あんなたちはあんなの家があるマコトミライタウンの前へと来ていた。
「えっとね~ここが私のうち!」
「「へぇ~……」」
あんなは『マコトミライタウン予定地』とある看板に貼られているマンションの写真を指差した。
三人の目の前には更地が広がっていた。
「町ごと無いんだけど~~~!?!?」
「未来から来たって本当だったの~~~!?!?」
「マジかよ…」
あんなはそこにあるはずだった自分の家どころか町そのものがないこと、そしてみくるはあんなが本当に未来から来たという事実に二人揃ってびっくりしていた。
そしてピカチュウはあんなが本当に未来から来たという事実を未だに信じられずにいた。
「探偵事務所の名探偵じゃなかったの!?」
「だから私嘘つかないって!誕生日パーティがあるの!!帰らないと!!名探偵でしょなんとかして~~!!!」
「それを言うなら、あなたも名探偵……!」
「……はぁ。」
あんなはみくるの肩を掴み揺さぶりながらそう言った。
その様子を見ていたピカチュウはため息を漏らす。
「そうだ!あそこに行けば!」
「「?」」
みくるが何かを思い出したかのように言うとあんなとピカチュウは首を傾げた。
みくるに連れられ、あんなたちはどこかへと向かっていた。
その最中、あんなは抱きかかえているピカチュウに話しかける。
「そういえば、ピカチュウさんって前はどこにいたの?」
「…ああ、それはな……」
ピカチュウは少し言葉を詰まらせるがあんなの質問に答える。
「分からないんだ。」
「えっ…それって……」
「その話は後でする、着いたみたいだぞ?」
ピカチュウが言った通り、目的地にたどり着いていた。
「ここか…」
「キュアット探偵事務所?」
あんなたちはキュアット探偵事務所の前に来ていた。
「ここに名探偵プリキュアがいます!」
「ええっ!?ほかにも名探偵プリキュアが…「しーっ!!」」
あんなが言いかけたところですぐにみくるはあんなの口を塞いだ。
「プリキュアがいることはヒミツだそうです!」
周囲を見回しながらみくるはあんなの言葉を遮った理由を説明する。
「秘密なのによく知ってるね…?」
「ま、まあ気にせずに…!きっと力になってくれます!」
二人はキュアット探偵事務所の中へ入っていった。
しかし、明かりは一切点いておらず人がいそうな雰囲気ではなかった。
「ごめんくださ~い!」
「……真っ暗だな」
「……いない?」
みくるは大きく叫んでみるが返事は一切返ってこなかった。
あんなたちは奥の部屋まで進んでみるが人がいるような気配は一切感じられない。
「…なんか…イメージと違う……」
「ポチ~♪」
想像していた雰囲気とはかけ離れており、みくるは言葉を漏らした。
そして、ポチタンは部屋内を飛び回っている。
「どなたかいませんか~?」
「本当に誰かいるのか…?」
みくるは大きな声を呼びかける。
ピカチュウがそんな風に言葉を漏らした時…
「…依頼は断っている。」
「「「!」」」
突然聞こえてきた男の声に三人は反応を示す。
「あ、あの力を貸してほしいんです!私タイムスリップしちゃって……」
「冗談に付き合ってる暇はない…帰ってくれ。」
あんなは自分の置かれた状況を話すが声の主は聞く耳を持とうとしなかった。
「冗談じゃなくて本当に…」
「私たち名探偵プリキュアなんです!」
みくるの言った『プリキュア』と言う単語に反応し声の主は机の上に飛び乗り姿を見せた。
「……子供?」
ピカチュウの言った通り、机の上にはかなりサイズのあっていない白衣を来た少年が立っていた。
「お前たちが名探偵プリキュア……ないな。」
「本当だよ!私うそつかないから!」
(うわぁ…全然信じてもらえねぇ……)
ピカチュウはこの気まずい状況を見て心の中でそう呟き苦笑いを浮かべた。
その時、彼の視界にあんなが首から下げているジュエルキュアウォッチが目に入った。
