メインヒロインになりたくない姫騎士ちゃん 作:黒騎士くん二次書き仲間増えろ
なので作者に胸熱な戦闘展開は期待しないでください
それはそうと前回コメ欄で教えてくださった皆様ありがとうございました
とりあえず結論としては「どちらもありうる、そんだけだ」精神でやっていこうと思います
「こうなったらぁ、二人まとめて処分してあげますよぉ!」
サイボーグ女がチェーンソーを振りかざし襲ってくる。さっきワタシの命を奪いかけたそれは、正直にいえばまだちょっと怖い。それでも……!
「処分されるのはそっちだ!」
右腕を引き、ギリギリまで相手を引きつける。そして限界までサイボーグ女が踏み込んできた瞬間、思いっきり拳を叩きつける。
「がっ!?」
「よしッ!」
予想通りだ。恐らく変身したワタシの能力は肉弾戦特化。装甲で覆われた腕でのパンチはさぞよく効くはずだ。
―――いいぞ その調子だ
「お兄ちゃん!いくよ!」
「っ、ああ!」
お兄ちゃんが短剣を、ワタシが拳をそれぞれ構えサイボーグ女に向き直る。
「数で上回った程度で……調子に乗るなぁ!」
叫ぶサイボーグ女の右腕が変形していく。あれは……大砲か。
「お兄ちゃん!」
ただそれだけの言葉を発し、敵の懐に飛び込む。するとお兄ちゃんはワタシの意図を察してくれたのか、右側から回り込んだ。
「死ねぇ!」
「そんなもの効くか!」
放たれたバスケットボール大のエネルギー弾をガードの姿勢を取って受け止める。ビリビリと衝撃が腕に伝わってくるが、逆に言えばそれだけだ。この程度の攻撃じゃワタシの装甲は突破できない。
「カウンターパーンチ!……なんてね」
「くらえッ!」
「っ!?」
ワタシの攻撃は重い分やや大ぶりだ。だからこそ予備動作が読みやすく、回避もしやすい。それを逆手に取られなければの話だが。
「ああ!腕がぁ……!許さない許さない許さない!」
半狂乱になって暴れるサイボーグ女の攻撃を、最低限の動きで躱す。
―――もっとだ より無駄を省け
隙を見ては軽いジャブや足払いをお見舞いする。それだけでサイボーグ女はより怒り狂い、攻撃がどんどん単調になっていく。
―――感覚を研ぎ澄ませろ
切り落とされた右腕から伸びる電気を帯びたコードがバチバチと唸り襲い来る。そんなもの、目をつぶってでも避けられる。
―――常に強者である自分を想像しろ
お兄ちゃんの斬撃が、ワタシの打撃が、かわるがわる交互にサイボーグ女にダメージを与えていく。
このままいけば勝てる。でも慢心はしない。自分から負けフラグを立てるとかごめんだ。
「が、ああ、ぁぁぁ……!?クソ、なんで、データでは常に優利なのに……!」
「じゃあとっととデータキャラやめちまえ。……お兄ちゃん!」
「わかってる!」
マスク越しにアイコンタクトを取る。それだけで、互いの思いが一つになった。
―――仕上げだ
『DEADLY!! TYPE LUPUS!!』
「Star Finish!」
音声が重なると同時にお兄ちゃんの右脚は光り輝き、ワタシの拳がオーラを纏う。
「
「Starry Crush!」
「があ゛あ゛!」
ワタシ渾身のアッパーカットがサイボーグ女を天へと打ち上げる。この時点で十中八九死にかけているだろうが、念には念をだ。
「これで終わりだ!」
『BITING! CRASH!!』
ジェットパックのような光を噴出させたお兄ちゃんが空を駆け、サイボーグ女の機体を真っ二つに断ち切る蹴りを放つ。
「そ、そんな、また、わだじは――」
足を振り抜いた瞬間凄まじい衝撃が走り、公園の上空に季節外れの花火が咲いた。
「ナイスお兄ちゃん!」
