雨の日の、書き残さない一行   作:風ゆらり ウサラートマート

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そして、二人のそばには黒い兎の黒兎吉と、白猫の総季。

雨の日の縁側でのんびり過ごしたり、些細なことで言い合いになったり、ときには思いがけない騒動に巻き込まれたり。

激動の幕末を背景に、個性豊かな仲間たちが繰り広げる、笑いあり、優しさあり、ちょっぴり切なさもある物語。

一話完結を基本としているので、どのお話からでもお楽しみいただけます。

兎耳隊長と仲間たちの、少し不思議な新選組日和。

※本シリーズは、新選組や歴史上の人物をモチーフにした「風ゆらり」のオリジナル歴史ファンタジーです。史実とは異なる設定や展開が含まれます。


陽だまりの一本

一、朝露と擦り傷

昨夜の雨は、夜半を過ぎても降りやまなかった。

 

新選組の宿舎の瓦屋根を叩く雨音は、時折、隊士たちの寝息さえかき消すほど激しくなり、庭の片隅に立つ古い柿の木を幾度となく揺らしていた。

 

けれども、夜が明ける頃には雨雲も東へ流れ、薄青い空の向こうから、柔らかな朝日が差し込み始めていた。

 

濡れた庭石の上では、木の葉から落ちる雨粒が小さな輪を描いている。

 

ぽたり。

 

ぽたり。

 

規則正しくもないその音が、かえって朝の静けさを際立たせていた。

 

道場には、まだ誰の姿もなかった。

 

磨き上げられた床板は朝日を受けて鈍く光り、高窓から斜めに差し込んだ陽光が、長い光と影の縞模様を描いている。

 

その静寂を破ったのは、障子が滑る軽い音だった。

 

「……よし」

 

最初に道場へ足を踏み入れたのは、坂本信子だった。

 

土佐の海を思わせる鮮やかな青い髪を後ろで結び、朱色の髪飾りを揺らしながら、ゆっくりと道場の中央へ歩いていく。

 

浅葱色の羽織を脱いで丁寧に畳み、袴の帯を締め直す。

 

信子は新選組の副隊長である。

 

隊士たちの前では、誰よりも冷静でありたいと思っていた。

 

剣を抜くべき時には迷わず抜き、守るべき者がいる時には、決して背を向けない。

 

その覚悟だけは、誰にも負けないつもりだった。

 

だが。

 

そんな信子にも、どうしても越えられない相手がいた。

 

「今日こそ……一本、取らせてもらうき」

 

壁際に立てかけられた木刀の中から、使い慣れた一本を手に取る。

 

樫の木で作られた木刀は、握るたびに懐かしい重みを伝えてきた。

 

柄に触れる右手の親指の付け根には、昨日の稽古でできた小さな擦り傷がある。

 

何度も握り直したせいで皮膚が薄く剥けていたが、信子は気にすることなく、その上から指を重ねた。

 

木刀を正眼に構える。

 

息を吸う。

 

そして、一振り。

 

ヒュッ。

 

空気を切り裂く鋭い音が、道場の奥まで走った。

 

もう一振り。

 

今度は踏み込みを加える。

 

足袋の裏が床板を擦り、木刀の切っ先が一直線に振り下ろされる。

 

悪くない。

 

少なくとも、自分ではそう思った。

 

「……昨日よりは、えいはずやけんど」

 

「昨日も同じことを言っていたぴょん」

 

「ひゃっ!?」

 

背後から聞こえた声に、信子は思わず木刀を取り落としかけた。

 

慌てて振り返ると、そこには、いつからいたのかウサラートが立っていた。

 

黒い髪に、ぴんと伸びた兎耳。

 

朝日を受けたその耳は、先端の細かな毛まで柔らかく輝いて見える。

 

新選組の隊長。

 

信子にとって、もっとも信頼する相手であり、もっとも剣を交えたい相手でもある。

 

そのウサラートは、いかにも楽しそうな顔で信子を見ていた。

 

「一昨日も聞いたぴょん」

 

「昨日は昨日、今日は今日やき!」

 

「その前の日も——」

 

「隊長!」

 

信子が木刀を突き出す。

 

「朝から人をからかわんといて!」

 

「本当のことを言っただけだぴょん」

 

「ほんなら、今日こそ一本取って証明しちゃる!」

 

ウサラートはくすりと笑った。

 

「楽しみだぴょん」

 

その何気ない返事が、信子には少しばかり悔しかった。

 

この一か月。

 

信子は毎朝、ウサラートに稽古を申し込んでいた。

 

一度も勝てていない。

 

それどころか、まともに一本を取れたことすらなかった。

 

攻め込めば流され、待てば先を取られる。

 

策を考えれば読まれ、力で押そうとすれば、こちらが息を切らす前に勝負が終わってしまう。

 

悔しい。

 

それでも、信子が稽古をやめようと思ったことは一度もなかった。

 

