとも、俺がここで頑張らないとSF映画とかみたいに未来変わってまうんかい?
「社長やっとるけど、所詮はたこ焼き職人なんやって俺。流石に荷が重すぎ違うんかい? 天使サマ」
とりあえず腹壊さんやろうということで、テキトーにクソみたいに塩っ辛い海水をドバドバっとかけて齧って不味い。当たり前、当たり前なんやけど今はこれが生きてるって感じやけん。
「とりあえず食うのには困らへん、か……? でもアカンは睡眠どないしよ。畳と布団と枕ないと寝付き悪いんだけど…………」
とりあえず抱き枕代わりに、変身した時に出てくる弓を抱えてみる。特に意味はない必要はないんだけどそれはそうと何か人恋しさよ。……というか何か弓もヘンな形しとるしマジで。弓のこの……、弦やないこの木の部分何て言うん? スティック? スクリュー? てかそれやとバイオリンか。娘が昔やっとったからなんか覚えとるんやけど。そこの左右の端はともかく持ち手のところはランチャー的なのが二つ。手を挟む形しとるしぶっちゃけ弦もない。
ヒューマンのアローってか半分くらい銃やんけ? 何考えて装備作っとるんやあの天使。
まあ結局いまいち寝れへんかったんやけど、そうこうしながら舌がすぐに肥えたから、俺はさ迷い歩くことにした。
あてもなく本能に頼っておく。そんなお題目じゃなく、無目的。
こっからがとにかく長いっちゅーか……、まあ一人で娯楽も何もなく大自然放浪するっちゅーんが、現代人にどれだけ苦痛化を思い知らされたわ。
で気が付くと、何かバケモンに襲われとる村っちゅーか集落っちゅーかそういうやつ。藁っぽいので編まれた家みたいなんが大量に見えてるし、こりゃ人類か? 人類おるやんけ!? マジで!!? いやまあ一万年前は一応人類存在するか、うん!
で、目に入って来たんは大猿みたいなアホみたいなのに襲われてさらわれそうになってる子供。
別に何か謂れがあるわけでもないけど、見捨てる必要も全然ないしやん。
それに俺はパパやし子供殺されるのとか見たくはないしなあ。
「……変身」
そして胸のたすきベルトの宝石を回転させる大体30度。
当然のように変化し、拡張された五感。ついでに備わった第六感。
目で見てすぐに撃てるとわかるのに1秒もなし。
背中の矢筒から一つ取り出して弓に構えると、矢は姿消して銃口二つが鈍く光る。
それで矢を引くように構えて睨む。合わせて弓もしなるように回る。
『………………キッ』
指を話す動作。感知して開く弓矢。火を噴く銃口は狙い通り狙いすまし。遠くで大きな猿人みたいなのの頭部をぶちかます。
注意が逸れたみたいだけどてから子供を下ろさへんしさてどないしよかとか考えてみてたら。
なんかわからんけど、キラキラした感じの光が村の人たちの中から出てきて────・
『大天装────大いなる
『天装────
『天装────
な、何や、何が始まったんやと、俺が混乱するのも当然やろ。
その三人は何かポーズを決めたり色々動いたりして「天装戦隊ゴセイジャー!」とか名乗っとったし、いや、何……? えっ?
全身ぎらっぎらシルバーなタイツっぽいヘンな剣持ったスーツと(紫の意匠がちょいちょいあるわ)、似たような感じでエラい幅広い斧持ったオレンジのスーツと、あと逆刀みたいな短いの持った青っぽいスーツの女の子の三人。
何か知らんけど、そのゴセイジャー言うのは小っちゃい何かわからんケータイ、というかモアイみたいな顔……? の何かちっこいのを取り出して、そこにカードを装填、しとるんか……? なんか顎外すくらいに開いてそこにカード入れて食わせてる感じやけど。
それやってバケモン相手に戦っとるのを見て、俺は即刻アンデッドへの変身を解除した。
絶対これ後で巻き込まれる流れやろ、嫌でも想像つくわ。セオリーってやつやセオリー、熱々のたこ焼き食べたら火傷するくらいのセオリーや。
ただ戦うことに集中しとって、子供のこと全然無視して範囲攻撃って言ったらええか? まわりに被害出るような嵐とか、氷とか、なんか色々やっとるのを見て、俺は走り出す。
人間の姿といえど二十代の頃の身体能力で、今はなんか滅茶苦茶疲れを知らない。
当然のようにその子を救い出して、肩に担いでひぃこら言いながらスタコラサッサ。逃げ出した俺見て何かゴセイジャーが言っとった気がするけど、そんなことより人命や人命!
