カン、と鋭く拍子木が耳を打った。
夕焼けに、朱の鳥居が鮮やかに浮かび上がる。幾重にも続く幻想的な風景の中を、二人の呪術師が歩いていた。
…とはいえ、その表情はあまりに対照的だが。
「冥さん、これ何個目でしたっけ…?」
ハーフマント姿の高専生–—燦は、げんなりと肩を落とした。特徴的な赤髪がさらりと揺れ、夕陽を反射する。
対して、ネクタイを締めた黒ずくめの女–—冥冥は、くつりと喉を鳴らした。
「まだ八十九基目だよ」
「うええ…全部で何個あるんだよこの鳥居…」
「上から見た限り、千はくだらないだろうね」
「いくら綺麗な風景でも、見続けると飽きるってことを今日わたしは学習しましたよ」
「なるほど真理だね」
「冥さんちゃんと聞いてます?」
コツン、コツンと、ブーツが石畳を叩く。
外から見れば、この空間はきっとひどく美しいのだろう。けれど、いざ内側に閉じ込められてみれば、そんな感想に浸る余裕などどこにもない。
鳥居をくぐるたび、体が少しずつ重くなる。肩に鉛でも括りつけられているような感覚に、燦は小さく息を吐く。
カンカン、と拍子木が鳴った。
数時間前まで、二人はとある神社にいた。
郊外にある、少し古びた神社。だが地元ではそこそこ名の知れた場所らしい。
そんな神社の境内で、冥冥が口にした言葉に、燦は軽く瞬きをした。
「…神隠し、ですか?」
「ああ。ここで遊んでいた子供、参拝客、巫女…被害者の層は様々だが、一つ共通点がある」
「じゃあ、その共通点が呪いの発動条件ってことですね」
「その通り」
言って、冥冥は神社の入り口を指差した。
血塗られたように赤い鳥居を見て、燦はぽんと手を打つ。
「なるほど、鳥居。神域を隔てる境界ですもんね。おおかた、『鳥居を通る』っていうのが条件ですか」
「察しが良くて助かるよ」
そう、鳥居。神社の象徴であり、神域と現世を隔てる境界。川や水と同じように、境界を越えるという行為には呪術的な意味が宿る。鳥居がトリガー、というのは十分納得できる。
(けど、それなら…)
「それにしては、行方不明者が少なすぎやしませんか? 鳥居なんて、たくさんの人が通るでしょう」
「ごもっとも。実は、もう一つ共通点があるんだ」
冥冥は腕時計をちらりと見た。
「…時間?」
「そうだよ。そろそろかな」
橙色の光が、ゆっくりと薄暗さを増していく。
それに目を細めて、冥冥は淡々と言った。
「逢魔時。十七時から十九時のあいだに、あの鳥居を外から内へくぐった者だけが『神隠し』に遭っている」
「時刻と境界を利用した術式、ですか。問題は、どこに連れて行かれるのかってことですね」
「十中八九、呪霊の領域内だろうね」
さらりと言われて、燦は顔を引き攣らせた。
「あの、わたし一級任務って聞いてたんですけど」
「おや、君の聞いた通りだろう?」
「領域を使う呪霊が一級なんてことありますか? 縛り込みだとしても」
「大丈夫。一級の私と準一級の君がいれば問題ないよ」
死人が出ているわけじゃないんだよ、とこれまた軽く言う。
燦は半ば諦めたように鳥居を仰いだ。
(あいっかわらず人手不足というか、闇が深いというか……)
その時だった。
ゴーン、とどこからともなく鐘が鳴り響く。
同時に、鳥居がわずかに呪いの気配を纏った。
人と呪いが逢う時が、始まった。
二人は顔を見合わせる。そうして、どちらともなく、鳥居の内側へと踏み出した。
「うわ、」
「見事だね」
次の瞬間、景色が切り替わっていた。
さわやかな風が頬を撫でる。
目の前には、鳥居、鳥居、鳥居。朱の回廊が遥か先まで続いている。なんかこういう観光地あったよな、と燦は現実逃避気味に考えた。
「神隠しってこういうことかあ……」
「少なくとも、上から見れば参道はずっと続いているように見える。烏を連れてきて正解だった」
「わたしって肉体労働要員ですか、この場合」
「もちろんさ。私より君の方が向いているだろう?」
「冥さんも大概ゴリ……いえ何でもないです」
それからずっと、二人は鳥居の列を歩き続けていた。
