生き抜け!デーモンコアくん! 作:某1話の博士
原作:Fate/
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”聖杯戦争”─────。
それはキリスト教にて伝わる神の血を受けし杯であり、全ての魔術の根底にあるとされる魔法の釜。そして、ありとあらゆる願いを叶えることが出来るとされる最高位の聖遺物にして、万能の願望機”聖杯”。
そして、それを巡り、7人のマスターが、聖杯によって召喚された7騎のサーヴァントと契約し、最後の1組になるまで争い続ける戦争。それこそが聖杯戦争だ。
聖杯、そしてそれが呼び出すかつて在りし英雄の魂”
そして、今”
牧師”エルミール・ヘラッケレス”を監督役とし、現在召喚されたクラスは
残るクラスは
そして今、運命の歯車が回ろうとしていた。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
1人の少年が召喚陣に向かって、詠唱を行っていた。
黒髪のウェーブパーマに中背程度の身長をしている、ごく普通の男子高校生であり、平凡な魔術師だ。
「
少年は深く息を吸い、魔力の流れを更に意識し、魔術回路を励起させる。召喚陣は徐々に光を放ち始め、風を巻き起こす。
「──────
その言を告げた途端、召喚陣は更に激しく光を放ち、突風を放つ。少年の髪や衣服を激しくはためかせ、部屋にあった資料や本、道具は勢いよく宙へと吹き飛ばされる。
「告げる。汝の身は我が下に。我が運命は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
本来であれば、次の節で詠唱は終わる。だが、一部のクラスには召喚時に追加詠唱が必要となる。
そして彼が狙うサーヴァント。それはただ1騎───
「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者」
バーサーカーを召喚する時のみに使われる一節。彼が狙うはバーサーカー。魔力消費量が激しい上、制御不能ながらも、単純なスペックは並のサーヴァントをも上回る。ハイリスクハイリターンのクラスを狙い、少年は詠唱を続けた。
「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」
───触媒も詠唱も完璧だ。狙いは外さないだろう。
少年の心の中では、緊張と興奮が入り交じり、脳内麻薬が溢れ出ていた。
召喚陣が極光と突風を放ち、そのあまりの強さに少年は両腕で顔を覆った。
嵐のような突風が鎮まり、光が消える。部屋の中には煙が立ち込め、視界が悪くなっていた。
少年は煙を払い、召喚陣の方を急いで見る──────だが、そこには何も、誰も居なかった。
霊体化しているという訳でもない。魔力の反応もなく、サーヴァントは見当たらなかった。
「まさか……召喚は失敗したのか…!?どうして…っ!触媒はちゃんとしたものを使ったはずじゃ!?」
触媒があった場所へ駆け寄る。そこには依然として触媒として用いたものが残っていた。贋作───偽物の触媒だったのだ。
その事実を知り、少年は膝から崩れ落ちる。大枚を叩き、ありとあらゆるリソースを費やし、やっとの思い出参加できると確信していた聖杯戦争。それがたかが偽物のせいで、悲願が潰えるなど、受け入れることができなかった。
「あのクソ商人、探し出して絶対に「や゛ぁ゛!゛」
突然、召喚陣の方から妙に滑舌の悪い声が聞こえた。
「───は?」
召喚陣の中央。そこには銀色の半球を2つ合わせた直径30cm程の球体が、割れ目にマイナスドライバーを挟み、謎の原理で上側の半球がパカパカと上下に動きながら声を発していた。
そして何よりも、目と手足が付いていた。それも子供が描くような粗雑な棒状の手足と、大きな円の中心に黒い点を描いただけのもの。
そもそも
「こ゛ん゛に゛ち゛ワ゛!゛サ゛ー゛ウ゛ァ゛ン゛ト゛、ハ゛ー゛サ゛ー゛カ゛ー゛!゛ホ゛ク゛、テ゛ー゛モ゛ン゛コ゛ア゛く゛ん゛っ゛て゛い゛う゛ん゛た゛!゛」
マイナスドライバーを挟んでいるせいか、滑舌が悪く、話していることがよく聞き取れなかった。だが、本人曰く、バーサーカー。真名を”デーモンコアくん”と言う。