なぜなら、目の前の隊長を尊敬しているからだ。

 

強いから従うのではない。

 

この人の隣で戦える自分でありたいから、もっと強くなりたいのだ。

 

「……今日こそ、絶対やき」

 

小さく呟く信子を見て、ウサラートは木刀を取った。

 

「なら、始めるぴょん」

 

その時だった。

 

こつん。

 

道場の隅から、何かが床を叩く可愛らしい音がした。

 

信子が目を向けると、壁に掲げられた大きな「誠」の掛け軸の下で、二匹の小さな生き物が向かい合っていた。

 

黒兎吉と総季である。

 

黒い毛並みの兎と、白い毛並みの猫。

 

二匹の前足には、それぞれ身体の大きさに合わせた小さな木刀が握られていた。

 

正確には、黒兎吉は両前足で抱えるように持ち、総季は前足を器用に添えているのだが、本人たちは立派な剣士のつもりらしい。

 

黒兎吉は後ろ足を踏ん張り、真剣な顔で総季を見つめている。

 

対する総季は、長い尻尾をゆらゆらと揺らし、余裕たっぷりに相手の出方をうかがっていた。

 

「……あの子らも朝稽古なが?」

 

信子が目を丸くする。

 

「昨日から張り切っているぴょん」

 

「誰に似たがやろうねえ」

 

「信子だと思うぴょん」

 

「隊長も人のこと言えんろう!」

 

総季が小さく鳴いた。

 

その声に、信子は思わず笑った。

 

「見ちょって、総季。今日はあてが勝つきね」

 

総季は尻尾をぴんと立てる。

 

黒兎吉も、負けじと小さな木刀を持ち上げた。

 

それを見たウサラートが、真面目な顔で頷く。

 

「こちらも負けられないぴょん」

 

「……何の勝負なが?」

 

「隊長同士の意地だぴょん」

 

「黒兎吉を勝手に隊長にせんといて!」

 

そんな賑やかな朝のやり取りが終わると、二人は道場の中央へ歩み寄った。

 

木刀を構える。

 

視線が交わる。

 

そして、ウサラートの笑みが静かに消えた。

 

信子も呼吸を整える。

 

二人の間にあった柔らかな空気が、張り詰めた糸のように細く、鋭く変わっていった。

 

「始めるぴょん」

 

その一言で、朝の稽古が始まった。

二、足踏みとためらい

最初に動いたのは、信子だった。

 

「はあっ!」

 

床を蹴る。

 

踏み込みと同時に、木刀を斜め上から振り下ろした。

 

狙いは右肩。

 

速さも間合いも、悪くない。

 

だが、ウサラートは動じなかった。

 

木刀をわずかに傾け、信子の一撃を受け流す。

 

乾いた音が響いた。

 

カンッ!

 

勢いを逃がされた信子の身体が、わずかに前へ傾く。

 

しかし、そこで崩れるほど未熟ではない。

 

左足を残して踏みとどまり、手首を返して二撃目を放つ。

 

横薙ぎ。

 

続いて、下からの斬り上げ。

 

さらに、踏み込んで正面からの打ち込み。

 

カンッ、カンッ、カンッ!

 

木刀がぶつかるたび、道場に鋭い音が響いた。

 

信子の攻撃は速かった。

 

力強く、無駄も少ない。

 

隊士たちの中でも、彼女の剣の腕は決して劣るものではない。

 

だが。

 

ウサラートの木刀には、まるで初めから信子の剣筋が見えているかのような落ち着きがあった。

 

必要な分だけ動き、必要な分だけ受ける。

 

受け流すたびに、信子の足がわずかに乱れる。

 

「くっ……!」

 

次の一撃を放とうとした瞬間。

 

ウサラートの身体が、すっと視界の外へ滑った。

 

(しまった!)

 

気づいた時には遅かった。

 

信子が振り向くより早く、木刀の切っ先が胸元へ向けられていた。

 

そして、寸前で止まる。

 

「一本だぴょん」

 

「……っ!」

 

信子は悔しそうに唇を噛んだ。

 

まただ。

 

また、同じところで負けた。

 

「まだ始まったばかりやき!」

 

「昨日も聞いたぴょん」

 

「それはもうえい!」

 

思わず頬を膨らませる。

 

ウサラートは楽しそうに笑っていたが、その木刀は下がったままだった。

 

信子が落ち着くまで、次の動きを促すこともしない。

 

その気遣いが、かえって悔しかった。

 

(なんでやろう……)

 

信子は木刀を握り直した。

 

傷のある親指の付け根が、ちくりと痛む。

 

毎日稽古をしている。

 

走り込みも欠かさない。

 

素振りだって、誰にも負けないほど繰り返してきた。

 

剣筋は見えている。

 

ウサラートがどう動くか、ある程度は予想できるようにもなっている。

 

