カードアニメ世界で悪魔王の生まれ変わりだと勘違いされてる! 作:葱ラーメン大盛A定食セット(旧竜騎兵)
メンズーアの描写やカード効果、エフェクトを考えるのに他の人の表現やら参考にしつつハーメルンの特殊タグについて色々と調べました。
拙いファンサービスですけど楽しんでもらえると嬉しいです。
ご意見のファンサービスもお持ちしております。
2026/10/31 追記
サンダルフォンの効果を微調整しました。
土曜日に訪れた校舎は、普段は人で溢れているのにどこか閑散としてるようにも見えた。
休みの日は街へと降りるためのバスが校舎から出てるため、一般的な学生は街に降りて世俗に触れている。
ユニバに行ったりとかだな。この世界のユニバはメンズーアエリアもあるが。
校舎に残っているのは部活動に打ち込んでいる学生ぐらいなものだ。
俺達も勿論、部活動に打ち込む勤勉な生徒だ。
「で、肝心の夜都はCM撮影の為に居ないと」
流石はジュニアチャンプ。
あいつの忙しさは尋常じゃない。
俺達に調査をぶん投げて、あいつ自身はメンズーア犯罪撲滅月間キャンペーンの広報CМ撮影に向かいやがった。
因みにメンズーア犯罪には色々な種類がある。
一番代表的なのはカードの価値を知らない相手に高値でカードを売りつける詐欺行為だな。
メンズーアのカードは安い物だと十円ほどで買えるものもあるが、高い物だと何十億もするカードさえもある。
で、知識がない相手に高値でカードを売りつけるという詐欺行為を働く輩がそれなりにいる。
俺の両親が被害に遭った時は夜都と共に詐欺グループの拠点に殴り込んだこともあったな、まぁそれは今は置いといて……。
「この本棚の山から、資料を調べるのは骨が折れそうだな」
「惡都様。
私にお任せください、精霊の力も借りて探しますね。
調べる内容は、木々が枯れ始めた敷地内で過去に何があったか」
ふわり、と堕天が自らの腰から下げているデッキホルスターを指でなぞると、彼女のしもべたちが実体化して手分けして本を探し始めた。
【桜文楽】カードは、皆、見目麗しい少女達を模した人形だ。
俺の腰ぐらいまでの身長しかない麗しい人形と目と目が合う。
べーって舌を出されて威嚇された。
「お前らも少し働けよ……」
俺も堕天に倣って自分のデッキケースを撫でる、が。
そういうのは雑魚がやる仕事だの、我々にはデッキケースを温めるという重要な仕事があるだの、日本語読めないだの悪魔たちは全く仕事をしない。
少しは堕天の精霊たちを見習ってほしいものだ。
「……」
「お前もちょっとは堕天に協力しろよ」
本に顔を突っ伏して寝息を立てている鉄火の頬を指で突く。
こうやってみるとこいつの顔も整ってるな、中性的だ。
女性と言われても違和感はないかもしれん。
「はっ!? 寝てない、寝てないよ、
「寝てたぞ、鉄火」
「……おお、悪いな、はは」
「とりあえず、俺はこっちの本棚を調べるから、鉄火はそっちの本棚調べてくれ」
民俗史コーナーへと足を運び、目星を付けた本を手に取ってペラペラとめくる。
本のタイトルは『紙真理村興亡史』。
……どうやらアタリみたいだな。
「ちょっと集まってくれ、それっぽい本を見つけた」
「まぁ、流石は惡都様ですね。
私も気になる資料を見つけました」
「こっちは空振りだ~」
堕天は本を持ってきてくれた【山桜の巫女文楽】を優しく撫でてこちらに振り向いた。
撫でられた彼女は、にこっ、と笑みを浮かべて長い黒髪をふわりと揺らして喜びを表現してる。
「鉄火、お前真面目に調べてねぇだろ」
「そ、そんな事はないぞ~?」
【八重桜の弓文楽】と共に目を逸らす鉄火にジト目を向ける。
まぁ精霊にも人間にも向き不向きはあるし仕方ない。
そう思い直し、こほん、と一つ咳払い。
「事件が発生してる敷地内の一角にはかつて村があったらしい。
数十年前に廃村になった『紙真理』村だな。
元々過疎化によって人が少なかったこの場所は、とある事件がきっかけで急激に廃村に向かった」
「ええ、こちらの資料にも載っていました。
洞窟内での崩落事件。
それによって、富良野 瑠奈、当時11歳の少女が亡くなったようですね」
「うむ。
そしてここからが重要なんだが、この『紙真理』村には『真理』様と呼ばれる神が洞窟内で祀られていたそうだ。
村へと流れ星と共に落ちたカードが御神体らしい」
「んー、んー?