「そいつは…?!わ、わあぁぁ!?」
あんなが首から下げているペンダントに驚いた拍子に、白衣の少年は机の上から落ちてしまった。
しかしそこにいたのは…
「いってて……」
「妖精!?」
ポチタンと同じくらいのサイズの妖精がいた。
すぐに黄色の妖精は先ほどの少年の姿に戻る。
「これでプリキュアに変身しただと…?」
白衣の少年はペンダントをじっくり観察しながらそう呟く
「妖精が人間になるなんて…」
「あなた、プリキュアのおとも妖精…?」
「おとも妖精…てなんだ?」
あんなはキャンティを口に咥えたままそう呟いた。
そしてピカチュウはみくるの口から出た『オトモ妖精』と言う単語に首をかしげる。
「おとも妖精と言うのは名探偵プリキュアのサポートをする妖精だそうです!」
「へぇ……と言うか、そんな情報よく知ってるな?さっきと言い…」
「まあ、いろいろと……」
みくるは得意げにおとも妖精についてピカチュウに説明した。
ピカチュウがそう言うとみくるは、はぐらかすように言葉を漏らす。
「……おい、僕は無視か?」
「「「あ。」」」
「はぁ……まあいいか。僕は天才発明家ジェット、探偵道具を発明するのが僕の仕事だ」
ガン無視されたことはとりあえず置いといて、白衣を着た少年はジェットと名乗った。
「へぇ~まだ小さいのにすごいね…!」
「小さい?お前何歳だ?」
『小さい』と言われたことに反応しジェットはあんなに質問する。
「私14歳だよ?」
「えっ!?私ももうすぐ14歳!!」
「そうなの!?はなまるびっくり~!!」
「フッ、僕が年上だな…僕は223歳だ。」
「ゑ」
ジェットは自信満々に答えるがあんなとみくるは全く聞いていなかった。
だが、ピカチュウはジェットの年を聞いて硬直してしまう。
「同い年なら敬語はなし!あんなでいいよ~!」
「じゃあ私はみくるで!」
「分かった~!」
「……これだから子供は…。」
二人のはしゃいでる様子にジェットは呆れた声を漏らした。
「で、だ……さっきからずーっと気になってたがお前何者なんだ?」
「…え?」
ジェットに話しかけられ、ようやく硬直が解けたピカチュウはそう反応する。
「俺か?何者って聞かれてもな……
「
ピカチュウの話を聞いてジェットは何かが引っかかったような風に言った。
「と言うことは、前はその姿じゃなかったのか?」
「……多分」
ピカチュウの歯切れの悪い返答にジェットは思わずずっこける。
「なんでそんな曖昧なんだよ…!」
「……分かんないんだよ」
ジェットの言った言葉に返すようにピカチュウは口を開いた。
「どういうことだ?」
「全部話すよ。」
ピカチュウはそう言うと、神妙な面持ちで言葉を続ける。
「端的に言うと、記憶喪失だ。」
「なんだって?」
「俺自身と関りのある記憶は軒並み思い出せないみたいなんだ。」
「…それじゃあさっきの話は……」
「ああ、俺が元々どこに住んでたのか……当然それも思い出せない。」
ピカチュウの話を聞いて、その場に居た者全員が暗い雰囲気になる。
その雰囲気を察したピカチュウは口を開く。
「あー…悪い、やっぱり話すべきじゃなかったか……」
「いや、元はと言えば僕の方から聞いたことだ。だから、気にするな。」
「……ああ。」
ピカチュウは場の雰囲気を暗くさせてしまったことを謝罪する。
その言葉を聞いて、ジェットは励ましの言葉を投げかけピカチュウは安堵の表情を浮かべる。
「さてと…話を戻すがお前らこのペンダントどこで手に入れたんだ?」
ジェットはペンダントを手に取って二人に質問する。
「小さいころにおばあちゃんからもらったの。でも詳しいことは分からなくて」
「私はね、自分の机の上にペンダントが置いてあって、そしたらポチタンが現れたの」
二人はジュエルキュアウォッチを手に入れた時の状況を答えた。
その時、ジェットはあることに気づく。
「ポチタン?」
「あれ?」
「そういえばポチタンは?」
