奴隷たちが「助けてくれ」と言ってきたので買って自由にさせたら、なぜか敵国やエルフの姫が求婚してくるのはなぜだ。 作:主義
六人が故郷への帰還を選んでから1ヵ月の月日が流れた。
本当はもっと早くしたかったが、色々と問題があった。
コリンナのことだ。彼女はメリザイア帝国の出身だ。メリザイア帝国と僕の住んでいる、サユエア王国は戦争をしているのだ。戦果中でありながら、安全に一人の子供を故郷に戻すのは非常に難しい。
陸路にしても海路にしても、まず帝国側の人間とコンタクトを取るのが大事だ。そのため、まず最初にしたのは、うちの家系との付き合いもある、メリザイア帝国の人間に連絡を取った。
そちらの国に送り届けたい子供がいること、報酬は前払いでそれなりの金額を出すこと、なるべく安全なルートで届けて欲しいことなどなど。
結果としてそれが上手くいき、コリンナのことを帝国に届けてくれることになった。
一応、もしも裏切りが発生した時のために、コリンナには『あるもの』を持たせることにした。
コリンナのことだけでもこんな感じだ。
他の五人の中でシエルとシェリルに関しては人間族でまだ子供のため、コリンナと同じように護衛を付けることにした
残りのセシリア、イーデン、ブリアナに関してはそれぞれで帰ることになった。まず、セシリアに関してはなんで奴隷として捕まっていたのか不思議だった。竜人族は人間のことを余裕で圧倒できる力がある。
そしてそれを本人に聞いたところ、どうやら色々とあって、奴隷の首輪を付けられてしまったらしい。奴隷の首輪には相手を弱体させる能力のようなものがあるらしく、付けられた状態だと人間と同じぐらいになってしまうと。
でも、今は奴隷の首輪もない。
問題なく、セシリアの力を考えれば一人で帰れる。
イーデンとブリアナに関しては故郷の場所を特定することが出来なかった。どうやらエルフもダークエルフも秘匿性が高いらしく、いくら調べたところで手がかりの一つも見つからなかった。
それを二人に言うと、どうやらそういうものらしい。そして彼女たちは自衛の手段として魔法を使えるらしく、護衛なども必要ないということだった。
なので結局、コリンナとシリル、シェリルは護衛付きで故郷まで帰る。セシリア、イーデン、ブリアナはそれぞれ個人で帰ることになった。
そしてやっと今日、全員が出立する。
これまでに街に繰り出して六人の服や欲しいものなど全てを買い与えた。金は使える場があるのであれば、どんどん使いたいからちょうど良かった。
あと二年は働くていいぐらいの金貨を六人に私、護衛する者たちにも金貨を前払いをした。
六人分の馬車も用意してあるため、僕の屋敷の前に馬車が止まっている。さすがにこんなに多くの馬車が家の前に止まっているのは初めてだ。セシリア、イーデン、ブリアナは一人で帰るため、自分で馬を操ることになるが、その辺りは出来るようなので安心した。
彼ら彼女たちも準備を整えて、屋敷の外へと出ている。そこで六人だけで色々と話しているため、僕は少し離れたところからその様子を見ていた。
これからしばらく六人も会うことは出来ないだろう。その別れを邪魔するほど、僕は気が使えない人間ではない。
最後に何か言葉を掛けるべきなんだとは思うけど、どんなことを言うべきなんだろうか。こういうのって悩みだすととことん悩んじゃうんだよな。
そんな風に考えていると、六人は急に僕のところまで駆けてきて、目の前で足を止めた。
「おにいさん…だいすき。ず~っと、だいすき。これからもず~っと」
「ボクはご主人様に助けて頂いたお陰で生きていられます。その感謝を胸にこれからも生きて行こうと思います。ありがとうございます」
「アタシはアタシの決めた道を進む。ご主人と出会えて幸せだ。アタシの運命を変えてくれた、ご主人と共に生きる」
「故郷に帰るという選択をした以上はその選択を後悔しないように頑張って参ります。主様には感謝しかありません。私に生きる目標を与えてくださり、ありがとうございます」
「父様を近くでお護りしたいですが、少しの間離れさせてもらいます。ずっと父様の近くにいるために」
「ご主人様、本当に助けて頂きありがとうございます。暫しのお別れです。ですが、私…いえ、私たちにご主人様は温かさをくれました。なので大丈夫です。いつでもご主人様のことを思い浮かべるだけで力が湧いてくるので」
それぞれの言葉を聞き終えると、今度は僕が皆に言葉を送る番だ。
「みんな、これからも元気にね。みんなが幸せにそれぞれの故郷で過ごせることを願っている。同じ空の下でね」
もう会うことはないと思う。
それぞれ故郷に帰れば、大切な人や、やるべきことなどを見つけると思う。そうなれば、僕のことなんてすぐに忘れるはずだ。
あと皆のことで心配事があるとすれば、全員がちゃんと無事に故郷に帰れるかというだけ。護衛などを雇ったりもしているし、大丈夫だと思うが。
そして出立の時間になった。
六人の顔を見るのも、これが最後の機会だ。
最後の最後に僕は「元気でね」と言った。
それに対してブリアナが礼をした後に、返答する。
「はい、ご主人様、健康に気を使ってください」
「分かってるよ」
「では、いってきます」
「うん、いってらっしゃい」
その日、六人はそれぞれの故郷に向けて出発していった。