知る人ぞ知る   作:ライム酒

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日本国憲法(昭和二十一年十一月三日公布) 前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。



健康で文化的な S210801

一

 

「会議を開きます。今日は前文から、もう一度審議したいと思います」

 

 委員長の芦田均がそう言ったのは、午前十時十七分だった。衆議院の、憲法改正案を修正するための小委員会である。委員は十四人で、会は秘密会とされ、記者は入れない。委員のほかには、政府の側から法制局の役人が来て、速記者がいるだけだった。

 

 残っている問題は二つある、と芦田は続けた。一つは、社会党の森戸辰男が出した、前文に「窮乏きゅうぼうと搾取」という文字を入れる案。もう一つは、前文の初めの段を「人類普遍の原理である」で一度切りたいという、自由党の廿日出はつかで厖ひろしの案。

 

「まず森戸君の案の、窮乏と搾取を入れるか入れないか、という点をお諮りします」

 

 前文には、専制と隷従れいじゅう、圧迫と偏狭を地上から永遠に除こうと努めている国際社会、という一節がある。二字ずつの言葉を対にして並べた所に、窮乏と搾取を加えたい。社会党の案だった。

 

 森戸が手を挙げた。

 

「この言葉については、この前も少し申したように、搾取という言葉にはいろいろイデオロギー的な連想が伴うので、とても受け入れにくいという説もありました。それなら、いっそ酷使という一般的な言葉に変えたい、と思っています」

 

「搾取と言えば、近代国家でもしばしば問題になっていると思うのだが、酷使というようなことは、よほどの野蛮国のやっていることでね」

 

 芦田が言い、これは私の私見だったのですが、と付け加えた。鈴木義男が引き取った。

 

「それはごもっともな私見です。使いたくない言葉ですけれども、無理に使おうというのです」

 

 酷使という字のことだった。

 

「欲を言えば、第三のよい字がほしいですね」

 

 進歩党の犬養健たけるが言った。芦田は英文の草案をめくっていた。

 

「これでちょっと面白いのは、酷使というのは英語では『エクスプロイテーション』なのです。日本で『エクスプロイテーション』と言えば、酷使という意味にも使うし、搾取というときにも『エクスプロイテーション』でしょうね」

 

「だから、これを訳すときには『エクスプロイテーション』になる。そこは私たちの目的を達することになります」

 

 鈴木はそう答えた。日本語で搾取と書いても酷使と書いても、英文では同じ一語になる。それなら日本語の方は通りのよい字を選べばよい、と鈴木は考えた。

 

「議事進行の上から――」

 

 と、大島多藏たぞうが割って入った。

 

「どうでしょうか。あなた方のお気持ちはよくわかりますが、全体としてご賛成もなさそうに思いますので、この点はお願いできませんか」

 

 引っ込めてくれないか、という頼みだった。対の並びに字を足すと長すぎる、とも大島は言った。

 

「それでは、この点については、もう一度社会党で協議しまして、午後のいちばん初めに最終の決定をお持ちします」

 

 廿日出の案に移った。前文の文案は、各派で話し合って一度落ち着き、芦田が刷り物にして配ってある。それを自由党の中から、もう一度持ち出してきたものだった。

 

 自由党の北れい吉が、ぜひ通してくれと熱心に頼んだのだという。北はこの朝、席に来ていない。

 

 委員はそのつもりで持ち帰ったが、党の内部で異議が出た、委員としては一応相談せざるを得なかった、と芦田が事情を話した。

 

「事情はわかりました。やむを得ないが、反対です。このままでよろしい。今まで考え抜いてきたのだ。どんなに名文でも、三日間考えたって、言葉は不完全なものなのですから、そううまくいくはずはない」

 

 鈴木が言うと、犬養も言った。

 

「そういう風にここで討議をすると、私たちの方も、後の第三章の労働の所でずいぶん問題がある。委員は見識を持っているということが大切だ。帰って第三者に追いまくられてくるのでは困る」

 

「撤回します」

 

 と廿日出が言った。犬養はなおも言った。

 

「北さんがいないで、そう言っておいてくれ、というのは反対です。自分で忠実に出てこなければいけない」

 

 次は第一条、天皇の条だった。

 

「それでは第一条ですが、まだこの第一条の問題を最終的に討議する準備ができていないのです。明日まで討議を延ばしていただきたいのですが、いかがですか」

 

「賛成」

 

 と大島が言った。鈴木は芦田に尋ねた。

 

「やむを得ませんが、何か外との関係ですか。それとも、党の方のご事情ですか」

 

「速記を止めて」

 

 速記者が鉛筆を置いた。それから何が話されたかは、紙に書かれなかった。

 

二

 

 第九条に入った。

 

 芦田は七月二十九日に、自分の試案を出していた。政府の原案は、一項で戦争を放棄し、二項で陸海空軍その他の戦力を持たず、国の交戦権を認めない、という順だった。芦田の試案はそれを入れ替えて、戦力を持たず交戦権を認めないことを先に置き、戦争の放棄を後に回していた。委員たちは先日、その試案で一度一致していた。今朝、芦田はそこから「宣言する」の字を削って、それで一応の修正にしたいと言った。

 