それが今回の事件に何か関係あるのか?」
「いや、直接的に関係があるかどうかは今は分からない。
だが、カードの精霊が関与してる可能性は高まった」
冷静に考えてみると流れ星と一緒にカードが落ちてきてそれを御神体として崇めるってなんなんだよ。
って思ったが、この世界の曹操はメンズーアの前身の更にそのまた前身の名手で、孫子が書いたカードゲーム必勝法の注釈もつけてるのだから今更なのかもしれない。
この世界ではよくある事だ。
「事件の後、急激な過疎化が進んで村は無人となりました。
その後、アカデミアがこの場所に移転してくるまでは放置されたままでした」
「んー、んー……あ、そう言えば山崎先生!
あの人のお父さんはこの近くに住んでたーって話を前に言ってたな」
「ああ、あの試験官の……」
授業中に居眠りしてる鉄火によくキレてる眼鏡をかけたあの先生だな。
俺の事を実技試験で本気で落とそうとした人でもある。
「次の目的地は決まったな」
実技部門のトップなだけあって、教員室と違って彼は個室を持っていた。
ドアをノックすると、疲れ切った声で鍵は開いてますのでどうぞと返ってきたので中に入る。
「……おや、珍しいですね。
皆さんがここを訪れるとは。
次のテストの答えを教えることはできませんよ?」
「鉄火については自業自得なんで、今回は関係ないですね」
ひどっ!? と言ってる鉄火を無視して話を進める。
「貴方のお父様はこのメンズーアアカデミアの近くに住んでいたと聞きました」
「ええ、まぁ。
中学時代に引っ越したそうですが、詳しい事は聞いてませんがね。
ただ、父の死の間際に日記は相続しましたね、もしかしたらそれに書いてるかもしれません」
「なら、それを見せていただくことはできますか?」
「――拒否すると言ったら?」
山崎先生が眼鏡を指で押し上げると、きらり、とレンズが光を反射して煌めいた。
「なんでしたっけ、皆さんの部活。
確かアカデミア七十七不思議研究会でしたっけ?
学長は気でも狂ったのか部活動として承認したみたいですけど、私は認めてませんからね?」
おっと、これは一筋縄では行かなさそうだな。
「皆さんこんな噂を聞いたことはありますか?
悪魔王の生まれ変わりとその取り巻きを部活という形で隔離するために夜都さんが身を張って部を作ったと」
えっ、そんな噂あるのか……?
いくら何でも酷くないか?
「七十七不思議研究会は危険人物の隔離先であると!
そんな皆さんに私が父親の遺品を貸すと思いますか!?
というか子ども達では危険な事もありますので変な事に首を突っ込まないでください!」
「やめなよ先生! ロジハラはよくないんだぞっ!?」
「そもそも、鉄火さんは部活で探偵ごっこするよりも赤点回避に集中してください!」
「あ、それは私も同意見です……」
「堕天!?」
「ククク……酷い言いようだな、まぁ事実だから仕方ないけど……」
「惡都!?
こ、こうなったら……!
俺がメンズーアに勝ったらその遺品を見せろ!」
うおっ、すっごい強引なメンズーアバトルの誘い文句。
やぶれかぶれかな?
