エンシェンは教会内で福音書を読んでいた。福音書には女神エロスの生涯が綴られていて、波乱万丈な日々が面白おかしく語られている。十二使徒たちとの出会い、彼らとの壮大な冒険、そして大勢の我が子に
「あの、司祭様。少しよろしいですか?」
「どうしましたか、迷えるエロスの子よ」
声をかけられた方向へ顔を向けると、そこにはゴブリンの血を引くエロスの子がいた。リトラ村の住人だ。
「少し、相談に乗って欲しいことがあるんです」
「ええ、乗りましょう」
エンシェンが快く引き受ければ、村人は安堵の息をついた。こうして、村人たちの悩みに寄り添うことも司祭の仕事の一つだ。今回は気になっている異性がいるが、中々に勇気が出せないというもの。エンシェンは少しずつ好意を見せて相手に気づかせればいい、それで反応が芳しくない場合は一度立ち止まって作戦を練った方がいい、と現実的な
「自分の都合ばかりを考えてはいけません。相手の気持ちを思いやるのです。しかし、臆してはいけません。時には大きな一歩を踏み出す勇気が必要です。貴方に今必要なのは、自分自身を信じる心でしょう。胸を張って生きなさい。それが貴方の為になります」
「ありがとうございます……! 司祭様!」
顔を綻ばせた村人がいても立ってもいられない様子で教会を飛び出していった。エンシェンは彼の行く末が良くなるように、胸元で逆十字を切り、祈った。
「女神エロスよ。彼の者に加護を与え給え──ザーメン」
しばらくして、外で草むしりをしていたエンシェンにオークの血を引くエロスの子がやってきた。彼女もまた迷えるエロスの子だった。
「司祭様、お願いがあるのです。その、私と
「
「私の夫が最近身体を痛めてしまって、ずっと交わっていないのです。周りの者を頼ることもできましたが、私は夫を一心に愛しているのでそれには踏み切れず……ですが、私自身も心労が祟ってきてしまって、心身の調子が悪いのです。司祭様、どうか私を慰めていただけませんか?」
「そういうことでしたら構いませんよ。今まで辛かったでしょう。どうぞこちらへ」
教会には必ず
部屋には簡素なベッドが一つだけある。つまりはそういうことだ。
エンシェンは司祭服を脱ぎ、互いに全裸となった村人と一緒にベッドへ入った。そして股を開いた彼女に覆いかぶさるのだが……重要なことを忘れていた。
「申し訳ございません、私は『奇跡』を唱えられるので、夫の問題を解決できるかも知れない」
「そうなんですか。でも──」
ほんのりと頬を染めた村人が、エンシェンの首元に腕を回してきた。
「私はもう限界なんです。司祭様、どうかお情けを……」
「貴方がそれを望むなら、答えましょう。ですが、今度夫を連れてきてくれませんか? 貴方方夫婦の抱える問題を解決できると思います」
「ありがとうございます、司祭様」
可能な限り心身を鎮めるために、エンシェンは彼女の望むことを全て叶えた。ただ、徐々に過激になっていく内容に、夫が身体を痛めた理由が分かったような気がした。
『奇跡』とは、エロス教の聖職者に与えられる女神エロスの力だ。序列が上がるほどに『奇跡』は強力になっていく。エンシェンは教皇、枢機卿、大司教、司教、司祭、助祭の中では下から数えて二番目だ。なのであまり多くの『奇跡』は唱えられなかった。
「シスター・ミノトール、『奇跡』を唱えますよ──〈
しかし、『奇跡』は一つ唱えられるだけでも有用だ。今エンシェンが行っているのは、よく肩の凝りを気にしているミノトールを『奇跡』で癒やす試みで、どうやら上手くいったようだった。ミノトールが微笑みをたたえて喜びを顕にする。
「あら、凄い! 肩が羽のように軽くなりました!」
「それはよかった。ただ、『奇跡』は一日に数回しか唱えられない。それが悔しいですね……」
「そう卑下しないでください。一回でも唱えられることが凄いのです。司祭様、本当にありがとうございます」
ミノトールの大きな胸に頭を沈められたエンシェンは、彼女の優しさに感謝をして離れようとした。しかし、頭と背中に回された腕が万力の如き力で固定されていて、全く離れられなかった。
「シスター・ミノトール、そろそろ昼食の時間ですよ」
「……はあ、残念です。お礼に司祭様を可愛がりたがったのに」
「またの機会でお願いします」