「姫もアシストサンキューな。……にしても、あいつなんだったんだろうな。俺たちのことを知ってる感じだったけど」
戦闘が終わり変身を解いたワタシたちは、疲れを顔ににじませながらもハイタッチを交わした。
「さあ?少なくともあっちは殺そうとして襲ってきたわけだし、正当防衛でしょ」
仮にあいつが記憶喪失前の知り合いだったとしても関係ない。あれは確実に切っておいた方がいいタイプの縁だ。そもそもワタシはワタシを殺したい程恨んでる相手がいることに驚きを隠せないんだけどね。
「それより一旦ここから離れないと。絶対今の目立ってたよ」
「それもそうだな。いくぞ、シロ」
『ガウ!』
ヒーローは正体不明がお約束ってね。そうじゃなくてもバレたら面倒なことになるのは確実だ。厄介事をお姉ちゃんの下に持ち込むわけにもいかない。
こうしてワタシたちの初戦闘は、静かに幕を下ろしたのだった。
「おわぁ!?ど、どうしたハクア姉さん!?」
「……ッッ……」
「時折ある、心細くなるアレ!?」
帰ってきたら姉が限界化していた件について。たまにこうなることがあるにはあるけど……今回のはいつもとなにか違う気がする。
「ねえ二人とも!今までどこにいた!?」
「どこって言われても、普通にマスターのお店から帰ってきたところだよ?そうだよね?お兄ちゃん」
「ああ、そうだな。普通にいつも通りだったぞ」
嘘が不得意なお兄ちゃんにしてはわりといい感じのブラフだ。あらかじめ打ち合わせをしておいたのが功を奏したか。
「本当に!?嘘をついてないよね?嘘ついたら怒るよ!」
だがお姉ちゃんはこの答えに納得しなかったらしい。いや、納得していないというよりかはこれが真実であることを祈ってるって感じか?
「なにかあったのか?」
「……これ見て」
ワタシたちがリビングで見せられたのは、とあるテレビ番組。そこには、こんな文字が大きく映し出されていた。
『新たなヒーロー出現!? 公園に登場した二つの影!!』
「……は?」
「……わーお」
撮られてたのかよ。しかも必殺技撃ってるとことかわりとガッツリ映ってんじゃん。てかワタシってこんな感じの見た目だったんだ。複眼が星型とかすげえデザインしてんな。
「え、なにあれ……」
「本当に知らないの……?」
「知らない……」
そりゃ撮影されてたことなんて知らんわな。にしてもこれどうしよ……思ったより大事になってきたな。まあそれもライダー的にはお決まりの展開だけど……ん?ちょっと待てよ?常識的に考えて、こうも都合よくお決まりの展開が続くことなんてあるか?
記憶喪失の主人公は親切な人物の助けを借りながら平凡な生活を送っていたが、ある日突然怪人との戦いに巻き込まれ……みたいな展開が現実で起こり得るものか?いや、ないだろ。ってことは逆説的にここはワタシの知る現実じゃないわけで……
「……黒騎士」
「っ!?ひ、ひめちゃん、急にどうしたの?」
ワタシがポツリとこぼした単語に、お姉ちゃんが大げさに驚いた顔を見せた。うーん、これは明らかになんかあるな?
「いや、ただ前に動画で見た黒騎士って人に似てるなあって思っただけ」
「そ、そっか」
まあ似てるっていう事実が既にフラグでしかないんだけど。ミスリードの可能性もあるっちゃあるけど、ここまで露骨に騎士って感じだとねえ。
「あ、そういえばマスターからまかないもらってきてたんだった。お姉ちゃん、一緒に食べよ!」
「そうだな。俺も腹減ったし」
「……うん。そうだね。ご飯にしよっか」
物語ならここで一話Bパートが終わって、別視点のCパートが流れるパターンっぽいけど……実際どうなんだろうね?
