「何よこれ、タコのヌメリは取れにくいのよ。」
朝教室に入ると教卓にタコが刺されていた。何人かから変な目で見られているが何なんだろう?そう思うとカルマ君が話しかけてきた。
「ハハッ十六夜さんは目の付け所が違うねぇ。確かに全身見せるため足を触っていたら手にヌメリが付いてなかなか取れなかったよ。」
「意外と地道な努力があった!?」
誰かがツッコミした。このクラスは芸人気質が多すぎる。
「あ、片づけないでくれよ。殺せんせーの反応を確認したいからね。」
「朝からご苦労ね。昨日に引き続き今日も続けるの?」
「そうだけど文句あるかい?」
「いいえ、そろそろ殺せんせーも動いてきそうだからそっちに期待するわ。折角だから教えてあげるけど殺せんせーを舐めていると手入れされるわよ。」
「上等さ。『先生』を殺すのは俺がやるよ。」
そう言ってカルマ君は席に戻った。中々やる気みたいだ。そうしているうちにタコの上位互換である殺せんせーがやって来た。刺されたタコを見ているが……感情が読めないな。いつもなら顔色の一つや二つ変えるのに。カルマ君はニヤニヤしながら殺せんせーを見ている。
「殺せんせーと間違えて殺しちゃったぁ。捨てとくから持ってきてくれよ。」
殺せんせーはカルマ君を見た後ゆっくりと歩き出したが……え、何?ミサイルを持ちながら何か話してこっちに歩いてくる。何かしているがミサイルが気になって目に入らない。チラリと横を向いたがカルマ君も私と同じような顔をしている。
「マッハでタコ焼きを作りました。これを食べれば健康優良児に近づけますね。」
なぜタコ焼き?いやまあタコ料理で最もメジャーなのは事実だけれども。
「今日一日本気で殺しに来るがいい。そのたびに先生は君を手入れをしましょう。」
―――――
今日もカルマ君は授業中に暗殺をしているが今日は失敗を続けている。一時間目の数学では銃を撃とうとしてネイルアートを、二限目の理科では爆竹を鳴らそうとして靴磨きを、三・四時間目の調理実習は鍋をひっくり返そうとしてハートのエプロンを着用させられた。今は班で作った料理を食べている。
「ガハハハッ傑作だったな、カルマのエプロン!」
「昨日いい線まで行ったのに今日のヒットはゼロか。」
「まだ午後がある。ラッキーパンチくらいは当てれるはずだ。」
カルマ君もう期待されていないな。……いや、殺せんせーを信頼してるのか。クラスのみんなは既に不意打ちを試して失敗に終わっているから。
「十六夜さんの作ったサラダ、おいしいわよ。」
「ありがとう。村松君のスープも良く出来てるわね。」
「ヘヘッ、おれんちラーメン屋でよぉ、こんくらいの料理なら朝飯前よ。」
松村君の家ラーメン屋だったんた。今度行ってみようかな。
―――――
あの後何度か暗殺を試していたが結局手入れされた。帰りのHRには居なかったが何処に行ったんだろうか。
「おはよー。」
「おはよう。昨日のHRから居なかったけど何処居たのよ。」
「あー、最大の暗殺をするための準備してたの。結果失敗したんだけどねー。」
「準備が必要って、そんな荷物あるようには見えなかったけど。何か買いに行ったの?」
「物じゃなくて心の準備が必要だったのさ。身投げして捨て身の暗殺を試したって訳。」
「……えっ、文字通りの身投げ!?」
「そーだよ、十六夜さんもやってみたら?紐なしバンジー。」
なんて奴だ。どんな状況で落ちたかにもよるが、暗殺に成功した時点で救助してくれる先生が死ぬんだからどうあがいても共倒れになるのに。昨日あんなに馬鹿にして申し訳なさも出てきた。
「まったく……そこまで体張る暗殺者なんていないわよ。」
「渚君、自爆テロ起こしたそうじゃん。」
いた。殺せんせーのド怒りで忘れてたけど渚君も大概だった。そこから着想得たのかな?クラスで命を張る人が二人もいるとは。もう増えないことを願っていると殺せんせーがやって来た。
「皆さんそろっていますね。では出席を取ります。日直の人は号令を!」
毎日恒例の暗殺出席だ。普段は最前列の教卓で出席を取るが、後ろの人にもチャンスが得られるように今日は最後列で出席を取ってもらっている。
「起立!気をつけ!」
私はナイフを構えた。
「礼!!」
「カルマ君。」
「はい!」
「十六夜さん。」
「はい!」
「今日はナイフですか。新しい試みは大変結構!ですがナイフを振るための足回りが甘いです!」
かわされた。アドバイスに気を付けて移動するが、それでもかわされる。体育の授業はまだ全体の能力把握の段階だから個々人に合わせるにはまだ早いかもしれないが、個別に教えてもらえないか聞いてみるか。そうこうしているうちに出席が終わった。私は最後に思いっきりナイフを投げた。
「にゅや!!」
「当たったぞ!」
「撃て!!」
当たった!カルマ君も銃を捨ててナイフを刺しに来ている。私も二本目のナイフで応戦する。ただ、テンパるのが意外と早いはずがそこまで驚いていない。冷静に対処され、みんなが玉切れになったタイミングで殺せんせーが言った。
「お見事です!皆さん!初めて命中しましたね。成長して先生嬉しいですよ。烏間先生の授業のたまものです。おめでとうございます!」
皆が銃を撃っているから避けれなかったのだが、自分の攻撃が当たったのは非常に嬉しい。投げナイフを本格的に練習しようかしら。