それなのに。

 

あと半歩。

 

あと一瞬。

 

いつも、そこへ届かない。

 

まるで、見えない何かに足を掴まれているようだった。

 

「……隊長」

 

「どうしたぴょん?」

 

「ひとつ、聞いてもえい?」

 

「もちろんだぴょん」

 

信子は一度視線を落とした。

 

副隊長という立場がある。

 

隊士たちに教えることもある。

 

そんな自分が、今さら剣のことで弱音を吐くのは、少しばかり情けない。

 

けれども。

 

分からないことを分からないままにしておく方が、もっと情けないと思った。

 

「……あてには、何が足らんが?」

 

ウサラートはすぐには答えなかった。

 

高窓から差し込む光へ目を向ける。

 

陽光の中では、細かな埃がゆっくりと舞っていた。

 

「信子は、考えすぎだぴょん」

 

「考えすぎ?」

 

「そうだぴょん。打ち込む前から、失敗した時のことを考えているぴょん」

 

信子は何も言えなかった。

 

図星だった。

 

打ち込んで受け流されたらどうする。

 

避けられたら次はどこを狙う。

 

足を払われたら。

 

間合いを詰められたら。

 

木刀を弾かれたら。

 

頭の中では、いくつもの勝負が繰り広げられていた。

 

そして、そのほとんどで自分は負けていた。

 

「……けんど、考えんと打ち込んだら、ただの無鉄砲やないですか」

 

「考えることが悪いとは言っていないぴょん」

 

ウサラートは静かに首を横に振った。

 

「考えたことを、最後には自分で信じるぴょん」

 

「自分で……?」

 

「信子は、自分で考えた一手を、打ち込む直前に疑ってしまうぴょん」

 

その言葉を聞き、信子は顔を上げた。

 

「その一瞬、足が止まるぴょん」

 

ウサラートは木刀の先を床へ向けた。

 

「信子の剣は速いぴょん。けれど、踏み出す時に迷いがあるぴょん。その迷いが、ほんの少しだけ動きを遅らせているぴょん」

 

ほんの少し。

 

その言葉が、信子の胸に引っかかった。

 

剣を交える時、ほんの少しの迷いが命取りになる。

 

それは何度も教わってきたことだった。

 

それなのに、自分は。

 

「……怖いがよ」

 

ぽつりと、言葉がこぼれた。

 

ウサラートが信子を見る。

 

「隊長の剣が怖いんやない。負けることも、ほんまは怖うないはずながよ」

 

信子は木刀を握る手に目を落とした。

 

「けんど、ここで失敗したらって思うたら……身体が勝手に止まってしまう」

 

口にして初めて、自分の弱さがはっきりした気がした。

 

副隊長だから、強くなければならない。

 

隊長の隣に立つのだから、失敗してはならない。

 

そんな思いが、いつの間にか自分を縛っていたのだろうか。

 

ウサラートは少し考え込んだあと、穏やかに答えた。

 

「怖くてもいいぴょん」

 

「……え?」

 

「怖いと思えるのは、大切なことだぴょん。自分の剣が誰かを傷つけることも、自分が傷つくことも、ちゃんと分かっている証拠だぴょん」

 

ウサラートは一歩、信子へ近づいた。

 

「でも、怖さだけに剣を預けてはいけないぴょん」

 

信子は、その言葉を胸の中で繰り返した。

 

怖さだけに、剣を預けない。

 

意味は分かる。

 

けれど、どうすればよいのだろう。

 

「……難しいこと言うねえ、隊長は」

 

「簡単だったら、稽古はいらないぴょん」

 

「それもそうやね」

 

信子は苦笑した。

 

頭で理解することと、身体が動くことは別だ。

 

それを知っているからこそ、今日もここに立っている。

 

その時。

 

道場の隅から、小さな音が聞こえた。

 

こつん。

 

続いて、何かが転がる音。

 

信子とウサラートは、同時にそちらを振り返った。

三、小さな転倒

黒兎吉と総季の稽古は、いつの間にか白熱していた。

 

黒兎吉は小さな木刀を一生懸命に振り上げ、目の前の総季へ向かって踏み込んでいる。

 

しかし、総季は身軽だった。

 

ひょい。

 

黒兎吉の一撃をかわす。

 

くるり。

 

長い尻尾を揺らしながら、もう一度かわす。

 

「……総季の方が、だいぶ上手やね」

 

信子が呟く。

 

「黒兎吉も頑張っているぴょん」

 

ウサラートは真剣な顔で二匹を見守っていた。

 

黒兎吉は何度も木刀を振る。

 

そのたびに、総季は軽やかに身をかわす。

 

ついに大きく踏み込んだ黒兎吉は、勢い余って自分の足をもつれさせてしまった。

 

ころん。

 

見事な一回転。

 

「おおっ!」

 

ウサラートが拍手した。

 

