君もゴッデスだ、ピナ 作:ピナの強化素材になりたい
名前を貰ってから3日目。早速、監視所復興のタスクを終えて訓練…もといピナのレベルアップを行う。
既にピナは量産型ニケとして頭打ちに近いパフォーマンスを発揮しているので、できそうなのは戦術の強化と連携の見直しが主になる。なお、自分は話にならないくらい初心者さんである。
助けてエクシア。…まだラピすらいないのだが。
あんまりレベルアップしてなくない?
なのでデータ更新も兼ねて今日から私が出る…データとしてだけど。
撃破目標はタイラント級相応というラプチャーの中でも撃破困難なデカブツ。
これを味方損失なしで行いたい。
ただそのシュミレーションを作るのに問題がある。
データが不足しているのだ。だってそんなボスクラスと戦ったことないもの。
とりあえず出会ったラプチャーの中で秀でた個体の優れた特徴を全部のせしたらタイラント級相応になるかな?
どう考えても2人で倒せるラプチャーじゃないと思うがそこは初見殺しということで許して欲しい。
場所は昨日と同じ監視所にある高台の付近。
『今日は早速組んで見ましょう。データ上の私とになりますが。』
「センチネルさんのデータですか?」
『はい。私がドタドタ走り回るとどこか施設が壊れるかもしれないのでシュミレーションの中で行動を再現します。それと共に仮想目標を鎮圧してください。』
「分かりました。」
今日も今日とてピナが訓練して自分が見張り番をする。
立体映像を起動させ、映像に遮られるようにピナは映像の中へと見えなくなった。
肝心な自分の強さの設定は…1番最後にラプチャーと交戦したときでいいだろう。
……これであの子はアーク封鎖まで生き残れるだろうか?
そもそもドロシーが自分に資源収集の指示を出せば組むこともない。……人型と車両を兼任できるのだから荷物持ちとして正直最も優れていると思う。
でも何かしてあげたいしあの最期を乗り越えてほしい。
自分は(本当にサイバトロン星人なら)ボディスペックでクソボスのいないこの戦場なら多分生き残れる。
戦場の「せ」の字も知らないが自分だけ結末は見えてるのだから。
妙に戦う意志があるのだって結末がわかるからこそ最低限の覚悟をできる。
某、時が加速するラスボス神父だって運命を知った上で生きることが幸せであり、覚悟とは幸福だと言ってた。
だから覚悟できる余裕のある自分は幸福なのだろう。
自分がラプチャーと対面したときに考えることは……。
侵食とかもただの金属生命体だから関係ない。
弱点となる部位を集中して攻撃されない限りタフネスとか死んだフリとかで誤魔化せる。
身体がバラバラになっても元に戻れる実写版バンブルビーレベル、とはいかなくとも身体を切り離して寝そべればいけそう。
しかしピナはもうすぐ死ぬ。クソデカラプチャーと戦って相打ちになり、死にきれず…そしてドロシーに介錯されて死ぬ。
ゴッデスが立ち直るきっかけを作り、ドロシーに消えない傷を残す。
……私の大切な翼…か。
どの立ち回りが最善か?
少なくとも100年はあのピンク髪さんピナの死を引きずるけど。
ちょっと曇らせとか言ってられない。
いっそのこと未来を知ってますとか打ち明ける?…いいのかそれは?
信じてくれたあとが厄介なことになるかもしれない。
…1番丸く収まるのはピナが1人で死の引き金となるクソデカラプチャーをしっかりと打ち倒すことだ。だが、量産型ニケなのに元々相打ちになっただけでも奇跡なんだ。
ちょっとやそっと強くなったくらいじゃ変えられない。下手すりゃ普通に死ぬ。
ドロシーにお守りをしてもらうのも一つの手だ。しかし今後のピナがそれでずっと生き残れるかは別なのでなんともいえない。それにピナもドロシーに姫プされるためアーク防衛に残ったわけじゃない。
だからドロシーではない自分がタッグを組む。2人なら結果は変わってくるはずだから。
でも物資取ってこいと言われたら行くしかない。悲しい。
結局なるようにしかならないと悟った。地獄とは他人のことだとはよくいったものだ。
※※※※※※※※
見張り兼ピナの訓練を始めてから2時間が経過した。
未だに敗北してないようでシュミレーションは続いている。
…一応見張りなのでピナがどうなってるかは確認してない。プログラムが自動で戦わせている、じゃないとドロシーにしばかれるもん。
なんなら数回見回りに来てて妙に怖い。
幸か不幸かラプチャーはまだやって来ない。考え事ができるくらいとても静かなものだ。
もし良かったらアークの完全封鎖までピナのためにも来ないでほしい。特にデカブツなんてものならお帰り願う。争いは無いに限る。
個人的は今1番怖いのはラプチャーじゃなくてドロシーなんだけどね。正直苦手気味。
ドロシーが作ったエデンに不満を言えたちしかんにはある意味尊敬できる。…自分も時代によっては、目を細めれば、なんかの間違いがあれば…ワンチャン指揮官かもしれない。
…
いや、なんでこんなバカなことを考えてるんだ?