名残惜しそうにエンシェンの股間を愛撫するミノトールは、
⸸
午後についても迷えるエロスの子らの相談に乗っていたエンシェンは、時間に追われない生活を満喫していた。特段忙しい訳でもなく、のんびりと過ごせる。これぞ夢見た理想の人生。エンシェンは心地良い気分に浸りながら、教会の入口前でそよ風に吹かれていた。
「司祭様、暇そうだね~!」
「シスター・ラビワビ、股から垂れてますよ」
「おっと」
土道を歩いてきたラビワビが内太ももから垂れてきていた白濁を手で掬い、口に運んだ。そしてにっこりと笑う。
「司祭様、キスしよ♡」
「嫌ですけど」
「あ~ん、ひど~い!」
ミニ丈のシスター服で雑に手を拭いたラビワビが、エンシェンに抱き着いてくる。そのまま胸元に頬ずりをしてきては、エンシェンの首に熱烈なキスを落としてきた。
「ねえねえ司祭様、今日も沢山〝お悩み相談〟してきたよ~!」
「ご苦労様です。と言いたいところですが……私に『夫の反応が悪い』と多くの相談が来ています。シスター・ラビワビ、少し自重してください」
「あらま。でもごめんね、これにはワケがあるのさ……!」
エンシェンの首に腕を絡めるラビワビが、目を細めて高らかに宣言した。
「司祭様、
「あれは貴方が油断していただけでは……? 私は事前に忠告しましたが」
「うるさい! さあ、今すぐ
しつこく迫ってきて、こちらの拒否権を徹底的に潰してくるラビワビ。エンシェンは受け入れた方が色々と楽だろうと判断して、ラビワビを慰撫室へ案内した。
今回は全裸にならないようだ。ラビワビはシスター服のまま、ベッドに腰掛けるエンシェンに跨ってきた。なお、ラビワビはノーパン主義者なので、普段からパンツを履いていない。ラビワビ曰く、効率が違うとのことだ。
「今回はかなり激しめでいくよ!」
「そうですか」
「じゃあ早速──」
「その前に一つ、質問をいいですか?」
「んもぅ! なにさ⁉」
陰部同士を
「何も
「なに? 司祭様は口や手や脇やお腹や尻や足を使って欲しいの?」
「そこまでは全くもって言ってませんが、私に勝つ方法は色々あるということです」
「う~ん、そうだろうけどさ。わたし──」
遠い目をしたラビワビが、真剣な眼差しを浮かべる。そして凛々しい顔つきで言ってきた。
「ナマが大好きなんだよねっ……!」
「ああ、そうですか……」
ラビワビが腰を下ろした瞬間、エンシェンの
「村人たちから搾り取った〝熱〟は、何も勿体なくて貯めてる訳じゃない……司祭様と交わる際の、ローション代わりなんだよっ!」
「そんな馬鹿な……!」
やけに粘ついていると思ったら、他人の白濁がミチミチに詰まっていた。少し気分の下がるエンシェン。その隙を狙って、ラビワビがエンシェンの肩をしっかりと掴み、巧みな腰捌きで根本まで咥え込んできた。
「ふぅぅ♡ どうしよ、わたしと司祭様、相性良すぎっ♡」
パンパンと、ネチネチと、ラビワビの腰が音を奏でながら踊る。以前は全く表情を変えなかったエンシェンも、今回ばかりは眉間に眉を寄せていた。
「イけっ♡ イけぇっ♡ イけぇぇ゛っ♡」
他人の白濁以外に、ラビワビの愛液が溢れてきた。それらはエンシェンの腰を濡らしていき、やがてベッドへ、床へと垂れていく。
数分もの間、ラビワビは休み無く跳ね続けた。いつしか互いに汗ばみ、部屋中に二人の匂いが充満していた。
「はあっ♡ はあっ♡ 司祭様、もう限界でしょ? これでトドメだよっ♡ イっけえぇぇぇ゛っ♡」
そんな折、ラビワビの腰が一際高く持ち上がり、エンシェンの
「ほお゛ぉんっ♡ あっ、イグうううううう゛っ⁉」
ラビワビが盛大に潮を撒き散らす。その反動でエンシェンの
「おほおおおおお゛っ⁉」
「……シスター・ラビワビ、成長しましたね。二回目だというのに、もう精神がトんでいないとは。貴方は努力を怠らない素晴らしい方です。これからも励んでいきましょう」
「んおおおお゛っ♡」
意識が朦朧としているラビワビをベッドに寝かしつけたエンシェンは、汚れた箇所を綺麗に拭き上げていった。一通り綺麗にしたら、司祭服を身につけて慰撫室を後にしたのだった。
魔界の豆知識
・エロス教に男女差別はないので、女司祭やシスター(修道女)の男版、ブラザー(修道士)などがいる。