2050年の魔法使いは空飛ぶスマホくらい普通に使いこなすし、スタグレがわりにぶちかますけど、今日から俺が幼女の中の人!!みたいなガチ奇跡には、どうしてこうなったし!?って意外と振り回されっ放しです⭐️ 作:一本子持ち縞の夏黄八
「師匠に隠し事なんて、ずいぶん悪いお弟子さんだね。宮代さんってさ?」
緑に隠れて見えにくい水たまりを注意深く避けているつもりだったのに、すぐに水浸しになってしまった靴の心地悪さ。
堪らず足を止めた俺は、先を行く
「師匠の前では一応いい弟子だから言うなってば。ていうかさ、お前、宮代の人間だよな。ほら、これ見てみ?」
そんなすぐさまの軽口とともに、彼が右手を突き出して、俺の眼前へと寄越してきたのは、随分使い込まれた赤いスマホだった。
画面には、カラフルな色使いで、
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あなたの主要な魔法のタイプ:『読み』
五感を拡張できる日本人に比較的多く見られる
タイプの魔法⭐️
あなたの主要でない魔法のタイプも詳しく判定
したい場合は、こちらをタップ!
(料金がかかります)
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と表示されている。
動いているのを見るのは初めてだが、この画面なら知っている。
世界史の教科書に載せられた、『あなまほ』の
何度か前の改訂で世界史の教科書の末尾に追加された、二〇二〇年代前半の三つの大きなトピックといえば「新型コロナウイルス」、「ウクライナとガザでの二つの大惨禍」、それから俺たち《魔法使い》が世界中に認知されたことだ。
この三つ目のトピックをもたらしたのは、「あなたも魔法使い!?」――通称「あなまほ」――なるふざけた名前に反して、本当に魔法使いの素養を測ることができるスマートフォン用アプリの登場だった。
当初は魔法使い自身にさえ、
日本で言えば、二〇三〇年当時の調査で人口の
魔法使いたちにしたって、家門の外にも効率的に素質のある者を見いだせるようになったことと、魔法を神秘のベールの奥に隠す理由が消失したことで、家勢を拡大する家が相次いだ。
宮代家もご多分に漏れず、というよりもこの国の魔法使いの家門としては、他家の追随を許さないほどの
――というのが、大人たちが酒の肴に語りたがる我が家のおなじみの
ただ一つ、明白なことといえば、「あなまほ」の登場前夜まで、魔法は人類が持つ五感では感じ取れないものだったってことだ。
無論、それは俺たち魔法使いにだって、例外ではなかったらしい。
らしい、というのは俺が物心つく頃には魔法はアプリを使えば誰でも観測可能なものだったから、いまいち実感が湧きにくいせいだけど。
まあとにかく、俺にしてみればひたすらレトロなその画面から目を上げ、どうだと言わんばかりの顔をした宮代少年に、俺は返してやった。
「あなまほのリザルト画面? でも、この測定時刻だと、私のじゃなくて宮代さんのじゃあ――あ」
「へえ、ボクがあんたと同じ『明かし』って何で知ってるわけ? 魔法使いとも名乗ってないのに」
しまったと思って口を覆った時には、すでに遅しだ。それでも俺は往生際悪く、フォローを試みる。
「だって、レベッカ嬢についてこともなげに魔法使いだなんて言ったじゃないですか。だから宮代さんも、魔法使いなんだろうなと思っただけですよ。日本人には『読み』の魔法使いが多いから、宮代さんもきっとそうなんだろうな〜って」
「なかなか食い下がるね、おチビさん。まあいいや、師匠の電話が終わりそうだから、
そう言って、彼の左手が学ランの尻ポケットから取り出したのはつるりとした質感の銀色の端末だった。
「俺のスマホ――! って、おい! まさか勝手に中見たんじゃあ!?」
「もちろん
「チゲーし! 開発サンプル兼ねてるから、
思い切り飛びかかり、左手のスマホを
あなまほアプリを改良・発展させた種々のアプリ群とそれらを稼働させる高機能の演算装置、やや専門めいた言い方をすれば、
そういやレベッカ嬢の魔力って「読み」じゃなかったんだ。
あ、やべえ。
それにほんの少しだけ遅れて、小さな音を立てて滑り落ちた鋏が、芝生の中に五つの小さな水しぶきを上げる。
弟子と庭に出た
「なあ、思んだけどさ」
「皆まで言うなって。わかってるだろうけど、言い訳は任せた!」
デスヨネー!