やるべき事は見張りのはずだ。暇すぎてバカになったか?変な電波でも受信したか?
__!!
展開していた立体映像がクリアの判定を出して消えた。
おいおい、まじか!
デカブツクソバカラプチャーを倒したのか!?たった1人と素人ロボだけで全部を、戦いの中で成長したとでも!!
光の中に消えたピナが出てきた。そして彼女と目が合う。
『…本当に突破したんですね、素晴らしいです。』
「ありがとうございます。」
褒めるしかない。なんなら存在しないラプチャーと戦わせて悪かったまである。ご褒美的なプレゼントはあいにく手持ちなしのため用意できない。
身体のどっかのパーツでもあげたらいいのかな?
「……」
『あれ、どうかしましたか?』
出てきたと思ったら澄んだ目で自分を見てくる。
「……センチネル。」
『はい。』
「どうして今、教えてくれたんですか?」
『?』
なんのことだ?心当たりはない。
……まさかシュミレーションに出した自分がなんか喋った?
だとしたらいったい何を話した?
『教えるといってもいくつかありましたがなんのことでしょう?』
「…センチネルが…あなたが過去、
『……!!』
嘘だろ。…ピナちゃんが嘘つくわけないから。
なんでシュミレーションの自分はそれを喋ったんだよ…。バラすにしても早すぎる!センチネルのバカ!もう知らない!このルンチンセ!頭ONE版センチネルプライム!
「訓練中はそこに集中して欲しいと言われたのでここで聞きます。」
オマケにサラッと自分に押し付けるとか最低だな!どこのどいつだ全く。顔が見てみたいものだ!きっとろくでもなさそうなツラしてるはず!
しかし世の中にはしっかり話さないから起こった悲劇もある。必要なことはしっかり話さなければ我が身も他人の足を引っ張るクソバカになってしまう。
せめて自分自身がなんなのかくらいは最低でも知らせるべきだ。
『…まずは隠していたことを謝ります。』
「それはいいです。センチネルにとってきっと1番いい判断だったのでしょう?ドロシー様はきっと必要以上に注意深く考え込んでしまうかもしれないですからね。」
なんでそこまで配慮してくれるの?…えぇ。
一方的に相手の理解度が高いと引くというのがちょっとわかる気がする。
『でしたら自分のことをお話します。…推測した範囲になりますけど。』
「お願いします。」
『まず結論からですが、私は魂に相当するものが人間のもので身体は…金属生命体だと考えてます。』
「……突拍子もないこと、ですよね?」
微妙に反応しずらいのだろうね。実は金属生命体です!とかニケに言ってもニケ自体も似たようなものだから「なんか珍しいことだよね?」程度なんだと思う。魂が人間ですもほぼニケだし。
『自分からしてみれば突拍子もないことです。そしてこの身体が……なんというか、多分地球外生命体の身体なんです。エイリアンですね。』
推定トランスフォーマーならサイバトロン星人だし間違っちゃいないはず。しかも実写版なら太古の人類と遭遇してたらしい。
原作版?確か…元が労働、あるいは軍用ロボットだったはず。実写版なら多分異星人だよね?
