いっぱい感想が欲しくてかなり早いペースで書いています。
「あれだけの問答でよく導き出したものだね…ならば、私の手を取ってくれるのかな?」
ピースメーカーの口元は不敵に歪み、軽い拍手で返した。ピースメーカーがカウンターズの指揮官に一歩踏み出したところで、シンデレラからの待ったがかかる。
「恒久平和の実現…もし、そんな事を考えていたとしても、ラプチャー達との戦争が落ち着いてまだ五年よ。今の平穏を手放してまで、未来で起こるかもしれない争いに対処するなんて…それに魔法使いさん、貴方は今、戦争を起こそうとしているのよ?未来の平和のために、今を犠牲にするなんて美しくないわ」
「シンデレラ、君は人類に対しての信頼があるようだね…しかし、人類は君が思っている以上に醜く愚かなものだ。断言しよう、私が手を下さずとも、人類は人類同士で争い、戦争は起こる」
「早計ね…人類側に立って、共に歩む事だって出来たはず。だってラプチャー達に寝返ってまでやる事が戦争ですもの」
「謀略、策略、陰謀…あらゆる権謀術数を使い、権力を手に入れようとする悪は生まれる。そういった悪は必ず、自らの不利益となる邪魔を排除しようと動く。人類側では、私の存在は必ず邪魔になるだろうからね。それに勘違いしているようだが、別に寝返ったわけではないよ…全て、私の同志達さ」
「クイーン…」
今まで静かだったマリアンが徐に口を開いた。
「あり得ないと思って、自分すら疑っていましたが、ピースメーカーさんはクイーンの力を手に入れたのですね?…いえ、クイーンそのものですか?」
「…伊達にクイーン因子を持っている訳ではないようだね。そうとも、君の読み通り私はクイーン因子を手に入れた」
「…指揮官、今すぐピースメーカーさんを止めるべきです!クイーン因子を持っているということは、今までのラプチャーとの戦争が、この方の裁量で可能になります…ピースメーカーさんの気分一つで、アークはまた地下都市に逆戻りです!」
「なん…だと…?」
マリアンの言葉を聞き、カウンターズの指揮官が声を上げ、静観していたカウンターズが、ピースメーカーに全員がかりで拳を向けた。
「心外だな…それはそうと、一般人相手によってたかって拳を振るうとは…些か、血の気が多いようだ」
ピースメーカーの右手からアニスが拳を振り抜き、ネオンが左手側に周り殴り込み、ラピが正面からピースメーカーの顔面目掛けてハイキックを繰り出した。
『う!王子さま!!』
「心配しなくても大丈夫だセイレーン、私が合図するまで手出し無用だよ。それに…この程度は造作もない」
「造作もないって…あなた本当に人間なの?」
「わぉ、私たちの完璧なジェットストリームアタックを受け止めるなんて…絶対普通の一般人じゃないと思うんですけど」
「同感ね…絶対改造人間とかだわ」
ピースメーカーはラピのハイキックを左側に顔を晒し避け、アニスとネオンの攻撃を素手で受け止めていた。
「良い連携だ、狙いも正確で力も強い…しかし動き自体は単調だね」
ピースメーカーは両手で互いに相手をしていたアニスとネオンの手を離し、腹の部分に手を添え手のひらを押し出した。
「ウッ…」
「かはっ…」
「アニス!ネオン!」
「発勁と呼ばれる中国武術だ。体の内部を揺さぶり、脳を揺らして気を失わせただけさ。女性を殴るのは私の主義に反するのでね…しかし実力行使なら、死なない程度に相手をしよう」
「舐めないでくれる…"元"平和の象徴さん」
ピースメーカーとラピは互いに構えを取り対峙した瞬間、ラピに緊張が走った。
◆◆◆
私の神の宣戦布告に対して、あれだけ憤っていたカウンターズの指揮官は、ほんの少しのヒントで、私の神が実現させようとしている世界の姿に辿りついた。
これだけでも私の神が最後まで、彼を高く評価していた理由が少しわかってきたかもしれません。
しかし『恒久平和の実現』という目的に気がつけたのも、私の神が対話に応じたから…そもそも、私の神が最初から勝利の翼号を迎撃する前提であれば、このような話し合いの場は、存在しなかったでしょう。この世界線ではない、
ただ、カウンターズの指揮官の指示ではないですが、私の神を止めようと実力行使に出たのは、
ただし、今ではそれは不用心に当たります。確かに私の神の指揮能力は完全と言って差し支えありません…ですが、既に私の神の力は、指揮能力だけではありません。個人の戦闘能力ですら、リリーバイス級であり、ミラーの情報が正しければ、戦闘センスはリリーバイスを明確に超えています。
では私の神の指揮能力以外の他の全てに用心する?…いいえ、まだ不用心です。
空が落ちてくるとか、大地が裂けるとか、そういった厄災のようなあらゆる可能性を考慮して全てに用心したところで、私の神の力は、その用心の遥か上に居ます。
「指揮官、火器の使用許可を!手足をもいででもピースメーカーは今この場で止めるべきです!戦争が開始されれば、このチャンスは遠のきます!!」
「くっ…しかしピースメーカー指揮官が…」
私の神とラピは武術の稽古のように、致命打にならない組み手を繰り出していましたが、実際は致命打を出させないように計算して動いた私の神と、歯がゆい気持ちでいなされていたラピの構図。そして徒手空拳では不利と判断し、制圧に切り替えますか…。
