異世界に転生して最強ヒーロー能力を手に入れ活躍してたら18回再生する親父が追ってきた 作:喪失者2
# エピソード4 王国の救世主に成るため
スキルを言い渡されたあの儀式の後、私は変身を極めるため、父がいない日に、誰にも気付かれないよう近くの森へ行き、色々なことを試した。
あれから練習を重ね、ベルトを顕現させるまで数秒、変身完了まで約5秒で済ませることができるようになった。
「いや、この数秒は致命的な弱点だよね」
仕方ない。とりあえず、できることから確かめよう。
先ずは、四大魔法がどのような影響を与えるのか。
「変身! 火のメンタル!」
“FIRES!! MOTION!!”
「この音と音声が堪らない‼」
何度聞いても心が滾る‼
落ち着いて、私……。
早速、火属性をイメージする‼
すると、両手に炎を纏った。
「いや! 熱いー‼ や、火傷する!」
私は炎への恐怖から、手をバタつかせた‼
「い、いや、あれ? 熱くない……」
両手の炎はゴオゴオと音を立てて燃えているが、身体には何の影響もない。
試しに、近くに生えていた一本の木に、炎を纏った手刀を浴びせた。
“キュイーン”
電動ノコギリのような音が鳴り、私よりもずっと太い木を真っ二つにした。
“ズーン‼”
根元近くに斜めに当たったため、切り口がずれて木は倒れた。
熱した包丁でバターを切るような感覚……いや、それ以上にスムーズだった。
「すご……。次は……」
脚に力を込める。いや、足元に炎をイメージすると、地面が爆発するように弾け、私は高く飛び上がった。
そう、ジャンプだ‼
「いやーっ‼ た、高い‼」
数十メートルほど跳び上がり、なんとか体勢を立て直して無事に着地した。
「体術の修練をしておいて良かった……」
それから、水、土、風、それぞれの属性魔法を使って実証試験を行った。
その結果、水属性なら、水を纏う技として使う《ウォーターカッター》で、その辺にある大岩を真っ二つにできた。
《スプリングウォーター》は、水量を増やせば大樹も倒せる。
土属性なら、《ウォールロック》で石壁を作ったり、《ロックアロー》で石槍を使って飛ばす事ができる。手にドリルを装着することも可能だ。
うん! ロマン!
そして最後の風属性。
《ウインドカッター》は、身体に風を纏い、そのまま突っ込めば周囲を八つ裂きにできる。
《ウインドフライ》は、風魔法の力で自分を飛ばす事が出来た。おそらく風属性の真骨頂だろう。先ほどの火属性によるジャンプよりも、安定性が抜群だった。
ただし、一気に距離を詰めるなら火属性かな。
この辺りで、検証は大体できたと思う。
……そう思っていたけれど、これらは全て魔法で賄えると思っていた。
だが、実際には、纏う魔力量が半端ではなかった。
最初の変身に必要な魔力だけで済み、その後は技を出しても魔力を消費しないのだ。
試しに出力を上げてみたが、消費量に変化はなかった。
「私はエコ‼」
落ち着いて空を見上げると、もうすぐ日が沈むところだった。
「早く帰らないと!」
今の風属性の変身状態のまま帰路に就いた。あっという間に家へ到着した。
帰り際に考えた。
……私のスキルって何?
家に着くと、父が帰ってきた。
私は急いで二階の窓から部屋に入った。
「ユリカ、帰ってきたよ」
父が部屋のドアを開けると、私は床に座り、座禅を組むような姿勢で魔法によって浮遊していた。
もちろん、既に変身は解いている。
「御父上、お帰りなさい」
私は父の前で姿勢を正し、頭を下げた。
「申し訳ありません。魔法の修練に熱中してしまい、御父上のお帰りに気付きませんでした」
父は笑いながら、私の肩に手を置いた。
「流石に私の娘だ。そこまで魔術に研鑽するとは、そのうち大魔術師に成るんじゃないか!」
「御父上、ご冗談を。私はいずれ王国騎士団の一員となり、御父上のように成ることが夢でございます」
嘘だ。
「そうか。そうだったな。ハッハッハ!」
「準備してから食事にしましょう」
「わかった」
父は下の階へ降りていった。
私は
その日の夜、私はなかなか眠れなかった。
ようやく眠りに就こうとしたところ、あの部屋が少し開いていた。
「おはよう……」
返事はなかった。
また、いつものように、その部屋から啜り泣く声が聞こえた。
振り向くと、そこに部屋はなかった。
私は、なぜか泣いていた。