生き抜け!デーモンコアくん! 作:某1話の博士
事情聴取、そして協力関係の締結が終わった後、2人は町中を歩いていた。セイバーは霊体化し、デーモンコアくんはマイナスドライバーを離さないように、結束バンドで上下を固定された状態でリュックサックの中に入っていた。
『これじゃ、喋れないじゃないか』
『それくらい我慢しろ。あと、恨むなら霊体化できない自分を恨んでくれ』
デーモンコアくんは念話で康太に訴えかけるも、軽く一蹴されてしまう。最初に使った令呪で自分からマイナスドライバーを外すことはない、だろうが外的要因では外れる。それこそ転んだ拍子にマイナスドライバーがポロリなんてしたら、たまったものではない。その為、デーモンコアくんには多少悪く思いながらも、強引な手段をとったのだ。
「リュック…、すごい動いてますね」
「リュックを下手にジロジロ見ないでくれ。余計バレやすくなったらどうするんだ」
モゾモゾと不可解に動く康太のリュックサックinデーモンコアくんに澄香は苦笑いを浮かべ、康太はバツの悪そうな顔をして澄香から目を逸らした。
そんなことをしながら歩いていると、澄香の服のポケットからピロンと、子気味のいい電子音が聞こえた。それを聞いた澄香の顔は少しだけ明るくなり、ポケットからスマホを取りだして、連絡を確認した。スマホからちらりと見えた画面から、康太はその連絡の相手が母親という事を知った。だが、会話内容までは見えることはなかった。
「───あっ、ごめんない!許可も取らずにスマホをずっと見てしまって…」
「いや、いい。そこまで気にする訳がないだろ。にしても、スマホか」
連絡を確認し終えた澄香はスマホを急いでポケットにしまい、オドオドとしながら康太に謝罪をした。それに康太は少し引きながらも、スマホについて考えた。
魔術師は基本的に電子機器を持たない。その理由は様々だが主に3パターンが存在する。
1、魔術や神秘を重んじているが故、近代機器を邪道と考え、軽視や軽蔑をして触れようとしないタイプ。殆どがこのタイプに分類される。
2、そもそも近代機器に必要性を感じないタイプ。基本的にはあまりいないが、辺境に住んでいる魔術師に多く見られる。原始的な方法で行うため、メッセージは文通で十分だと考えたりする。
3、単純に機械音痴なタイプ。魔術師は1、2のタイプから9割以上は機械音痴だ。一部の魔術師は機械を使えたりするが、それは例外的なごく一部の例だ。その中でも、稀に見るのが機械を使う事に抵抗は無いが、そもそもが先天的機械音痴、というパターンだ。
この中で康太は2に分類される。
かと言って、電子機器を使わない訳では無いが、一昔前で時代が止まっており、持っていても少し大きめのウォークマンやガラケー、PSPくらいだ。そんな康太から見て、スマホは物珍しい物だった。
「もしかして、スマホ持ってないんですか?」
「スマホは持ってないな。基本的には文通をしてる」
その回答に澄香は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をし、ありえないものを見るかのような目で、康太の平然とした顔を凝視した。
「いや、なんだよ。問題ないだろ?基本的には魔術師なんて殆どが海外にいるんだから、文通でも変わりないだろ?というか、スマホは無いがガラケー?なら持ってるぞ?他の魔術師とは違って俺は機械音痴じゃ……おい、どうしたんだよ?」
俯き、プルプルと震える澄香に康太は少し恐怖混じりの心配で寄り、顔を覗こうとした。その時、澄香は勢いよく顔を上げ、康太の手首を強く握りしめた。
「お金、ありますよね!?」
「え、いや、…まぁ、一応ありはするけども……」
「なら、行きましょう!スマホを買いに!行きましょう!」
「え、あ、…はい」
康太はその気迫に押され、されるがまま携帯電話ショップに連行され、即座に契約を済まし、スマホを買った。
