一応俺はヤクザだけど、してる事がヤクザじゃないってか...ふざけんなよ!   作:夢小説ボンプ

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赤牙組が腐らなかったらどうなっていたのだろうか、猫又はずっといたと思うし、少なくともミゲルの親父は事故で死なない筈。ミゲルの親父って常人枠では強いらしいし、普通にヤバそう。

まあ、とっくに腐った世界線の話だけどさ。


猫又の兄貴分

 

ここで一つ、言わせてもらおう。

 

皆が思うヤクザ、いや...世間一般が抱くヤクザのイメージは人によって大きく違う。

 

映画やドラマなどによるメディアの影響、実際の報道や社会的な変化によっていくつかの定型化したステレオタイプと呼ばれる固定観念のせいか、分かれていると思うんだ。

 

だが、多くの人が"ヤクザ"と聞いたときに真っ先に思い浮かべる主なイメージは恐らく、こうだろう。

 

 

ゴツイ見た目に墨。

 

全身に高級ブランドを羽織り。

 

派手な衣服に身を包み。

 

高級車を乗り回し、言葉遣いは威圧感で攻撃的。

 

上下関係は厳しく、気に入らない相手には暴力。

 

ただ、コレはあくまでフィクションだ。リアルを元に誇張され尽くした作品であり、現実と同じではない。

 

そして、その逆もそうだ。

 

弱きを助け強きを挫く姿。

 

任侠精神を身に宿す姿。

 

物事に筋を通し、仲間は決して売らない。

 

なんと素晴らしい作品なのか、このような者たちもどこかにいるかも知れないが...現実は悲しいものだ。

 

あり得ない程に、彼らを美化している。

 

結局は金の為に動いている、表に生きるカタギ相手だろうと平然と巻き込むのが彼らだ。あくまでサツに悟られずに動きたいからそうしてる時があるだけである。

 

だが、時に超えてはならない一線もある。

 

それは何処にでもあり、人として生きる上では超えてはならない。例えヤクザでも...してはならない物事はあるのだ、それを決して忘れてはならない。

 

俺は...枠組みではヤクザと言われるだろうが、好きでなった訳ではないし、ならなければ生きる事すら出来なかった爪弾き者だ。

 

今なら、表に戻れるだろう。

 

普通の生活を送れるかも知れない、真っ当に生きて、真っ当に稼いで、人様の為に働く事が出来た筈だ。

 

だが、"責任は誰かが"負わなければならない。

 

下が起こしてしまった責任も、上が起こした責任さえも、誰かがそれを引き取るのだ。

 

俺は、ミゲルの親父が教えてくれた信念と仁義を忘れたりはしねぇ、あの人が教えてくれたのは裏で生きる上で超えてはならない物だ、親父は確かに外道に堕ちた。

 

旧都陥落が全ての引き金を引いた。

 

人としてしてはならない一線を超え、それに釣られた幹部も構成員の皆もそうだ、当初の心意気を忘れ、金に目が眩んだ。

 

カンバス通りの住民からは支持を失い、当初の心意気に憧れた構成員は赤牙組を去り、残されたのは人様に迷惑を掛ける外道しかいない。

 

外道に堕ちた親父からしたら、俺は邪魔者でしかなかった。

 

親父には沢山甘やかされた、愛されていた、例え血が繋がっていなくとも...そこには愛が合った筈だ。

 

だからこそ、俺は親父を説得した。

 

昔のような互助組織へと戻り、地域の住民と共に支え合って生きるべきだと、このままでははみ出し物でしかない我々は生きれないと、俺はハッキリと断言した。

 

その先には決して、未来がないからだ。

 

だが、親父の説得に対して返ってきた答えは左遷、その一言だけだった。

 

本部がある十四分街から場所から追い出され、親父の意見に肯定する者だけが本部に残された。否定的な意見を述べる者は最悪な場合、姿を消した...消されたのだ。

 

左遷先はヤヌス区。

 

新エリー都となった今では最も繁栄した区であり、新しくシノギをするならここは良い場所だろうと思うが、そのような気力はなかった。

 

言うことがあるならば、ヤヌス区であるここに住む人たちは皆、良い人たちだ。例え悪に手を染める者がいようと、それは少なからずいるのは理解している。

 

特に言うならば、六分街の住民の方々。

 

報道される赤牙組の人間が起こした揉め事、犯罪行為、彼らがそのような行為に手を染めようとも、俺に対して"お前も枠組みの同じ人間"だと決めつける人達ではなかった。

 

そんな彼らに対して、何か...出来ないだろうか。

 

何か...恩返しは出来ないだろうか。

 

当時の俺は、それだけを考えていた。

 

 

◇

 

 

旧都陥落から11年の月日が経過した。

 

シルバーヘッド、ミゲルの親父がホロウで死んだと知らせを聞いた。いつしかその日は来ると思っていたが、この感情はなんだ?俺には良く分からない。

 

ミゲルの親父が死んだと同時、その犯人の正体が判明した。

 

邪兎屋が犯人。そんな知らせがあったが...行動する気はなかった。仇を討つべきかも知れない、組織の頭がやられたのだ、仇を討つべきであり、メンツが立たない。

 

昔ならそうかも知れない、だが...今更メンツを気にしても意味はないだろう。とっくの前に崩壊しているのだから、今更にも程がある。

 

 

そんな中、一通の手紙が届いた。

 

彼女から...

