もし命が廻っているのなら、こういう一幕があっても良いなあ、って
夢と希望に満ち溢れた、人間の世界へようこそ。
貴方のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?
...はい、ありがとうございます。とても素晴らしい名前ですね。
早速ですが、この世界の説明に入らせていただきます。
この世界は、何十億もの人間とそれ以上の数の動物たち、そして雄大な自然が存在している、貴方からしたら何の変哲も無い世界です。貴方がいないということを除けば。
貴方は今から、この世界で暮らしてもらうこととなります。
ええ、ええ。貴方の不安も分かります。いきなり知らない世界に何の命綱も無く放り出されるというのは、怖いものですから。
なので1つだけ、こちらからプレゼントを。貴方の人生がどうなるか、大まかな方向を決める権利をあげましょう。
選択肢は3つあります。1つはやる事成すこと全てが上手く行く、夢のような人生。1つは大きな偉業も取り返しのつかない失敗も無い、ありふれていながら幸せな、緩やかな人生。
そしてもう1つは、一寸先も見えない真っ暗闇を進むような、辛く苦しい人生です。
さあ、この3つの人生から、お好きなものを1つ選んでください。
どれを選ぶのも、貴方の自由です。ただし、1度選べば、2度と選択を変えることは出来ません。ゆっくり、しっかりとお考えください。
大丈夫です。どのような人生を辿ろうと、貴方は満足して死ねます。それは保証しますよ。
...何です?選んだ先は此方の勝手で、私には先は見えないでしょう、と?
ええ、正解です。貴方の人生は貴方のものですのでね、私には貴方の未来なんて見えません。
ですが、それは問題じゃないんです。例えここにいるのが貴方ではなく他の誰かでも、私は同じことを言うでしょう。
何故かって?初歩的なことです。それが人間という生き物だからですよ。
人は自分が満足するまで、決して足を止めようとしない。妥協というのは自分からハードルを下げただけで、本質的には満足することと何ら変わらないんですよ。
それは誰でも変わりありません。それがどんな立場の誰だとしても、その人は満足するために、足を止めず、生き続けるでしょう。
それに、知っていますか?とある人が言っていたのですが、人は死ぬために生きている、らしいですよ?
なればこそ、人生の殆どに意味は無く、意味があるのは死ぬ時だけです。人の真価は生き様ではなく、死に様にこそ現れるんですよ。
ん?なら自分にどれかの人生を選ばせる必要はないんじゃないか、って?
ええ、正解です。どれを選んでも、貴方は満足して死ねる。その気づきこそ、私から貴方へのプレゼントです。気に入ったでしょうか?
まあ、生き様が全くの無意味って訳でもありませんよ?だって満足出来るような生き様を送ったからこその死に様ですのでね。それは、貴方も理解してるでしょう?
...話が長くなりましたね。そろそろ、どの人生を選ぶかお決めになった頃合いでしょうか?
...お決めになりましたか。それでは、問いましょう。貴方は、どの人生を選ぶのでしょうか?勿論ですが、全部なんて選択肢はありませんよ?人は、1つの現実しか持てませんのでね。
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...ええ。ええ、そうでしょう!貴方なら、それを選ぶと思ってました。
それでは、此方の扉をおくぐりください。これをくぐったその瞬間から、貴方の次の人生が始まります。お忘れ物無きよう、お気をつけください。
心配でも大丈夫です。慰めになるかどうかは分かりませんが、私がこの場から、貴方の人生を見守り続けてあげます。それが、ここから貴方達を送り出す、私の義務ですので。
では、良き人生を、お送りください。またのご利用を、心よりお待ちしております。