第1話
第1話:特異点は退屈を嫌う
俺の名前は牧桜雅(まきおうが)。私立の男子校に通う、高校三年生、十八歳だ。
自分をあえて称するなら、面倒くさがりで、ひねくれ者の日陰者、といったところか。一人称は『俺』。曲がったことが大嫌いで、筋の通らない理不尽には反射的に牙を剥く。
人付き合いは端から鬱陶しいと切り捨てているし、他人に深く踏み込まれるなどごめんだ。――いや、正確には、一度は心を開いた相手であっても、ある日突然すべてがどうでもよくなり、自分から人間関係をバッサリと切り捨てる悪癖がある。そんな不器用で、やや人間不信気味な性質のせいで、周囲からはただの「変わり者」として認識されている。
もっとも、それだけならまだ普通の「倦怠期をこじらせた高校生」で済んだ。
問題は、俺の日常の裏側に、他人には絶対に知られない『秘密』が張り付いていることだ。
視界の端、あるいは脳内の深い場所で、そいつらは常に我が物顔で存在している。
≫《オウガさん。心拍数がわずかに上昇しています。周囲の空間密度の変化に伴う防衛本能の表れと推測されますが、無駄なエネルギーの消耗は推奨しません》
脳内に直接響く、機械的で感情の薄い声。
黒い球体の姿をしたアオイだ。こいつは常に冷静沈着な情報担当として、目の前の状況や物理法則、数値的なルールを正確無比に定義してくる。その冷徹な解析圧は、時に俺の冷静さを保つ錨(いかり)にもなれば、ただの鬱陶しいノイズにもなる。
≫《ちょーっ、アオイ堅いって! せっかくの青春(?)なんだしさ、もっとこう、ドキドキしようよオウガ! ね、あーしとスリル満点のエキサイトメントを楽しんじゃお?》
間髪入れずに割り込んでくるのは、空間生成を担当する黒い扉――アイリの軽薄でテンションの高い念話だ。危機感覚が絶妙にブッ飛んだこのギャル型異形は、危険な状況すら娯楽に変換してやがる。その脳天気さは、張り詰めた空気を強制的に緩めるアクセントになっていた。
≫《……バカね、アイリ。貴女はいつも危機感という言葉をどこに置いてきているのかしら。オウガ様、お気をつけて。周囲の魔力反応、急速に高まっていますわ。……べ、別に、貴女が心配なわけではありませんけれど! その、あまり無茶な真似をなさなさると、わたくしが不本意に巻き込まれますから……っ!》
最後に、物質製造を担当する黒いスライム――ミツキが、ツンツンとしたお嬢様口調で割って入る。倫理的な警告や生存本能の肯定を代弁してくれる彼女は、ツンデレ全開で俺の行動を危惧しながらも、どこか優しさを滲ませていた。
――この三つの異形の姿や言葉は、世界でただ一人、俺・桜雅にしか認識できない。
うるさい。本当に、どいつもこいつも勝手なことばかり抜かしやがる。
(……静かにしろ。お前らの声で、思考が濁るだろ)
声に出さず、意識の底でそう吐き捨てると、黒い球、黒い扉、そして黒いスライムは、それぞれの方法で微かに気配を揺らした。
夕暮れの赤が、男子校の退屈なコンクリートの校舎を鉛色に染め上げていく。
放課後の教室には、部活帰りの喧騒が遠くの波音のように響いているだけだった。窓際の席で、俺――牧桜雅は片肘をつきながら、ぼんやりと空に浮かぶ雲を眺めていた。
(……やけに静かだな)
≫《オウガさん。周囲の空間ポテンシャルに不穏な微小変動が検知されています。半径五十メートル圏内、異質な質量座標の干渉を確認。……戦闘準備を推奨します》
頭の奥で、アオイの冷静で機械的な声が響く。感情の欠片もないそのアナウンスは、不思議と俺の頭を冷たく研ぎ澄ませてくれた。