「鮮やかな体さばきだぴょん!」

 

「隊長、ただ転んだだけやろう!」

 

信子が思わず笑う。

 

黒兎吉は何事もなかったかのように起き上がり、毛並みを整えるように前足を動かした。

 

そして、再び木刀を構える。

 

総季はそんな黒兎吉を見て、尻尾をふわりと揺らした。

 

二匹の様子があまりに真剣なので、信子もウサラートも、いつしか自分たちの稽古を忘れて見入っていた。

 

今度は総季が動いた。

 

白い身体を低くし、後ろ足に力を溜める。

 

黒兎吉が迎え撃つように木刀を持ち上げる。

 

次の瞬間。

 

総季が勢いよく飛び出した。

 

けれども、その前足が着いた場所には、小さな水滴が残っていた。

 

庭に面した障子の敷居近く。

 

昨夜の雨が吹き込んだのだろう。

 

普段なら見落としてしまうほどの、ほんのわずかな水。

 

それが、総季の足を滑らせた。

 

「……っ!」

 

信子が息を呑む。

 

総季の身体が、横へ大きく傾いた。

 

その先には、木製の防具箱が置かれている。

 

このまま転べば、勢いよく角にぶつかってしまう。

 

「総季!」

 

信子が叫ぶより早く。

 

からんっ!

 

黒兎吉の木刀が、床へ投げ出された。

 

黒兎吉は、迷わず総季へ飛び込んでいた。

 

両前足を広げ、滑ってくる白い身体を受け止める。

 

どすん。

 

ころころっ。

 

二匹は絡まり合うように床を転がり、防具箱の少し手前で止まった。

 

道場が静まり返る。

 

「……黒兎吉! 総季!」

 

信子は木刀を置き、駆け寄った。

 

ウサラートもすぐ後に続く。

 

「大丈夫かえ! どこも痛うない?」

 

信子は総季を抱き起こした。

 

総季はきょとんとした顔で信子を見つめている。

 

どうやら怪我はないらしい。

 

その隣で、黒兎吉がゆっくりと身体を起こした。

 

黒い耳が片方だけ、ぺたりと寝ている。

 

身体をぶつけたのか、少し驚いたような顔をしていた。

 

「黒兎吉も大丈夫だぴょん?」

 

ウサラートがしゃがみ込む。

 

黒兎吉は、ぴんと耳を立て直した。

 

そして胸を張った。

 

まるで、何事もなかったとでも言いたげな顔だった。

 

「……ふふっ」

 

信子は思わず笑ってしまった。

 

「強がりやねえ、黒兎吉は」

 

その時、総季が黒兎吉へ近づいた。

 

白い前足をそっと伸ばし、黒兎吉の頭をぽんと叩く。

 

黒兎吉は一瞬、驚いたように耳を動かした。

 

けれど、すぐに嬉しそうに鼻をひくひくさせた。

 

二匹はしばらく顔を寄せ合っていた。

 

信子は、その様子を静かに見つめた。

 

「……立派だったぴょん」

 

隣でウサラートが呟く。

 

「黒兎吉のこと?」

 

「そうだぴょん」

 

「……木刀を捨てて助けたことが?」

 

ウサラートは頷いた。

 

「黒兎吉は、勝負よりも大事なものを見つけたぴょん」

 

信子は床へ目を向けた。

 

投げ出された小さな木刀が、少し離れた場所に転がっている。

 

黒兎吉は勝負をしていた。

 

総季に勝とうと、何度も木刀を振っていた。

 

ところが、総季が転びそうになった瞬間。

 

黒兎吉は、その勝負をあっさりと捨てた。

 

勝つことも。

 

木刀を持ち続けることも。

 

自分が転ぶかもしれないことも。

 

何も考えず、目の前の総季へ飛び込んでいた。

 

「……迷わんかったね」

 

信子が呟く。

 

「そうだぴょん」

 

「木刀を捨てたら、勝負には負けるのに」

 

「総季を守れたぴょん」

 

ウサラートは柔らかく笑った。

 

「大事なものは、手の中だけにあるわけじゃないぴょん」

 

信子は、はっとした。

 

手の中の木刀。

 

勝つために握り締めていたもの。

 

一本を取りたい。

 

負けたくない。

 

隊長の前で、情けない姿を見せたくない。

 

そんな思いばかりが、いつの間にか自分の剣を支配していた。

 

けれども。

 

本当に大切なものは、何だったのだろう。

 

勝つことだろうか。

 

強い自分を証明することだろうか。

 

それとも。

 

大切な仲間を守れる剣士になることだろうか。

 

信子は、黒兎吉の小さな背中を見つめた。

 

(……そうか)

 

胸の奥に、何かが静かに落ちた気がした。

 

黒兎吉は、総季を助けようとして飛び込んだ。

 

怖くなかったわけではないのかもしれない。

 

けれど、それよりも先に、身体が動いた。

 

