魔女は実在する   作:ベータテストマン

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■

 

 ウイスキーピークでの出来事を、ルフィはあまり思い出したくなかった。

 歓迎の宴。賞金稼ぎたちの奇襲。ゾロが一人で数十人を斬り伏せた夜。

 そしてその翌朝、砂漠の国の王女ビビが一味に加わった。

「アラバスタを救いたいの」

 ビビはそう言って、深く頭を下げた。

「バロックワークスの社長が、わたしの国を乗っ取ろうとしているの。でも、わたし一人ではどうにも……」

「いいぞ!」

 ルフィはいつもの調子で即答した。

「国、助けようぜ! な、みんな!」

 誰も反対しなかった。

 ただナミだけが、ほんの少し顔を強張らせた。ルフィはそれを見たが、何も言わなかった。

 

 三日後、船は巨大な密林の島に辿り着いた。

「うおおお! 恐竜だ!」

 ルフィは船首で跳ね回った。

 ジャングルの奥から鳴き声が響き、木々の間を巨大な影が横切っていく。空気は湿って重く、緑の匂いが鼻の奥まで染み込んでくる。

 リトルガーデン。

 時間に置き去りにされた、太古の島だ。

 記録指針(ログポース)を見つめていたナミが、ビビの言葉に青ざめた。

「……一年?」

「ええ。この島は、記録が溜まるまでに一年かかると言われているの」

「一年も足止めなんて、冗談じゃないわよ! アラバスタはどうするの!」

「肉とるぞ!」

「恐竜狩るのか!?」

「おう!」

「話を聞きなさいよ!」

 ルフィとウソップが目を輝かせ、森へ駆け込んでいく。

 サンジはため息をつきながら、包丁を研ぎ始めた。

 その背中を、ゾロが横目で見ている。

「機嫌が悪ィな」

「別に」

 返事は短かった。

 理由は全員がわかっていた。彼はずっと考えているのだ。命の恩人と麦わらの船の、どちらに立つべきなのかを。

 

 森の中で、ルフィは巨大な足跡を見つけた。

「でけェ!」

 形は人間の足跡だ。ただし、大きさが桁違いだった。

 その先に、巨大な影が立っていた。

「ガババババ! 小さな客人が来たな!」

 身長二十メートル以上。赤い髭に、逞しい体。

 巨人だった。

「おれはエルバフの戦士、ブロギーだ! よく来たな、小人!」

「うおおお! でけェェ!」

 ルフィは大声で叫んだ。

「おれはルフィ! 海賊王になる男だ!」

「ガババババ! 威勢のいい小人だ!」

 ブロギーが豪快に笑う。その背後の岩山の上から、もう一人の巨人が顔を出した。

「ゲギャギャギャギャ! おいブロギー! また客人か!」

 青い髭の巨人、ドリー。

 エルバフの二人の戦士は、百年の間、決着のつかない決闘を続けていた。

 

