孕んだ赤ちゃんは【リボ払い】で強制出産 ~用済みとパーティー追放された俺は、可愛いサポート産婆と一緒に取り立てた胎児を運用して最強を目指す。〜   作:リボ払いンズ・アルマーク

3 / 3
第3話 運用とは、胎児を利息で増やして武器に替えることである

 

断乳の剣を去った俺とエムピーは、町外れの馬小屋へ戻っていた。

 

二話の最後に障ガイたちへ《胎児強制徴収》を発動したが、回収できたのは十三人分の胎児のうち、合わせて〇・〇三人ほどだったらしい。いや、0.03人と書いた方が読みやすい。この世界では、赤ちゃんにも小数点が存在する。理解しろ。

 

「マスター様! 初回請求で得た赤ちゃんを、さっそく運用しましょう!」

 

どういう事だ?

 

エムピーは俺の目の前でそろばんを鳴らし、空中に《子宮庫》の残高画面を表示した。

 

《胎児残高:0.03人》

《利息予定:無限》

《現在の資産状況:終わり》

《推奨運用先:スキル、武器、火災、堕胎、せどり、転売》

 

「最後ら辺の項目、雑すぎないか?」

 

「投資とは、だいたい堕胎or転売です♡」

 

「違うと思うんすけど」

 

「貧乏性で無能で、資産の流動性も理解していないキモキモマスター様には難しかったですねぇ。要するに、回収した赤ちゃんを元手に、スキルを買えるんです!」

 

どういう事だ?

 

エムピーが指を鳴らすと、目の前に巨大な一覧表が開いた。

 

《短小剣術(ショート・チンコ) 0.01人》

普通の短剣術より短い。気持ちの問題。冒険者は皆、このスキルを覚えてから冒険にでる。

 

《産火魔法(バーニング・バース) 0.02人》

火球を放つ。たまに産まれる。何がとは言わない。言えない。アカシックレコード。

 

《母乳鑑定 0.03人》

だいたい分かる。母乳ソムリエになりたいそこの貴方に。

 

《回転寿司 0.01人》

回る。寿司が。君は何をそれ以上望む?

 

「最後の二つは何なの」

 

「期間限定スキルです♡」

 

「いつまでだよ」

 

「永劫です♡」

 

俺は無視した。虫みたいな妖精だけに。

 

俺は悩んだ末、《短小剣術》と《産火魔法》を選んだ。合計で胎児0.03人分。昨日までの俺は剣も魔法も使えなかったが、今は少なくとも、短小の剣を振れて、産まれかけの赤ちゃんみたいな火球を投げられる。

 

それだけで、少しだけ嬉しかった。何が?

 

「良い買い物でしたね、マスター様」

 

「短小剣術という名前だけが不満なんだけど」

 

「短い人生でしたね♡」

 

「死んでねえよ」

 

「死んでないの残念です♡」

 

エムピーはいつものように邪悪な笑顔の後、町の北にそびえる巨大な迷宮を指差した。

 

「では、メルバの大迷宮へ行きましょう! 戦って、稼いで、喘いで、AVを違法視聴して、漫画村を閉鎖して、レベルを上げて、さらに赤ちゃんを運用するのです!」

 

「さっき回収した赤ちゃんを戦闘スキルへ替えましたが、倫理的には大丈夫なんですか?」

 

「もちろんです!」

 

エムピーは即答した。

 

「倫理がある世界なら、男のマスター様が《子宮庫》なんて持っていません♡」

 

何も言い返せなかった。原作でもあったような気がした。

 

__________

 

メルバの大迷宮。

 

入口には大勢の冒険者が集まり、それぞれが武器や魔道具を確認していた。俺は借り物の短剣を腰に差し、隣には産婆服の妖精、頭上には《返済残高:0.00人》の文字を浮かべている。

 

周りから見れば、かなり怪しかったと思う。でも原作でエムピーは周りに見えてなかったと思う。傍から見たら一人で喋っている異常者だ。

 

