リコの妹の冒険章   作:てらつき

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ルリハ視点

 

 

リザードンの背中に乗りながら、私はさっきの出来事を思い返していた。

 

お姉ちゃんのペンダント。

突然現れた緑色のバリア。

 

 

宝石みたいな、不思議なポケモン。

お守りだという謎のペンダント。

“はじまりのペンダント”。

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

……ん?

ちょっと待って?

 

私、さっき良い感じに“はじまりのペンダント”とか言ってたけど、冷静に考えてみたら……

私たち……そのペンダントに振り回されてない?

 

 

だって、さっきアメジオたち三人に追い回された。

目的は明らかにペンダント。

 

そして今、私たちを助けてくれたこのリザードンのトレーナーさん。

 

 

……

 

 

 

この人の目的もペンダントだったら?

 

そもそも名前すら知らない。

どこの誰かも分からない。

 

突然リザードンに乗って現れて、『見ーつけたー!』って叫んで、私たちをリザードンに乗せて、現在どこかへ運んでいる。

 

 

「…………」

 

これ、もしかして人攫いでは?

 

いや、まだ決めつけるのはよくない。

助けてくれたのは事実だし。

 

でも……

 

 

 

 

……信用はできないなぁ。

 

 

 

「――――!!」

 

「ん?」

 

 

お姉ちゃんが何か言っている。

でも、リザードンの羽音と風の音がすごい。

何も聞こえない。

 

 

「あ? 何か言ったか?」

トレーナーさんにも聞こえてないみたい。

 

お姉ちゃんがもう一度、今度はさらに大きく口を開く。

「――――――!!」

 

 

………

 

 

 

申し訳ないが分からん。

全然分からん。

 

 

その時、前方に大きな影が見えてきた。

リザードンはそれにどんどん近づいていく。

 

ここが目的の場所なのだろうか。

 

 

「何あれ!?」

 

お姉ちゃんにも見えたらしい。

 

 

飛行機?

いや……

 

「……船?」

 

 

「あぁ、俺たちの船……ブレイブアサギ号だ」

 

 

 

 

…………

 

 

 

えっと……

 

 

 

 

 

 

俺たち?

今、俺じゃなくて俺達って言った?

 

えっ、まだ他にも人いるの?

私たち、どこに連れていかれてるんだろ。

 

不安が増えた。

 

 

 

トレーナーさんはスマホロトムを取り出すと、どこかへ電話をかけたようだ。

「戻ったぞ! ウイングデッキ展開!」

 

 

少しして、飛行船の一部が大きく展開していく。

 

左右へ広がったウイング。

そして、その中央。

 

「……バトルフィールド?」

 

 

空飛ぶ船に、バトルフィールド。

 

これ、作った人は凄く大変だっただろうな。

 

設計とかどうしたんだろ。

重さとか。

強度とか。

 

 

 

…………

 

いや、今そこを考える必要ないか。

 

 

リザードンがウイングデッキへ降下する。

そして、着地。

 

 

「ふぅ、到着!」

トレーナーさんが私をデッキへ降ろしてくれた。

 

やっと自分の足が地面につく。

……飛行船の上だから地面って言っていいのか分からないけど。

 

 

それより何故抱いていたんですか。

なんて言えるわけないので。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「おう!」

 

 

 

「ありがとう、リザードン!」

「ガウ!」

 

お姉ちゃんはリザードンへお礼を言っている。

 

私もリザードンにはあとでちゃんと言っておこう。

この人はともかく、リザードンには助けてもらったし。

 

 

 

「おかえり」

声がした。

 

展望室らしき場所から、一人の女性が出てくる。

ピンク色の髪で、落ち着いた雰囲気の人だ。

 

そして、その隣からは、

「ずいぶん手こずったな」

大柄な、がたいのいい男の人。

 

「ワン!」

男の人のそばからイワンコも出てきた。

 

 

「ニャ!」

ニャオハとイワンコが近づいて。

 

「ワンワン!」

「ニャオ!」

 

……遊び始めた。

 

早い。

コミュニケーション能力高いなぁ。

 

 

 

ピンク色の髪の女性が、私たちを見る。

 

「あなたたちが、リコとルリハね」

 

「は、はい!」

 

 

……え、ちょっと待って。

今、普通に私の名前も呼んだよね?

 

 

 

 

き、聞かないと。

 

さっきまではドタバタしてた。

追われて、時計台に登って、飛び降りて……

 

 

でも、今は何も遮るものがないはず。

 

これは聞くチャンスだ!!

 

 

「あの、どうして私たちの名前を知ってるんですか? それに……皆さんは、一体?」

 

言えた。

何も障害物もなく言えた。

 

 

 

「…………」

 

女性の視線がゆっくり私たちを連れてきたトレーナーさんへ向いた。

 

 

「まさか……アンタ、この子達に何も説明してないんじゃ!」

 

「あれ、言ってなかったか?」

 

 

「「…………」」

私とリコ姉は顔を見合わせた。

そして二人揃って、こくこくと頷いた。

 

 

言ってませんよ。

 

何一つ。

名前すら。

 

 

やっぱりこの人、人攫いに近いのでは。

いや、子供を二人まとめてだから子供攫い?