 その夜、ブロギーの住処で宴が開かれた。

 巨大な恐竜の肉が豪快に焼かれる。ルフィは肉に齧りつき、サンジは文句を言いながら調理を手伝い、ウソップは巨人の武勇伝に目を輝かせた。

「エルバフの戦士は誇りに生きる! 誇りを汚された時、初めて泣くのだ!」

「ゲギャギャギャ! そのとおりだ、ブロギー!」

「こ、これが勇敢なる海の戦士か……!」

 巨人たちの笑い声は島中に響いた。

「なんだ小人、記録が溜まらんで困っておるのか」

 ナミの話を聞いたブロギーが、岩の隙間を探って何かをつまみ出した。巨大な指の間で、小さな記録指針が揺れている。

「一年近く前に来た海賊の忘れ物だ。持ち主は恐竜の腹の中だがな。ずっとここに置いてあったから、記録はもう少しで溜まるはずだ」

 ナミは目を丸くして受け取り、覗き込んだ。

「……本当だわ。あと一日もあれば、針が定まる!」

「持っていけ! おれたちには無用のものだ!」

「ゲギャギャギャ! 百年待った男の気は長いが、小人の一年は長かろう!」

 ルフィにとって、久しぶりの本物の宴だった。

 仲間と笑い、肉を食べ、酒を飲む。誰にも見張られていないと思える夜。

 けれどナミの顔は、すぐにまた曇った。手の中の記録指針を握ったまま、浮かない顔で焚き火を見つめている。

「どうしたんだ、ナミ」

「……ううん、なんでもない」

 ナミは笑った。

 ルフィはそれ以上聞かなかった。

 

 翌日は、朝から島の空気がおかしかった。

 鳥の声が止んでいる。恐竜たちの鳴き声も遠い。

 代わりに遠くで、鐘のような音が鳴っていた。

「……なんか静かすぎねェか」

 ウソップが不安そうに呟いた。

「ログはまだ溜まらねェのか」

「あと数時間ね」

「早く出ようぜ」

「どうしたウソップ、怖ェのか」

「怖ェよ!」

 その時、密林の奥から低い地響きが聞こえてきた。

 巨大な足音。

 そして同時に、無数の小さな足音。

 木々の間から、黒い制服の一団が現れた。

 魔女教ハンター。数十人が、整然と隊列を組んでいる。

 先頭に立つのは、黒いツバの帽子を被った小柄な男だった。眼鏡の奥の目が笑っている。

「ご機嫌よう、麦わらのルフィ殿」

 男はにこりと笑って一礼した。

「魔女教、東の海およびグランドライン前半担当のハンター隊長、ヴェルナーと申します」

「……何の用だ」

 ルフィは低く答えた。すでに嫌な予感がしていた。

「ご安心ください。本日は貴方がたに、何の危害も加えません」

 ヴェルナーは両手を広げた。

「パンドラ様のお言いつけで、少しお時間を頂くだけです」

「時間?」

「ええ。この島のブロギー殿とドリー殿にお会いしたく」

 ルフィの顔が強張った。

「あいつらに何の用だ」

「ご挨拶ですよ」

 ヴェルナーは柔らかく笑った。

「彼らは貴方がたに宴を振る舞いました。食事を与え、酒を与え、記録指針まで与えた。素晴らしいお人柄です」

 背筋に冷たいものが走った。

「ですからパンドラ様は、お礼を申し上げたいのです」

「やめろ」

「何を、です?」

「あいつらに手を出すな」

「手を出す? とんでもない」

 ヴェルナーは大げさに首を振った。

「私どもは、お話に伺うだけです。貴方にも、貴方のお仲間にも、何もしていませんよ?」

 その言葉は、確かに嘘ではなかった。

 ハンターたちはルフィたちの横を通り過ぎ、密林の奥へ進んでいく。ブロギーの住処の方角だ。

「待て!」

 追いかけようとした肩を、ゾロが掴んだ。

「待て、ルフィ」

「離せ!」

「お前が今暴れたら何が起きるか、わかってんだろ」

 ゾロの声は低かった。

「ここでも同じ手を使われる」

 ルフィは歯を食いしばった。

「……ブロギーはいい奴なんだ。ドリーも」

「わかってる」

「おれと飯食ったんだ。笑ってくれたんだ」

「わかってる」

 ゾロはルフィの肩を強く握った。

「だが、今は動けねェ」

 拳を握りしめて、ルフィは立ち尽くした。

 遠く密林の奥から、巨人の怒号が響いた。

「なんだ貴様らァ!」

 ブロギーの声だ。

 続いて短い金属音。そして、何かが地面に倒れる重い音。

 ルフィは耐えきれず、走り出した。

 ゾロもサンジもウソップも後を追う。ビビとナミも、一瞬迷ったのちに続いた。

 

