含む)をそっくりそのまま性能を足したものだと解釈していただけると幸いでございます。
―――ひと気のない場所についた。閻魔刀を眺める。光の球体が飛び出し姿を現す。全身紫の衣装を身に纏い片眼鏡をつけた俺と同じ髪色をした男だった。何故か懐かしさを感じた。
「お前か、俺を呼んだのは。何者だ?」
「かつて悪魔として生を受け、人間界への侵攻を図った魔界の軍勢と魔界の帝王を返り討ちにした反逆者、人呼んで『伝説の魔剣士スパーダ』という者だ。そして人間の女性と結ばれ双子の息子が生まれた、その兄がお前の前世だ。悪魔は長寿で執念深い、決して私への復讐心を忘れなかった。可能な限り悪魔を誘き寄せて家族を巻き込みたくなかったが、一部の賢い悪魔は私ではなく家族を狙った。妻を殺されふたりの息子も死にかけた。だが、私の血を引くお前は自らの無力を嘆き悪魔として生きる道へ身を堕とした。そして成長し弟に敗れ魔界の深淵に落ち、魔界の帝王にも敗れ洗脳され再び弟に敗れたが死ななかった。その閻魔刀で人と悪魔の半身に分かれ悪魔の身は数十万人もの人間を生贄にして魔界の果実を食い悪魔の頂点に立ったがまた弟に敗れた。しかし人の身は諦めなかった。弟に勝ちたい、ただそれだけのために悪魔の身と一体になり蘇った。それからのお前は悪魔狩りに一生を捧げ贖罪に努めたが足りなかったようだ。だから流魂街最悪の地に生まれ生き地獄を味わった。ここまでで何か聞きたいことはあるか?」
「お前はどうやって死んだんだ?」
「私の魔力の大半を魔界の封印に費やした。そして時は経ち魔力も尽き野垂れ死んだ。まあ…反逆者にふさわしい末路かもしれん。」
「俺に何の用があって呼び出した?」
「先程の卯ノ花八千流とやらとの死闘を見届けた。今のお前なら卍解を託してもいいと思った。だが条件がある。」
「何だ?」
「私に勝って見せろ。」
「そんな簡単なことでいいのか。ならばやって見せよう。」
「今の私は全盛期と変わらん。侮ると死ぬのはお前だ。」
お互い魔人化し俺は閻魔刀、奴は不気味な大剣を構える。だが奴…スパーダの方が魔力と言うべきか力の圧は大きい。全盛期というのも納得できた。ほぼ同時に斬りかかった。刃がぶつかる。押し負ける。トリックダウンで背後を取り居合斬りを放つ―――前に振り向き様に薙ぎ払いが襲ってきた。かろうじて鞘で受け止め吹っ飛ばされる。壁に叩きつけられる前に着地する。奴が火球を乱れ撃ちしてくる。円陣幻影剣を展開しかき消す。体から巨大な赤い龍が放たれる。トリックアップで躱しながら流星脚を放つ。大剣で弾き飛ばされた。トリックダウンで着地、ほぼ同時にスティンガー、剣先がぶつかる、押し負ける、ミラージュエッジが手から離れる、大剣が首に向かって振るわれる。バク転して避ける。幻影剣を射出しまくりながら
「縛道の七十五 『五柱鉄貫』 縛道の七十九 『九曜縛』」
ついでに五月雨幻影剣で完全に拘束する。ベオウルフに霊力を溜める。ジャストタイミングで左ストレート、右アッパー、連続蹴り、バックステップからの渾身の右ストレートをブチ込む。明らかに魔力が減衰する。再び右籠手に魔力を溜める。五月雨幻影剣を放ちながら腹にヘルオンアースを叩きこんだ。大爆発の後、スパーダの魔人化が解けながら倒れる。
「……満足したか?」
「よく…成長…したな…。私は…嬉しい…。これを…胸に…刺して…我が…愛剣を取り込め…。そう…すれば…魔人を…超えた…魔人…『真魔人』に…変身…できる…。ひとつ…だけ…聞かせて…欲しい…。」
「……何だ?」
「その…力を…何の…ために…使う…のだ…?」
「そうだな…前世が大罪人だと言うなら世の為人の為…誰かのために力を使いたい。それが俺の贖罪だ。」
「そう…か…良かっ…た…。いつ…までも…見守っ…て…いるぞ…我が…息子…よ…。」
そしてスパーダは再び光の球体になり閻魔刀に戻っていった。残ったのはスパーダが新たに召喚した大剣と不気味な大剣のみ。また胸を貫かなければならないのかとため息をついたが言われた通りにやることにした。大剣で胸を貫く、血が噴き出し流れ落ちる血が不気味な大剣を溶かし逆流する。閻魔刀を解放した時とは比較にならない程大規模の霊力が漲る。高揚する気分に任せて思いっきり叫んだ。
どのくらいの時間が経ったかわからない。冷静になって周囲を見渡すと隊長羽織を着た12人の者たちと八番隊の副隊長がいる…ということは後ろに控えている者たちは各隊の副隊長たちだろうか。
聞き覚えのある声が俺の名を叫ぶ。