 

もうどっちでもいいや。

説明なしで知らない子を飛行船まで連れてくるなってことです。

 

 

 

男の人も、呆れたようにため息をついていた。

 

「おいおい、どうやって連れてきたんだ?」

 

「おい! フリード!」

 

「あ、いや、その……」

 

 

……フリード。

この人、フリードっていうんだ。

 

ようやく名前知った。

 

 

……できれば、時計台から飛び立つ前くらいには知りたかったな。

だからといって、変に説明が長すぎても怪しいけどさ。

簡潔にまとめて短時間で言うとか……

 

 

「ホゲー!」

 

「ん?」

 

 

突然、元気な鳴き声が聞こえててきた。

 

船の奥から、ポケモンが走ってきた。

ホゲータに……

あれ、パモまで。

 

 

リザードンの前で手を振るホゲータ。

どうやら同じほのおタイプの先輩として憧れているらしい。

 

で、パモはそれについてきたみたい。

 

 

 

「あ、かわい――」

 

言い切る前に。

 

 

「ホゲー!」

 

「パモッ!」

 

「わあっ!?」

 

 

二匹とも、今度は私に飛びついてきた。

 

「ちょ、待って待って……!」

 

 

ホゲータが足元に来て、歓迎しているように手をブンブン振ってる。

パモも私へくっついてくる。

 

 

「ふふっ……くすぐったいって♪」

 

「ホゲ〜♪」

 

「パモパモ♪」

 

 

 

……

 

 

まあ、昔からポケモンには好かれるんだよね。

理由は知らないけど……

 

 

……えっと。

ねぇ、ニンフィア、その視線は何?

なんか凄い怖いよ?

 

この子たちがくっついてるから?

 

 

 

「どうしてパルデアの子たちがここに?」

 

 

男の人が笑った。

「ああ、そいつらか。 旅してる間に住み着いちゃったんだ」

 

「住み着いた……?」

 

「パルデアのだけじゃないぞ。ほれ」

 

男の人が展望室の方へ視線を向ける。

私たちもそちらを見る。

 

 

ユキワラシ。

ツボツボ。

それから、ヨルノズク。

 

色んなポケモンが、船のあちこちで思い思いに過ごしている様子。

寝ていたり、のんびりしていたり、仲間同士で遊んでいたり?

 

 

……みんな、リラックスしてる。

 

警戒してない。

無理やり捕まえられてる感じもない。

 

むしろ、ここを自分たちの居場所だと思ってるみたい。

 

 

私は足元のホゲータを撫でる。

 

「ホゲ〜♪」

 

 

この人たち、もしかしたら悪い人じゃないのかも。

少なくとも、ポケモンたちはそう思ってるみたい。

 

 

「自己紹介が遅くなった、私の名前はモリーだ」

マードック「俺はマードック、そしてあいつが、相棒のイワンコだ」

 

「ワン!」

 

 

向こうではイワンコが尻尾を振っていて、ニャオハとニンフィアがそれを見ている。

ニャオハが尻尾に足踏みを続けると、いい匂いが漂う。

 

「ニャオ〜!」

 

「フィア!」

 

「ワンワン!」

 

「ホゲー!」

 

「パモ!」

 

ホゲータもパモもニンフィアたちに混ざっていた。

 

 

………

 

仲良くなるの早っ。

さっきまで追いかけ回されてたとは思えない。

 

お姉ちゃんも完全にそっちへ夢中になってる。

「わぁ……! みんな可愛い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……いや。

 

確かに可愛いけど。

めちゃくちゃ可愛いけど!

 

 

それより!!

 

ちゃんと話聞かなくちゃ!

 

 

まだ何も分かってないじゃん。

 

どうしてこの人たちは私たちの名前を知ってるのか。

何のために助けたのか。

どうして私たちを探してたのか。

 

 

 

私はフリードさんたちへ向き直る。

「あの、すみません……」

 

ちゃんと説明してください。

そう続けようとした、その瞬間。

 

 

ビービーッ!!

 

突然、フリードさんのスマホロトムから大きなアラート音が鳴り響いた。

 

 

「…………」

私は開きかけた口を、そのまま閉じた。

 

 

 

「ん?」

フリードさんは私の声には気づいたらしい。

 

一瞬こっちを見たけど、すぐスマホロトムを確認する。

 

 

「ちょっとごめん」

 

「あ、はい……」

 

 

説明、また後回しになりました。

いつまで聞けない感じですか?

 

 

本文は何文字くらいがいいですか?

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  • 2000〜4000
  • 4000〜6000
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