「……良いでしょう。
ただし私が勝てば三人とも、私が直々に補習授業をしてあげましょう。
素の学力で京大入学するまで頭の中を勉強漬けにしてあげます」
メンズーアバトルを素直に受けるあたり、この世界はホビーアニメの世界なんだなと改めて認識した。
そしてさらっとこの先生恐ろしい事言ったぞ。
鉄火の補習に俺達も巻き込まれるのか???
「なら話は決まりだ!」
「ここでメンズーアバトルをするのは困ります。
実技部門の権限として、校舎のプレイスペースで行いましょう。
勝ったら皆さん毎週土日の十三時から十六時までみっちり勉強して貰いますからね」
鉄火と先生の勝負の結果で今後の学生生活の土日の使い方が決まろうとしていた。
理不尽だろとは一瞬思った!
が、ここは鉄火を信じる、俺よりも下手したら強いしな。
「「
校舎内に存在するプレイスペース。
最新鋭のホログラム発生装置のお陰でモンスターを立体投影し戦わせることができるこの場所は、休日の校舎内であるというのに利用者はちらほらと見える。
というより結構盛況だ。
何事かと、ギャラリーたちが集まり始める。
「先行は私が貰いますよ。
先行であるためドローフェイズはスキップ。
ソウルフェイズ、ソウルカードゾーンに【天界の尖兵:ハニエル】をセット」
天界の尖兵:ハニエル
【効果】
ソウルカードゾーンに置かれた時に発動することができる。
デッキトップを1枚めくり、それがモンスターカードだった場合は墓地に送る。それ以外の場合はデッキボトムに戻す。
「ハニエルの効果発動。
デッキトップを1枚めくります。
モンスターカード、【聖域の守護騎士:リチャード】を墓地に」
聖域の守護騎士:リチャード
【効果】
このカードがデッキから墓地に送られた時に発動することができる。
このカードをソウルカードゾーンに置く。
「【聖域の守護騎士:リチャード】の効果発動。
ソウルカードゾーンに配置」
これで先生のソウルは1ターン目にして8になった。
流石は実技部門の先生だけあってカードの使い方が上手い。
――そしてアレが来るな。
【エンジェルビート】の切り札の一枚が!
「――お見せしましょう。
ソウルを8つ消費。
顕現せよ、天の守護者にして人々の敵を打ち砕く剣よ
【天の剣:サンダルフォン】!」
天の剣:サンダルフォン
【効果】
このカードは以下の効果を持つ
1.1ターンに1回、手札のカードを1枚墓地に送った時に発動することができる。相手のカードを1枚選択し、破壊する。相手ターンでも使用することができる。
2.このカードとの戦闘時、相手はトリックカード、モンスターの効果を発動することはできない。
3.この効果は1ターンに1回しか使用することができない。ソウルを5消費して相手のライフポイントに2000ポイントのダメージを与える
その姿はまさしく天の威光を伝える天の遣い。
後光を背に受けて姿を現した、メンズーアプレイヤーにとっての死神。
ホログラムによって顕現し、周囲を威圧するように光り輝く剣を構え、切っ先を鉄火へと向けた。
「先行は攻撃できません。
カードを1枚場に伏せます。
これでターンエンドです。
このように、ソウルというコストがかかる上級モンスターも1ターン目でプレイング次第で召喚することもできます。
皆さんも自分のデッキのキーカードを早期に展開するためにデッキの構成を見直してみましょう」
圧倒的劣勢、だというのに、鉄火は不敵に笑みを浮かべた。
「――流石は実技のトップ!
へへっ、俺もワクワクしてきたよっ!
でも知ってるかい? 先生!