「確かに…どこ行ったんだ?」
いつの間にかポチタンが消えてしまっていたのだ。
すると…
『シンニュウシャ!シンニュウシャ!』
地下のほうから警報音が鳴り響いた。
「研究室か!」
あんなたち四人は急いで研究室のほうへ向かった。
そこには……
「あああっ!?」
天井からお菓子の山がこぼれ落ちていた。
「僕のおやつ!!」
「「「すごい量!?」」」
とんでもない量のお菓子に三人は驚きの声をあげた。
「発明で頭を使うからエネルギーが必要なんだよ~~!!」
その時、お菓子の山の中からポチタンが顔を見せた。
「ポチ~!」
「「ポチタン!」」
「ん?時空の妖精!?」
ジェットが発した言葉に三人は疑問の表情を浮かべた。
「なんだそれ?」
「時間と空間をワープできるとってもめずらしい妖精だ。」
ピカチュウがそう聞くと、ジェットは時空の妖精について答える。
続けてジェットは考察した。
「そうか…タイムスリップの原因はお前か。この妖精を使えば元の時代に帰れるかも!」
「ええっ!?やった~!」
「よかった~!」
ジェットの言葉に二人は安堵した表情を浮かべる。
しかし、ジェットがあることに気づく。
「待て、そもそも赤ちゃんじゃなかっただろ?」
「うん、ポチタン普通にしゃべってた。」
ジェットからの質問にあんなは答えた。
そして、ジェットは一つの結論を導き出す。
「タイムスリップで力を使い果たしたんだ…元の姿に戻らないとタイムスリップはできないだろうな」
「そんなぁ…」
「どうすれば…」
今のままでは元の時代に戻ることはできない事実に二人は落ち込んでしまう。
「じゃあ、他に方法はないってのか?」
「うーん…マコトジュエルなら……」
「「へ?」」
ピカチュウから別の手立てを聞かれ、ジェットは口を開いた。
そして、ジェットの発言に二人は反応を示す。
続けて、ジェットは説明する。
「真実の力が秘められた宝石だ。それがあれば…!」
(そういや、そんなことあいつが言ってたような…)
「「あ。」」
ピカチュウは今日会った怪盗が言っていたことを思い出していた。
二人は心当たりがあるかのような表情でお互いに顔を見合わせる。
「だが、見つけるのは難しい……」
「これのこと?」
あんなは以前の戦いで手に入れたオーシャンブルー色のマコトジュエル見せた。
「……持ってるのぉぉぉぉぉ?!?!」
めずらしいはずのマコトジュエルが目の前にあり、ジェットは驚いた。
「これで元に戻る!」
「「やった~!」」
「意外とあっさり行けたな……」
すぐにあんなはポチタンに持っていたマコトジュエルをかざしてみた。
「ポチタン!」
「ポチ?」
マコトジュエルをかざすとポチタンのリボンが輝き出した。
そして、それに呼応するかのようにマコトジュエルも輝きを放つ。
「わぁ…!」
「おぉ……」
「…ピッときた!」
その様子を見て三人はそれぞれ反応する。
リボンとマコトジュエルが重なるとマコトジュエルはポチタンに吸い込まれるように姿を消した。
「消えた…!?」
「ポポポポ……!」
「元に戻るの…!?」
マコトジュエルが消えるとポチタンから光が漏れ出した。
そして…
「ポチ~!」
「「「「……え?」」」」
哺乳瓶のようなものが出ただけでポチタンの姿形はほとんど変わらなかった。
その様子を見てその場にいた全員は唖然としてしまう。
その後、あんなたちはリビングへと戻っていた。
「全然戻ってな~~い!!」
「もっとマコトジュエルが必要なのか…」
「ポチ……」
頭を抱えながらみくるは叫び、ジェットは冷静に考察していた。
ポチタンは先ほど現れた哺乳瓶でミルクを飲み満足げな表情を浮かべた。
「じゃあ探そう!」
「きっと見つかる!プリキュアの先輩の力を借りればね!」
二人の言葉に答えるようにジェットは口を開いた。
「……この世界に名探偵プリキュアはいないぞ。」
「「え…?」」
