その日の夜……夕食を食べ終え、そして入浴と就寝の支度を整え終えたセラは机の前で自身の首にかかるペンダントの、その白蝶貝の石を眺めながら笑みを溢した。
「えへへ……////」
「あらあら、本当に嬉しそうねぇ」
「ひゃっ────?!」
石を眺めながら、外出先で色々なお店を見て回った事や美味しいケーキを食べたこと、自身の事を思い浮かべて買ってくれたペンダントや、そして何より怖い思いはしたが、自分を助けようと駆け付けてくれたカガリの姿を思い浮かべたセラが、その事に思わず身をくねらせていると、横からエカテリーナのそんな声が聞こえてきた。
その事に思わず驚いてしまうセラ……そんな彼女にエカテリーナは思わず苦笑してしまった。
「もう寝る時間だというのにまだ起きてるからどうしたのかと思って見に来てみれば……」
「あ、あの……これは……」
慌てて誤魔化そうとするセラに、エカテリーナはクスリと笑ってしまう。
「クスッ……そんなに慌てなくても良いわ。それよりもセラちゃん……貴女に一つだけ訊ねたいのだけれど?」
「(な、何でしょうか?)」
机の上に置かれた魔道具を身につけてからそう返事をするセラ。
そんな彼女にエカテリーナは爆弾となる一言を投下した。
「もしかしてセラちゃんはカガリ君の事が好きになっちゃった?」
「(*ロМ△●&@М㋛#〜〜〜////)」
その一言にセラは一気にその顔を真っ赤にして、念話でさえも声にならない声を上げてしまった。
その様子にエカテリーナは自身の推測が当たっていたと察する。
そして完全に図星を突かれたセラは暫く〝あ〜〟とか〝う〜〟と言いながら視線を彷徨わせた後、頭から湯気を上げながら俯き、そして肯定するように頷いた。
「本当に?いったい何がきっかけだったのかしら?」
「(うぅ……不謹慎だとは思いますが、私を助けに来てくれた時に……)」
「思わず惚れちゃった?」
「(はい……////)」
「あらあら〜♡」
可愛がっているセラに恋心が芽生えたとあって、エカテリーナは完全に母性が爆発していた。
そしてエカテリーナは室内にあったもう一つの椅子をセラの前へと持ってくると、それに座り僅かにセラへと寄せながらヒソヒソと話し始める。
「確かにカガリ君かっこいいものね〜?顔も勿論だけれど、それ以上に中身……心がね♪︎」
「(はい……ずっと優しくて、強くて、かっこよくて……そして……良い人で……はぅぅ////)」
「普段は男の子らしい口調だけれど、目上の人には礼儀正しいし、何よりかの英雄にして聖人のご子孫。名前からして貴族籍は抜けているようだけれど、それでも子供ながら素晴らしい人柄だって分かるわ」
そしてエカテリーナは現在進行形でずっとカガリの事を想っているのだろう、頬を赤く染め愛おしそうにペンダントの石に触れるセラにこんな提案を持ちかけた。
「ねぇセラちゃん。もしカガリ君と許嫁になれるとしたら、嬉しい?」
「(いいなずけ…………〜〜〜////)」
脳内で〝許嫁〟の二文字が浮かんだセラは、その流れで頭の中でカガリとそんな関係になった時の自分を思い浮かべてはブンブンと勢いよく何度も何度も頷いた。
その事にエカテリーナは思わず抱き締めてしまいそうになったが、それをグッと堪えてこう続けた。
「それにはカガリ君本人の気持ちやカガリ君のお家の人の承諾が必要なの。だから明日、カガリ君の家にお邪魔させて貰いましょうか?」
「(カガリの家?行きたい!行ってみたい!)」
「そう?なら急いで連絡を入れなくちゃね♪︎それじゃあ私は彼の家であるディオストーチ家に連絡を入れてくるから、セラは早く寝るのよ?寝不足で眠そうな姿をカガリ君のご家族に見せたくは無いでしょ?」
「(はわわ……お、おやすみなさい教皇様!)」
エカテリーナにそう言われ慌ててベッドの中へと入るセラ。
その姿にエカテリーナは思わずクスクスと笑ってしまうのだった。
そしてエカテリーナは有言実行とばかりに急いでカガリの家であるディオストーチ家の住所を調べ上げ、そして直ぐに明日訪問する旨を綴った手紙を書き上げると、それを今すぐ渡しに行くよう神官に命じるのであった。
そして手紙を託された神官がディオストーチ家へと訪ね、そしてその家の家主であるカガリの祖父〝カイゼル=ディオストーチ〟が使用人伝に渡された手紙を読んで思わず腰を抜かしそうになったのはここだけの話である。