「え…。本当ですか?」
『おそらくそうです。変形機構も発達した擬態能力によるものかと思われます。』
トランスフォーマーたちを創造したクインテッサ星人とかいいだしたらキリがないからさすがに省略するけど。
『ここでひとつ問題が発生しています。』
「問題?」
『私はドロシーさんの支援要請を受信して防衛に参加しています。元の精神は人間ですので当然ゴッデスの皆さんを応援します。しかし、私と同じ身体を持つ金属生命体がもし他にいたとして…彼らがはたして人類に友好的、または不干渉的かということです。』
ディセプティコン襲来とか洒落にならない。ラプチャーだけで絶滅から逃れることに手一杯。そこにメガトロン登場とかあればオプティマスが来る前に地球が滅びる。
「…そうでなかったら終わっちゃいますよね…いろいろと。」
『どんな機械にも精密に化けて入り込んで来る…みんなで守ってるアークも安全とはいえなくなるでしょう。』
「……」
『もっとも、この可能性は低いと思います。』
「…え?」
実際ニケでコラボ案件がある時、こんなヤバい第三勢力はそうそうない。
メタ的な目線だとラプチャーの脅威が薄く見えてしまうし。だからないはず。勝手に戦え案件だ。
もし本当に無印、リベンジ、ダークサイド・ムーンみたいに地球侵略をするならオートボットが助けてくれるのを祈らなくてはならなくなる。
『おそらく私はとあるラプチャーの落し物というところでしょう。』
ゲートキーパー君、お前のことだよ。コラボイベントで出てくる謎のラプチャーな割と都合のいいやつめ。犯人と仮定する推測の域を出ないが。
『極めて特殊なラプチャーにより意味不明な状態でここに連れ去られた可能性がある。ということです。』
「ラプチャーがそんなことを…。」
『だってラプチャーですからね。』
「それもそうですね。」
ガバガバだけど理由付けできてるからいいけどね。ゲートキーパー君もクソデカラプチャーだから倒し方を想像できないのがよくないところだが。
『私の最終目標は元いた場所への帰還。いつの話になるかはわかりませんが確定してるのは件の特殊なラプチャーといずれ接触する必要があるかもしれないことです。…多分。』
「そこは確定してないんですね。」
『非確定です。根拠すらない妄想の押し付けとなってるのは許してください。それに自分は帰れるという前提でも人の姿に戻れるのか疑問が残ります。』
「あー…もし帰れてもみんなびっくりしますよね?」
『嫌なものですが。まぁ、なるようになるでしょう。』
「……」
ピナは一度下を向いたがまた目線が合う。
「……もし良かったなんですけど。センチネルが人だった時のことを教えてくれますか?私には人だった記憶がありませんが気になって…話したくなかったらごめんなさい。」
『……』
「あの、センチネル?」
正直語れるほどの人生をおくっていない。隠すことも少ない。
なにか大成した訳でもなく、極悪人だった訳でもない。一般人の域にいるのが人だった自分だし。
『根っからの善人でもなければ悪人でもない、そんな特に何かあるような者ではなかったです。』
『_お金持ちでも貧しくもなくて趣味がテレビゲーム、インドア派な探せばそこらにいる社会的に守られる側の…詳しく自分語りできることもさしてないくらいの人間でした。』
「…それじゃあ本当にただ助けを呼ばれたから
『大体そうなるかと。少しでも自分や周りで何が起こってるか状況を理解する目的もありますが。』
肝心なことを話すのを躊躇うけど、どうもピナには自分の心情を語りたくはなる。ピナセラピーかな?患者はドロシーと自分で2人と。
「……」
だから、言おうとしなかったことまで言えてしまう。
『知った結果がアレですね。アークに行ってもモルモット扱いでしょう。そしてそこらの荒野ならラプチャーの餌食、ラプチャーっぽい姿に可変してひっそり生きるのは博打が過ぎる。いや、そういうことが言いたいんじゃなくてですね……。』
自分がピナに伝えたいことは…。もっとしょうもないことだ。
『…一息つける居場所が欲しかった。』
「……」
ゴッデスのいる戦場が比較的マシとかいうバグ、他のところはラプチャーと殴り合いサバイバルか次の1秒でラプチャーから吹き飛ばされるかもしれない僅かな生存者との協力極限サバイバルとかおかしい。
「センチネル。」
『はい。』
「ここはアークを守る防衛線です。いずれ拠点としても使われなくなります。住む場所でもありません。人類のためにゴッデスの皆さんと共に戦う場所です。」
『その通りかと。』
わかるよ。ここは家でもなんでもない戦場だ。
汝、一切の望みを棄てよ。ってことでしょ。
たがここでしかピナを助けることができない。
あと正直自分にとってここよりいい場所はないと思う。
『全てとは言えませんがわかったうえで絶対助けると思ったから来たんです。_もうあの人達は何一つ大切なものを失ってはいけない。』
特にピナとかOverZone内でバーストスキルがⅡの人とかタイラント級相当のラプチャーとタイマン張れる量産型ニケの人とか。とにかくお主だよ。
『だからピナさん、自分にとってもゴッデスの皆さんにもこれが最善です。お願いします、私の考える最善に少しの間どうか付き合ってください。』
頭を下げる。下げたところでまだ物理的に頭が高い。
……本当に頼む。このままでは何も変わらない。
静かにため息が聞こえた。
「それがあなたの考えた選択で一番の選択として納得がいくのなら、反対しません。……私もただゴッデスの方達の背中について行くばかりでより近づく貪欲さが足りなかったようです」
ピナは手を握りしめ前に出す。
「__なりましょう、ゴッデスに!」
自分も手で拳を作って屈み、突き合わせる。音はほとんどしなかった。
でも、小さな手の感覚はあった。
『ありがとうございます。そしてよろしくお願いします。』
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」
ピナ、改めてありがとう。せめて君の決意に報いさせてもらう覚悟だ。