「初めて一人で迷宮へ入るんですね、マスター様」

 

「エムピーがいるので一人じゃないけどね」

 

「私は周りから見えない妖精なので人数に含まれません♡」

 

「では何に含まれるんですか?」

 

「経費です♡」

 

「は?」

 

迷宮の第一層へ足を踏み入れると、薄暗い石壁の奥から小型の魔物が姿を現した。ゴブリンだった。手には錆びた短剣、顔には明らかな敵意、腹にはなぜか赤ちゃんが一人いた。

 

「ゴブリンまで孕んでいるの?」

 

「迷宮は多様性の時代です♡」

 

「oh、多様性    '      」

 

ゴブリンが飛びかかる。

 

俺は慌てて短剣を抜いた。短小剣術の効果なのか、刃は本当に短かった。だが身体は、昨日までとは違う。足が動く。腕が動く。まるで産まれたばかりの赤ん坊のような俊敏な動き。敵の攻撃を避け、短い刃を振るう。赤ん坊って俊敏なの?

 

ゴブリンの腕に浅い傷が走った。

 

「短小が届いちゃったぁ!!」

 

「浅いですねぇ。赤ちゃんの爪痕程度です♡」

 

「褒める気はないんですか?」

 

「ありません♡」

 

ゴブリンが再びお腹の赤ちゃんを気にしながら距離を詰める。俺は後ろへ下がり、掌を前に突き出した。

 

《産火魔法(バーニング・バース)》

 

「いけ、俺の赤ちゃん利息0.02人分の火力!」

 

掌の前に、小さな火球が生まれた。まるで産まれたばかりの胎児のようだ。意味わかんね。

 

火球は妙に赤く、妙に元気で、なぜか産声のような音を立てながらゴブリンへ飛んでいく。

 

「おぎゃああああああ!!」

 

「火球が鳴いたのかよ!?」

 

爆発。玉砕。大喝采。

 

ゴブリンは壁へ吹き飛び、そのまま動かなくなった。腹にいた赤ちゃんだけが、何事もなかったかのように親指を立てていた。I"ll be back。

 

《乳母ゴブリンを討伐しました》

《妊娠経験値を獲得しました》

《赤ちゃんは獲得していません》

《キモマスター残念でしたね♡》

 

「最後の表示はエムピーですよね?」

 

「私ではありません♡」

 

「絶対お前だろ」

 

それでも、俺は笑っていた。うおって。

 

初めて自分の力で魔物を倒した。仲間の後ろで魔力と赤ちゃんを配る赤ちゃん配達員の役割だけではなく、自分で剣を振り、自分で火を放った。

 

短小剣術でも。

 

産火魔法でも。

 

俺は、ようやく冒険者になれた気がした。

 

楽しいんだよなぁ、女友達と喋ってるような気がして。

 

__________

 

その頃。

 

断乳の剣が借りている宿では、障ガイが朝から自分の腹を睨み続けていた。

 

「……減っている」

 

「何が?」

 

ミサイルポッドがパンをパンパースしながら訊く。

 

「赤ちゃんがだ。昨日の夜まで、確かに八人いた」

 

「鋼鉄の七人よ」

 

「八王子の八人だ!」

 

「クロスボーンガンダム鋼鉄の七人だって言ってるでしょ!」

 

「どうでもいいだろ!」

 

エル・プサイ・コングルゥは、死んでいないのに青い顔をしていた。彼女は腹部へ手を当て、静かに呟く。

 

「私の赤ちゃんも、二・九九九九九九九九九九九九九九九九人から減っていません」

 

「減っていないなら何でそんな顔してるんだよ」

 

「無限小数点が怖いからですねぇ」

 

それはそうだった。

 

障ガイは昨夜の光景を思い出していた。レントが来た。返済を求めた。殴った。そして、自分たちの腹はほんの少しだけ軽くなった。赤ちゃんを降ろしていないというのに。

 