「で、デーモンコア、くん?……え???」
生物と言うにはあまりにも程遠い、鉄製の謎の存在。ゴーレムの類いだろうか?と考えるも、どの神話や叙事詩、物語にもその様な名前の英雄や登場人物、怪物は見当たらない。
ただし、その中である1つの物が出てきた。
デーモン・コア。1940年に精製され、ファットマンに次ぐ、第3の原爆としての使用するために核分裂の臨界反応の研究、実験を行うために、球状のプルトニウム・ガリウム合金と、それを覆う中心に球状に窪んだ2つのベリリウム製の半球の事だ。
中心のプルトニウム・ガリウム合金、もといその中に含まれているプルトニウム239は中性子を放つ物質であり、自身が放った中性子が反射し、当たると核分裂反応を起こす性質がある。そしてベリリウムは中性子を反射する性質がある。
この双方の性質を利用し、マイナスドライバーでベリリウムの半球同士を遠ざけたり、近付けたりすることで、プルトニウム・ガリウム合金が核分裂反応が連鎖的に起こるギリギリのポイントを調べる。それこそがデーモンコアである。
だが、この実験には1つだけ、とてつもなく大きな欠点がある。
それは、万が一手が滑り、マイナスドライバーが抜けて、ベリリウムの半球同士が完全に密着し、プルトニウム・ガリウム合金が密閉されるような事があれば、凄まじい速度で核分裂反応が発生し、たったの5秒程度で人間の致死量の5倍程の放射能を浴びてしまう代物。
要するに超危険な劇物という訳だ。
そう、そんな物が今目の前にいる。もっといえば手足と目が生えて、自意識が芽生えた状態で、目の前にいた。
「よ゛ろ゛し゛く゛ね゛!゛」
「よ、よろしく…ね……?」
デーモンコアくんと、ごく普通の魔術師の少年”
───
──
─
牧師エルミール・ヘラッケレスは霊器盤にて、バーサーカーの召喚を確認した。
「さて、これで7人のマスターと7騎の英霊が揃いましたね。随分と、バーサーカーの召喚までが長かったですが。まぁ、支障は出なかったことですし、気にすることでもありませんか」
霊器盤から離れ、教会内の長椅子に腰を掛けた。
長い髪を一束にまとめ、右目は赤色の宝石のように煌々とした輝きを宿していた。
「それにしても、まさか貴方々までもが召喚されるとは思ってもいませんでしたよ。貴方々も予想外だったでしょう?”ルーラーの御二方”?」
エルミールが振り向いた方には2騎のサーヴァントが居た。
しかし、その姿もまた、奇天烈珍妙なものだった。片側は二足歩行で直立している茶色の犬で、もう片方は二足歩行で直立しているピンクの兎。両方とも2〜2.5等身程で、なかなかにチープかつシュールな見た目をしていた。そもそもの話、見方によっては平面にも見えるような見た目をしている不思議なサーヴァントだ。
”ルーラー”。それは聖杯戦争の意志によって召喚されるマスターを持たない
聖杯戦争が異質、もしくは聖杯戦争が聖杯戦争として成り立たない時に召喚される存在であり、通常であれば召喚されない。だが、今回に至っては原因など目に見えてわかっていた。
「それでは、我々は見届けるとしましょうか。この聖杯戦争が、どのような姿を見せてくれるのかをね」
ピンクの兎は短い足で歩き、エルミールの隣に座った。そして茶色の犬は何となく予想していた。
───あいつ、ろくな事にならないわん。
そう、薄々思いながらも、いつもの事だと思い、エルミールを挟み込むように兎の反対側に座った。
<キャラクター>
・東 康太
日本生まれの普通の魔術師。才能があるわけでもなく、突出しているものもない。The普通といった少年であり、魔術師。魔術回路の本数は20本。契約サーヴァントはバーサーカー/デーモンコアくん。
・デーモンコアくん
デーモンコア、以上。滑舌と口が悪い。うっかりで口のマイナスドライバーを外し、青い光を放ちながら周りを吹き飛ばす。宝具は<
・エルミール・ヘラッケレス
アメリカ人であり、谷田川市の教会で牧師をしている。この聖杯戦争の監督役。言い回しが怪しいだけで、めっちゃくちゃいい人。好きな物は動物(可愛いものに限る)と甘いもの。
・ルーラー
両方二足歩行直立で、茶色の犬とピンクの兎の2匹1騎のサーヴァント。グラフィックや作画がデーモンコアくんと瓜二つ。能力不明。でも、放射能にはかなりの耐性を持っているとのこと。