六美「ホントに送って行かなくて大丈夫?」
太陽「ああ、大丈夫。そ…それより…」
凶一郎「フッフフ、六美は可愛いなぁ。お兄ちゃんとブランコで遊ぼうねぇ」
六美「ああ、気にしなくて大丈夫よ」
二刃「あの馬鹿には後で嫌というくらい、たっぷりと現実を叩き込んでおくさ」
太陽「あはは…」
六美「太陽、ありがとね」
夜桜家での一件がひと段落し、太陽は家に帰りそのまま寝てしまっていた
[朝野家]
太陽「やっべ、あのまま寝ちゃ…ん?」
凶一郎「おはよう、朝野太陽」
アラームの音で起きると、そこにはナイフを構えた凶一郎がいた
凶一郎「フン、いい反応だ」
太陽「な、なんであんたがここにいるんだ!?ていうか、何なんですか一体」
凶一郎「これか?これは夜桜伝統のモーニングコールだ。」
太陽「いや、明らかに俺を殺そうと」
凶一郎「何を言っているんだ。これも訓練の一環だ。スパイたるもの、寝ている時も頭の一部は覚ましておけ」
太陽(嘘だ、その顔は絶対)
凶一郎「よし、次は夜桜伝統ラジオ体操だ」
そう言うと凶一郎は鋼蜘蛛で太陽の手足を縛ると様々なポーズを取らせた。その頃、六美は台所で太陽の弁当を作っていた
六美「おはよう、太陽。お弁当作ったから…」
凶一郎「さあ次は腕と脚を曲げ伸ばす運動だ」
太陽「そ…そっちは曲がらない方向…」
六美「何してるの?」
凶一郎「おはよう六美、見ての通り朝のラジオ体操だよ。おおっ、お弁当作ってくれたのか」
六美「…お兄ちゃん…」
「…よし、少々物足りないが準備運動はここまでだ」
冬獅郎「そろそろ時間だぞ」
凶一郎「おっと、二人とも、そろそろ脱出するぞ」
窓から荷物を持った冬獅郎が入ってきて太陽の荷物を持つと窓から全員で飛び降りた。すると、太陽の家が突然爆発した
太陽「な…何が」
凶一郎「ああ、爆弾が仕掛けられていたんだ」
太陽・六美「えっ?」
凶一郎「細かい説明は後だ。それとお前との因縁も一旦保留にしよう。まずは夜桜家の使命を教えてやる。夜桜六美を守るという、最も大切な使命を」
そういうと凶一郎は鋼蜘蛛を解き、四人は車にのった
凶一郎「たった今辛三から連絡が入った。台所に時限式の爆弾が見つかったそうだ」
太陽「何で俺の家に爆弾が?」
冬獅郎「この業界は情報伝達が早いからな。お前と六美の関係も当然知られているんだろう」
凶一郎「昨晩から俺たちのアカウントに祝電が続々と届いているぞ」
そう言ってスマホを見せると二人のアカウントに大量の祝電が届いていた
太陽「あの、なんで六美が狙われるんですか?」
凶一郎「理由は単純だ。六美が我が夜桜一族の十代目当主だからだ」
太陽「十代目…当主…!?」
凶一郎「江戸の忍びを起源とする夜桜家の血筋は、代々超人的な人材を輩出してきたが、その中で、当主と呼ばれる常人がどの代でも必ず一人生まれるんだ。当主は、他の家族のような超人的な力を持たない代わりに、その子供は必ず夜桜らしい超人に育つ。いわば才能の隔世遺伝だ」
「才能を継ぐ当主を才能を持つ家族が支えることで夜桜は繁栄してきた。つまり、当主である六美が夜桜の正当なトップであり夜桜の命なんだ」
凶一郎は太陽に夜桜の一族について説明したが、太陽はそのことについて驚いていた
凶一郎「とはいうものの、俺たち兄弟は家柄なんてどうでもいいし、六美には自由に生きて欲しいと思っている」
六美「お兄ちゃん、それについては、家族全員で何度も話し合ったでしょ。みんなが家業のために命張ってくれてるんだから、私だって、当主の勤めを果たさなきゃ」
凶一郎「なんて殊勝な子なんだ…なのに、こんなにもいい子なのに、なんでこんな奴の…」
冬獅郎「やめろシスコン」
凶一郎「ともかくこれで分かっただろう。六美のその特異な境遇が。いずれ六美は夜桜のトップとして裏社会にデビューしなければならない。だから今は表社会についても研鑽を積むために一般生活を送る使命がある。だがそれは、夜桜を恨む者、妬む者、利用する者など、あらゆる悪意に六美がさらされるということでもある」
その時、後ろから爆発音が聞こえた
太陽「な…なんだ!?」
どうやら殺し屋たちが六美を狙っているようだ
凶一郎「落ち着け、この車は防弾仕様だ」