「…指示があるまで待機のはずだが?」
「私の神、火器の有無が関わってくるなら、話は別ですよ」
私と考え方が同じのようで、セイレーン、ヘンゼル、グレーテル、ナユタが、私の神を取り囲むようにカバーに入りましたね…。
「そうだね…ならば、
「"停止"」
セイレーンの言霊による全体の停止命令、非殺傷ならこれ以上ない一手です。回避するには予め対策している事が前提ですからね。
もちろん私たちは漏れなく、セイレーンの言霊による影響を受けないために対策は施してあります。
「それではシンデレラ、お茶会が出来なかったことは残念だが…戦争が終われば開くのだろう?その時に呼び給え。カウンターズの指揮官には、私の手を取って欲しかったが、仕方がない…平和になった世界で、また話すとしよう」
「待て…救世主」
エイブがセイレーンの影響を受けずに歩み出しましたね。
「流石はセイレーンの開発者だね。言霊対策は十分といったところか…しかし、一人ではどうにも出来ないだろう。
「はい、私の神」
私の神のダークマターの座標を記憶し、移動ポータルとして起動するテレポーテーションを展開する。ダークマターによるワープと原理は同じですね。
「ではごきげんよう、カウンターズ達…私を止めたければ、打ち負かし真っ向から私の理論が間違っていたと否定することだ」
『またね、シンデレラ、エイブ…元気で』
「「バイバイ、シンデレラ、エイブ…」」
「………お元気で」
「では、次に会うときは友人を増やしてくださいねぇ、オリジナルの私」
◆◆◆
敗北感が拭えないまま、カウンターズの指揮官達は、アーク中央都市へと帰還した。
威力偵察という名目で、カウンターズの指揮官の独断専行は大目に見られて、お咎めなしとなったが、報告書の山の対応に追われることとなった。
「カウンターズの指揮官が持ち帰った情報を精査するに、ピースメーカーはクイーンの力を手に入れ、ラプチャーの制御権を手に入れたようだ」
カウンターズの指揮官が会議に合流し、持ち帰った情報を共有した。
「クイーンの力か…厄介だな、一個人で世界を敵に回せるようなものだ」
「厄介なんてもんじゃないぞバーニンガム、超厄介だ」
バーニンガムは、アンダーソンの余裕とも見て取れるボケをため息で返した。
「報告では交戦経験はないが、映像にある未確認のヘレティック級が軍隊で配備されている…仮称"量産型ヘレティック"とも呼べるヘレティックの性能を確かめられなかったのは、痛手だな」
「そもそも、本当に製造されているのか疑問ではあるな。準備期間は目算五年、その間ノンストップでヘレティックを製造したところで万単位のヘレティックが製造できるのか甚だ疑問ではあるがな。どうにか実在を確かめられなかったものか」
ヨハンがカウンターズの指揮官の粗を突き、追い打ちをかけるようにバーニンガムが追い打ちをかける。
「ピースメーカーがクイーンの力を手に入れた今、数は力と考えるピースメーカーの軍事理念を考えるなら、軍勢は用意されている前提で話を進める他ない。映像だけの目算ならおよそ五万の軍勢だが、ピースメーカーの事だ。実はその三倍は用意していても不思議と納得できる…ダウングレードはしているだろうが十五万のヘレティックの軍勢…今から降伏宣言は可能だろうか?」
当然冗談のつもりでいたアンダーソンだが、敵の数を考えると降伏した方が相応のリスクを考えず手っ取り早いことは周知の事実であった。
「…いえ、徹底抗戦です。そうでなければ、ピースメーカー指揮官の理論は打ち破れません」
報告書の山を処理しながら、カウンターズの指揮官の口だけは毅然とした態度で、物事を判断する。
「我々もピースメーカー指揮官の例を持って、死者ゼロ人でこの戦争を終わらせましょう。そうでなければ、ピースメーカー指揮官の理論は打ち破れませんから」
カウンターズの指揮官はこれ以上ないほど、冷静に事態を受け止めていた。
お疲れ様でした。
続きの案が思いのほか早く出来上がっているので、私としてはかなり早いペースで書き進めています。これも全ては感想を望む"飢え"があってこそ…エンメパパの教育理念はよく出来ていますね…。
ちなみに選りすぐりの遺伝子の配合で作られたピースメーカーの戦闘レベルは、多分メインチャプター50で見せたリリーバイスレベルだと思いますね…ボディの出来は、ワンオフのリリーバイスに及ばなくとも、クイーンが破損したリリーバイスボディの代案で作ろうとしたダークマター製のボディを五年かけて作ったのがピースメーカーですし、かけた歳月と総合力を考えるなら、他人評価ではない本来の意味のリリーバイス級といって差し支えないと思いますね。
そして去り際の自分の分身に対して「友達作れよ」と言い放つナユタ…。周りは大なり小なり重い感情を持ってちしかんと対峙してるのに、この人だけちょっと特殊なんですよね…。色々なしがらみを捨てて、惑星を救うクイーンは完成してるので、ナユタ自身の目的は既に達成されてるので、良い意味の消化試合と言っても過言ではない。出来るなら人類の存続ですが、分身が「最善」と言ってるので、人類滅亡はまず起こらない。この中で一番気が楽なんですよね…。