孕んだ赤ちゃんは【リボ払い】で強制出産 ~用済みとパーティー追放された俺は、可愛いサポート産婆と一緒に取り立てた胎児を運用して最強を目指す。〜 作:リボ払いンズ・アルマーク
この世界では、十五歳になると創世神からギフトを授かる。ふーん。
剣を振るう力。炎を生む力。未来を見る力。原作をろくに見てないのに二次創作小説を書く力。
そして、ごく稀に。稀に。稀に。
他人の子宮へ、赤ちゃんを貸し付ける力。
「レント、魔力と赤ちゃんが足りない!」
「待って、障ガイ! 今、胎児を一人送ります!」
俺は叫び、掌を前に突き出した。
「ユニークギフト──《子宮庫(マタニティ・バンク)》!」
眩い光。照らす太陽。真夏のビーチ。Lv制限B地区。
俺の胎内に保管されていた“将来産まれる予定の赤ちゃん”が、仲間である障ガイの腹部へと送金……いや、送胎される。
「ぐおっ!? 腹が……あたたかい……!産まれろ…!生命よ……!」
「これで三か月分の戦力は持ちます! 障ガイ、今なら大型母乳魔獣にも勝てます!」
「助かる! やっぱりお前は、孕ませることだけは一流だな!それ以外はカスだから死んだ方がいいマジで」
褒め言葉だった。(原作ママ)
あの頃の俺は、そう思っていた。(原文ママ)
──数年後。
「レント。お前、今日でパーティーを抜けろ」
は?
夕暮れの酒場。
若手有力パーティー『断乳の剣』のリーダー、障壁系ギフトを持つガイ略して障ガイは、俺にそう言った。
隣には幼なじみのミサイルポッド。(攻撃力900)
回復術師のエル・プサイ・コングルゥ。
俺、妊貸レント。群を抜いたイケメン。
そして、腹だけが異様に大きくなった、俺の功績たち。産みの苦しみ。
「え……? どうしてですか」
「どうしても何もないだろ。このキショオスカマホモ妊娠野郎」
障ガイは自分の腹を撫でながら、嫌そうに顔をしかめた。
「俺たちはもう極限の赤ちゃんのおかげで強くなった。魔物も倒せる。ダンジョンにも潜れる。子供も七人いる」
「八人ですよ赤ちゃんの数は」
「細けえことはいいんだよ!」
障ガイは机を叩いた。自分の腹も叩いた。その弾みで腹の赤ちゃんが産まれる。ボトッ
「お前は何ができる? 剣も使えない。魔法も使えない。コンドームやオナホも使えない。敵が来たらすぐ後ろに下がる。女を見たら腰を振る。やることと言えば、俺たちの腹を大きくしているだけだ」
「でも……皆さんが戦えたのは、俺が貸した赤ちゃんのおかげで……」
「貸した?」
ミサイルポッドが笑った。
「レント。あんた、まだそんな旧石器時代のウホウホ言ってた原始人みたいなこと言ってるの?」
「は?」
「子供は授かったものでしょ? 神様からの祝福即ちギフトよ。金貸しみたいな言い方、やめなよ」
「いや、でも母子手帳に──」
「母子手帳?」
エル・プサイ・コングルゥが、俺の手に持っていた革表紙の帳簿を覗き込む。
そこには、これまで仲間へ貸し付けた胎児が記されていた。
障ガイ:六児。無限の病気持ち。
ミサイルポッド:四児。ワキガを移す能力。
エル・プサイ・コングルゥ:三児。死亡。
利息:未設定。なんかリボ払いになってる。
返済期限:善意に基づく。返さなかったらアニメが打ち切りになる。おもんなさすぎ罪。
「気持ち悪い……」
エル・プサイ・コングルゥは吐き捨てた。当たり前である。
「私たちの大事な大事な赤ちゃんを、数として見ていたんですか?」
「ち、違います! これはあくまで記録で……」
「もういい」
障ガイが立ち上がる。
「この話まだする? お前は用済みだ。これ以上、俺たちの人生設計に関わるな」
「でも、俺がいなくなったら、障ガイの次の赤ちゃんは……」
「いらねえんだよ!」
酒場が静まった。
「俺たちはもう、孕ませるだけの役立たずなんか必要としてない」
「俺たちはもう、孕ませるだけの役立たずなんか必要としてない」
孕ませるだけの役立たず。
その言葉が、胸に刺さった。なんで2回同じこと言ったの?