ジェットの口から出た言葉に二人は困惑の表情を浮かべる。
「ここにいるって話じゃないのか?」
「数か月前まではいたらしいんだが、突然姿を消したんだ。」
「どうして…」
「理由は不明…僕はこの事務所を閉めるためにロンドンのキュアット探偵事務所から来たんだ。」
「事務所が事務所がなくなるの…?」
「まあな。」
ジェットはみくるが言っていた先輩の名探偵プリキュアすでにいないこと、そして自分はまことみらい市のキュアット探偵事務所を閉めるためにロンドンからやって来たと語った。
「ここでプリキュアの先輩と調査するのが夢だったのに……」
受け入れがたい事実にみくるは悲しげな表情を浮かべた。
その姿をジェットとピカチュウは黙り込みながら見つめているとあんなが口を開いた。
「……いるよ」
「へ…?」
「私たちがいる!やろうよ!ここで名探偵!ねっ、みくる!」
「……ええ…!でも、あんな自分の時代に…!」
「……。」
あんなはみくるを励ますようにそう言った。
その様子を見たピカチュウは安堵の表情を浮かべるがジェットは鋭い口調で口を開いた。
「勝手に決めるなよ…僕はお前たちがプリキュアだって認めてない、僕はこの目で見たものしか信じないからな!」
ジェットの言葉を聞いて、頭に来たみくるは頬を膨らませる。
「むぅぅぅ……!だったらプリキュアだって証拠を…」
「おいおい、そんなムキにならなくても…」
ゴーン…ゴーン…ゴーン…
みくるが変身をしようとしたタイミングで室内に置かれていた柱時計が鐘を鳴らした。
「…と思ったけど帰る!学校の寮、門限だから!」
「「「え?」」」
「証拠は明日見せてあげるから!」
そう言うとみくるは立ち上がり、早歩きで玄関の方へと向かった。
「みくる…!」
あんなが呼び止めようとした時、みくるは引き返してきていた。
「…あ、あんなたち泊めてあげて!」
「……はぁ?」
みくるはそれだけジェットに言うと、すぐに玄関から出て帰って行った。
それを聞いて、ジェットが困惑している中ピカチュウが口を開く。
「まあ、その……頼む。」
「……ったく、分かったよ。」
その後、夕食を済ませたあんなとポチタンはぐっすり眠っていた。
一方ジェットはあんなが持っていたペンダントを調べ、ピカチュウはその様子を隣で見ていた。
「時間を超えるだなんて…未だに信じられないな……」
「それが時空の妖精の力だからな…だが、いくら時空の妖精でも、28年もの長い時間を越えるなんて……ペンダントの力でこの時代に来たのか……?」
ジェットがそう言うとピカチュウはあんなたちのほうへと視線を向ける。
その目はどこか心配そうなものとなっていることにジェットは気づく。
「お前、そんなにあいつのことが心配か?」
「…まあ、ほっとけないからな……」
「……気にかけるのは勝手だが少しは自分のことも気にしろよな。」
「……ああ、分かってるよ。」
ジェットがそう問いかけると、ピカチュウは言葉を返した。
ピカチュウの返答を聞いたジェットはそれだけ告げると妖精の姿に戻り部屋から出ようとした。
「……みくる……やったね………」
「ふわぁ~……夢の中でもあいつの心配かよ………」
あんなはそんな寝言を漏らした。
ジェットは欠伸をしながら、そんな風に呟いた。
「……お母さん………」
「……。」
今度はそんな寝言を漏らす。
その言葉を聞いて、ピカチュウはまた心配そうにあんなを見つめた。
「…帰りたいくせに……お前も早く寝ろよ?」
「……ああ。」
それを聞いたジェットはピカチュウに早く寝るように促すと部屋から出て行った。
ピカチュウはそれだけ言葉を返すと向かいのソファへと向かい横になる。
(……さて、これからどうすっかなぁ………)
ピカチュウは今後どうしたものかと天井をぼーっと眺めながら考えていた。
そんな考えを巡らせているうちに睡魔に襲われ眠りについた。
次回へ続く…