太陽「いや…で、でも」
凶一郎が指を鳴らすと車の速度が上がったが、それでも殺し屋たちは追ってきた。
凶一郎「もう少し静かに運転してくれないか。お茶がこぼれてしまう」
六美「ゴリアテは運転上手いから」
太陽「ゴリアテ!?」
車を運転していたのは犬のゴリアテだったことに気づき、太陽は驚いた。殺し屋は銃で車を狙おうとするがゴリアテのドライビングテクニックで躱されてしまう
凶一郎「やれやれしつこい奴らだ。俺のティータイムを邪魔するとは」
冬獅郎「仕方ない、やるか」
凶一郎と冬獅郎は車の屋根に乗った。それを見た殺し屋たちは二人を銃で狙うが、二人はそれを鋼蜘蛛と氷で防ぐ
冬獅郎「どれをやる」
凶一郎「右だ」
冬獅郎「なら俺は左か」
バズーカの弾の爆発で視界が遮られ、煙が晴れると、目殺し屋の目の前には氷と鋼蜘蛛が迫り、片方は氷漬けにされ、片方は鋼蜘蛛で斬られて爆発した
凶一郎「これで分かっただろ。常に死と隣り合わせの六美を守ること、それが俺たち家族の使命だ。そのためにも、お前にスパイのイロハを叩き込んでいく」
凶一郎は胸ポケットから銃を取り出すと太陽の前に置いた
凶一郎「初任務だ。今日一日、六美を暗殺者から守れ」
太陽「じゅ…銃?」
凶一郎「仮に相手を撃ち殺してもこっちで全て揉み消すから遠慮なく撃っていいぞ」
六美「ちょっとお兄ちゃん、太陽をからかうのはやめてよ。いつも爆殺とか毒殺ばっかりなんだから銃なんか役に立たないでしょ」
凶一郎「気休めにはなるさ、お前はこいつから六美を守れ」
そう言うと凶一郎はスマホを太陽に投げ渡した
凶一郎「通称たま屋、そこそこ名の知れた爆弾魔だ。奴の作る爆弾作りのセンスは一級品で、何度か対テロの破壊工作で協力を頼んだこともある」
太陽「協力!?、じゃあ何で…」
凶一郎「なーに、よくあることだ。この世界じゃ敵味方なんて金や状況次第でコロコロ変わる。信じられるのは自分だけだが、時にはその自分さえ…まあそれはいいとして、こいつの欠点はただ一つ。極度のSNS中毒ということだ。最近は意味不明なポエムも投稿しているが、奴は仕事の標的や経過まで投稿している」
太陽(割と致命的な欠点では?)
凶一郎「俺たちも同行したいが午前中は仕事で人質をどっさり救助しなきゃいけなくてな」
冬獅郎「なるべき早く終わらせるが油断はするな。こいつは性格が悪い。さっきみたいな軽めの爆発で痛ぶってから、特製の爆弾で仕留めるのがやつのやり方だ」
凶一郎「予告した爆弾は三つ。一つはお前の家を吹っ飛ばした物。残りは二つだ。お前が木っ端微塵になっても構わん、俺たちが仕事から帰るまで六美を守るんだ。もし傷一つでもつけたなら生まれてきたことを後悔やせてやる」
太陽「はい、分かりました。それよりも兄さん、生きていたなら何で教えてくれなかったんだよ!」
冬獅郎「あの事故の後、色々とあってな。会いに行くのは全部終わらせてからにするつもりだった」
太陽「色々って一体?」
冬獅郎「悪いが今はまだ話せない。お前がスパイとして成長したら教えてやる」
[教頭室]
太陽は六美を狙う爆弾にいつも以上に神経を尖らせていたが、友達に話しかけてられ冷や汗が出てしまい、六美と共に教頭室で休んでいた
六美「ごめんね、保健室は空いてなかったし、休めるところここくらいしかなくて」
太陽「なぁ六美、本当に俺なんかでよかったのか?」
六美「どうして?」
太陽「幼馴染のクセにお前の大変さにちっとも気づけなかった。しかも、いつも命を狙われて、そんな中でもお前は俺に寄り添ってくれてた。なのに、俺は自分のことばかり。この結婚だって俺がお前を守りたいって勝手に言い出して、お前の気持ちなんて考えてないただのワガママで…「暗い」…いでっ!?」
六美「逆だよ、太陽が私を選んだんじゃなくて私が太陽がいいの。こんな稼業がスパイとかいうめちゃくちゃな家に婿入りして、おまけにいつ死ぬか分からないような嫁もらうなんて、普通に考えて無理無理。それでも、太陽が旦那さんだったらいいなってずっと思ってたんだ。だから太陽、私と結婚してくれてありがとう」
太陽「六美…」
その時、太陽は天井に仕掛けられた二つ目の爆弾を見つけて、六美を咄嗟に庇った