その後、店から出て、黒いカラーのスマホを片手に握り、自分と澄香の顔が反射する液晶をジッと見ていた。
「なぁ、伏見」
「はい、どうかしましたか?」
良く言えば玩具を手に取った赤子のように、悪く言えば文明の利器をその手に握った猿のようにスマホの全体をまじまじと見つめながら、康太は澄香に声をかけた。澄香はそれに明るい声で反応し、応えた。
「その、買ったはいいんだけどもな、使い方が分からないんだが」
「………えっ?」
自称ではあったものの機械音痴ではないと言っていたが、それはあくまで魔術師基準の話。一般人視点から見れば、彼も立派な機械音痴だった。
そしてその後康太は、近くの公園のベンチにて、澄香による熱血指導で少しは覚えることができた。
「なるほど、わかった、感謝する」
「それなら、良かったです…!」
魔術師の機械音痴を治すのには一苦労し、澄香は謎の達成感と全能感を感じながら、明るい笑みを康太に向けた。
「それじゃあ、今夜の夜9時。マスターとサーヴァントの捜索、戦闘に出るが、行けるか?」
「はい!行けます!」
「よかった。なら、8時45分に連絡と目星の場所を送る。目星の場所に来てくれ。頼んだぞ」
そう言い残し、2人は別れ、それぞれの家へと帰って行った。
───
──
─
夜8時45分。紺色のジーンズに黒のハイネック。その上にライトブルーのデニムジャケットを着た澄香が自分の家の近くを歩きながら、康太からの連絡を待った。
そして手に握るスマホから通知音が鳴り、澄香は急いで確認をした。
送られてきたのはマップのスクショ画面。そこは心霊スポットとしても知られる北載瀬寺だった。
いくら康太がそこに居るとはいえ、これから北載瀬寺に向かうとなると、少し恐ろしく感じた。そんな中、ある1文が追加で送られてきた。
『imanotokorodaremoinai。sokomadeisoganakutemoiizo』
「──────」
「ハッ。あいつ、まだ扱えてねぇじゃんかよ」
澄香はその文面に思わず顔を両手で覆ってプルプルと何かを堪えるように震え、セイバーは鼻で笑いながら、その文を面白そうに見ていた。
<CHARACTER>
【東 康太/KOUTA AZUMA】
・年齢:17歳
・誕生日:10月8日
・身長/体重:175cm/68Kg
・魔術回路本数:20本
・魔術:
・契約サーヴァント:バーサーカー/デーモンコアくん
『平凡。凡夫。凡才。至って平均的かつ普通な魔術師の少年。中途半端な自分と、周りの魔術師を見て、多少劣等感を抱いているため、魔術師と関わるのが好きではない。聖杯戦争に参加した理由は、馬鹿にしてきた周りの魔術師を見返すため。他の魔術師と違い、逆張りからか近代機器にも一応少なからず触れており、魔術師ながらも機械や科学の歴史も多少なりとも知っている。デーモンコアに関してはあくまで、デーモンコアという物があった、という事しか知らない。』
【伏見 澄香/SUMIKA FUSHIMI】
・年齢:16歳
・誕生日:6月20日
・身長/体重:161cm/54Kg
・魔術回路本数:28本
・魔術:???
・契約サーヴァント:セイバー/???
『魔術師の子ながらも、魔術師ではない普通の女子高生。自身の父が魔術師だったということは知っているものの、魔術師や魔術そのものをよくわかっていない。不幸体質であり、何かと色んなことに巻き込まれる。その為、友人がほぼ居らず、誰かの役に立とうと奮闘している面がある。そして、かつて澄香の父が聖杯戦争参加の為に用意した召喚陣と触媒により、召喚された。』
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【余談】
ちなみに、康太の機械音痴具合は魔術師のほうならまだマシ程度。凛を音痴度60とするなら、康太は50〜53くらい。凛より少しマシなだけで、メールを英語キーボードでローマ字を打つくらいには機械音痴で、一般人から見れば凄い機械音痴。