 密林を抜けた先の広場に、ブロギーが倒れていた。

 全身を巨大な鎖で縛られ、巨体は動かない。ただ荒い息だけが聞こえる。

「ブロギー!」

「……ル、フィ、か」

 声がかすれていた。

「す、すまねェ。不意を突かれて……」

 周囲をハンターたちが取り囲んでいる。

 広場の中央に、巨大な物体があった。

 最初、ルフィにはそれが何なのかわからなかった。

 高さ二十メートル近い、白っぽい塊。表面はつるりと固まり、ところどころ透明で内側が透けて見える。

 その中に、人影があった。

 巨大な人影。青い髭。

 ドリーだ。

 全身が蝋で固められていた。首から下が完全に白い蝋に埋まり、顔だけが外に出ている。

 その頭上に、一本の巨大な芯が立てられていた。

 火が灯っている。

 溶けた蝋が、頭部を伝ってゆっくりと垂れていく。

「ドリー!」

 ブロギーの叫びが広場に響いた。

 ドリーの目がゆっくりと開く。

「……ブロギー」

「ドリー、ドリー! しっかりしろ!」

「叫ぶな、ブロギー」

 驚くほど静かな声だった。

「エルバフの戦士が、この程度で騒ぐんじゃねェ」

「だが、お前……」

「いいんだ。これもまた戦だ」

 ドリーは小さく笑った。

 その額から、溶けた蝋がぽたり、ぽたりと垂れている。

 熱いはずだ。痛いはずだ。

 それなのに、ドリーは笑っている。

 ルフィの顔が蒼白になった。

「やめろ」

 ヴェルナーに向き直る。

「やめろ、やめろ、やめろォォ!」

「ご安心ください」

 ヴェルナーは穏やかに微笑んだ。

「この蝋は特別製でして、およそ六時間かけて、ゆっくりと燃え尽きます。その間、ドリー殿は意識を保ち続けます」

「六時間……」

「作り手をご紹介しましょう」

 ヴェルナーが軽く手を上げると、ハンターの列の間から、一人の男が押し出された。

 数字の「3」の形に髪を固めた、細身の男だった。顔色は蝋よりも白い。

「Mr.3!」

 ビビが息を呑んだ。

「バロックワークスの幹部よ! ドルドルの実の、蝋人間……!」

「そちらのMr.3殿は、黒の福音銀行に大きな借りがおありでして。今回はそのご返済です」

「……こんなものは、芸術ではないガネ」

 Mr.3は誰とも目を合わせず、呻くように言った。

「魔女教の薬を混ぜられた蝋だガネ。一度固まれば、もう私にも操れん。こんなものを作るために、私の能力はあるのではないガネ……」

「お静かに」

 ヴェルナーの一言で、Mr.3は口を閉ざした。

「さて。ブロギー殿には手を下しません。鎖も、ドリー殿の最期が済めば解いて差し上げます」

 ヴェルナーは、倒れた巨人を見下ろした。

「百年戦い続けた友が燃え尽きるのを、動けぬまま最後まで見届けていただく。それがブロギー殿への報いです」

 ブロギーの喉から、獣のような唸り声が漏れた。

「お前らァ……」

「麦わらのルフィ殿」

 ヴェルナーは静かに言った。

「もう一度申し上げます。私どもは貴方がたには、一切手を出していません。この件は、貴方がたと親しくしてくださった巨人の方々への、パンドラ様のお礼です」

 全員が、その言葉の意味を理解した。

「蝋を砕けば、ドリー殿はその場で死にます。蝋が体に癒着していますから」

 ルフィの息が止まった。