≫《えー、まじ? 退屈すぎてあーしの爪の形が変わっちゃうとこだったんだけど! ねぇオウガ、今度の来客はどんなスリルをプレゼントしてくれるわけ? 足の骨から折っちゃう? それとも宙吊りにしちゃう?》
続いて、アイリの軽薄で浮かれた声が脳を揺らす。危機感という文字が頭の端にも存在しないそのギャル口調は、相変わらず神経を逆撫でるが、緊張感で強張りがちな俺の肩の力を強制的に抜かせてくれる。
≫《……ふん、相変わらずお気楽なことで。アイリ、貴女ねぇ……。オウガ様、冗談ではなく今回は厄介ですわ。空間の位相が歪められています。現代の物理学でいうところの――いえ、それすら超越した特異点の片鱗が観測されています。わたくしの構築する物質障壁も、どこまで耐えられるか……っ。べ、別に貴方のために心配してあげてるわけじゃありませんからね!》
ミツキのお嬢様ボイスには、しかし隠しきれない焦燥と、確かな生存本能の警戒が滲んでいた。
三つの異形――親宇宙の最奥、ブラックホールの中心に巣食う理(ことわり)の欠片が、俺の脳内で勝手にワイワイと騒ぎ立てる。
――だが、そいつらの言う「異常」は、俺の視覚にもすでに捉えられていた。
教室のドアが、音もなく開いた。
いや、「開いた」のではない。
そこにあったはずの木製の扉と、周囲の空間そのものが、まるで熱した飴細工のようにぐにゃりと歪み、消失したのだ。
「――おや」
そこに立っていたのは、見覚えのない男だった。
黒いローブを纏い、両手には見たこともない奇怪な文様の刻まれた金属製のリングをはめている。男が空間の境界を跨いだ瞬間、床のコンクリートが彼の足元を中心に、蜘蛛の巣状ではなく、まるで重力の底に引きずり込まれるように丸く、深く、豆腐のように陥没した。
「ここが、噂に聞いた『歪みを宿す者』の居場所か」
男が低く呟くだけで、周囲の空気が一気に重くなった。
肺の空気が強制的に押し出され、胸の上に数百キロの鉄板が乗せられたような圧迫感が襲う。音波が重力波に押し潰され、教室の窓ガラスが「ギチギチ」と嫌な悲鳴を上げてヒビ割れていく。
≫《主の心拍数、一瞬で一分間に百二十を突破。重力加速度の局所的増幅を確認――推定荷重、通常時の四・五倍。……オウガさん、対処を》
アオイの冷徹な解析が脳内で数字を弾き出す。
≫《うわっ、重っ! なになに、あのおっさん、あーしたちのテリトリーで勝手にイキっちゃってない? ねぇオウガ、やっちゃいなよ! 空間ごとぺちゃんこにしちゃえばスッキリするって!》
アイリがけたたましく煽り立てる。
≫《オウガ様、お気をつけて! 彼の周囲、光の屈折率が異常です……! 重力レンズ効果で、距離感が完全に狂わされていますわ!》
ミツキの警告が響く中、俺はゆっくりと席から立ち上がった。
面倒くさい。本当に、心の底から面倒くさい。
今日こそは文庫本でも読みながら静かに帰るつもりだったのに、なんでこう、筋の通らない連中は勝手に踏み込んじまうんだ。
「お前さ」
俺は低い声で呟き、鬱陶しそうに前髪をかき上げた。
「人の教室に入ってくるとき、ノックもできないのかよ。――それとも、物理の基本からもう一回、その脳みそに叩き込まれたいのか?」
男が薄笑いを浮かべ、指を鳴らす。
その瞬間、俺の足元の空間が縦に引き伸ばされ、世界が歪んだ。
――突如として視界の色彩が消失した。