 

...猫宮又奈からの一通。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

[ロゴス兄へ]

 

『ロゴス兄、あたしはこんなの一度も書いたことにゃいけど、何とかして教えなきゃって思った』

 

『ロゴス兄にもあたしは沢山お世話になったし、甘やかしてもらった。シルバーヘッドにもそう...』

 

『孤児生活の中。あたしを拾ってくれたミゲルの親父さんには感謝仕切れないし、今もそれは変わらない。ただ...道を踏み外しちゃっただけ』

 

『家と呼べる拠り所もなかったあたしには、彼処は大切な場所だった。そんな中で居場所をくれたミゲルの親父さんが好きだったんだよ、ロゴス兄と同じ、みんな...大切な家族』

 

『でも、ロゴス兄が左遷されてからあたしも少し経ったくらいの頃。あたし赤牙組抜けちゃった、コレだけはロゴス兄には言えなかったの』

 

『誇りを捨てて、落ちぶれて行く姿が見てられなくて...逆らえない日々に限界が来て、あたし...結局は離れた』

 

『でも、ミゲルの親父さんが死んだって聞いて...あたしは分かんなくなったんだ。もう...義理なんてないのに、恩なんてないのにさ...仇を討たなきゃって思って、ほら...あたしって今も過去の区別、器用に出来ないの...昔からそういうこと苦手なの知ってるでしょ?』

 

『だから、あたしなりにケジメをつけにゃきゃいけないって思う。ロゴス兄だって...犯人のこときっと知ってる、...ロゴス兄が動かない事もあたしは知ってる』

 

『だから...あたしに任せて。別に褒められたくてしてるわけじゃない、見返りなんてないけどさ、しないといけないって思ったからするだけ』

 

『それに...聞いたよロゴス兄、ロゴス兄がいっぱい人の為に動いてるの、あたし...聞いたんだぞ。感謝される事をしてるって、昔の赤牙組の人間って言われるくらいには...』

 

『ロゴス兄...ロゴス兄ならきっと、昔のミゲルの親父さんの意志を後を継げると思うよ。今のロゴス兄がどうしたいかあたしには分かんないけど、きっと出来ると思う』

 

『今の赤牙組は瓦解しちゃてるし、誰かが頭目にならないと危ないからさ。だからあたしはロゴス兄の事を推薦するぞ、...でも、ロゴス兄が嫌ならそれはそれで良いって思う、今の生活を捨てなくても、今までの責任を取らなくてもって』

 

『こんなズルい言い方してごめんねロゴス兄、結局はロゴス兄が決める事だし。とりあえず...ミゲルの親父さんの件はあたしに任せて、あたしが言いたいことはロゴス兄は今まで通りに過ごしてほしいってこと』

 

『みんな家族、みんな...あたしの大切な家族だから。それだけハッキリ言えるよ、だから元気でねロゴス兄』

 

 

猫宮又奈より

 

 

 

「...そうか」

 

そう、一言だけ溢した。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ろ、ロゴスの兄貴!?」

 

「兄貴、何故本部にお戻りになられたのです?」

 

十四分街の共生ホロウ災害によって、赤牙組の本部は移動していた。俺は本部へと戻り、今までのケジメを取ることにした。

 

「兄貴分として、ケジメを取りに来た」

 

 

―――決心した。

 

...いいや、覚悟を決めたと言うべきか。

 

「ケジメ...ですか?」

 

「嗚呼、お前らの腐った性根を叩き直しに、な?」

 

正門を守る二人の若い舎弟を前に、ハッキリと言う。

 

「それはどうい―――」

 

俺は、二人の首を掴んで地べたから浮かす。

 

抵抗する二人を無視し、俺は本部の扉を力任せに蹴破る。

 

 

 

ドゴォォオオンンン!!!

 

 

 

物理的に破壊された扉が部屋の空間に飛ばされ、それに巻き込まれた者もいた。

 

扉を蹴破る音に釣られ、組員はぞろぞろと集まった。顔を知る人物もいれば、入ったばかりの者もいるのだろう。

 

「兄貴、コレはどういう真似か分(・)か(・)っ(・)て(・)ま(・)す(・)よ(・)ね(・)」

 

組員が問いを投げる。

 

「ならどうしたヒヨッコ、後はわかるだろう」

 

得物を抜く者もいれば、兄貴分に手を出すべきかと日和っている馬鹿と迷う者もいた。

 

「お前ら、相手が兄貴分だからって手を抜くな!」

 

「バカにしやがって!」

 

「兄貴だからって俺らの事舐めてるのか!」

 

その言葉に感化されたのか。

 

全員が得物を強く握り締めたまま前屈みになるが―――誰一人として、先陣を切る者はいない。

 

「さっさとかかってこんかい、早く死にてぇのか?」

 

普段では出さない、地を這うような声色。

 

それに組員は背を押され...

 

―――全員が俺へと目掛けて襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 




うーん...カチコミ、コレスキ
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