しょっぱい女神と真水の行商人 作:西都東都
「いいか、ティア。よく聞け」
岩陰に二人並んで座り、ナラムは地面に指で線を引いた。
「これが、商売だ」
「しょうばい」
「片方が何かを出して、もう片方が何かを出す。釣り合えば取引成立。これが基本だ」
ナラムは線の左側に小石を置き、右側にも小石を置いた。
「お前は、塩が欲しい。だろ?」
「ほしい」
「俺は――まあ、いろいろ欲しい。宿とか、情報とか、客とか」
「いろいろ」
「そうだ。で、ここからが肝心だ」
ナラムは、左側の小石を指でつついた。
「町の連中は、塩をゴミだと思ってる。金を払って捨ててる。捨て場まで運ぶ人足を雇って、籠一杯いくら、って値で、つまり連中にとって、塩は、持ってるだけで損なんだ」
「ゴミ」
ティアが、また少しだけ悲しそうな顔をしたので、ナラムは急いで続けた。
「だから、俺がそれを買い取る。すごく安くだ。連中は喜ぶ。捨てる手間が省けて、しかも小銭まで入るんだからな」
「ナラムが、しょっぱいのを、かうの?」
「そうだ。で、買い取った塩は、お前が食う」
ティアの目が、まん丸になった。
「たべて、いいの?」
「いい。むしろ食え。全部食え。お前が食わなきゃ、俺はゴミを抱えて歩くことになる」
「ぜんぶ」
「ぜんぶだ」
ティアは、両手を胸の前で組んで、ほう、と息を吐いた。夢でも見ているような顔だった。
ナラムは、頭の中で算盤を弾き続けていた。
これは、悪くない。悪くないどころか、かなりいい。
まず、塩を買うのに、ほとんど金がかからない。どうせゴミだ。籠一杯、大麦一合でも、喜んで売るやつはいくらでもいる。
次に、塩を売ってくれた連中は、ナラムに恩を感じる。恩を感じた相手は、宿を安くしてくれるし、町の噂を教えてくれるし、ナラムの大麦を買ってくれる。商売は、金だけで回っているのではない。顔と恩で回っている。
それに、ティアが塩を求めて向かう先は、塩害のひどい町だ。塩害のひどい町は、食べ物が足りない。食べ物が足りない町では、大麦も干し物も、よく売れる。
さらに――これは、ちょっと言いにくいことだが――女連れというのは、新しい町で、外聞がいい。
ひとりで町に入ってくる、どこの馬の骨とも知れない男の行商人は、まず疑われる。盗人ではないか、詐欺師ではないか、密偵ではないか。けれど、娘を連れていれば、話は違う。家族連れの商人は、身元がしっかりしている、と、みんな勝手に思ってくれる。
ティアの見た目は、まあ、悪くない。いや、悪くないどころではない。どこの町に入っても、たぶん、嫌な顔はされない。
「ナラム?」
「ん、なんだ」
「かお、へん」
「へんじゃねえ。商売の顔だ」
ナラムは咳払いをした。
「とにかくだ。お前は俺についてくる。俺はお前に塩を食わせる。お前は、俺の商売の邪魔をしない。俺の言うことを聞く。それで、どうだ」
「どうだ、って?」
「釣り合ってるかってことだ」
ティアは、地面の線と、左右の小石を、しばらく見比べていた。それから、右側の小石を拾い上げて、左側に移した。
「おい、なにやってんだ」
「わたしのほう、おおい。しょっぱいの、たくさん。ナラムのほう、すくない」
「お前、意外と分かってんのな」
「だから、これ」
ティアは、ナラムの腰の革袋を指さした。
「ナラムの水。ときどき、のませて」
「は?」
「そしたら、つりあう」
「それ、釣り合いが余計に偏るだろ。俺が損するだけじゃねえか」
「? しないよ?」
ティアは、首を傾げた。