いや、消えたのではない。極限まで高められた重力場が、直進するはずの光を曲げ(重力レンズ効果)、可視光の波長すらも引き延ばして赤方偏移の彼方へと呑み込んだのだ。現代の物理学がいまだ解き明かせず、あと二百年はかかると言われる「特異点」の領域が、目の前で剥き出しになっていた。
≫《警告。局所的時空特異点の発生を確認。観測機器、全チャンネルでエラー発散。……オウガさん、ここは重力の地平のフロンティアです。通常の因果律が通用しません》
アオイの冷静で機械的なアナウンスが、圧倒的な非現実を冷徹な数値へと置き換えていく。
≫《うっわ、やっば! 空間がビヨリって伸びちゃって、あーしの足の長さが三メートルくらいになりそうなんですけど! オウガ、これもう宇宙遊泳じゃん! 楽しすぎでしょ!》
アイリの能天気な絶叫が響く。彼女にとって、事象の地平面の瀬戸際ですらただの遊園地のアトラクションらしい。
≫《バカねアイリ! 楽しがっている場合ですか! 空間の伸縮率が限界値を超えていますわ! オウガ様、今すぐその場から――っ! べ、別に貴女……いえ、貴方が心配で言っているわけではありませんからね!》
ミツキのツンとした悲鳴が頭を引っ叩くように響く。三つの異形がそれぞれのポジションから俺の脳内を引っ掻き回す中、俺――牧桜雅の胸には、ただ冷ややかな怒りだけが満ちていていた。
(……勝手に空間を歪めやがって。人のテリトリーで、よくもまあ調子に乗ってくれたな)
筋の通らない暴力。理由なき理不尽。
そういう曲がったことが、俺は何よりも大嫌いだった。
俺は歪んだ空間の中で、地表を強く蹴り飛ばした。
直後、俺の足元を起点として、世界が音を失った。
いや、音が消えたのではない。俺を中心に発生した猛烈な重力波が、音波を伝えるための大気ごと、時間と空間の連続性を激しく引き裂いたのだ。
「――物理の基本を教えてやるよ」
俺の低い呟きとともに、世界が反転した。
男が操るはずの重力場が、俺の意志に――正確には、俺の背後に巣食う三つの異形が司る「世界の理の書き換え」に屈し、逆に男へと牙を剥く。
「なっ……!?」
男の表情が驚愕に染まる。
彼が展開していたはずの圧倒的な重圧は、質量を無視した重力波の逆流によって、文字通り彼の肉体へと跳ね返った。
押し潰されるのではない。重力のベクトルが狂い、男の肉体が部位ごとに縦へと引き延ばされていく。まるで宇宙のブラックホールに落ちるスパゲッティ化現象の縮図が、教室という狭い空間に再現された。
≫《主の出力安定。空間の復元力による衝撃波、全方位へ拡散。……効率的な物理法則の書き換えを確認しました》
アオイが淡々と結論を告げる。
≫《ひゅー! やるじゃんオウガ! 今の、完全に宇宙の歴史の1ページに刻まれちゃった系のやつじゃん!》
アイリがパチパチと拍手するような軽い念話を飛ばす。
≫《ふん……ま、まあ、オウガ様にしては上出来ですわね。……って、あまり無茶な使い方はしないでくださいまし! わたくしの構築する物質障壁まで軋んでいるじゃありませんの!》
ミツキのあきれ混じりの声を聞きながら、俺はぐにゃりと歪んだ空間の中にぽつんと取り残されたローブの男を見下ろした。
男は血を流す間もなく、ただ空間の伸縮に引き絞られ、音もなくその存在の輪郭を曖昧にさせていく。
「……ふん。面倒くせえ」
俺は鬱陶しそうに頭をかき、乱れた制服の裾を整えた。
夕暮れの赤はいつの間にか深まり、教室の外は漆黒の闇に包まれつつあった。ここがどこなのか、アオイの言う「異世界」へどうやって飛ばされたのか、考えるだけで頭が痛くなる。