「貴方が動かなければ、ドリー殿は六時間かけて燃え尽きます。どちらを選ぶかは、貴方の自由です」

 広場に沈黙が落ちた。

 誰も息をしていなかった。

「……クソが」

 サンジが絞り出すように言った。

「いくら何でも、ひでェだろ」

「ええ、残酷ですね」

 ヴェルナーは困ったように笑った。

「ですがパンドラ様は、こうも仰いました。『優しさには報いが必要です』と」

 サンジの咥えていた煙草が、ぽとりと地面に落ちた。

 信じられないものを見るように、目が見開かれている。

 命の恩人と慕っていた、あの人が。

 これを命じた。

 サンジの膝が、がくりと折れた。

 誰も彼を支えなかった。ビビは両手で口を覆って震え、ナミはずっと俯いたまま、肩を小刻みに揺らしている。

「ルフィ!」

 ドリーが叫んだ。力強い声だった。

「小人! こっちを見ろ!」

 ルフィは涙でぐしゃぐしゃの顔を上げた。

「ドリー……ごめん、ごめんな。おれ……」

「何を謝る」

 ドリーは笑った。

 額から頬へ流れる蝋は、涙のようにも見えた。

「おれは嬉しかったぞ」

「え?」

「久しぶりの客人だ。ブロギーと百年、二人きりだったこの島に、お前たちが来てくれた」

 声は穏やかだった。

「楽しかった。肉も酒もうまかった。お前の笑顔も気に入った。ゲギャギャギャ」

「やめろよ、そんな最後みてェに……」

「最後だ」

 ドリーははっきりと言った。

「だから聞け、ルフィ。お前は泣くな」

「え……」

「海賊王になるんだろう。なら、こんなところで泣くな。前を見ろ」

 ルフィは唇を噛みしめた。血が滲む。

「ブロギーのことは頼んだぞ。あいつは頑固だ。おれがいなくなったら、一人でくたばりそうだ」

「ドリー……」

「それと」

 ドリーはヴェルナーを見た。

 その目は、燃え盛る炎のようだった。

「魔女の使いよ。貴様の主人に伝えろ」

「何をでしょう」

「エルバフの戦士は死んでも屈しない。我らの誇りは、貴様らの鎖では縛れん」

 ヴェルナーはわずかに眉を上げた。

「承りました。必ずお伝えします」

 その声は、どこか愉快そうでさえあった。

 

 それから六時間、誰もその場を離れなかった。

 ブロギーは鎖に縛られたまま、友を見つめ続けた。

 ルフィは一度も目を逸らさなかった。ゾロが何度か、その腕を掴んだ。止めるためではない。支えるためだった。

 ビビは途中で膝をつき、嗚咽した。ナミは耳を塞いだまま動かない。ウソップは顔を覆い、地面に蹲っていた。

 サンジはいつの間にか立ち上がり、そのまま立ち続けていた。顔から表情が消えていた。

 Mr.3は蝋の塊の足元に座り込み、両手をその表面に当てていた。ハンターたちは、彼が役目の後始末をしているのだと思ったらしい。誰も咎めなかった。

 蝋はゆっくりと燃えていく。髭の焦げる匂いが、広場に漂った。

 ドリーは声を上げなかった。

 ただ時折、小さく何かを呟いていた。

 エルバフの古い歌だった。戦士が死ぬ時に歌う歌。

 ブロギーがそれに合わせて、低く歌い始めた。

 二人の巨人の歌声が、静かな密林に響いた。

 とても悲しい歌だった。

 やがて、片方の声だけになった。

 日が傾きかけた頃、最後の炎が消えた。

 ドリーはもういなかった。

 広場に残ったのは、焦げた巨大な蝋の塊と、立ち昇る一筋の煙だけだった。

 