「わたしが、うれしい。ナラムは、わたしが、うれしい。だから、つりあう」
ナラムは、口を開けて、閉じた。
なんだその理屈は、と言おうとして、言えなかった。
顔が熱い。なんで熱いのか分からない。塩降りの後の陽差しが強いせいだ、と、ナラムは決めつけた。
「勝手に決めんな。誰がお前が嬉しいと嬉しいんだよ」
「ちがう?」
「ちがう」
「ちがうの?」
「ちがわなくはない、かもしれない、かもしれないが、それは商売とは関係ない」
「かんけいない」
「そうだ」
「じゃあ、水は?」
「ときどきだからな。ときどき」
ティアは、にっこりと笑った。
「けいやく」
「ああ、契約だ」
「けいやく、すき」
ティアは、地面の小石を両方とも拾い上げて、大事そうに上衣の隠しにしまった。
「なんでしまうんだよ」
「けいやくの、しるし」
ナラムは、もう何も言わなかった。言うと、また顔が熱くなりそうだった。
*
「というわけで、エシュヌに戻る」
「もどるの?」
「戻る。お前、神殿の塩を全部食っただろ。あそこの神官、たぶん今ごろ腰抜かしてる。いや、それはどうでもいいんだが――とにかく、エシュヌにはまだ、塩がうなるほどある。せっかく見つけた商売の種だ。最初の町で試してみない手はない」
ドゥムが、心底うんざりした顔で、来た道の方を振り返った。
「棗、五つやる」
ドゥムは、のそのそと方向を変えた。
エシュヌの町は、ナラムが戻ってきたことに、あまり驚かなかった。
行商人が忘れ物をして戻ってくるのは、珍しいことではない。それより町の連中が気にしていたのは、神殿の噂だった。
「聞いたかい。神殿の塩籠が、一晩で空になったんだと」
「盗人かね」
「塩を盗むやつがどこにいるんだ」
「それもそうだ。じゃあ、神様のご加護かね」
「そうに違いない。昨日、寄進があったらしいから」
市場の井戸端で交わされる噂話を、ナラムは素知らぬ顔で聞き流した。隣で、ティアが小さく胸を張っていた。
「ティア、その顔やめろ」
「どの顔?」
「自慢げな顔だ」
「じまんげ、だめ?」
「目立つからだめだ」
ティアは、しぶしぶ顔を元に戻した。たぶん戻したつもりなのだろう。口の端が、まだ少し上がっていた。
*
ナラムは、まず、町の塩捨ての仕組みを調べた。
エシュヌでは、各家の前に積まれた塩を、町の雇った人足が籠で集め、町の外の涸れ川まで運んで捨てている。費用は、各家が月にいくらか払う。ひと月の掃除料が、大麦二升。塩降りがあった月は、臨時の徴収があって、さらに一升。
貧しい家には、それが重い。
払えない家の前には、塩が積まれたままになる。積まれた塩は、雨が降ると溶けて、家の土台に染み込み、壁を崩す。崩れた壁から、また塩が入ってくる。
市場の外れの路地には、そういう家が並んでいた。
「ひどいな」
ナラムは、路地の入り口で足を止めた。
どの家も、戸口の脇に、白い塩の山を抱えている。壁は白くまだらになり、ところどころ、ぽろぽろと剥がれ落ちている。子供が二人、塩の山の上に座って、退屈そうに足をぶらぶらさせていた。
ティアが、ごくりと喉を鳴らした。
「ナラム」
「待て。まだだ。順番がある」
ナラムは、いちばん手前の家の戸を叩いた。
出てきたのは、腰の曲がった老婆だった。ナラムを見て、警戒するように目を細める。
「なんだい。物売りなら間に合ってるよ。買う金なんかありゃしない」
「いえいえ、売りに来たんじゃないんです。買いに来たんで」
「買う? 何をさ。うちには何もないよ」
「塩を」
老婆は、ぽかんと口を開けた。
「しお?」