だが、一向に終わりは見えない。体力そのものはまだ保つ。けれど、同じ景色が延々と続くせいで、気力の方がじわじわ削られていくのだ。
「おまけに変な呪いまでかかってますよね、この鳥居」
燦はうんざりしたように肩を回した。
「そのようだね。通るたびに体が重くなる」
「やっぱりこれ一級任務じゃなくないですか? 本体に辿り着く頃には疲労困憊で戦えなくなりますよ」
「そこは君の出番じゃないか」
ふふ、と微笑まれても、燦は全く笑えない。
鳥居の柱に刻まれている呪印を見て、燦はため息を吐いた。
「呪霊も頑張ってんですね…」
「敵の気持ちになってどうする」
だって、と言いかけて、燦はふと口を閉ざした。
「…冥さん、今の」
「どうした?」
返事も待たず、燦が走り出す。
一人取り残された冥冥は、わずかに首を傾げた。
(あの子は一見直情型だが、ちゃんと考えてから動くタイプだ)
領域内で、何も言わず単独行動に出るほど愚かではない。
ならば何か見つけたのだろう。そう結論づけた頃には、燦が戻ってきていた。
肩に、見覚えのない非術師の男を担いで。
「咎めはしないけど、先に一言かけたらどうだい?」
「すみません、冥さん。こんなところに一人でいたら、あっという間に餌食になると思って…」
「全く、君は本当に変わってないね。それで痛い目を見ても知らないよ」
「最近同じようなこと、たっくさん言われるんですよね。わたしってそんなに弱っちく見えます?」
「君の弱点は人の機微が分からないことだね。滅私奉公の精神より、そっちを学んだ方が良いんじゃないか」
はあ、と燦が気の抜けた返事をした、その時だった。
「誰だよ、アンタら……!」
燦に抱えられていた男が、怯えたように声を上げたのは。
「大丈夫ですか!? 相当衰弱してましたが……」
慌てて気遣う燦に構わず、男は彼女を振り払った。よく見れば服は土と汗にまみれ、頬はこけ、立っているのもやっとの有様だ。
「うるせえ、退けよ! 早く行かなきゃ、」
ガア、と烏がその声を遮る。
「やめておいた方が良い」
一斉に、鳥居の上で烏が羽ばたいた。
「死にたくなかったら、ね」
斧をくるりと回して笑う冥冥に、男は気圧されたように口を閉ざした。
「ちょっと、冥さん」
「仕方ないだろう。ここで暴れられたら困る。…ところで、君」
冥冥が目を細める。
「『神隠し』に巻き込まれた人間、で間違いないね?」
「は? 神隠し? 何言ってんだよ」
だが男は、きょとんと二人を見返した。
「神社に行って、気づいたらここにいた…のではないんですか?」
「違えよ。お前らも同じ目的で来たんじゃねえのか?」
「つまり、君は自分の意思でここに来たと」
「ああ。…知らねえのか? 夕方に神社の鳥居を通ったら、神様が願いを叶えてくれるって」
燦と冥冥は顔を見合わせた。
「神、ねえ」
「呪霊の噂に尾ひれがついたんでしょうか」
「運が良いやつは、神様のいる場所に招かれて、直接願いを聞いてもらえるんだよ。ここらじゃ有名な話だ」
「この地域特有の伝承ってことですか」
「そのようだね。かなり古いものだろう。ということは、ここの呪霊も……」
あ、と燦が小さく声を漏らしたところで、男が焦ったように身をよじった。
「だからよ、離してくんね? 早く神様に会わなきゃなんねえんだよ!」
「それはできません」
「は!?」
ぎゅ、と燦は腕に力を込める。
「あなたが神と呼んでいるのは、わたしたちの敵です。会ったところで、喰われるか死ぬだけだ 」
「…うるせえよ」
「あなたがどんな願いを持ってるのかは分かりません。でも、そんなものに命を預けていいんですか?」
男は、ふっと笑った。
「みんなと同じこと言うんだな」
「…え?」
「百回だ」
男は、虚ろな目のまま繰り返した。
「入り口の鳥居を百回通ったら、神のところに行ける。俺は、あと数回なんだ。だから邪魔すんなよ!」
「ちょっ、暴れないで」
「退け!」
燦の腕が振り解かれる。
(くそ、傷つけないように力を込めてなかったせいか……!)