ヒーローっていうのは、どんな時にも諦めないものなんだぜ!」
その後は鉄火は防戦一方だった。
しかしながらも、その目からは闘志は失われていない。
場に展開したカードは相手の神の稲妻によって消し飛ばされ、サンダルフォンのバーン効果でそのライフポイントは確実に削られていく。
「これで5ターン目、ターンエンドです。
貴方の粘りは認めましょう、ですがこの盤面を突破することはできますか?
私から生徒への課題です。
場には【天の剣:サンダルフォン】、二枚目の【聖域の守護騎士:リチャード】、【聖域の守護騎士:ゴドフロワ】。
それに対して貴方は伏せカードが1枚のみ」
ついでにいえば、ソウルというリソースの差も大きなものだった。
相手のソウルは15だというのに、鉄火の8。
手札は鉄火が4枚、山崎先生が2枚と鉄火の方が多いが、リソースの差はいかんともしがたいように見える。
鉄火の伏せカードは1枚。
こちらからは見えないが、何をするつもりだ?
だが、彼の目からは闘志は失われてない。
むしろ、不敵に笑みを浮かべた。
「――こうでなきゃ楽しくないよなぁ!
俺のターン、ドロー!」
引いたカードを見て、にっ、と快活な笑みを彼は浮かべた。
勝利を確信したかのような自信満々の笑み。
勝利の女神に祝福されてるとしか思えない彼は、勝ち札を引き寄せたらしい。
「ソウルフェイズ!
俺は手札から【戦隊の始祖:ユミル】をソウルカードゾーンに設置!」
戦隊の始祖:ユミル
【効果】
このカードはソウルカードゾーンに1枚しか置くことができない。
このカードは以下の効果を持つ。
1.ソウルカードゾーンに置かれた際に発動することができる。自身の山札から【戦隊合体】カードを1枚手札に加える。
2.【巨神】と名のついたカードが破壊された時に使用することができる。このカードをソウルカードゾーンからモンスターゾーンにソウルを消費せずに展開することができる。この効果は1ターンに1回しか使用できない。
3.1ターンに1回、モンスターゾーンに置かれたこのカードをソウルカードゾーンに置くことができる。
「俺は山札から通常呪文、【戦隊合体:巨神激突】を手札に加える!」
「ほぅ、この状況でも諦めませんか。
面白い!」
まだ、余裕たっぷりと言った様子で山崎先生は笑みを浮かべている。
勝利は揺るがないと言いたげな表情だ。
「これでソウルは14!
メインフェイズ!
更に手札よりソウルを3つ消費! 通常呪文、【戦隊招集】を発動!」
戦隊招集
【効果】
デッキから【戦隊】と名のついたモンスターを1枚手札に加える。
「【戦隊招集】の効果発動!
デッキから【戦隊魔剣:グラム】を手札に!」
戦隊魔剣:グラム
【効果】
このカードはモンスターゾーンに存在する時、1ターンに一度、【戦隊】と名のついたモンスターに付与呪文として装着できる。
そのモンスターの攻撃力を1000ポイント上昇させる。
更に、装着時にライフを1点まで消費する。消費したポイント分、対象モンスターの攻撃力を上昇させる。
「コストとしてソウルを5消費し、魔剣グラムを召喚!」
ホログラムによって漆黒のオーラを漂わせた剣が顕現する。
このコンボは……なるほど、一気に捲るつもりだな!
「更に手札より、ソウルを6つ消費し、通常呪文、【戦隊合体:巨神激突】を発動!」
戦隊合体:巨神激突
【効果】
手札、墓地、除外ゾーンに存在する【戦隊】モンスターを対象に選ぶ。そしてそのカードをデッキに戻すことで、サブデッキからモンスターを召喚権を消費せずに召喚することができる。
「墓地に存在する【戦隊の自由人:ブラックラーズグリーズ】、【戦隊の旗手:ホワイトシグルーン】、【戦隊の調停者:グリーンエイル】をデッキに戻し、サブデッキより降臨せよ!」
「――炎の世界の番人。
破壊と再生の炎よ、今ここに顕現せよ!