ともかく助けて、なんか持ってたヘンな武器合体させて「ゴセイバズーカ!」とか言うてヘンな巨大ボウガン? みたいなのにして、バケモン撃ち殺した三人はこっちを振り向いて。
なんかキラキラしながら、身体から羽根みたいな光り散らして、人間の姿に戻った。
……銀色の中身、オッサンやな。なんっちゅーか、オリジナルの俺と同じくらい? ちょっと目つきが鋭い感じで、あと衣装がヘン。後ろ二人はなんかこう、神聖さみたいなの感じるちょっと
「助力を感謝する、
私はブラジラ。スカイック族の
「…………」
いや何言われとるかさっぱり意味不明やん。
詳しく聞くとなんか、えっと、守護天使? とか言われたし。天使? 天使まだおるん? そういやプロメスは自分のこと七大天使とか言うとったけど、部署違うか上司か部下か、何かあるんかいそういうの。
他にもトーヤとかいうイケメンとか、ナミっちゅー女の子の天使もきよった。三人はそれぞれ、
まあそんなこんなで、この日は四人ともその村で一泊することになった。
……ちなみにやけど、当然現地住民に日本語なんて通じへんし全員恰好がいわゆる
ブラジラ名乗ったオッサン、部族のコスプレみたいな恰好なせいか俺らン中で一番なじんでるし。
♢ ♠ ♡ ♣
簡単に言うと、護星天使いうのは天使としてはランクがそんな高ないらしい。
下っ端のペーペーっちゅーか、今回は研修で来てるとかそんなことらしい。天使の、研修……? なんやOJTみたいな感じに聞こえる。
「まあ、育成が大変なのは何処も変わりないということですかね」
「だが後進に育ってもらわねば困る。星を護るは我らの宿願であり、使命なのだから」
というわけで、その日の夜。何か現地民とは言葉通じへんわりにバケモンから助けたの見たせいか、天使たちは神と崇め奉っとるみたいな感じになっとるし、その天使たちと会話できる俺もなんか特別扱いされて、キャンプファイヤーみたいなことになっとる。
日を囲んで歌って踊ってごちそう喰ってって感じやな。
天使のオッサンも若い二人も、なんかマイクみたいなの取り出してそこに手のひらサイズくらいのちっこい生首みたいなんつけて歌っとったし。何が何やら……? オッサンは嘴白い紫の鳥みたいなやつ、男の子はティラノサウルスみたいなん、女の子はなんかデフォルメしたマンタみたんのつけとったな。
で、なんかわからないうちにそんな状況に放り込まれた俺は、流石に困った。思わず一歩引いて、口調が改まった感じになってしまった。なんかこう、最後に会話しとったのがプロメスだったせいか、ああいう余裕ありそうな喋り方になってる感じや。
人見知りっちゅーか、何やろ? あんまりいつも通りのノリで話しかけると、オッサンがキレそうな感じしたんやな。
天使いう自分の身分みたいなんに妙に拘っとったし、部下の若い子らにからかわれたらなんかエラいキレよったし。その割には原住民ちゅーか、原人みたいな恰好しとるんは一体何故……?