全て偶然ではない。必然である。byニーチェ

 

あの無能カスでんちゃ好きハイエナセクハラ魔人だったレントが、何かを手に入れたのだ。

 

「……レントだ」

 

障ガイがお腹を十回弄りながら低く呟く。

 

「俺たちの将来の大事な腹に何かしたのは、あいつだ」

 

「でも、赤ちゃん貸付しかできないレントにそんな力は……」

 

「昨日まではな」

 

障ガイは拳を握った。

 

「魔力を貸すだけのギフトだったはずだ。だが、追放した直後に俺たちから赤ちゃんを回収して、しかも増やしている」

 

「増えてるの?」

 

「まだ分からねえ。だが、昨日から腹の中がやたらうるさい」

 

その瞬間。

 

障ガイの腹部が、ぐるるるる、と鳴った。

 

そして。

 

ボトッ。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「八人目ね」

 

ミサイルポッドが言った。

 

障ガイは机に拳を叩きつけた。

 

「レントを探すぞ」

 

ミサイルポッドが自分のお腹をまさぐりながら言った。

 

「ない!ない!私の0.1人、どこに行ったのよ!」

 

「知らねえよ。足と腸だけ回収されたんだろ」

 

「それ、今返ってきても困るんだけど」

 

障ガイは机に拳を叩きつけた。机の下から、誰かの泣き声がした。オギャア

 

「レントを探すぞ」

 

「何のために?」

 

「問い詰めるためだ」

 

「何を?」

 

「俺の腹の中で、何人が、何を担保に、どのくらいの利率で増えているのかをだ」

 

「人に聞く内容じゃないでしょ」

 

「俺もそう思う」

 

障ガイの腹の中から、小さな声が聞こえた。

 

『リボ払いでーす♡』

 

障ガイは青ざめた。

 

__________

 

メルバの大迷宮、第三階層。

 

剣士のリンカは、壁際に立ったまま仲間たちの背中を見ていた。

 

「おいリンカ。回復薬、妊娠薬と一緒に全部持っとけ」

 

「避妊具もだ」

 

「あと、次の戦闘では前に出ろ。お前は剣と膣しか使えないんだから」

 

「チッ……分かりました」

 

「今舌打ちした?」

 

リンカは頷くしかなかった。

 

仲間たちは彼女を剣士として見ていない。ただ便利な荷物持ち、都合よく前へ出す盾、そして何かあれば赤ちゃんを貸してくれそうな都合のいい女くらいにしか思っていない。

 

そんな時だった。

 

迷宮の奥から、赤い火球が飛んできた。

 

「おぎゃああああああ!!」

 

赤ちゃんのような爆発音。

 

赤ちゃんのような悲鳴。

 

「見ましたか、マスター様!? 今の火球、めちゃくちゃボトボト産まれていましたよ!」

 

「火球に対して使う感想じゃないだろ」

 

リンカは、暗い迷宮の通路を見つめた。

 

そこには、短い剣を握ったお腹が白く光ってる青年が、一人で何もない空中へ話しかけていた。

 

「……何、あれ」

 

ドン引きしたリンカはまだ知らない。

 

彼が、妊貸レント。赤ちゃん童貞。

 

赤ちゃんを資産として運用し、元仲間の腹をリボ払いで破壊している男だということを。

 

第3話のまとめ

 

・レントは《胎児強制徴収》で得た0.03人分の赤ちゃんを、短小剣術と産火魔法へ運用した。

・レントはメルバの大迷宮で、初めて自分の力だけで子を成したゴブリンを倒した。火球は鳴いた。

・断乳の剣は、腹の中身が減ったり増えたりする原因がレントにあると気付き始めた。オギャ

・障ガイは八人目を確認した。たぶん九人目もいる。

・リンカは仲間から冷遇されている。原作通り。舌打ちはしてない。

・エムピーは経費である。20円。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。