【戦隊巨神:スルト】!!」
ホログラムによってフィールドが燃える。
終末の日がやってきたことを物語るかのように爆炎を背に巨神が姿を現す。
その体は全身が金属製。
神を模した【戦隊】の切り札、邪悪を打ち砕く矛。
場を制圧する神の剣と、その護衛である騎士達の前に堂々と姿を現した。
戦隊巨神:スルト
【効果】
このカードは戦隊合体と名のついたカードの効果でしか召喚できない。
合成獣素材:任意の戦隊と名のついたモンスター×3体。
このカードはプレイヤーに直接攻撃は行えない。
場に存在する全てのモンスターカードに攻撃を行う事ができる
攻撃力が守備力を上回っていた場合、その分相手のライフにダメージを与える
自身の攻撃が終了した時、このカードは破壊される。
「――なるほど!
そう来ましたか!
ですけど、保険は既に用意してますとも!
トリックカード【天界大方陣】! を発動!」
天界大方陣
【効果】
場に存在するエンジェルウォリアー族を全て守備表示に変更し、守備表示にしたモンスターの数×800ポイント全てのモンスターの守備力を上昇させる。
更に、このターン終了時まで戦闘によって発生するダメージ以外受けない。
抜け目なく、相手は万が一の防御札を用意していたらしい。
相手のエースカードの号令によって、騎士達と共に全方位を守る方陣が形成される。
「――その方陣ごとぶち抜く!
魔剣グラムをスルトに付与呪文扱いで装備!
更に、装備時の効果でライフを1ポイントまで削る!
俺のライフは3200!
1ポイントまで削って3199ポイント上昇!」
グラムがスルトの手に収まり、スルトから生み出された炎が魔剣を妖しく彩る。
「バトル!!
いっけーっ! 戦隊の巨神!」
戦隊の合体ロボが吠える。
その手に握られた魔剣が山崎先生のしもべを薙ぎ倒す。
方陣によって守備力が3500点に達したリチャードは真っ二つに切り裂かれ、爆炎が山崎先生に襲い掛かる。
切り倒した騎士の亡骸を踏み越え、盾を構えて待ち構えるゴドフロワに襲い掛かる。
守備力4600点。並のモンスターでは文字通り歯が立たない頑丈さを誇る騎士であったが、巨神の前ではあまりにも非力だった。
薙ぎ倒されてその場に崩れ落ちる。
場には【天の剣:サンダルフォン】と【戦隊巨神:スルト】が睨み合う。
まるで創世神話に語られる神同士の戦いを彷彿とさせた。
「――なるほど、その不屈の心は認めましょう。
ですが、これでチェックメイトです。
【天の剣:サンダルフォン】の効果発動!
手札を1枚墓地に送り、【戦隊巨神:スルト】を破壊!」
【天の剣:サンダルフォン】の得物が光り輝き、その剣の切っ先から雷撃が放たれる。
だが、それを見て奴は勝利を確信したかのように笑みを浮かべた!
「――【天の剣:サンダルフォン】とは戦闘を行う前だ!
よって、トリックカードを発動することができる!
トリック発動!
【不屈の巨神】!」
不屈の巨神
【効果】
相手がカードの効果を発動した際に使用することができる。
このターン中、自身の【巨神】【戦隊】と名のついたカードは相手の呪文、トリック、モンスター効果によって破壊されない。
「――!
なるほど、さっき場に展開されたグラムを効果で破壊しようとしても、トリックで守られていましたか!」
「その通り!
行くぜ先生!」
裁きの雷がスルトに突き刺さる。
しかし、全身から火花を散らせながら、最後の力を振り絞って【天の剣:サンダルフォン】に魔剣を叩きつけた!