自分にも、そんな瞬間があったはずだ。

 

誰かを守ろうとして、迷わず駆け出した時。

 

仲間の声を聞いて、考えるより先に刀へ手を伸ばした時。

 

あの時は、自分がどう見られるかなど考えていなかった。

 

ただ、目の前にいる相手のために動いていた。

 

「……隊長」

 

信子が立ち上がる。

 

ウサラートが顔を向けた。

 

「もう一本、お願いするき」

 

その声は、先ほどまでとは少し違っていた。

 

悔しさに任せた声ではない。

 

勝ちたいという焦りもない。

 

ただ、もう一度剣を交えたい。

 

そう願う、真っ直ぐな声だった。

 

ウサラートは信子の表情を見つめた。

 

そして、にっこりと笑う。

 

「今度は、昨日とは違う信子を見せてほしいぴょん」

 

信子は思わず吹き出した。

 

「昨日やのうて、今日の信子やろ?」

 

「そうだったぴょん」

 

「ほんま、隊長には敵わんねえ」

 

信子は木刀を拾った。

 

先ほどまで感じていた手のひらの痛みは、まだ消えていない。

 

けれど、不思議と気にならなかった。

四、陽だまりの刃

再び、二人は向かい合った。

 

道場の中央。

 

九尺ほどの間合いを取って、静かに木刀を構える。

 

黒兎吉と総季は、今度は稽古をやめて、壁際に並んで座っていた。

 

総季は前足を揃え、尻尾を身体の横へ巻いている。

 

黒兎吉も、その隣で耳をぴんと立てていた。

 

まるで、これから始まる勝負を見届けるつもりらしい。

 

信子は、一度目を閉じた。

 

息を吸う。

 

ゆっくりと吐く。

 

胸の中には、まだ怖さが残っていた。

 

ウサラートの剣は速い。

 

一瞬でも気を抜けば、また一本を取られるだろう。

 

それは分かっている。

 

けれど。

 

(怖うても、えい)

 

信子は目を開いた。

 

(怖さに負けて、足を止めんかったらえいがよ)

 

ウサラートが木刀を中段に構えている。

 

その姿は静かだった。

 

余計な力もなく、肩も落ち着いている。

 

先ほどまでの飄々とした雰囲気は消え、目の前には一人の剣士が立っていた。

 

信子は、その姿をじっと見つめた。

 

今までは、木刀の先ばかり追っていた。

 

どこへ打ち込んでくるか。

 

いつ攻撃を仕掛けてくるか。

 

それだけを考えていた。

 

だが、今は違う。

 

ウサラートの肩。

 

呼吸。

 

足の向き。

 

身体全体のわずかな重心移動。

 

木刀だけでなく、目の前にいる相手そのものを見ようとした。

 

すると、不思議なことに気づいた。

 

ウサラートは、決して動かないわけではなかった。

 

呼吸に合わせて胸が上下し、足先の向きがわずかに変わる。

 

黒い兎耳も、信子の動きを追うように小さく揺れている。

 

(……隊長も、あてを見ちゅう)

 

当たり前のことだった。

 

けれど、それを本当の意味で感じたのは、初めてだった。

 

自分だけが相手を見ているのではない。

 

相手もまた、自分を見ている。

 

だからこそ、そこには駆け引きが生まれる。

 

そして、その駆け引きの中にこそ、一瞬の隙がある。

 

信子は、右足を少しだけ前へ出した。

 

すっ。

 

足袋が床板を滑る。

 

そこは、朝日が差し込む陽だまりだった。

 

昨夜の雨で冷えた道場の中、その一角だけが少しずつ暖まり始めている。

 

信子は、その温もりを足の裏に感じた。

 

生きている。

 

今、自分はここに立っている。

 

木刀を握り、尊敬する隊長と向かい合っている。

 

そのことが、急に嬉しくなった。

 

(……こんな朝が、好きやねえ)

 

ほんの一瞬、信子の口元に笑みが浮かんだ。

 

その変化を、ウサラートは見逃さなかった。

 

黒い兎耳が、ぴくりと動く。

 

(……来るぴょん)

 

ウサラートの重心が、わずかに前へ移った。

 

信子にも、それが見えた。

 

次の瞬間。

 

ウサラートが踏み込んだ。

 

速い。

 

それまでの攻防とは、明らかに違う鋭さだった。

 

木刀が上段へ上がる。

 

同時に、振り下ろされる。

 

風を裂く音が耳元を走った。

 

(来た!)

 

信子の背筋に、冷たいものが走った。

 

怖い。

 

身体が、反射的に後ろへ下がろうとする。

 

いつもなら、ここで一歩引いていた。

 

一歩引いて、体勢を整えようとしていた。

 

そして、その一歩が間に合わず、打たれていた。

 

けれど、今は。

 

(下がらん!)