聞いてみたところ、二人は顔をそろえて苦笑いした。
「ブラジラ先生、趣味がコスプレだから……」
「衣装変えてなりきり遊びするの好きなんですよね~」
「コラッ! フィールドワークと言いなさい、現地の生態を学んで我々が守る物をより強く自覚することで、護星の天使の力は何倍にも膨れ上がってですねぇ────」
ヘンな感じに真面目っちゅーか、その割にはキャンプファイヤーみたいなんで歌って踊っとったのに一番ノリノリやったし、まあそこは色々察する感じやった。
そんでまあ、その原始人っちゅーか古い文明っちゅーかな村っぽいとこ出て、天使たちがいうところの
まあ会話に飢えとったのはあっても、色々なんか緊張しとったんか口調は相変わらずプロメス風な感じだったんけど。
「天使ってどういうものなのでしょうか」
「以前私のことを使徒と言いましたが、それはどういう意味でしょうか?」
まあこんな感じで、雑談振ってもエラい俺からしたらかしこまった感じっちゅーか。
嫁見られたら爆笑されんでマジ。
性格合わな過ぎやて。
ま、そういうアレな話は置いとくとして。結果として分かったことは、護星天使っちゅーんはけっこう下級っちゅーか、下っ端ペーペーみたいな感じの役職らしいってことや。
プロメスみたいな七大天使ってのは役員クラスだとすると、護星天使はヒラの雇われみたいな? 特に秀でた人間を召し上げて、そのまま仕事に従事させてるとか聞くと完全バイトな気がするんやけど、その割に三人ともやる気に満ちてる感じがして俺からは何か言うのも野暮な感じやな。
てか、元人間って……?
これも丁寧な感じで訊いたら、若い二人は顔合わせてブラジラ先生(先生と呼ばれるとなんか喜ぶんで、なんとなく俺も先生呼びしてる)は少し微妙な顔をした。
「…………始まりに
「……? 何でしょうか」
「これは、我々に伝わる神話の一つ。我々が『護星界』を作り出すきっかけになった話だ」
ブラジラ先生は神妙な感じで、色々と教えてくれた。
創造神話って感じで内容の大半はいわゆる旧約聖書っぽい感じだったんやけど、内容としては人間となんも約束結んでおらへん感じっちゅーか、なんやろ?
さっくり流れをまとめると、テオスって神様が世界を作った後、プロメス含めた
で、それを真似てテオスも人間を作り出して、世界はそんな楽園やったと。
ところが人間の数が増えすぎて何が起こったかと言うと、驕りだして動物たちを自分たちの都合が良いように家畜にしたり、虐げたり、無駄に殺したりしだしたんやと。これに怒ったんが動物の神様みたいなもんになっとるマラークたち。逆に俺らが人間を家畜にしたるでー! という感じで、戦争が始まったらしいんや。
で、人類vs全生命種は流石にちとバランス悪いんやないかい! ってことで調整に入ったんがプロメス。人間の中でも特に(テオスの作った疑似神様って意味で)出来の良かったのに、超能力みたいな? それの使い方を教えて、能力的劣勢を覆そうとしたとか何とか────ちなみに、これが護星天使の先祖だとか。
「『人は何をせずとも力を持つ故に、新たな力を授けるまでもない。ならば使い方を教えましょう』と。天使プロメスはそう語り、我々の先祖と共にこの天装術の力を開発したらしいのだ」
まあその後なんやかんやあって、最終的に人の側はそれでも負けたらしいんや。まあ結構いい勝負したらしく、ギリギリやからマラーク達もあんま大声で言えへんらしかった。その際に天装術持つ人間たちは、そのまま人類に混ぜて滅ぼすより奉仕活動させた方が罰になるてな話になったらしく、そんな訳で「護星界」って世界作ってそこに引きこもらせて、マラークたちの仕事の一部を肩代わりさせることにしたんやと。
その後、ノアの箱舟みたいな感じで地上を大洪水で洗い流したりなんだりして。ゼロからまた動物と人間の関係を始めようと────。
そして、その結果アンデッドも生まれた。
おうおうここで俺に話が繋がってくるんか? と。
「私自身、プロメス様から深く伺ってはいないのですが……、そのあたりのことは」
