すごくバチバチなトレセン学園   作:小魔神

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すごくバチバチなトレセン学園

 僕の担当ウマ娘は何かが違う。 

 具体的に何が違うかと言えば、とにかく強い。もちろん他のトレーナーが担当するウマ娘にも強い娘は間違いなくいる。

 

 それでも、僕の担当するウマ娘たちの平均値は間違いなくこの学園で一番だとは思う。そんなウマ娘たちを抱えているんだから周りからは面白くないとは思われていたんだろう。引き抜きなんてかわいいもので、練習の妨害や僕の失脚など様々な面で攻撃されることが多かった。

 

 多かったという過去形なのは今ではそういうことが起きないからだ。一体、何が起きたのかは分からないけどある日を境にピタリと嫌がらせが止まった。担当ウマ娘たちに何をしたのか聞いてもニコリと笑うだけだったので、怖くてそれ以上は聞けてないんだけど。

 

 とまぁ、そんなおっかなびっくりなウマ娘たちを抱えている僕だけど、もとはなんてことない新人トレーナーだった。ただ、何の因果か変なウマ娘ばかりに慕われるようになったせいで、今では学園内でも浮いた存在だ。

 

 そのせいで抱える担当ウマ娘が多くなりすぎて、今では日替わりでそれぞれの娘たちの練習を見ている。正直、彼女たちのレベルが高すぎて、僕のアドバイスが必要かどうかは怪しいところではあるんだけど。

 

「「失礼します」」

 

 コンコンコンとドアが叩かれる音がする。

 どうやら、今日の担当ウマ娘が来たようだ。

 

「トレーナーさん、本日はよろしくお願いいたします」

「同じくよろしくお願いいたします」

 

 やってきたのは、コパノリッキーとホッコータルマエの2人。僕の担当ウマ娘たちは、僕の前だとなぜか借りてきた犬ばりに礼儀正しい。

 他のチームのスマートファルコンに聞いた限り、この2人もプライベートの時はコパコパ言ったり、タルタル言ったりと非常に愛らしいキャラクターのようだけど、僕にそれを向けてくれたことはない。

 

「2人ともよろしくね。じゃあ、今日のトレーニングだけど何か気になるところはあるかな?」

 

「はい。こちらのメニューですが、少し内容が軽い気がします。もう少しハードな練習でも大丈夫です」

 

「ちょっとリッキー、トレーナーさんの組んでくれたメニューに文句を言うなんてどういうつもり? すいません、トレーナーさん。リッキーが失礼な発言をいたしました」

 

「ちょっと待ってよタルマエ。私がトレーナーさんを軽んじているような言い方は止めて。私とトレーナーさんは相生、お互い高め合う存在なの。タルマエのそれはトレーナーさんに頼りっきり。それじゃ向上心がないのと一緒だよ」

 

「また風水。そんなのに頼ってばかりじゃトレーナーさんにも迷惑がかかるのが分からないの?」

 

「ほら、2人とも喧嘩はしない」

 

「はい!」

「承知しました」

 

 いやいや、さっきまで言い合っていたじゃん君たち。

 そりゃ、収まってくれるのはありがたいんだけど、何か違うんだよね。

 

「2人の仲が良いのはいいことだけど、練習時間も限られているからね。そろそろコースにでようか。リッキーのメニューだけどまずはそれをこなして余裕があったら追加しよう。それでいいかい?」

 

「もちろんです! よろしくお願いいたします」

 

 そんなこんなで始まった練習だけど、相変わらず凄い出来だ。

 あの二人の併せウマは、そんじょそこらのレースより迫力があるくらいだね。

 

 さて、併せの次は何をしようかな。

 なんて考えていると声をかけられた。

 

「ありゃ、トレーナーさん。こんにちは」

 

「あぁ、スマートファルコンか。こんにちは。今日はもう上がりかい?」

 

 声をかけてきたのはスマートファルコン。言わずとしれたダート強豪のウマ娘だ。僕の担当ウマ娘も彼女にはまだ先着したことがない。

 彼女は僕のチームに所属してはいないけど、仲良くさせてもらっている。

 

「うん。あんまり無理してもいいことないから。今日はリッキーちゃんとタルマエちゃんかぁ。相変わらずあの二人はすごいね」

 

「あぁ、今がまさに伸び盛りってやつだね。どうだい、そろそろ君に届くかな?」

 

「それは難しいかも。まだまだファルコも頑張ってるからね」

 

「まぁ、そうだろうね。衰えが出てきたら教えてね」

 

「リッキーちゃんとタルマエちゃんが全盛期の間に来るかどうかは分からないけどね」

 

 テヘっといった擬音が似合う笑みを返すスマートファルコン。こういうことを言うとセクハラになるのかもしれないけど、僕の教え子にも軍人のようなきりっとした表情だけじゃなくてスマートファルコンのようなスマイルを見せてほしいものだね。

 

 

「タルマエ、あれどう思う?」

「ファル子さん、またベタベタとトレーナーさんにくっついてる」

「しかも、完全に煽ってるよね、あれ」

「ウマドルとしては尊敬してるけど、トレーナーさんだけは譲れない」

 

 気のせいか何か視線を感じるな。

 蛇に睨まれた蛙になった気分というか…。

 

「なるほどねー」

 

「どうしたんだスマートファルコン?」

 

「いや、ダート界が盛り上がるのはいいことだなって思って」

 

 あぁ分かった。

 さっきの蛇は彼女だったんだね。

 

 

 

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