「おい⁉ バージルくんだろう⁉ ボクだよ⁉ 京楽春水だよ⁉ 元に戻ってよ⁉」
「私です⁉ 卯ノ花烈です⁉ お願いです⁉ 死神の姿に戻ってください⁉ バージルさん⁉」
通常の魔人化と同じ要領で真魔人化も解いた。
「騒がせて…済まなかった…。たった今…卍解を習得した…。」
「「「「「何⁉(えっ⁉)(なんと⁉)」」」」」
「むう…俄かには信じがたいが先程の凄まじき霊圧を見るに信じる他あるまい…。」
「しかし…半分は死神だったがもう半分は途轍もなく禍々しい何かの気配だったぞ。」
「西洋の歴史に明るい者はいるか? 悪魔という化物が存在する世界で悪魔の男と人間の女性が結ばれ生まれた双子の片割れが俺の前世らしい。悪魔と人間の合いの子というやつだ。その血を受け継いだまま俺は流魂街に生まれ変わったそうだ。さっきの姿は悪魔の姿になったものだ。」
「お主に問おう。敵か味方か?」
「今の俺は護廷十三隊八番隊第三席の死神バージルだ。それ以外の何者でもない。」
「よろしい、その言葉を信じよう。それでは解散‼」
その言葉と共に各部隊の隊長と副隊長は去って行った。残ったのは京楽、卯ノ花とその副隊長たち。
「はあぁー⁉ 良かったよぉ~⁉ いつものバージルくんに戻って⁉」
「私も安心しました。私との戦いのせいでああなってしまったかと思うと罪悪感でいっぱいです。」
「いや…むしろお前との戦いで斬魄刀の意思に認めてもらった。礼を言う。」
「そうですか…はぁ…本当に良かった…。」
「え、卯ノ花くんが戦ったの? ってことは昔の姿で?」
「えっ⁉ それは…⁉ どうでしょうね…⁉」
「あの時のお前も活き活きとして魅力的だが今のお前も大人の女性らしい色気が漂っていて顔立ちも美しくて体つきも肉付きが良くて魅力的だと思うぞ。」
「あ、ありがとうございます…⁉ バージルさんにそう言っていただいて嬉しいです…⁉」
卯ノ花が赤面して俯く。こんなに女性的な魅力に溢れているのに恋人のひとりもいないのだろうか。周囲の男どもは何をやっているのかと不思議に思った。
「バージルくん…女性にいつもそういうこと言ってるの…? 堅物だと思ってたけど中々隅に置けないねぇ…。」
「事実を正直に口に出しただけだ。何も間違ったことは言っていまい。」
それから約100年前の魂魄消失事件のあらましを伝えた。藍染と市丸と謎の第三の協力者の情報も伝えた。
「例え藍染の死体を発見しても奴だと思い込むな。誰にも気づかれずに殺される弱者ではない。間違いなく偽装工作をして何らかの方法で潜んでいるはずだ。気を付けろ。」
「……そんな事情があったのですね…。分かりました。貴重な情報をいただきありがとうございました、バージルさん。」
「さっきも言ったがお前との戦いで卍解を習得出来た。礼を言うのは俺の方だ。」
「いえいえこちらこそ――――。」
「あの…もういい? 早く帰ろうよ。さ、解散!」
「…………。」
「さあ、隊長。私たちも帰りましょう。」
「ええ、そうですね。」
ひとっ風呂浴びてリラックスして自分の部屋へ戻ろうとしたところに
「バージルさん、お客人です。」
副隊長に呼ばれて隊舎の入り口へ行った。卯ノ花が立っていた。
「どうした? 何か相談事か?」
「そうですね…。貴方にしか出来ないことです。何も聞かずに付いて来てください。」
彼女に手を引かれるままついて行った。四番隊隊舎の隊長室まで。
「体の疼きが…体の火照りが納まりません…。身は清めました。貴方に鎮めて欲しいのです…。」
そして彼女は全裸になった。ひよ里には悪いが女としての魅力が段違いだった。女の魅力が人の形をしたような姿に思わず見惚れた。
「身籠ったらどうする?」
「安心してください。今日は大丈夫な日ですから。遠慮なく貴方の精を注ぎ込んでください。」
美しい顔立ち、美しい裸体、漂う色気に魅了されたまま唇を重ねる。その先のことはよく覚えていない。寝る間も惜しんで夢中でまぐわった…気がする。気が付けば朝になっていた。彼女はぐったりとした様子で眠っている。美しい裸体を晒したまま。起こさないようそっと着替えて外に出た。
八番隊隊長室を訪れた。そこで護廷十三隊十三番隊隊員朽木ルキアなる者の処刑が決まったことを聞いた。
「死神の力を人間へ譲渡したことが死刑になるほどのことか?」
「……分からない。前例がないからねえ…。でも中央四十六室の正式な決定だよ。」
「俺は現世へ行き浦原喜助に会ってくる。何が起きたのかも調べる。京楽、手続きを頼む。」
