そういえばジンも銀髪だったなって   作:イブキには幸せになってほしいんだ

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やっぱりイブキはかわいいなぁ


2話

闇に溶けるような素早さで敵のアジトから脱出し、ジンが辿り着いたのは、組織の人間すら一握りしか知らないセーフハウスだった。

 

静まり返った部屋のベッドに、背負ってきた小さな体を静かに横たえる。

 

イブキは金髪(ブロンド)の髪を乱し、規則正しい寝息を立てて眠り続けていた。

その幼い頬には、あの男につけられた痛々しい赤紫色の打撲痕が残っている。

 

「……」

 

ジンは無言のまま黒いコートを脱ぎ捨て、救急箱を引き寄せた。数日間に及ぶ拷問でジン自身の体も傷だらけだったが、自分の手当てなど後回しだ。

冷えたタオルを固く絞り、イブキの腫れた頬をそっと冷やす。

 

(人を傷つけたくない、か……)

 

黒の組織という血と硝煙の世界で生きてきたジンにとって、目の前の少女が示した「無償の優しさ」はあまりにも異質で、そして酷く不器用なものだった。

自分を助けるために殴られ、極限の恐怖の中でなお「こんなところにいちゃダメだよ」と笑ってみせたのだ。

ジンは消毒液を浸したガーゼで、イブキの小さな傷口を丁寧に拭っていく。

大雑把で粗暴な普段の言動からは想像もつかないほど、その指先の手つきは繊細で、どこか優しい。

 

手当てを終えると、ジンは部屋から携帯を取り出し、手慣れた手つきで番号を打った。

 数回のコール音の後、焦りを含んだ野太い声がスピーカー越しに響く。

 

『兄貴! 兄貴ですか!? 無事だったんすね……! 連絡が取れなくなってからずっと探して——』

 

「騒ぐな、ウォッカ」

 

ジンの低い声が一瞬でウォッカの動揺を静めさせた。

 

『す、すみません…⋯、今すぐ迎えに行きます!』

 

「いや、俺はすでにセーフハウスだ。」

 

 そう告げながら、ジンはベッド

で眠るイブキの毛布を首元まで掛け直してやった。

 

 「ウォッカ、仕事だ。俺を拐ったネズミ共の拠点をすべて割り出せ。……それと、あいつらが関わっている取引ルート、資金源、関連する人間を今夜中に洗いだせ」

 

『は、はい! すぐに手配します! ……しかし兄貴、奴らをどうするおつもりで?』

 

ジンはゆっくりと煙草に火を点け、紫煙を天井へとくゆらせた。

その緑の瞳に、氷のように冷たく、かつ猛火のように荒々しい殺意が宿る。

いつもなら淡々と処理するジンの声に、絶対的な死を告げる圧力が混ざり合っていた。

 

「決まっている。——俺の縄張りに泥足を踏み入れ、愚かな爪を立てた豚どもだ。……舐めた真似をしてくれた奴らには、死すら生ぬるい最上の報いをくれてやらなくちゃなァ」

 

受話器の向こうでウォッカが息をのむ気配がした。

 

「一匹残らず刈り取れ。……跡形もなく消すぞ」

 

「わかりやした、兄貴! 今すぐ実行します!」

 

通話を切り、携帯をポケットに放り込む。

ジンは煙草の煙を吐き出しながら、ゆっくりとベッド脇の椅子に腰掛けた。

ふと見下ろすと、煙草の臭いに反応したのか、イブキの長いまつ毛がピクリと動いた。

 

「……う、ん……」

 

小さなうめき声とともに、イブキがゆっくりと瞳を開ける。まだ意識がはっきりしないのか、パチパチと大きな目を瞬かせながら見慣れない天井を見つめ、それから隣に座るジンの姿を捉えた。

 

「……あ……おじさん……?」

 

「おじさんではない。ジンだ」

 

短く訂正しながらも、ジンは吸いかけの煙草を灰皿に押し当てて消した。

子供の前で煙を吸うのを、ごく自然に避けたのだ。

イブキは自分の頬に貼られた湿布と絆創膏に触れ、それからジンが無事に生きていることを確認すると、ふわっと顔をほころばせた。

 

「よかったぁ……無事だったんだね。イブキ、おじさん……ジンさんが助かって、すごく嬉しい……」

 

拷問の恐怖も、自分が受けた痛みもすべて忘れたかのように、ただジンの無事を喜ぶ少女。

ジンは一瞬だけ苦笑するような気配を見せると、大きな手でイブキの頭をぽんぽんと乱暴かつ優しく撫でまわした。

 

「馬鹿が。自分の心配をしろ」

 

「えへへ……痛いけど、へいきだよ」

 

そう言って笑うイブキを前に、ジンは静かに心の中で誓うのだった。この幼い少女に傷をつけた愚か者たちに、今夜、組織の恐怖のすべてを叩き込んでやると。




続きほしい?(書くと入ってない)

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