追いかけようとした燦を、冥冥が呼び止めた。
「無視でいいよ」
「でもっ!」
「私欲で身を滅ぼすなら自業自得だろう。あんなのに割いてる時間はない。…どうせ、また会う」
無様に駆けていく男の背が、だんだん遠ざかっていく。
「…でも」
燦はその背を見つめたまま、動かなかった。
(そっくり、だった)
あの男の目は、あの日の自分の目と、どこか似ていた。
「ほら、行くよ」 冥冥が再び歩き出そうとして、燦の様子に気づく。
「あの、冥さん」
「何だい? これ以上時間は浪費できないよ」
「そうじゃなくて。この領域、変じゃないですか?」
「…具体的には」
燦は、鳥居を振り返った。
「さっきの男、『入り口の鳥居を百回』って言いましたよね。でもわたしたちが今まで通ってきたのって、ずっと別々の鳥居に見えてた」
「そうだね」
「だったら、おかしいんです。あの人はここまで衰弱してるのに、まだ『あと数回』って言っていた。もし本当に一本道を先へ進んでるだけなら、何往復もして百回も入口を通るなんて無理がある」
冥冥の目が、すっと細められる。
「……なるほど。つまり君は、『違うものに見えているだけで、私たちは同じ鳥居を何度もくぐらされている』と言いたいわけだ」
「はい。前に見た鳥居と、同じ傷が入ってるものがあった気がして。気のせいかと思ったんですけど」
「なら、確かめようか」
冥冥が指を立てる。
すると、数羽の烏が一斉に飛び立った。
「『景色』だけなら騙せても、比較されると脆い術式は多いんだよ」
ガア、ガア、と短く鳴き声が返る。冥冥は目を閉じ、烏の視界を受け取った。
「……フフ」
唇が、愉快そうに吊り上がる。
「ビンゴだ。前方三十歩先の鳥居と、後方二十七歩の鳥居。柱の欠けも、呪印の擦れも、全部同じだ」
「やっぱり……!」
「この領域は、短い参道を繋ぎ直しているだけだ。私たちは先へ進んでるつもりで、同じ入口を何度もくぐっていたらしい」
「じゃあ、あの男の『百回』って」
「本当だろうね。百回くぐった人間だけ、本体の前に通される。趣味の悪い御百度参りだね」
「何ですか、それ」
「一日で百回参拝して、神仏に願掛けをする風習さ。ここの伝承と結びついたんだろう。願いが叶わなかったことへの恨みと、百回も通うほどの執着。そういうものが凝り固まったんだろうね。全く、神なんぞに縋るからこうなる」
「…よく鳥居の中でそんなこと言えますね」
「宗教なんて所詮、金集めのビジネスだから」
うわ、と流石の燦もドン引きした。
「まあ、正論っちゃ正論ですけど…。どうしようもなくなった人が、存在するかも分からないものにまで縋りたくなる気持ちは、分からなくもないです」
「体験談?」
「そうはなりたくないな、と思っています」
「へえ」
「…いや興味ないなら聞かないでくださいよ」
「あいにく、私が興味あるのは儲け話だけだから」
「冥さんにだけは借金作りませんからね」
「それは残念」
くすり、と冥冥が笑う。
「ともかく、呪霊を一刻も早く祓わなければ。あの男みたいに、自分から足を踏み入れる阿呆はまだ出るだろうしね」
「百回くぐるまで我慢するしかないってことですか」
「そうでもないよ」
冥冥の視線が、ある一点に止まった。
「この領域は、同じ参道の終点と始点を無理やり繋いでる。なら、継ぎ目がある」