 

信子は、右足を踏み込んだ。

 

真正面からは受けない。

 

ウサラートの木刀が振り下ろされる軌道から、身体をわずかに外す。

 

同時に、自分の木刀を斜めに立て、相手の打ち込みへ添えた。

 

ぎりっ。

 

木と木が擦れ合う音。

 

衝撃が腕を走る。

 

重い。

 

思わず膝が沈みそうになる。

 

だが、信子は踏みとどまった。

 

受け止めるのではない。

 

流す。

 

相手の力を、真正面から押し返さない。

 

木刀の角度を変え、横へ逃がす。

 

ウサラートの切っ先が、信子の肩先をかすめるように通り過ぎた。

 

その一瞬。

 

信子は左足を滑らせ、身体を回した。

 

木刀を振り下ろしたウサラートの左側へ回り込む。

 

(今や!)

 

心が叫んだ。

 

けれど、同時にもう一つの声が聞こえる。

 

失敗したら。

 

間に合わなかったら。

 

切り返されたら。

 

その声は、いつもと同じだった。

 

怖さは消えていない。

 

それでも。

 

信子は、もう迷わなかった。

 

(……あての剣を、信じる!)

 

最後の一歩。

 

床板を強く踏み締めた。

 

木刀を引く。

 

肩の力を抜き、腰から腕へ、腕から切っ先へと力を伝える。

 

視線の先には、ウサラートの左肩があった。

 

打ち込める。

 

そう確信した瞬間、信子は木刀を振り出した。

 

ウサラートが振り返る。

 

その瞳が、驚きに見開かれた。

 

切り返そうと、木刀を引き戻す。

 

だが。

 

ほんのわずかに、信子の方が早かった。

 

——ぴたり。

 

音はしなかった。

 

信子の木刀は、ウサラートの左肩口、その着物のすぐ手前で止まっていた。

 

力任せに叩きつけたわけではない。

 

勢いに任せて振り抜いたわけでもない。

 

最後まで、自分の意思で制御した一撃だった。

 

信子は、息を止めていた。

 

ウサラートも動かなかった。

 

二人の影が、陽だまりの中で交差している。

 

その光景を見つめながら、信子はようやく理解した。

 

自分が踏み込めなかった理由。

 

そして、今、踏み込めた理由を。

 

怖さが消えたからではない。

 

強くなったからでもない。

 

自分を疑うよりも先に、目の前の相手を信じて剣を交えられたからだ。

 

ウサラートは、信子が本気で打ち込んでも、その剣を受け止めてくれる。

 

そして、自分もまた、その信頼に応えられる剣を振りたかった。

 

(……ああ)

 

信子の胸が、熱くなった。

 

(あては、隊長と剣を交えることが……こんなにも好きやったがやね)

 

朝日が二人を照らす。

 

長い沈黙のあと。

 

信子は、かすれた声で尋ねた。

 

「……一本、やね?」

五、晴れやかな朝

ウサラートは、しばらく信子の木刀を見つめていた。

 

驚いたような顔だった。

 

信子は、急に不安になった。

 

もしかすると、今のは一本として認められないのかもしれない。

 

踏み込みが浅かっただろうか。

 

木刀を止める位置が悪かっただろうか。

 

いや、そもそも。

 

(……また、考えすぎちゅう)

 

信子は心の中で苦笑した。

 

そして、ウサラートの返事を待った。

 

やがて。

 

ウサラートの口元が、ゆっくりと緩んだ。

 

「……ふふっ」

 

小さな笑い声。

 

次いで、心底嬉しそうな笑顔が広がった。

 

「文句なしの一本だぴょん!」

 

その言葉が道場に響いた瞬間。

 

信子の胸に、熱いものが込み上げた。

 

「……やった」

 

木刀を握る指が震えている。

 

「やった……!」

 

声が大きくなる。

 

「取れた……! 隊長から、一本取れたがや!」

 

嬉しさが、身体中を駆け抜けた。

 

この一か月。

 

何度も打ち込んでは負けた。

 

悔しくて、眠れない夜もあった。

 

どうすれば届くのか分からず、一人で素振りを繰り返した朝もあった。

 

それでも、やめなかった。

 

今日もまた、ここへ来た。

 

その積み重ねが、ようやく一つの形になった。

 

「隊長!」

 

信子は、満面の笑みでウサラートを見た。

 

「見たかえ! とうとう一本取ったきね!」

 

「見事だったぴょん」

 

ウサラートは素直に頷いた。

 

「今日の信子の剣は、とても良かったぴょん」

 

その言葉に、信子は一瞬、言葉を失った。

 

ウサラートが自分の剣を褒めてくれた。

 

それが、一本を取れたことと同じくらい嬉しかった。

 

「……ほんまに?」

 

「本当だぴょん」

 

ウサラートは木刀を下ろした。

 

「最後の一歩、迷わなかったぴょん」

 

信子は自分の足元を見つめた。

 