「さあ、検索……じゃなくて考察を始めますかね」
夕食後、ワタシは自室で一人考え事をしていた。
「戦隊っぽいジャスクルとライダーっぽい黒騎士・姫騎士が同時に存在している世界……この世界を仮になんらかの創作物の世界だと仮定するとして。じゃあワタシたちはどういうポジションのキャラなのかって話だよね」
お兄ちゃんの主人公キャラ感半端ないし、多分お兄ちゃんは最低でもこの世界の重要ポジなんだろうな。十中八九主人公だろうけど。しかしそうなると、だ。
「ワタシって二号ライダーポジ?」
でもそれは姫騎士さんとやらと被ってるんだよなあ。いやそれを言ったらお兄ちゃんこと白騎士も黒騎士と丸かぶりしてるけど。そもそもこの二人ってなんなんだ?先代ライダー的なやつ?それとも……
「記憶喪失前のワタシたち……ってのは流石に飛躍しすぎか?」
だいぶキャラが違うのが違和感ではあるけど……その辺は記憶喪失とかいう便利設定でどうとでもなる。
「だとしても今のワタシあんなに強くないんだけど?」
ダブル騎士コンビの戦闘力は別格だ。動画で見るだけでそのすごさがわかる。さっき自分も戦ったから余計にね。あれとワタシが同一人物だと言われても、正直実感が湧かない。
「……そういえば、あの時聞こえてきた謎の声あったな」
あれはあれでなんなんだ?ワタシの中に眠る姫騎士の残滓とか?だとすると師匠面してるのにも説得力があるな。
「……今日はこの辺にしとくか」
今のワタシは特撮番組の一話目を見ただけで今後の展開全てを考察しようとしているに等しい。そんなことできるわけがないのに。話が進むにつれて大量の知らない情報が出てくるし、序盤の伏線が思わぬ形で回収されることもある。それが特撮界隈の日常だ。
そんな世界の全てを予想するなんて無謀も無謀、愚か者のすることだ。
ならば、ワタシがすべきことは一つ。
「戦わなければ生き残れない、ってね」
ここまでお決まりの展開が続いているのに、怪人との戦闘がこれで終わりなわけがない。きっとこれからも強制的に怪人と戦うことになるのだろう。ならワタシはその戦いを勝ち抜いていくだけだ。
「……姫、今いいか?」
「いいよー」
そんな結論を出していると、お兄ちゃんがドアをノックしてきた。特に隠すこともないので、そのまま入室許可を出す。
「どしたの?お兄ちゃん」
「……今日はありがとうな。一緒に戦ってくれて」
改まって何を言うかと思えば。
「なあ、姫。もしこれからもあんなやつらと戦うことになったら、また一緒に戦ってくれるか?」
「別にいいけど。でもお兄ちゃんはそれでいいの?正直お兄ちゃんはワタシに危ないことはしてほしくない派だと思ってたんだけど」
一時期は包丁を握ることすら許してくれなかった程過保護な兄のことだ。今日のことは別として、これからはあんな危ないことをするな、くらいは言うと思っていたのだが。
「そりゃ危ないことはしてほしくないけど……でも、なんというか今日一緒に戦ってる時、
「なるほどね。つまりお兄ちゃんはワタシが大好きだからずっと一緒にいてほしいと?」
ニヤリと擬音のつきそうな笑みを浮かべながら、からかうような声音でそう言ってみる。
「そうだな。俺はお前が好きだ。ずっと一緒にいてほしい」
「……そ、そっか」
お兄ちゃん の カウンターパンチ(言葉) ! ワタシに 999 のダメージ !
いやなんで照れる素振りすら見せずにそんなこと言えるの!?こっちが恥ずかしいんだけど!?
「ま、まあとにかく!ワタシはこれからもお兄ちゃんのサポーターとして戦ってあげるから!だからお兄ちゃんもワタシのこと離さないでよ?」
あれ?これ今ワタシ勢いに任せて変なこと口走ってない?
「ああ、絶対に離さない。……次は絶対に、守ってみせる」
アアアアア!恥ずい恥ずい恥ずい!多分今顔真っ赤になってるって!なんだよ離さないでよってもうそれプロポーズじゃん!実の兄になに言ってんだお前ぇ!
「じゃ、じゃあワタシそろそろ寝るから」
「わかった。おやすみ、姫」
「おやすみ、お兄ちゃん」
うぅ……穴があったら入りたい……姫騎士の自我みたいなものがあるならとっとと目覚めてくれ……そんでもって今日の出来事を全部有耶無耶にしてくれ……
そんなことを考えながら、ワタシは布団を被ったのであった。
姫華ちゃん
考察に考察を重ねる女
多分ガチ特撮だったら知りすぎて消される枠
戦闘時には(黒騎士くんを無意識下で模倣した)殴り合い上等の戦闘手段を取る
ちなみに記憶を取り戻した場合ほぼ確実に恥ずか死する
克樹お兄ちゃん
妹が一緒に戦ってくれると安心する系お兄ちゃん
話作りが難しすぎる
記憶ありオリ主という立ち位置がいかに便利だったかを痛感しながら、がんばって記憶喪失姫騎士ちゃんを書いています
このままだとマジで原作の焼き直しになりそうだしなんとかせねば……
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