灰被り姫たちの聖杯大戦   作:クルスク

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書き溜めはここで終了している。 後どうするんだろう。もうしらん。


第一章 虫変じて赤のバーサーカー

ここはルーマニア、トゥリファスの街にある教会。

 その一室にて。魔法陣が描かれたその部屋の中には、今二人の人物がいた。

 一人は穏やかな笑みを浮かべている青年、名を言峰四郎といった。その傍らには妖艶なドレスをまとう、女性が一人。

 視線の先の魔法陣に、今光が集い、もう少しでサーヴァンとが召還される。

 

 と、光が吹き払われた瞬間、そこには一人の男が立っていた。

 

「サーヴァント、え? バーサーカー? 酷いなぁ、僕にふさわしいのはキャスタークラス一択なのに。ちょいちょい、これはいささかいいたいね。僕をはねのけキャスタークラスをかっさらったのは一体、どこのどなたさんなのかと?」

 

 黒の長ズボンにカッターシャツをまとい、丸眼鏡をかけた男性、バーサーカーはのっけから、不満を口にした。

 

 そうしてついと視線を二人に向ける。

 

「あっ、こんにちは。ええと、君たちが今回の編集さん?」

 

 青年、言峰四郎がほんの少し顔に浮かんだ困惑顔を引っ込め、笑顔を浮かべて言う。

 

「ええ。編集、というか。私が今回貴方の世話を任された言峰四郎と言うものです」

 

「あー、なるほど、なるほど。これはご丁寧に」

 

 つかつかと近づきバーサーカーは笑顔を浮かべて、右手を差し出す。

 言峰四郎はついと前にでて、バーサーカーの右手に自身の右手で握手した。

 その瞬間、閃光が部屋を満たし。

 

 次の瞬間だった。言峰四郎の隣に立っていた女性が壁になるようにバーサーカーと言峰四郎の間に立つ。

 そうして言う。

 

「貴様、何をした。 ん? 何? マスターの一人から令呪が消えた、だと?」

 

 まさに正しく驚天動地。しかしそんな事態を引き起こしたというのに、バーサーカーは涼しい顔で言う。

 

「うーん、これは六番かな。意外、いや、ある意味順当かぁ」

 

 バーサーカーは右手を大きく振り回す。

 

「ああ、それは。僕の宝具、というか特殊能力でしてね。いやぁ、生前からこの手の我が儘は直らなくて。どうもね、気にくわない相手と組まされると、ほら、筆が止まっちゃうんですよ。生前はそれでも何とか折り合いつけてたんですけど。生き返ったんならねぇ、少しばっかし融通利かせて貰わないと」

 

 そうして続ける。

 

「しかし、妙な話だね。てっきり本人が怒鳴りつけてくるものだと思ったんだけど。一体どういう展開なのかなぁ、確かこれって聖杯大戦だっけ? でも、根っこの作りは聖杯戦争と同様でしょ? 確か、あれってマスターとサーヴァントの相互理解が重要って言われてなかったっけ?」

 

 バーサーカーがふれたのは聖杯戦争における基本的事実。

 だが、その一言が部屋の空気を微妙なものに変えた。

 言峰四郎は眉根を少し寄せ、女は笑みを深くした。

 明らかに空気は険悪なものに変わりつつある。

 にもかかわらずバーサーカーの態度に変化はない。

 

「怖いなぁ。ああ、そうそう、これなら先に申告しといた方が傷が浅くてすみそうだね。うんうん、実はさ。さっきも言ったとおり僕は少々特殊なサーヴァントでね。マスターを自分で選べる、というか、もう選んじゃったんだけどさ。あと、もう一つ。これは見せた方が早いか」

 

 そういうとバーサーカーはカッターシャツの右手の袖を腕まくりして見せた。

 右手二の腕の辺りに包帯が巻かれている。

 

「さっきのあれで、僕の右手をその人に与えちゃってね。で、これがその証拠」

 

 見せつけるようにバーサーカーは右手の甲を二人にさらす。

 そこに刻まれているのはまごうことなく令呪。

 しかし。

 

「おかしな話ですね。バーサーカー、それなら貴方はもうマスター不在でも活動できる訳だ」

 

 ようやく態勢を立て直した言峰四郎が言う。そう聖杯戦争の原理で言えば、まさに正しくその通り。だが。

 

「ああ、そういうと思った。ところが、メリットあるならデメリットあり、さ。この状態の僕は宝具が展開できない。補助宝具は使えるけど、本命は使用不可、だ。というわけで」

 

 僕のマスターをこっちに呼んでほしいんだ。

 ある意味当然の要求。しかし。

 

「貴様馬鹿か?」

 

 絶対零度とも評せそうな言葉が女の口から飛び出す。

 あまりの語句の厳しさに、言峰四郎が

 

「アサシン」

 

 とやや、あきれたように言うが、アサシンは顔をしかめつつ言う。

 

「それをやって何のメリットがある? 貴様自分が何をしたのか分かっているのか? ある意味こちらに不意打ちを仕掛けておいて」

 

 と、そこでアサシンと呼ばれた女は口を閉ざして後、言った。

 

「何を考えている? 貴様たしかただの絵描きにすぎんはずだ。お前一体何をしっている?」

 

 その瞬間、バーサーカーの顔色が少し変わった。それまでの人を食った笑みが引っ込み、目線に険が宿る。

 

「あれ? 妙だな、どうしてそう思う訳で。僕は確かに世界的に有名なクリエイターだけど、残念ながら予知能力をほめそやされた事はないよ。つーか、あの頃夢見た僕の想像、大半外れてるじゃない。予想じゃ今頃車は空を飛んでるはずだったのに、今だ地面を走行している訳だし」