陽だまりの中に、自分の足跡が残っているような気がした。

 

もちろん、実際に床へ跡がついたわけではない。

 

けれど、その一歩を踏み出した感覚だけは、確かに身体に残っていた。

 

「……隊長のおかげやね」

 

信子が小さく言う。

 

ウサラートは首を横に振った。

 

「踏み出したのは信子だぴょん」

 

「けんど、隊長が教えてくれんかったら——」

 

「教えたことを、自分の剣にしたのは信子だぴょん」

 

ウサラートは優しく微笑んだ。

 

「だから、胸を張っていいぴょん」

 

その言葉に、信子は目を細めた。

 

胸の奥が、じんわりと暖かくなる。

 

「……ありがとう、隊長」

 

素直な声だった。

 

いつものように照れ隠しで言い返すこともなく、信子は深く頭を下げた。

 

ウサラートも、静かに頷いた。

 

その時。

 

「キュイッ!」

 

道場の隅から、小さな鳴き声が響いた。

 

振り返ると、総季が尻尾を高く立てていた。

 

黒兎吉も、ぴょんぴょんと跳びはねている。

 

どうやら、二匹も信子の勝利を喜んでいるらしかった。

 

「ふふっ、見ちょったが?」

 

信子がしゃがみ込む。

 

総季はすぐに駆け寄り、信子の膝へ前足をかけた。

 

「ありがとう、総季」

 

信子は白い頭を撫でた。

 

すると、黒兎吉も負けじと近づいてきた。

 

その顔には、どこか誇らしげな表情が浮かんでいる。

 

「黒兎吉にも、お礼を言わんといかんね」

 

信子は黒兎吉へ手を伸ばした。

 

「さっきの勇気、見習わせてもろうたき」

 

黒兎吉は、くすぐったそうに耳を動かした。

 

ウサラートも隣へしゃがみ込む。

 

「黒兎吉も立派な先生になったぴょん」

 

その言葉を聞いた黒兎吉は、さらに胸を張った。

 

総季はそんな黒兎吉を見つめると、前足で軽く肩を叩いた。

 

まるで、得意になりすぎだと言っているようだった。

 

信子は声を上げて笑った。

 

朝の道場に、久しぶりの賑やかな笑い声が響く。

 

しばらくして。

 

信子は木刀を持ち直した。

 

「……隊長」

 

「どうしたぴょん?」

 

「もう一本、お願いするき」

 

ウサラートの耳が、ぴくりと動いた。

 

「まだやるぴょん?」

 

「当たり前やろう!」

 

信子は楽しそうに笑った。

 

「一本取れたきって、それで終わりやないがよ。今度は二本目やき!」

 

「欲張りだぴょん」

 

「隊長が強すぎるがやき!」

 

ウサラートは肩をすくめた。

 

「でも、次はそう簡単に取らせないぴょん」

 

「望むところやき!」

 

信子は木刀を構えた。

 

その顔には、もう迷いはなかった。

 

もちろん、次も勝てるとは限らない。

 

むしろ、ウサラートが本気で切り返してくれば、再び負けるかもしれない。

 

それでも、構わなかった。

 

負けることを恐れて、剣を交える楽しさを忘れるよりも。

 

何度でも向かい合い、何度でも挑む方が、ずっと自分らしい。

 

そんな気がした。

 

「ところで、信子」

 

ウサラートが、ふと思い出したように声をかける。

 

「なんや?」

 

「負けた方が、道場を拭くことにするぴょん」

 

「……は?」

 

信子の動きが止まった。

 

「そんな約束、しちょらんけんど?」

 

「今から約束すればいいぴょん」

 

「隊長!」

 

信子は思わず声を張り上げた。

 

「あてが一本取ったあとに言うことやないろう!」

 

「なら、次の勝負からだぴょん」

 

「それやったら、隊長が勝ったらあてが拭くことになるやない!」

 

「よく分かったぴょん」

 

「分かっちゅうなら、そんなこと言わんといて!」

 

ウサラートは、どこまでも楽しそうに笑っている。

 

信子も呆れながら、つい笑ってしまった。

 

まったく、この隊長には敵わない。

 

剣ではようやく一本取れたというのに、口ではまだまだ勝てそうになかった。

 

その二人の足元を、小さな影が横切った。

 

黒兎吉と総季である。

 

どうやら、二匹も稽古を再開するらしい。

 

黒兎吉が木刀を持ち上げる。

 

総季も器用に前足を添える。

 

だが、その途中で、黒兎吉が木刀を取り落としてしまった。

 

ころん。

 

小さな木刀が床を転がる。

 

黒兎吉が拾おうとするより先に、総季が近づいた。

 

白い口元で木刀をそっと咥え、黒兎吉の前へ置いてやる。

 

黒兎吉は、少し照れたように耳を伏せた。

 