「継ぎ目」
「道そのものじゃない。道と道を繋いでる、接続部分だ。そこを壊せば、周回は破れる。…つまり、ぶっ壊せということさ」
「それ先に言ってくださいよ!!」
「今わかったんだよ」
悪びれもせず、冥冥は鳥居の一つを指差した。
一見何の変哲もないが、よく見れば柱の内側、空間の端がわずかに歪んでいる。
「
ふう、と息を吸うと、ゆっくりと体が光を纏う。軽く後ろに下がり、拳を構える。大きく息を吐いて。
ドン!!
燦は、腕を振り抜いた。
直後、ピシリと嫌な音が鳴った。見えない壁が、悲鳴と共に揺らいでいく。
「さすがだね、燦」
「どうも」
ひびは蜘蛛の巣のように広がり、ついには参道の一部がべり、と剥がれ落ちた。そこには、先ほどまで見えていなかった、暗い社殿への道が口を開けている。二人は躊躇なく、その裂け目の向こうへ踏み込んだ。
再び、景色がかちりと切り替わる。
「廃神社…?」
「そのようだね。とことん神社に未練がある呪霊らしい」
蔦の這う荒れ果てた境内。
倒壊した社の残骸が折り重なる中央に、ソレはいた。何本もの手が、合掌するように重なっている。あちこちに開いた口が、ぶつぶつと何事かを唱えていた。
「いや、仏教と神道くらい分けたらいいのに」
「神仏習合を反映してるんじゃないかな」
「そんな真面目な呪霊います!?」
ともかく、と冥冥が斧を肩に担ぐ。
「領域維持に力を割きすぎたのか、本体は大したことなさそうだ。祓うのは君に任せるよ」 「任せてください! …ん?」
燦は飛び出しかけて、ふと足を止めた。
「お願いします助けて下さい神様お願いしますどうかどうかどうか」
あの男だ。呪霊の前に跪き、伏し拝むようにして喚いている。
「…やっぱり、百回到達者はここに来る仕様なんだ」
「邪魔だね。どうする 」
「説得してきます」
燦は、そっと男に近づいた。とん、と優しく肩を叩く。
「ソレは神様なんかじゃないですよ。あなたの願いを叶える力なんてない」
「また、お前か…!」
焦点の合わない目が燦を睨む。
「良い加減邪魔すんなよ! 信じてねえなら帰れよ! 俺は、俺はもうコイツに助けてもらうしか、」
「まだ何も成していないのに、何を言うんですか」
燦はしゃがみ込み、男と目線を合わせた。
「できることはある。やれることは転がっている。あなたは本当に、自分のできることを全部やったって、胸を張って言えますか?」
何が、と男は力なく吐き捨てた。
「何ができるって言うんだよ……! 俺の娘は、事故で何年も昏睡状態だ! 俺に何ができる!? なあおい、ただの人間に、どうしろって言うんだよ!!」
男が頭を掻きむしる。
それを見て、燦はほんの少しだけ目を細めた。
「願って、叶わなかったらどうするんです。『神』のせいにしますか?」
「…うるせえ、黙れ!」
「同じところを何十回も回って、得た答えがそれなんて、あまりに虚しいじゃないですか」
「だから、黙れって!!」
男が、激情のままに殴りかかる。
燦はその拳を難なく受け止めた。けれど、その背後にはもう、巨大な影が迫っている。
のっそりと歩み寄った呪霊が、二人を見下ろしていた。
「かしこみ、カシこみ……」
合掌した手が、ゆっくりと振り上がる。
「神、さま……」
男が呆然と呟いた、その瞬間。
ボン!!