俺はただ、幼なじみであり仲間でもある彼らの役に立ちたかった。だから自分の未来を切り売りし、赤ちゃんを貸し付け、腹を満たして。(赤ちゃん踊り食い)
それなのに。。。
「……わかりました」
俺は立ち上がった。
「パーティーを抜けます。ぷももえんぐえげぎおんもえちょっちょっちゃっさっ」
「え?どういうこと? 話が早くて助かるぜ」
「ただし、障ガイ」
「……あ?」
「今お腹にいる七人目だけは、どうか大切に──」
「うるせえ!!」
次の瞬間、首を掴まれた。原作通り。
「ぐっ……!?」
「お前が勝手に汚ねえジャンボリー赤ちゃん貸し付けただけだろうが。俺たちは頼んでねえ。腹の中身まで、お前の所有物みたいに数えるな」
「ち、違……俺は……中山……きんに君……」
「は?二度と俺たちに関わるなダボカス」
ガイは俺を酒場の外へ投げ捨てた。背中を強く打ち、息が詰まる。それでも痛みより先に、自分の腹部へ妙な違和感が走った。
俺は一人も孕んでいないはずなのに。
酒場の扉が閉まり、その向こうからガイの声が聞こえる。
「おいミサ。クソキモイやつの退場祝いだ。今日は飲むぞ」
「障ガイ、飲み過ぎはよくないわよ。今、お腹に七人いるんだから」
「七人目も気合いで何とかなる!」ボトッ
俺は立ち上がれなかった。
__こうして俺は、パーティー『断乳の剣』を追放された。
ちなみにガイは、この直後に八人目を孕んだ。
その事実を俺はまだ知らない。
__________
その夜、俺は金も宿も仲間も失い、町外れの馬小屋で一人眠ろうとしていた。
だが、腹だけが痛かった。赤ちゃんの声が聞こえた……?
「うっ……!?」
生まれて初めて、自分の腹部が光った。なんの光ィ!?
赤、青、黄、緑。
出産予定表のような光が空に浮かぶ。
《ギフト《子宮庫》の進化条件を確認》
《債務者からの悪意を確認》
《貸付胎児総数:十三》
《返済意思:ゼロ》
《ただいまより《子宮庫》は進化します》
「な、何が……?」
《無限の子宮庫(インフィニット・マタニティ・バンク)》
俺の視界に、知らない文字が並んだ。
《新機能:胎児強制徴収》
《新機能:出産プラン選択》
《新機能:延滞損害ベビー》
「延滞……損害……ベビー?」
「その通りです♡」
背後から、やけに明るい声がした。
振り向くと、空中に小さな妖精が浮かんでいた。
白い産婆服。
へその緒みたいなリボン。
巨大な注射器と、そろばん。
「初めまして、妊貸レントさん! わたし、サポート産婆妖精のエムピーです!」
「エムピー……?」
「はい♡ あなたが今まで仲間に貸し付けてきた赤ちゃん。その返済状況を管理するために、産婦人科が派遣しました!」
「返済……できるのか?」
「もちろんです!」
エムピーは空中に、巨大な返済プラン表を出した。
【一括出産】
今すぐ全員産む。普通に危険。死ぬ。
【分割出産】
月々一人ずつ産む。精神が死ぬ。マタニティブルー。
【リボ出産】
毎月の出産数は少ない。
ただし残高に応じて胎児が増える。産みの苦しみを味わえ。
「待ってください。最後のやつ、どう考えてもダメでは?」
「他もふつーにアウトだろ♡ でも、月々のお支払いはとっても楽ですよ♡」
「赤ちゃんが増えるんですよね? 俺の」
「はい♡」
「……」
「返済方法は、債権者であるレントさんが選べますよ!」
エムピーはにっこり笑った。
「元仲間のバカクソアホ(原文ママ)のみなさんから、貸した赤ちゃんを取り立てましょう!」
脳裏に、障ガイたちの顔が浮かんだ。
俺を役立たずや妊活男と呼んだ顔。
母子手帳を気持ち悪いと笑った顔。
俺が貸した希望ある未来を、最初から自分たちのものだと思っていた顔。
「エムピー」
「はい♡」
「返済方法は」
俺は立ち上がる。
「無限リボ地獄編で」
「承知しました♡」
空が赤く染まった。天が鳴き大地が震える。
遠く離れた酒場で、ガイの腹が再び大きく脈打ったらしい。
悲鳴が聞こえた気がした。
「お前たちが抱えた赤ちゃんは、俺の元本だ」
《胎児強制徴収、開始》
「取り立てるぞ」
これは。
用済みとパーティーを追放された俺が、可愛いサポート産婆とともに。
貸し付けた赤ちゃんを、利息付きで回収して最強を目指す物語である。
第1話のまとめ
・レントは《子宮庫(マタニティ・バンク)》で、仲間に赤ちゃんを貸していた。
・パーティー『断乳の剣』は、レントを「孕ませるだけの役立たず」と二回呼び追放した。
・レントのギフトは《無限の子宮庫》へと進化した。
・サポート産婆妖精エムピーが登場した。
・返済プランはリボ出産になった。エムピーが勝手に決めた。
・ガイは今後、たぶん大変なことになる。