≫《オウガさん。前方に新たな質量座標の反応。……どうやら、私たちの「お客様」は一人ではないようです》
アオイの冷徹な声が、再び戦闘への移行を告げた。
俺は小さく舌打ちを一つし、面倒くさい日常の続きへと立ち向かおうとした。
「やっぴぃ! どうも随分な歓迎でねぇが、おらは一応結構偉え神様なんだげどさ。少しは話聞いでけねがな?」
目の前の歪んだ空間からひょっこりと姿を現したのは、黒いローブを纏いながらも、どこか軽薄で気の抜けた雰囲気を漂わせる男だった。
牧桜雅の前に突如現れた、仙台弁を話す軽薄な神様。その不敵で捉えどころのない笑みに、周囲の歪んだ空間がさらに軋み声を上げる。
「おら、ここの管理さ任されてる神さまだげどさ……おめだち、勝手に暴れすぎでねぇか?」
神が片手を軽く振ると、先ほどまで空間を引き裂いていた重力波がまるで嘘のように霧散し、静けさが戻ってきた。しかし、その圧倒的な存在感は、先ほどまでの敵とは比べ物にならない。
≫《主の心拍数、一時的に急上昇。……警告。対象からの質量座標のエネルギー反応、これまでの個体とは次元が異なります。戦闘継続は非推奨》
アオイの冷静なアナウンスが、脳内で警告音を鳴らし続ける。
≫《うっわ、出てきたよおっさん! なんか急にローカル感出してきてるけど、気の抜けた顔してやばいオーラ出してるじゃん! ねぇオウガ、やっちゃっていい?》
アイリが不敵に笑いながら、新たな空間生成の準備を始める。
≫《馬鹿ね、アイリ! 相手が神の位にある者だとしても、オウガ様が負けるわけ……っ! でも、確かにこの圧迫感……気をつけてくださいまし、オウガ様!》
ミツキがツンデレの仮面の下に隠しきれない危機感を滲ませ、物質障壁を二重に展開した。
三つの異形がそれぞれのポジションから騒ぎ立てる中、桜雅は鬱陶しそうに舌打ちをし、神を睨み据えた。
「神様ねえ……。勝手に人の日常をぶち壊して、よくそんな軽口が叩けるな。筋の通らねえ理不尽を押し付けてくるなら、相手が誰だろうと容赦しねえよ」
桜雅が姿勢を低く構えた瞬間、親宇宙のブラックホールの中心から流れ込む理の欠片が、彼の肉体と同期して咆哮を上げた――。
冷ややかな沈黙を切り裂いたのは、物理法則を完全に無視した一撃だった。
「おら、話を聞いてけ――って、ぐふっ!?」
軽薄な笑みを貼り付けたままの神の顔面に対し、桜雅は一切の躊躇なく跳び蹴りを放った。ただの蹴りではない。アオイが計算し尽くした局所的重力制御と、ミツキが硬度を限界まで高めた物質的補強、そしてアイリが歪ませた空間の最短経路を組み合わせた、文字通り「理不尽への鉄槌」である。
神の無防備な下唇に見事に捉えられたのは、桜雅の剥き出しの足指だった。
「ひぎゃっ!? いてぇっ、なっ、おまっ、口元っ!? そこ!?」
≫《主の足指による接触圧、対象の表皮組織の弾性限界を突破。綺麗に挟まりましたね。流石の神格も粘膜の痛覚には抗えないようです》
アオイが淡々と、まるで他人の怪我を診るかのような冷静さで分析を口にする。
≫《ちょーっ! 神様の下唇に足指フックとかセンス良すぎでしょオウガ! 見て見て、あの余裕ぶっこいてたおっさんの顔、完全に涙目なんですけど! 写真撮っとけばよかったー!》
アイリが腹を抱えて転げ回るようなテンションで脳内を跳ね回る。
≫《ば、馬鹿ねアイリ! 相手は一応、この世界を統べる神……って、うそ、本当に土下座の体勢に入ってるわよ!? オウガ様、ちょっとやりすぎですわ……っ!》