 ブロギーの鎖が解かれた。

 ヴェルナーは、座り込んだままのMr.3を見下ろした。

「Mr.3殿。ドリー殿の肌に、薄く別の蝋を張っておいででしたね。熱を和らげるために」

 Mr.3の肩がびくりと跳ねた。

「融資は本日をもって打ち切りです。続きは本部で伺いましょう」

「……焼け石に水だったガネ」

 Mr.3は力なく呟いた。

 ハンターたちが両脇を固める。Mr.3は抵抗もせず立ち上がり、引き連れられるまま、密林の中へ消えていった。残りのハンターたちも、何も言わずその後に続く。

 ヴェルナーだけが最後に振り返り、深く一礼した。

「お疲れ様でした、麦わらのルフィ殿。パンドラ様もきっとお喜びになります」

 ルフィは動かなかった。

 地面に座り込んだまま、燃え尽きた蝋の残骸を見つめている。

 その背中に、低い声がかかった。

「……ルフィ」

「ブロギー」

「お前のせいではない」

 ブロギーは巨大な手を、ゆっくりと地面に置いた。

「あいつはお前を気に入っていた。友のために笑って死んだ。それがエルバフの戦士の誇りだ」

「でも……」

「泣くな」

 その声が震えた。

「泣くのはおれの役目だ。戦士の誇りを汚された、おれのな。お前は前を見ろ」

 大きな目から、大粒の涙が流れた。

 百年の友を失った男の涙だった。

 ルフィは立ち上がり、麦わら帽子を深く被り直した。

「ブロギー」

「なんだ」

「おれ、あいつらをぶっ飛ばす」

 低く、静かな声だった。いつものルフィの声ではなかった。

「魔女もハンターも、全部。おれがぶっ飛ばす」

 ブロギーは何も言わず、ただ深く頷いた。

 

 その夜、麦わらの船はリトルガーデンを出航した。

 船上では誰も口を開かなかった。

 ブロギーから貰った記録指針の針が、次の島を指している。けれど、誰もそれを見なかった。

 ナミは甲板の隅で膝を抱えていた。その手には、小さな子電伝虫が握られている。

 じっと見つめ、やがてゆっくりと手を振り上げた。海に投げ捨てようとしたのだ。

 けれど、その手は空中で止まった。

 震えながら、ゆっくりと下りていく。

 ナミは電伝虫を胸に抱きしめ、声を殺して泣いた。誰にも聞かれないように。誰にも気づかれないように。

 ルフィは船首に座り、夜の海を見つめていた。

 泣いてはいなかった。ただ、拳を強く握りしめていた。

 その背中を、ゾロが少し離れた場所から見守っている。

「……あいつ、変わっちまったな」

「ああ」

 いつの間にか隣にサンジが立っていた。新しい煙草に火をつける手が、微かに震えている。

「おれはあの人を信じてた」

「……」

「恩人だと思ってた。優しい人だと」

 声が掠れた。

「おれはバカだ」

「お前がバカなんじゃねェ」

 ゾロは静かに答えた。

「あの女が、そう見せてただけだ」

 二人はそれ以上何も言わず、並んで夜の海を見つめていた。

 船は静かに波を切って進んでいった。

 

 聖堂で、俺はヴェルナーからの報告書を読み終えた。

 

『ドリー、処分完了。最期までエルバフの誇りを保ったとのこと。ブロギー、見届けをもって報い完了。Mr.3、本部へ連行』

 

 紅茶を一口含む。

 傍らに、マルコが静かに控えていた。

「パンドラ様」

「どうしました」

「あの坊主は、これで変わるだろうよい」

「ええ。少し良い顔になると思います」

 報告書を卓に置き、窓の外を見る。

 夜の海。

 あの少年は今、この海のどこかで拳を握りしめている。

 それを想像すると、胸の奥に何かがちくりと刺さった。

 ……罪悪感だろうか。

 まさか。

 俺は悪だ。混沌・悪だ。それは変わらない。

 けれど、ドリーの最期の言葉が頭から離れなかった。

『エルバフの戦士は死んでも屈しない』

 紅茶を飲み干し、カップを置く。

「……面白いですね」

 小さく呟いた。

「実に面白い世界です」

 その声が少しだけ震えていたことに、俺は気づかないふりをした。

 

 

 




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