2050年の魔法使いは空飛ぶスマホくらい普通に使いこなすし、スタグレがわりにぶちかますけど、今日から俺が幼女の中の人!!みたいなガチ奇跡には、どうしてこうなったし!?って意外と振り回されっ放しです⭐️ 作:一本子持ち縞の夏黄八
窓ガラスの向こうで、獣じみた琥珀金の両目を大きく見開いている幼女姿の「自分」に、妙にドキドキしているのを自覚しながら、俺は思った。
⋯⋯
俺の名前は、
高校二年の⋯⋯十七歳。
別に「秘密」ってわけじゃない、代々続く魔法使いの家の生まれ。
もちろん俺自身も魔法使い。
今日は確か⋯⋯、自宅からほど近い都内のホテルでレセプションがあったんだった。
だから俺は、朝から会場入りしていて、警備に駆り出された。
間違えねえ。
しかも、しかもだ。
ここにいる理由はともかくとして、自己認識には何一つ問題がなさそう。
胸の
「男子高校生が、見た目外国人な小学生くらいの女の子って、ありえなさすぎだっての。夢でも見てるのか、俺?」
みっとも無くへたり込んだ姿勢のまま、更に呟き、頬をぎゅうっと抓ってみる。
しっかり痛い。
やっぱり夢ではなさそう。⋯⋯そうだ。思いだした。
あの時、
⋯⋯魔法使いが自分の魔法を疑うとか、ナンセンスにもほどがあるけど、仕方ないだろ。
心のなかで、誰にでもなくそう
往生際悪く信じたくない一心で、うう、と唸る。
あんな甘い練りで
きちんと修練して先生と母さんの許しを得るまで、使うなって言ってたのが、こういう
レセプション会場にいるはずの二人の顔を思い浮かべ、胸の中でクレームを入れるが、なんの慰めになるワケでもない。
大体、あの場を収めるために、魔法を使ったのは俺自身だ。
魔法使いなら、自分の魔法の責任は自分で持つしかねえ。
ガキのころから何十遍も聞かされた先生の口癖。
そいつを心に思い浮かべ、唇を引き結ぶと、俺は居住まいを正す。
俺ら、
親戚中を探しても、母さんと俺の二人くらいしか使い手がいない――母さんについては、正確には「元・使い手」だけど――やたらに古めかしい「
ただし。
金銀財宝でも宝石でも作り放題な、スゲー秘術にも聞こえるこの力には一つだけ落とし穴がある。
『魔法側で忖度しすぎてくれる』、のだ。
それゆえに、望んだ結果を得るためには、使い手の側が細部まで面倒をみるのが必須という、至極メンドクサイ性質を持っていて⋯⋯、
しかも。
ありがたいことに、発動させるだけなら超・簡・単。
俺みたいに「顕し」の魔法を生まれ持って来てさえいれば、願いの中身にもよるけど、ほんのわずかな魔力消費でも発動しやがるときたもんだ。
――まあ、さっきの俺は、加減してる暇もなかったから、リスク覚悟で全力を込めちまったけどな!
『魔法っていうか、あんなの呪いよ、呪い! 本家の爺様方に倒れられたりでもしたら最悪に面倒だし、
腰に手をあて、本当に
なんてこったいと、自嘲気味にそいつを思い出した俺は、心の中で詫びの言葉と言い訳を告げる。
ごめん母さん。
でも、仕方なかったんだ。
だって、今晩のレセプションとスピーチ、それから調印式ってさ。
それに、今夜のレセプションは俺たちみたいな、成年を控えた魔法使いたちのデビュタントも兼ねているって、小鳥がやたらに張り切ってたし――じゃなくて!
先生か母さんに連絡しないと。
幼馴染の姿と、先生に預けてしまった彼女への言伝のせいで、熱を帯びかけた頰。
そいつをパシンと軽く張った俺は、
とにかく今はスマホ!
思い直し、見知らぬこの身体へと視線を向けることにした。