「ええ。お宅の前の、その塩の山。全部、俺に売ってもらえませんか。籠一杯につき、大麦一合で」
老婆は、塩の山を見て、ナラムを見て、ティアを見て、もう一度ナラムを見た。
「あんた、頭は大丈夫かい」
「よく言われます」
「塩なんか買ってどうするのさ」
「それは、まあ、商売上の秘密ってやつで」
ナラムは、にやりと笑った。
老婆は、しばらく黙っていた。疑っているのが、顔に出ていた。こういうとき、相手が考える時間を奪ってはいけない。かといって、待ちすぎてもいけない。親方の教えだ。
ナラムは、荷車から大麦の袋を下ろし、口を開けて見せた。乾いた、粒の揃った大麦。塩はひと粒もかぶっていない。
「前払いしますよ。籠三杯分として、三合。どうです」
老婆の目が、大麦に吸い寄せられた。
「本当に、くれるのかい」
「ええ」
「塩を持っていって、大麦をくれるのかい」
「ええ」
「あとで、やっぱり金を寄越せとか言わないね」
「言いません。誓って」
老婆は、それでもまだ半信半疑の顔で、小さな椀を持ってきた。ナラムはそこに、大麦を三合、きっちり量って入れた。
「じゃあ、塩はいただいていきますね」
ナラムが合図すると、ティアが、ぱっと顔を輝かせた。
「たべていい?」
「待て待て待て。籠に入れろ。籠に入れて、荷車に積むんだ。食うのはあとだ」
「えー」
「えーじゃない。人前だぞ」
ティアは、むう、と唸りながら、塩の山に両手を突っ込んで、籠に移し始めた。
移しているはずだった。
ところが、ティアの手が塩に触れるたびに、塩の量が目に見えて減っていく。籠に入る量より、ティアの手に吸い込まれる量の方が、明らかに多い。
ナラムは、老婆の視線を遮るように、さりげなくティアの前に立った。
「いやあ、この子、力持ちで」
「そうかい」
老婆は、首を傾げていた。
結局、籠一杯にもならないうちに、塩の山はきれいに消えてしまった。
*
噂が広まるのは早かった。
昼過ぎには、路地じゅうの戸口から、人が顔を出していた。夕方には、市場の向こうからも、隣の通りからも、塩を詰めた籠を背負った人々が、ナラムの荷車の前に列を作っていた。
「本当に塩を買ってくれるのかい」
「籠一杯で大麦一合って本当かい」
「うちのは三杯あるんだけど」
「うちは五杯」
ナラムは、汗だくになりながら、大麦を量り続けた。
「はいはい、順番に! 一合ずつ、一合ずつですよ! 籠はこっちに置いて!」
荷車の後ろでは、ティアが、受け取った籠を一つずつ抱えて、荷台の幌の陰に潜り込んでいた。
出てくるとき、籠は空になっている。
誰かが「あの娘さん、籠をどこに……」と言いかけるたびに、ナラムは大声で「次の方ぁ!」と叫んで、話を逸らした。
大麦は、みるみる減っていった。
「ちょっと待て。これ、まずくないか」
ナラムは、手を止めて、荷車の大麦の袋を覗き込んだ。
昨日の市場で、売れ残った大麦は三袋。今日、塩の買い取りに使ったのが、もう二袋近い。残りは一袋と少し。
一合ずつでも、百人来れば十升だ。
行列は、まだ、角を曲がった先まで続いている。
「ティア」
幌の陰から、ティアが顔を出した。頬がつやつやしている。こんなに満ち足りた顔は、見たことがない。
「なに?」
「お前、まだ食えるか」
「たべられる」
「どれくらい」
「ぜんぶ」
「ぜんぶって、どれくらいだ」
ティアは、少し考えた。それから、町の方を指さした。
「この町、ぜんぶ」
ナラムは、黙って行列を見た。
それから、算盤を、頭の中で弾き直した。