そして、総季の背中へ前足を伸ばし、ぽんぽんと優しく撫でる。

 

総季は、何でもないことのように尻尾を揺らした。

 

信子は、その光景を静かに見つめた。

 

さっきは黒兎吉が総季を助けた。

 

今度は総季が黒兎吉を助けている。

 

そこに勝ち負けはなかった。

 

どちらが強いかも、どちらが偉いかも関係ない。

 

大切な相手が困っていたら、自然と手を伸ばす。

 

ただ、それだけだった。

 

「……えいねえ」

 

信子が呟く。

 

ウサラートが隣で首を傾げた。

 

「何がだぴょん?」

 

「黒兎吉と総季のことやき」

 

信子は微笑んだ。

 

「ほんまに、えい仲間やね」

 

ウサラートも二匹を見た。

 

「そうだぴょん」

 

「……あても、そうありたいがよ」

 

その言葉に、ウサラートが信子へ目を向ける。

 

信子は、少し照れくさそうに笑った。

 

「強うなることばっかり考えちょったけんど……強さって、それだけやないがやね」

 

一本を取ること。

 

相手に勝つこと。

 

それも、もちろん大切だ。

 

剣士である以上、強くなろうとする気持ちは捨てたくない。

 

けれど。

 

強さを求める理由まで、忘れてはいけないのだ。

 

誰かを守るために。

 

大切な仲間と、明日も笑い合うために。

 

自分が信じる道を、自分の足で歩くために。

 

そのための剣でありたい。

 

信子は、手の中の木刀を見つめた。

 

親指の付け根に残る小さな擦り傷。

 

何度も負けて、何度も握り直した証だった。

 

きっと、これからも傷は増えるだろう。

 

失敗もするだろう。

 

悔しい思いも、何度となく味わうに違いない。

 

けれど、それでもいい。

 

今日の自分は、昨日の自分よりも、ほんの少し前へ進めたのだから。

 

「……隊長」

 

「なんだぴょん?」

 

信子は顔を上げた。

 

その表情には、晴れやかな笑みがあった。

 

「これからも、稽古に付き合うてくれる?」

 

ウサラートは、少し驚いたように信子を見つめた。

 

そして、すぐに笑った。

 

「もちろんだぴょん」

 

信子も笑った。

 

「ほんなら、今日もまだまだ終わらんきね!」

 

「何本でも受けて立つぴょん!」

 

二人は再び道場の中央へ歩いていった。

 

木刀を構える。

 

間合いを取る。

 

視線が合う。

 

その足元には、柔らかな陽だまりが広がっていた。

 

庭の柿の葉から、最後の雨粒が落ちる。

 

ぽたり。

 

小さな音がした。

 

そして。

 

カンッ!

 

澄んだ木刀の打ち合う音が、朝の道場に響き渡った。

 

壁に掲げられた「誠」の一字が、陽光を受けて静かに浮かび上がっている。

 

その下では、黒兎吉と総季もまた、小さな木刀を構えて向かい合っていた。

 

ふたつの大きな影と、ふたつの小さな影。

 

四つの影が、朝の光の中で重なり合う。

 

信子は木刀を振りながら、心の中で思った。

 

今日の一本を、きっと忘れない。

 

勝てたことだけではない。

 

怖さを抱えたまま踏み出した一歩も。

 

黒兎吉が総季へ差し伸べた小さな腕も。

 

自分の剣を信じてくれた隊長の笑顔も。

 

すべてが、この朝の陽だまりとともに、胸の中へ残っていくだろう。

 

明日になれば、また負けるかもしれない。

 

それでも、明日もここへ来よう。

 

何度でも木刀を握り、何度でも挑もう。

 

自分の剣を磨きながら、誰かを守れる強さを育てていこう。

 

その先に、どんな困難が待っていたとしても。

 

今日のように、最後の一歩を踏み出せる自分でありたい。

 

「はあっ!」

 

信子の木刀が、朝の光を切り裂く。

 

「まだまだだぴょん!」

 

ウサラートの明るい声が、それに応えた。

 

笑い声と木刀の音が交じり合い、道場いっぱいに広がっていく。

 

昨夜の雨が残した冷たさは、もうどこにも感じられなかった。

 

ただ、柔らかな陽射しが、四つの影を優しく包んでいた。

 

——今日もまた、新選組の朝が始まる。




【あとがき・設定資料のご案内】
本作のオリジナルキャラクターのビジュアルや詳細な設定資料は、Pixiv・noteにて公開しています。
関連リンクまとめ
https://x.com/kazeyurarinn
https://lit.link/kazeyurari
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ウサラートマート(Usarart Mart)
風ゆらりが手がける、ウサラートとその仲間たちのオリジナルキャラクターブランド。

個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語や、LINEスタンプなどを通じて、ちょっと不思議で楽しい世界をお届けします。

企画・制作:風ゆらり(kazeyurari)
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