太陽「大丈夫か、六美…」
六美「うん…」
太陽(くそ、まさかこんなところに仕掛けられてたなんて。だけど、何で俺たちがここに来ることがわかったんだ!?たまたまこの部屋に来たってだけ…ハッ)
その瞬間、太陽は自分たちの行動が全て読まれていて、太陽の行動を通して六美を狙っていたことに気づいた。
太陽(まさか、やっぱり…)
そして、自分の制服に三つ目の爆弾が仕掛けられたことに気づいた
太陽(最初から全部仕組まれていたんだ。俺自身が、六美を殺す爆弾になるように…)
残り僅かな時間、太陽は出口が塞がれていることに気づくと、さっきの爆発で空いた壁に向かい走り出し、飛び降りた
六美「太陽!?」
そして、爆弾が爆発するかと思われた瞬間
凶一郎「いやー仕事が早く片付いてっよかったな」
凶一郎が鋼蜘蛛で太陽を引っ張り、爆弾を止めた
凶一郎「たま屋の小型爆発線香花火"超小型で高威力だが、弱点が二つある。標的の体温で充電するため起動までに時間がかかること、もう一つは糸一本で一時停止できる構造のシンプルさだ。よく気づけたな、上出来だ。任務達成の褒美に一つ教えてやろう。自分さえも疑うべきこの世界でも、唯一信じられるものがある。それが俺たち、家族だ。俺はお前を殺したいがこの身に変えても決して死なせない。だからこそ死ぬ気で努力しろ、俺たちの愛する六美のために」
六美「お兄ちゃん…!」
凶一郎「よし、引き上げるがついうっかり落として死んじゃってもわざとじゃないからな」
太陽「えっ!」
六美「その爆弾はどうするの?」
凶一郎「もちろん拾ったものは持ち主に返さないとな」
そう言うと扉が破られ嫌五と七悪が入ってきた
嫌五「おっスッゲー!」
七悪「お姉ちゃん、大丈夫?」
六美「嫌五、七悪」
そして、たま屋を捕まえてきた冬獅郎と辛三が入ってきた
六美「冬獅郎さんと辛三兄ちゃんまで…」
冬獅郎「遅くなったな」
辛三「よ、よう」
六美「もう、何でみんないるのよ!」
嫌五「いや〜、太陽の初任務って聞いたからさ、超楽しそうじゃんって、な?」
七悪「あ、その…うん、ごめん」
四怨「お疲れさ〜ん」
太陽「おおっ」
ドローンを使い四怨が遠隔操作で話しかけてきた
四怨「もう、四怨姉ちゃんまで」
冬獅郎「凶一郎」
冬獅郎が担いでいたたま屋を凶一郎の前に降ろした
たま屋「ぐえっ、ああ…ひ…ひい〜」
凶一郎「相変わらずだな、自分の作品を近くで見ているのはやめた方がいいと忠告したはずだぞ」
たま屋「あの〜お慈悲なんかを頂けないかと…」
凶一郎「ん〜、ダ〜メ」
たま屋「ですよね〜!」
凶一郎がたま屋を鋼蜘蛛で外に投げ捨てた後、線香花火を止めていた糸を外すとたま屋は自分の爆弾で爆発した。こりずにSNSを書いているところを見ると、死んではいないようだった。
かくして、太陽の初任務は無事成功した
[夜桜家]
太陽「お…お世話になります」
太陽は荷物を持って夜桜家に来ていた
凶一郎「なぜ、お前がいる!?」
太陽「ああ…それが、その…」
六美「もう、何言ってんの?お兄ちゃん。太陽の家、爆弾のせいでボロボロになっちゃったでしょ」
凶一郎「し…しかしだな、六美」
六美「お兄ちゃんには関係ないでしょ。それに、私と太陽は夫婦なんだし」
凶一郎「くっ…」
冬獅郎「その辺にしておけ」
そこへ、太陽と同じく荷物を持った冬獅郎が現れた
凶一郎「なぜお前までいる!?」
冬獅郎「太陽を鍛えるためと、お前が二人に手を出さないか、心配だからな」
凶一郎「何だと!」
冬獅郎「お前のことだ、太陽をサンドバックにしたり、色々とやりそうだからな。」
凶一郎「くっ…」
太陽「ひい…」
凶一郎「我が家のベッドは最高に寝心地がいい。良すぎて永遠に目が覚めないかもしれないからきをつけるんだぞ」
太陽「は…はい、気をつけます」
夜桜家に住むことになった太陽と冬獅郎だったが、太陽は冬獅郎が持っていた今朝家から持ち出した荷物に目がいった
太陽「兄さん、その荷物って?」
冬獅郎「家から持ってきたアルバムだ。燃えないようにな」
太陽「そっか」
冬獅郎は朝野家からアルバムを持ってきており、アルバムの中にある盗撮ではない六美の写真を凶一郎が狙って騒動が起きるのはまた別の話