 

「話を逸らすな」

 

 アサシンの問いかけに、バーサーカーは口をゆがめて応じた。

 

「まず僕の質問に答えてほしいな。というか、この問答で確信したよ。あなた方、何かほかのマスターさんにしたでしょう。さしずめ、眠らせるか意識を失わせるか。怖ーい。こりゃ予防策とっておいて正解だったかな」

 

 アサシンはついと前にでた。バーサーカーも臆することなく前にでる。

 

「馬鹿が。つい先ほど貴様自分が何を言ったか忘れたか? 宝具はつかえん、そういい放ったのは貴様だろうが」

 

 よもや虚言か? 言外にそう匂わせるアサシンに対し、バーサーカーは涼しい顔で応じる。

 

「ああ、その通り。商売道具にして自慢の右腕を預けているものだからね。でも、交渉の道具がないわけじゃない」

 

 不敵な笑みを浮かべ、バーサーカーはいう。

 そうして視線を言峰四郎に向けて、

 

「誤解しないでほしいなぁ、四郎君だっけ? 僕の物言いがいささか激しかったのは認める。が、まずもって僕は君とアサシンさんと敵対する気はない、少なくとも当面はね。

 だからまぁ、まず僕のマスター、ああ、言い辛いな。今回の編集さんを呼びつけた方がいいメリットを説明しよう。

 あのね、何で僕が自慢の右腕を渡してまでこんな事をしたと思う?

 こうすることであの人は、とある人物をその肉体に憑依させる事ができるんだよ。それもそんじゃそこらの英霊じゃない」

 

 かの女神の栄光

 

 アサシンと言峰四郎が息をのむ。それほどの衝撃を与える称号であった。

 もしバーサーカーの言が本当ならば、その人物をここルーマニアに呼び寄せた時点で、この陣営の勝ちは確定となる。

 ただし。

 言峰四郎が口を開く。

 

「貴方の言が事実だという保証は?」

 

 バーサーカーは人を食った笑みを浮かべて言う。

 

「そこは信じていただくしかありませんなぁ。別にいいんだよ、放っておいても。ただしその場合僕はとっとと逃げ出させていただきます。後はあなた方が勝手にやり合えばよろしい」

 

 双方の陣営が激突しあえば、後に残るのはバーサーカーとそのマスターのみ。

 

「ならば貴様をここで殺す」

 

 アサシンの言にもバーサーカーの笑顔は揺るがない。

 

「結構ですな。その場合、僕の右手はあの人の身体から離れる。言うまでもなく、その場合例の英雄様は雲散霧消。ここで最強の手札を捨てますと? それにその場合なら、僕も少々抵抗させていただきますぜ?」

 

 バーサーカーはおもむろに右手を掲げた。手の甲に刻まれた令呪をさらす。

 

「大方察しがついてるでしょうが。通常の人間にサーヴァントを憑依させるなんて土台無茶な話。僕の右手を貸し与えて、そこに令呪のブーストかけてやっと。さて、つまり例の英雄様を使役できるのはわずか三回。

 しかしここで令呪を使用して呼び寄せ、暴れ回らせればあなた方お二人の息の根程度なら」

 

 ギリギリ何とかなるでしょうな。

 

 表面上はにこやか。しかし、言葉の奥に潜めた殺気は本物。

 バーサーカーの本職はクリエイターである。だが、修羅場をくぐってこなかった訳では断じてない。

 その気迫は、アッシリアの女帝が向ける殺気を凌ぎはしなかったが、負けはしなかった。

 

「どうする、マスター?」

 

 言峰四郎は少し考えこんだ後、言った。

 

「分かりました。アサシン、ここはひいてください。バーサーカー、貴方の要求をのみましょう」 

 

「おお! 良かった、いやぁ、荒事は苦手だから、冷や冷やしたよ」

 

 そういってバーサーカーは笑う。が、話はそこで終わらなかった。

 

 四郎は続けていった。

 

「で、貴方はどこまで把握しているのですか?」

 

「ん? それは一体どういう意味で?」

 

「極東日本が生んだ最強の語り部。貴方の両眼なら、この物語の一連の顛末をすでに把握していてもおかしくないはず。どこまで把握しています?」

 

 バーサーカーの完勝に終わるかと思われた一連の交渉。しかし、まだ終わりの鐘は鳴ってはいない。

 

 バーサーカーは右手で顎をなでた。そうして言う。

 

「そうそう、そこも確認しておきたかった。何だかそちらさん、僕の真名も能力をすでに知っているみたいな口振りだけど、どういう事かな? 記録上、僕は今回が初めて召還されたっぽいんだけど」

 

 言峰四郎はちらりと部屋の扉に目を向け、

 

「それは。直接あの人に説明して貰った方がいいでしょう」

 

 その言葉にあわせるように、扉を開けて一人の人物が部屋に入ってきた。

 異様と称する格好。ぼろ切れと見まがう布切れに、顔面には鉄の仮面。

 体つきから男性と分かるが、当然顔は見えない。

 ずるりずるり、おぼつかない足取りで部屋の中に入ってくると、その人物はおもむろに鉄仮面に両手をあて、すっとそれを脱いだ。

 その下に現れた素顔は。

 

「はははははっはははは。こいつはいい! 最高、なるほど、君がキャスターか、そうか、なるほどこいつは納得だわ。もう座が埋まっていたら、こりゃ僕がバーサーカークラスになるのも至極当然の話。了解、了解。さて、それなら、話は簡単だ。次話についての話を進めましょうか?」

 

 笑いつつ、バーサーカーは胸の内で呟いた。

 さて、あの人はどう動くかな、と。

 

 




ここからどうしよう、考え中。
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