「当然と言えば当然かもしれない。…………つまり、地上を席巻する動物のうち、人間のみが繁栄するのはおかしい。マラーク達はそうテオスに言い、人間を完全に絶滅させない代わりに彼らマラークたちの種族含め、すべての生物に地上を支配するチャンスを与えると。そういう契約を結んだのだ。
故に、使徒。君は
「…………責任重大のようですね。つまり、他の種族たちが勝利すれば、今の再繫栄しかかっている人類は絶滅の危機に瀕すると」
「そこまでいくか判らないが、我々
具体的に言われると、本当に責任重大なんやと実感する。いくら俺が未来からきたとはいえ、自分がそんな滅茶苦茶強い訳じゃないのは判っとるし、負けた時に引き起こされることがホンマに想像したくないような感じやもん。
で、この戦いは「繫栄していた時の人類の中でも超人」である
干渉する権限を持ってるのはエル以上。つまり、プロメスたち七人やったっけ? が、このバトルファイトっちゅーシステムを管理しとるっていう状態やな。
「なるほど、話は分かりました」
「直接こちらが力になれないのに関しては申し訳ない。本来ならば
先生また言ってるよー、とか、その自信どこから来るんですかー? とか生徒たちに煽られて怒鳴り散らすブラジラ。まあ仲良いやあと思いつつも、生徒たちからは親愛が感じられるわりに怒鳴り方がガチすぎてちょっと危ない感じもするけど……。
まあ胸の内を吐露するような信頼関係の成り立ってない状況で、外野があーでもないこーでもない言っても悪影響しかあらへんしな。中途社員の振る舞いや態度が前職を引きずってたりするのに、頭ごなしに怠慢だアホだ何だってレッテル貼って社内の立場なくしたら本人やる気なくして最低限しか仕事しなくなるし。本来持っとるスキルがアホほど高くとも。
それで難しい顔しとったのを見かねてか、ブラジラはともかく若い二人が俺に「大丈夫!」とか声かけてきよった。
「バトルファイトにおける人類の代表使徒である以上、きっとあなたにも私たちアークのように、何か特殊な能力があるはず!」
「本当にそう思いますか……?」
「きっと!」
「そうよね~、ブラジラ先生より何かこう、
「コラッ! どういう意味だ二人とも、待ちなさいッ!」
言うだけ言って逃げ出した二人に関してはともかく、変身時の超人的な身体能力以外に何かあるんかい? と思いながら、とりあえず俺は生徒二人を追いかけまわすブラジラのヒステリックな声に苦笑いした。
ガチ追いかけっこすぎて変な笑い出てくるヤンケ、マジ。
・ブラジラ/ゴセイバイオレッド(グレートゴセイバイオレッド)
ご存じ? 天装戦隊ゴセイジャーよりXXXX(ネタバレ防止)。神雷のスカイックパワー。相棒はバードヘッターと、グランディオンヘッダー。
こちらもXXXXXXX(ネタバレ防止)の時期が1万年前らしいということで、東映特撮繋がりでご登場。まあまあ良い年齢だけど救世主願望を諦めきれない声の良いオッサン。コスプレ趣味。
ちなみに何故グレートでシルバー装備になってるのかというと、本来は単なる紫戦士のゴセイバイオレッドだったが、当時最強のランディックヘッダーであったグランディオンを従えた際、そっちの力が強すぎたせいで超強化されてしまったため。このパワーアップの理屈をミラクルゴセイヘッダーに適用させて、他のゴセイジャーも使えないかと研究していたというのが、本作のナイティックパワーの由来。
・アギト創造神話の差異
プロメスが人類と交わりネフィリム(ギルス)を生み出さなかった。あくまで人類が持ちうるポテンシャルの延長として天装術を一緒に開発した程度にとどめたので、テオスからお目こぼしをもらっている。結果、護星天使たちが実質人類のマラーク(アンノウン)状態となった。
・ヒューマンアンデッドの弓(アダムアロー)
刃部分が一般のカーボンファイバーみたいな感じになった、ラウザーなしカリスアロー。つがえた無限弾倉の矢をエネルギー弾丸に変えて発射する。弓といいつつ銃口から攻撃するタイプなのは、火のエルとの関係性から(銃“火”器)。
本作的には、この弓+マンティスアンデッドの武器が融合した状態のものをXXXXX(ネタバレ防止)が使用しているのがカリスアローという設定(ラウザー接続機能はXXXXX(ネタバレ防止)由来)。