サンダルフォンが崩れ落ち、先生が下敷きになる、が、それでも彼は起き上がる。
8000ポイントあったライフポイントが500未満になったが、それでも彼を仕留めるには足りない。
ライフが100点でも残っていたら、戦う事はできるのだから。
「――認めましょう、この盤面はひっくり返されたと。
ですが、これでチェックメイトですよ。
【戦隊巨神:スルト】は
貴方の場はがら空きです!」
「ああ、自身の攻撃終了時、スルトは
不敵な笑みを崩さない。
それを見て、山崎先生は何かに気が付いた様子で顔色を青ざめさせた。
「――まさか!?」
サンダルフォンを破壊し、役目は果たしたと言わんばかりにその場にスルトは崩れ落ちる。
だが、それが呼び水となる。
「この瞬間!
ユミルの第2の効果を発動する!
ソウルカードゾーンより召喚権を消費せずに召喚!」
スルトの瓦礫の中から、戦隊の始祖が姿を現す。
ピンク色のヘルメットに、戦闘服。
そして歴戦であることを示すかのようにボロボロのマント。
「バトルフェイズは終了していない!
ユミルでダイレクトアタック!」
ユミルの拳が山崎先生の顔面に突き刺さり、その眼鏡はパキィン!
と小気味いい音を響かせて叩き割られることになった。
「座学もメンズーアと同じぐらい熱意をもってやってくれると良いんですけどね」
「へへん!
俺の勝ちだぜ!
じゃ、例の遺品とやらを見せてくれよ」
メンズーアが終わった後に、山崎先生の執務室へと戻った俺達は彼に淹れて貰ったコーヒーを飲んでいた。
あ、新しい眼鏡に変えた。
デザインは一緒。予備を沢山持ってるんだろうか。
「まぁ、本当は危険な事に首を突っ込むのなら止めるべきなんでしょうが。
良いでしょう、見せてあげます。
ただし! 本当に危険な事が起こりそうだったらすぐに私に連絡する事!
それが条件です、いいですね?」
意外と山崎先生は良い人なのかもしれない。
素直に条件は守ってくれて、日記を差し出してくれた。
「それでは、読み進めてみましょうか」
① 洞窟の奥に存在した花畑は子ども達の遊び場になっていて、そこで幼馴染であった瑠奈とメンズーアをプレイしたり、花冠を作ったりして遊んでいた
② 事故が起きた当初も瑠奈と共にメンズーアをプレイする約束をしていた
③ だが、約束の時間に遅れてしまって難を逃れたが、瑠奈は崩落に巻き込まれて死んでしまった。
④ 瑠奈に恋心を抱いていたが、結局自分の思いを伝えることはできなかった。
「ホワイトボードに纏めてくれてありがとう、堕天」
「いえいえ。
……しかし、まさしく悲劇ですね。
自分の思いを告げる事が出来ず、想い人は先に死んでしまうなんて」
少し、思う所があったらしく、堕天は俯く。
「……。
実際に日記の内容を確認するのは、初めてです。
確かに父親は亡くなる間際に、瑠奈という少女への詫びをうわ言のように呟いていましたね」
「んー、でもよ。
今回の森が枯れる事件と関係あるのか?」
「まだ点の段階だな。
それを結ぶ線はこれから調べるしかない。
その祠があった洞窟に向かうとしよう」
洞窟に向かうと聞いた山崎先生の眼鏡がまた割れたが、それは気にしないようにした。
メンズーア図鑑 vol.15 【聖域】編
――聖域を守る守護天使の光刃が闇を切り裂く!――
カード解説
切り札【天の剣:サンダルフォン】をいかにして展開するかが勝負の鍵を握る!
ソウルは【天界門】で補充し、強力なモンスターをいち早く展開しよう!
背景ストーリー
【ソロモン七十二柱】の動きを察知した天界軍は事態を重く見て、数千年ぶりに守護天使を招集し、彼らとの決戦に備えることになった。
闇の軍勢との戦いは熾烈を極める事が予想され、諸勢力との連合を目指している。
代表カード【天の剣:サンダルフォン】のフレーバーテキスト
正しい言葉が常に聞き入れられるとは限らず、拳骨で語った方が速い時もある