大麦は、もう、ほとんどない。このまま買い取りを続ければ、次の町で売る分がなくなる。仕入れ直す金もない。ここで手を止めるべきだ。商人なら、誰でもそう判断する。
「ナラム?」
行列のいちばん前にいたのは、さっきの路地の子供だった。塩の山の上に座っていた、あの子だ。自分の体くらいある籠を、両手で抱えている。籠の中には、塩がいっぱいに詰まっていた。
「これ、うちの。かあちゃんが、もってけって」
子供の手は、塩で白くひび割れていた。
ナラムは、長く、息を吐いた。
「あと、二十人だ」
「にじゅうにん?」
「大麦の在庫が尽きるまでだ。尽きたら、店じまいだ。いいな」
ティアは、大きく頷いた。
ナラムは、子供の籠を受け取って、その小さな手のひらに、大麦を一合、こぼれないように、そっと乗せてやった。
*
その夜、宿の主人が、二人分の宿代を半分にしてくれた。
「あんたのおかげで、うちの裏の塩が片づいたからな」
ついでに、塩漬けの瓜を、皿いっぱいに出してくれた。ティアは、塩の部分だけを全部吸い取って、瓜の残りをナラムに押しつけた。
ナラムは、味のなくなった瓜をかじりながら、帳面をつけた。
今日の儲け、ゼロ。いや、大麦二袋半を失ったから、大損だ。
ただし、宿代が半額になった。市場の顔役から、次の町の井戸がどこもしょっぱくて困っているという話を聞いた。路地の老婆からは、北の小麦の値が上がっているという噂を、塩を売ってくれた男からは、ラルサの代官が小麦を欲しがっているという話を仕入れた。
どれも、金で買えば、それなりの値がつく情報だ。
「悪くは、ないか」
「なにが?」
「なんでもない」
ナラムは帳面を閉じた。
ティアは、寝台の上で、もう、うとうとしていた。腹いっぱいの子供みたいな顔だった。
「ナラム」
「なんだ」
「きょう、たのしかった」
ナラムは、少しだけ迷ってから、答えた。
「ああ。悪くなかった」
ティアは、満足そうに笑って、そのまま眠ってしまった。
ナラムは、毛布をかけてやった。今夜は、ちゃんと、毛布は二枚あった。
*
エシュヌを発って、二日が経った。
ラルサまでの街道は、エシュヌまでの道よりも、さらに荒れていた。塩の殻が厚く、ところどころで地面が盛り上がって、荷車の車輪が取られる。そのたびにナラムは荷車を押し、ドゥムは文句を言い、ティアは荷台の上から、その様子を面白そうに眺めていた。
「お前も降りて押せ」
「わたし、おもくない?」
「重くはないが、乗ってたら軽くもならねえ」
ティアは、しぶしぶ荷台から降りた。そして、荷車の後ろに回って、ナラムの隣で、ぐいと押した。
荷車が、ぐん、と前に出た。
ナラムは、つんのめりそうになった。
「お前、力あるのな」
「ある?」
「ある。ドゥムより、ある」
ドゥムが、心外そうに鼻を鳴らした。
ティアの足元では、相変わらず、塩が消えていく。彼女が歩いた跡は、塩の殻が剥がれて、黒っぽい土がむき出しになる。おかげで、車輪がやたらと軽い。ナラムは途中から、ティアに先を歩かせることにした。
「お前、便利だな」
「べんり?」
「役に立つってことだ」
「ほめた?」
「まあ、褒めた」
ティアは、くるりと振り返って、にっこり笑った。
それから、また前を向いて、少し早足になった。
*
昼の休憩のとき、ナラムはティアにロバの乗り方を教えた。
「ドゥムは気難しいからな。まず、目を合わせるな」
「どうして?」
「喧嘩を売ってると思われる」
「ロバ、けんかするの?」
「する。俺は、こいつに三回、蹴られてる」
