もう一つの方も含めてよろしくお願いします。
いきなりだが、例えばの話をしようか
たとえば、朝起きたら知らない天井が目の前にあったらどうする?
混乱してしまって、まともな思考なんか出来やしないだろう。俺ならっていう話だが
たとえば、横断歩道を歩いていたら、トレーラーが突っ込んできたらどうする?
俺なら、まずビビって動けないだろうな
急にこんな話をしてしまって悪いな
さて、では
たとえば
ドラゴンとしか言えないような
10階建てのビル程の高さはあろうかという
しかも、普通に、街中に
結論
ビビる
動けない
混乱
もう何が言いたいかわかるよな
俺の目の前には、そんな奴がいる
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫びながら逃げ惑う人々
前述した通り、ここは街中だ。しかも、けっこうな都会である。人が行き交うような場所である。
俺か?
もちろん未だに混乱中だ。声すら上がらない
奴は急に現れた。空から急に
それを理解しろって言われても、俺には無理な話だ
奴が動き出した。逃げる人々に目を向けたかと思うと、口から炎を吐き出した。ファンタジーの世界みたいだな、リアルでの出来事だが
炎は凄まじい勢いで人々を襲い、逃げきれなかった者は炎の餌食となっていく
人の焼けた匂いが鼻に付く
さらに奴は、大きな尻尾や手足を振るい、建物を破壊する。崩れゆく建物の下敷きになっていく人々
焼かれていく人々
下敷きになり、潰れていく人々
まるで地獄のような光景を
俺は呆然と眺めていた
そして、ついに奴が俺を見た
微笑んだような気がした
おもちゃを見つけた子供のように
獲物を見つけた狩人のように
圧倒的な威圧感
逃げられない
逃げられるわけがない
奴は俺に近づく。一歩一歩。動きは遅いが、確かに自分に近づいていた
大きな足音は、まるで俺への鎮魂歌のように聞こえた
ついに目の前まで来た
俺は奴の目から目が離せない
動けない
大きな口をあけて近づいてくる
笑いがこみ上げてくる
人は本当に恐怖すると笑うってあったが
あれって本当だったんだな
いい勉強になった
もうおしまいだがな
死ぬことを意識した
目を閉じる
聞こえる金属音
いつまでたっても来ない感触
目を開き見ると、奴は眉間に大きな切り傷を負い、血を流していた
そして、俺の前に立つ何者か
「大丈夫ですか?」
その人はこちらに振り向いてそう言った
顔を見て息を呑んだ
胸が高鳴る
奴を切り裂いたと思われる人は
確かな美貌を持つ少女であった
彼女は整った顔立ちであり
綺麗なロングの黒髪
身長は160cmくらいだろうか
ラノベなら間違いなくヒロインだな
格好はSAOのアスナのような服装をしていた
しかし、持っている武器はレイピアではなく剣
「危ないから避難して!」
言われて俺は今の状況を思い出した
彼女の剣についている血を見ると、やはり彼女が奴に切り込んだようだ
ここは彼女に任せる方が良いと判断した
というより、自分にできることなんてなかった
二つ返事で了解し、その場を離れようとしたが、奴が炎を吐き出し俺の行く手を遮った。どうやら俺を逃がすつもりはないらしい
熱っついな、こんちきしょー
「……仕方ないか、出来るだけ早く終わらせるから、自分で身を守って」
これまた二つ返事で了解。弱いな俺
彼女は、奴に向き直るといきなり姿を消した、と思うと、奴がうめき声をあげた。いつの間にか彼女が奴の後ろにいる
え、なに、いま何したん?
すぐさま姿を消す彼女。現れては消える攻撃(だよな?)を繰り返す度に、奴はうめき声をあげる。姿は見えないが、確かに奴に傷が刻まれていく
奴も負けじと炎を吐き散らす。しかし、彼女は背中に飛び移り躱し、そのまま背中に剣を突き立てた
て、うおっ!
炎がこっち来た!
俺はあたりにある建物の残骸の陰に隠れ、なんとかやり過ごす
あっぶねー、てか軽く服が焦げてるんだが
ズシーンと音がした。見れば奴が地に伏していた。あっけないな、いや、彼女が強いのか
と、奴の体が発光し始めた。なんだ、あれか、最後の爆発とかいうやつか。ヤバイな、こっちまで来ないだろうな
しかし、爆発などはせず、奴から玉のような物が四散していた。なんていうか、ゲームで死んだあとにポワーンてなるような物が。そして本体は薄れていき、そのまま消えていった
終わったのか、と意識すると疲れがどっと出てくる。アドレナリンって凄いな
彼女がこちらに歩み寄って来た。
「ええと、大丈夫だった?」
と聞いてきたので
「だ、大丈夫だ、問題ない」
咄嗟にそんなことを言ってしまった
いや、大丈夫じゃないけど。擦り傷とか火傷とかめっちゃしてるけど。なに言ってんの俺
「フルメタ?私も好きなんだ」
知ってんのかよ。しかも、イーノックじゃなくてフルメタを選ぶあたり、お友達になれそうだな。それとも知らないだけか。
「まぁ大丈夫だよ、たいした傷もないし」
よかったと安堵する彼女。その姿に思わずドキッとしてしまう
「じゃあ、もう行かないと」
と言って、彼女は立ち去ろうとする。お、おい。
「ちょっと待ってくれ!」
彼女を引き止める。どうしても聞いておきたいことがある
「君は何者なんだ?」
簡単なセリフになってしまったが、これしか言い様がない。
急に俺の前に現れたことといい、消えるような速さをもったり、奴のことも知っているような感じだった。これを普通の人と捉えるには無理がありすぎる。だからこそ聞いておきたかった。
「平和を守るヒーローってところさ」
声は俺の後ろから聞こえた。見ると、如何にも将軍と言う容貌の、ヒゲをはやした厳つい顔の男性がいた。でかい、2mはあるな。鎧を纏うその姿は、歴戦の勇士というに相応しかった
「今みたいに、一般には知られていない生命体から、お前たちを守る。それが俺たちの役割だ」
ヒーロー、HERO、そういえばフランス語ってHを発音しないらしいね。どうでもいいね。
その言葉は確かに自分の胸を打った。ヒーローか。確かに俺らを救ったその姿はヒーローそのものだった。
憧れるに決まってんだろ
「俺も、ヒーローになれるか?」
男に問う。守られるばかりはゴメンだ。だったら俺は守る側になる。将軍はニヤリと笑った。
「それはお前しだいだ」
ですよね。知ってたよ、わかってた。そりゃそうだ、絶対なれるとか言ったところで、本人が何もしなければなれる訳が無い。なら、頑張ってみるさ
「俺も連れていってくれ」
「いいだろう」
早いな、もう少し考えるかと思ったのに。いいのかそれで。
「目を見ればわかるさ。いい目をしている。決意に染まったいい目だ」
決意か、そうだな、これは決意。決まった意思じゃない、俺が、俺自身が決めた意思だ
「では行くか」
男が声をかける。俺は彼女と目を合わせる。彼女は優しく微笑み、頷いた。
これからどうなるかはわからないが、目指すものは決まった。ヒーロー、いいじゃないかヒーロー。なってやろうじゃないか
そう、俺の物語は始まったばかりだ
別に終わらんよ?
完とかじゃないからな?
とりあえず一旦ここで区切ります。
プロローグということで大事に書かせていただきました。
いやぁ、緊張しますね(笑)
書き方がくどいと思われるかもしれませんが
自分としてはこの方がいいと思ったので
この形にしました。
感想などがあれば、よろしくお願いします。