「あいよ、無理しなさんな。」
地獄蝶を連れ穿界門を通る。真っすぐ浦原商店へ向かう。店前で見知らぬガキふたりが掃除をしている。
「おい小僧、浦原喜助を呼べ。」
「……なんだよあんた。」
「死神だ。3度は言わん、浦原喜助を呼べ。」
睨みつけながらそう伝えた。不審者を見るような目で俺を見るがすぐに怯えた表情に変わる。扉を開き「店長!」と叫ぶ。浦原喜助が姿を現す。
「誰かと思えば…バージルさんっスか。どうかしましたか?」
「朽木ルキアなる死神が死神の力を人間へ譲渡した罪で死刑に処されるそうだ。何か知ってることがあるなら吐け。」
「さあ…アタシは何も…。」
「貴様も藍染と同類か?」
「……どういうことっスか?」
「何かを隠しながら生きているという意味だ。ハッキリ言って気に食わん。」
「……根拠は?」
「悪魔の直感だ。」
「悪魔⁉…ってマジっスか⁉」
「本当だ。俺の卍解が教えてくれた。」
「……参ったっスねぇ…。殺気ビンビンっスよ…。誰にも言わないって約束してくれます?」
「ああ。」
「『崩玉』って知ってます?」
「知らん。」
「でしょうね。彼女の義骸…仮の肉体にそれを隠したんス。」
「どういう物なんだ?」
「本来の目的は『死神と虚の境界を崩す』つもりで作ったんスけど、どういうわけか『周囲にいる者の精神に反応しその願いを叶える』なんてモンに変質したみたいっス。とは言っても何でも叶うわけではなく『僅かでも望みのある可能性を叶える』って程度ですけどね。とんでもないモン作ったと思って破壊しようとしましたがアタシには無理でした。だから霊力の弱っている彼女に義骸を売って次第に消えていく霊力と共に崩玉も処理する…つもりでした。ですがどういうわけか藍染惣右介に気づかれて朽木ルキアさんは尸魂界に連れていかれました。」
「全く…愚かとしか言いようがない。本当に愚かだ。自らの手に負えない物を作る馬鹿がここにいたとはな。」
「耳が痛いっス…。」
「ということは中央四十六室とやらも藍染に始末されたわけか。」
「そうでしょうね。そこから偽の命令出してるんでしょう。」
「次からは自分の持ち物くらい自分で管理しろ。他人任せにするな。貴様のせいで余計な犠牲者が出て混乱を生み出した。同じことを繰り返したら俺が直接殺しに来ることを覚えておけ。」
「…………はい、肝に銘じますっス。」
分かれの挨拶もせずに店の扉を蹴っ飛ばして外に出た。燻る怒りをそのままに尸魂界へ戻った。
「帰ったぞ。」
「おかえり! どうだった?」
「朽木ルキアの体内に浦原喜助が開発したものが埋め込まれているらしい。藍染は朽木ルキアが処刑された後にそれを回収するつもりだというのが浦原喜助の推測だ。」
「それって何なの?」
「知らん。浦原も破壊しようとしたらしいが出来なかったらしい。現世で義骸を使い死神の力も人間に渡してそのまま霊力がなくなる朽木ルキアと共にそれも処理するつもりだったらしいがその前に藍染に気づかれたそうだ。ついでに言うと中央四十六室とやらも藍染に皆殺しにされたようだぞ。そして奴らに成りすまして処刑命令を出したというのが俺と浦原の推測だ。」
「えっ⁉ 一大事じゃないの⁉」
「だが証拠がない。下手に動けば悪魔の血を引く俺の仕業にされかねんぞ。」
「困ったねぇ…。四十六室の皆さんには気の毒だけど表向きはまだ何も起きてないからねぇ…。」
「他に信用出来そうなやつらはいるか?」
「うーん…卯ノ花くんは信用出来ると思うけど…。」
「他には?」
「うーん…山じいは…いや⁉ 駄目だ⁉ 絶対ややこしいことになる⁉ ごめんバージルくん⁉」
「そんなに人材難なのか? 大丈夫か護廷十三隊は?」
「いや、普通なら大丈夫なんだけど…隊長、副隊長格のほぼ全員が催眠、幻覚にかかってるとなると難しいよ…。誰も彼も一筋縄ではいかない猛者ばかりだもん…。」
「分かった。卯ノ花には俺から伝えておく。何か思いついたら報告してくれ。」
四番隊隊舎を訪れた。隊長室に通され彼女に浦原喜助とのやり取りを説明した。
「……分かりました。何かが起きたら貴方に報告します。ですが…。」
顔を赤らめた彼女が歩み寄る。
「昨日の夜から朝まで凄かったですね。今日も身を清めてお迎えに上がります。」
と耳元で囁かれた。
「あんなにしたのにまだ足りないのか? タフだな。」
「ええ、あんなに気持ちいいこと、一夜だけでは足りませんから。責任取ってくださいね。」
妖艶な笑みを浮かべながらそう告げられた。俺も彼女の虜になりそうだった。