ティアは、恐る恐るドゥムに近づいた。
ドゥムは、ティアをじろりと見た。それから、ふん、と鼻を鳴らして、そっぽを向いた。
「きらわれた?」
「いや、あれはたぶん、どうでもいいって顔だ。乗っていいぞ」
ティアがドゥムの背にまたがると、ドゥムは、意外なほどおとなしく、その場に立っていた。それどころか、ティアが首筋を撫でると、気持ちよさそうに目を細めた。
ナラムは、腑に落ちない顔でそれを見ていた。
「お前、俺には一回も、そんな顔したことねえだろ」
ドゥムは、ちらりとナラムを見て、また目を細めた。
ティアは、くすくす笑っていた。
「ドゥム、しょっぱくない」
「そりゃロバだからな」
「ナラムも、しょっぱくない」
「そりゃ人間だからな」
「ちがうよ」
ティアは、ドゥムの首にもたれかかりながら、首を傾げた。
「ほかのひとは、ちょっと、しょっぱい。エシュヌのひと、みんな、ちょっとしょっぱかった。でも、ナラムは、しょっぱくない」
「塩降りのあと、みんな塩まみれだったからだろ」
「ちがう。なかが、しょっぱい」
「なか?」
「からだの、なか。おこってると、あつい、しょっぱさ。かなしいと、つめたい、しょっぱさ。さわらなくても、ちょっと、わかる」
「人の、気持ちが、分かるってのか」
「ちょっとだけ。でも、ナラムは、わからない。なかが、しょっぱくないから。なにも、わからない」
ナラムは、なんと答えていいか分からなかった。
「汗をかいてないからじゃねえか。俺は、あんまり汗かかない体質だから」
「そうなの?」
「そうなんだよ」
ティアは、ふうん、と言って、それ以上は聞かなかった。
ナラムは、腰の革袋に、なんとなく手をやった。
*
夕方、街道沿いの涸れた井戸のそばで、野営をすることにした。
井戸の底には、わずかに水が残っていたが、汲み上げてみると、ひどく塩辛かった。舐めた瞬間に、舌がしびれるほどだ。
「だめだな。こいつは飲めねえ」
ナラムが桶の水を捨てようとすると、ティアが手を伸ばした。
「まって」
ティアは、桶の水に指を浸した。
しばらくそのままにしてから、指を引き抜いた。
「のんでみて」
ナラムは、桶の水を、ほんの少しだけ舐めてみた。
「あ?」
しょっぱくなかった。
いや、正確に言うと、まだ少ししょっぱい。けれど、さっきのような、舌がしびれるほどの塩辛さはない。普通の、少し質の悪い井戸水くらいの味だ。
「お前、水の塩も、吸えるのか」
「すえる。でも、ぜんぶは、すえない」
「なんでだ」
「わからない。水のなかの塩は、水と、くっついてる。はなすの、たいへん」
ティアは、桶の水を、じっと見つめていた。
「水と、塩。くっついてると……なんだか、へんなかんじ」
「へんな感じって、どんなだ」
「わからない。でも、すきじゃない、ような、すきな、ような」
ティアは、ぼんやりとした顔で、桶の水面を指でかき混ぜていた。
ナラムは、それ以上、聞かなかった。分からないことには、あとで値をつければいい。
代わりに、自分の革袋の水を、自分の椀に注いだ。それから、少しだけ迷って、ティアの椀にも注いだ。
「ほら」
ティアは、顔を上げた。ぱあっと、顔が輝いた。
「ナラムの水」
「ときどきって約束だからな。今日は、荷車押した分だ」
「ときどき」
「そうだ、ときどきだ」
ティアは、椀を両手で包んで、少しずつ、大事そうに飲んだ。
ナラムは、自分の椀の水を飲んだ。少しだけ、しょっぱかった。いつもの水だ。
こんな水の、どこがいいのか。ナラムには、さっぱり分からなかった。