ミツキの慌てた声の通り、下唇を足指でガッチリとホールドされた神は、物理的な衝撃と想像を絶するシュールな痛みに耐えきれず、ガクンと膝をついた。
「ま、待て待て待て! 痛い! 唇が千切れる! いてぇから! ちょっと外しで、おら悪がった! 許してけろ!」
神とは思えない情けない悲鳴を上げながら、神は桜雅の足を挟んだまま、床に綺麗に額を擦り付ける。完璧なまでの土下座の姿勢だった。
流れるようなその保身の早さは、さすが「責任感がない・流行に流される」という属性を極めたクソ神の面目躍如といったところか。
「……で、話ってのは何だ」
桜雅は足指を挟んだまま、まるでゴミを見るような冷ややかな目で足元の神を見下ろした。足が抜けないのではなく、あえて抜かずに威圧感を維持しているのだ。
「い、異世界さ行ぐべ!」
神は下唇をビクビクと痙攣させながら、涙目で叫んだ。
「おめだち、さっきから勝手に暴れて空間の歪み広げっペガタラ、このままだとこの宇宙(ここ)のパンドラの箱がパカーンして全部消滅すんだわ! だげすけ、別の更地――おめだちの言う『異世界』さ、強制的に引っ越してもらうしかねぇの!」
「は? 勝手にこっちの日常をぶち壊しておいて、今度は強制送還かよ。どこまで筋が通らねえんだ、このクソ親父」
「おらが決めたごどじゃねぇ! 宇宙の天理だ! だげすけ、異世界さ行ぐのだけは……その、免れねぇんだわ……! 頼むからその足指、そろそろ外してけろ、唇の感覚がなくなってきた!」
神の必死の訴えを聞きながら、桜雅はふっと息を吐き出した。
確かに、このままここに居続けても、次から次へと面倒くさい連中が湧いて出るだけかもしれない。それに――。
(まあ、ここで腐っていても仕方ねえか)
桜雅がそんな思いを巡らせていると、脳内で三つの異形がそれぞれの主張を始めた。
≫《主。客観的な状況証拠から推測するに、現地球への残留は確率的に低いです。ただし、新天地におけるアオイの管理権限とアイテムボックスと異空間の拡張が保証されるのであれば、移住のメリットは十分にあります》
≫《え、異世界!? マジで!? やったぁーっ! チート能力で無双する系のやつじゃん! ねぇオウガ、絶対あーしの空間生成使って無茶苦茶暴れようね! 楽しそう!》
≫《……ふん。異世界転移なんて、いかにも低俗なライトノベルみたいですけれど……。でも、オウガ様が野垂れ死にするのを見るのは不本意ですし、わたくしの物質製造能力で、せいぜい快適な環境を用意してあげてもよくってよ? べ、別に心配してるわけじゃないんだからね!》
三者三様の勝手な言い分を聞きながら、桜雅はふっと冷笑を浮かべた。
面倒くさいことには変わりない。だが、このどうしようもない異形どもと一緒に新しい場所へ行くのも、案外悪くないかもしれない。そう思えたのは、彼のひねくれた性格のなせる業か、それとも必然的な偶然か――。
「……わかったよ」
桜雅はふっと鼻を鳴らし、神の下唇からそっと足指を抜いた。
「異世界に行ってやる。だが、行って気に入らなければ真っ直ぐその首を刎ねてやる」
「ひっ……! 鬼だ、この高校生、鬼だぁ……!」
神が情けなく涙を拭うのを尻目に、桜雅はポケットに手を突っ込み、ぐにゃりと歪み始めた空間の中心へと歩み出す。
黒い球、黒い扉、そして黒いスライムが、それぞれの光を不気味に、だが確かな意思を持って明滅させた。
高校三年生の退屈な日常は終わりを告げ、彼らは今、宇宙の理を背負ったまま、未知なる異世界へと向かう。