「
一羽の烏が、巨大な呪いを貫いた。
爆ぜる音とともに、呪霊の体が内側から裂ける。
「ナイスです、冥さん!」「なんのこれしき。君の謝礼は私がもらっていいよね?」
「…最初からそのつもりでしたか?」
「フフ、まさか」
ザフッ、と消失反応。
同時に、領域そのものが音を立てて崩壊していく。
元の神社へと戻された時、境内のあちこちには倒れ込む人影がいくつもあった。
巫女服の少女、年配の参拝客、泣きじゃくる子供。どうやら、取り込まれていた被害者たちもまとめて吐き出されたらしい。
「生存確認を。動ける人は境内の外へ」
冥冥が短く指示を飛ばす。
「はい!」
燦はまず、目の前の男へ手を差し出した。
「立てますか」
「…なにしてんだよ。消えちまったじゃねえか、神様」
「すみません。ですが、私たちの仕事なので。私たちに倒される程度のものを、『神』だと思えますか?」
「うるせえよ」
男は、地面を見たまま掠れた声で言った。
「これから俺は、どうしたら、」
「あなた!!」
もうすっかり暗くなった境内に、その声はよく響いた。男に駆け寄ってきたのは、仕事帰りらしい非術師の女。
「どこに行ったかと思ったら、もう! あの子のそばにいてって言ったじゃない!」
「お前、でも」
「行くわよ! 昨日もお見舞い行かなかったでしょ。あの子が寂しがったらどうするの?」
「…ああ」
差し出された手を見て、男の目にようやく生気が宿る。
「そうだな」
泣きそうな顔で頷いて、男は燦を振り返った。
「…ありがとう」
燦は小さく目を見開き、それからふっと息を吐いた。
一通りの救助と引き渡しが終わってから、燦は肩を落とした。
「今回、わたし役に立ちませんでしたね。ごめんなさい」
「何を言う」
冥冥は、呆れたように笑った。
「周回構造に気づいたのは君だ。継ぎ目を壊したのも君。十分すぎるほど働いたよ」
「でもトドメを刺したのは冥さんだ」
「それは役割分担というやつさ」
「…確かに」
だろう、と冥冥は足を止めた。
「そういえば、これ。頼まれていたものだよ」
懐から、数枚の資料を取り出す。
ハッと息を呑み、燦は弾かれたようにそれを受け取った。焦るように紙をめくっていくが、徐々にその表情は暗く沈んでいく。
「目当ての人はいたかい?」
「……ごめんなさい、いませんでした」
「そうか。すまないね」
いえ、と燦は小さく首を振った。
「そろそろ、諦めるという手もあるんじゃないのかい?」
「嫌です」
きっぱりと言い切った燦に、冥冥が肩をすくめる。
「晦守家の相伝をあんな形で受け継いだ娘を探すのは至難の業。私の烏をもってしてもね」
「分かってますよ、そのくらい。あの家の相伝がどれだけ厄介かなんて」
冥冥はなお納得がいかないようだったが、やがてくるりと踵を返した。
「まあ、その分の金は君の今日の任務の給料で賄わせてもらう」
「それでお願いします」
「毎度あり。次会う時までには、候補をもう一回洗っておくよ」
「! ありがとうございます」
「ふふ、上客だからね」
機嫌よさげに去っていく背中を見送ってから、燦は手元の資料をじっと見つめた。
赤毛の少女たちの写真。
候補者ごとにまとめられたそれを、くしゃりと握り潰す。それから、堪えきれないように小さく呟いた。
「どこに居るのよ、唯衣のバカ」