 鈴木には、それが気がかりだった。おととい、交戦権を先に持ってきて戦争の放棄を後に回すのは立法の技術としてどうか、と金森国務大臣に尋ねたのは、鈴木自身だった。金森は、これは非常にデリケートな問題で軽々しくは言えない、と断ってから答えた。一項には「永久に」の字を使ったが、二項には使わなかった。将来、国際連合などとの関係で、戦力を持つことについては考えるべき点が残っているのではないか。自分ひとりの腹づもりかもしれないが、そう考えて、永久のはっきりした所を一項に置いたのだ、と。

 

 原案の順序には、その腹づもりが入っている。それを入れ替えれば、何か含みがあって変えたのかと、司令部にも国内にも読まれかねない。

 

「念のために、もう一度……」

 

 鈴木が言いかけると、芦田が、読みましょうか、と紙を取った。鈴木は首を振った。

 

「読まなくてもわかりますが、私は非常に心配なのです。どうも、交戦権を先に持ってきて、陸海空軍の戦力を保持せず、というのでは、原案の方がよいように思うのです。その点は十分ご考慮くださったのでしょうか」

 

「私は、これを保持してはならない、という書き方が……」

 

 と芦田が言いかけた。

 

「いや、書き方を変えるのは賛成しますが、私が言うのは順序のことです」

 

「順序を変えるのはその人の趣味で、たとえば演説をするときに、いちばん大事なことをいちばん初めに言う人もあれば、いちばん大事なことは最後に言う人もある」

 

 自分の趣味では、交戦権を認めないから戦争の放棄が出てくる。だから交戦権を先に言う方が筋が通る、と芦田は感じたのだという。鈴木が返した。

 

「ある国際法学者も、交戦権を前に持ってくる方が、自衛権というものを捨てないことになるからよいのだ、と説明していました。ですから、いろいろ利害はあるのですけれども、先日、金森国務大臣は、戦争の方は永久にこれを放棄する……」

 

「金森君と私の意見は、その点で違うのです」

 

 芦田は短く切った。鈴木はそれ以上押さなかった。

 

「それもわかります。十分ご考慮くださったうえで、それでよいということであれば、私はしいて反対しません」

 

 犬養が、政府委員として来ている法制局次長の佐藤達夫に尋ねた。

 

「ちょっと法制局に伺いますが、第九条の第一項は永久に動かない、第二項は多少の変動がある、という何か含みがあるような国務大臣のご発言が、先日ちょっとあったのですが、そういう含みがありますか」

 

「正面から、そういう含みがあると申し上げることはできないと思いますが、ただ、気持ちをわかりやすく受けとっていただけるように、金森国務大臣はああいう言葉をお使いになったのだろうと思います」

 

「したがって、この順序は無意味ではなくて、相当意味がある……」

 

「意味があるということを言いたいために、ああいう表現を使われたのだと思います」

 

 佐藤の答えは、正面からのものではなかった。進歩党の吉田安は、やはり原文の順にしておいたらどうか、と勧めた。

 

 芦田は、まだ言っていなかった理由がある、と言った。

 

「原文のまま第二項に置いて文句を変えると、関係筋で誤解を招くのではないか。独立の項として置く限りは『これを保持してはならない』『これを認めない』という風にしないと、かえって修正することがやぶへびになる」

 

 関係筋とは、司令部のことである。芦田は続けた。

 

「だから、どうしても日本は国際平和を誠実に今望んでいるのだ、それだから陸海軍は持たないのだ、国の交戦権も認めないのだ、という形容詞をつけて『戦力を保持せず』と言う方が、その方面と交渉するときには説明しやすいのではないか。このままにしておいて、この第二項の英文を書き換えるのは相当難しいのではないか」

 

 そこへ、進歩党の原夫次郎ふじろうが口を開いた。草案の原文を非常に尊重し、委員長の修正案にも非常なご苦心があったと思い、一字一句おろそかにせず読んできた、と言ってから、案を出した。

 

「委員長の修正案の『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し』、そこまでを取って、原案の頭につなげる。それくらいの所ではどうでしょうか」

 

「賛成です」

 

 鈴木はすぐに言った。原は、委員長のご苦労に感謝して、賛成はしていたのですが、と言い添えた。

 

「そうすると、原案通りになるのですね」

 

 と芦田が言った。鈴木は言い直した。

 

「原案の前に『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し』、それから『国の主権の発動たる戦争』と、こう続けて、やはり一項、二項というのは原案のまま残しておいてよい」

 

「そうすると、二項は変えないということですか」

 

 と芦田が確かめた。

 

「そうです」

 

 芦田はまだ、二項の言い回しにこだわっていた。

 

「これは人の趣味の問題だが、これを読んで、陸海空の戦力はこれを保持してはならない、と言われると、何だか日本国民全体が他人の力で押さえつけられるような感じを受けるのですね。自分で……」

 

「もともと戦争の問題ですから、何か委員長のような感じを、私たちも最初は持ったのです」

 

 鈴木は言った。

 

「けれども考えてみると、憲法は国家機関に対する命令を定めていることが非常に多い。何々を保障する、何々をしてはならない、思想及び良心の自由を侵してはならない、というように。国家機関に、将来の政府は陸海空軍を設けてはならない、と命令しているのですから、差し支えないと思います」

 

「だから、初めに申し上げたように、これは趣味の問題だが、私たちの趣味では、その他の戦力はこれを保持してはならない、というような言葉を読まされることが、何だか……」

 

 芦田がそう言うと、吉田安が受けた。

 

「それはわかる。つらい」

 

 芦田は続けた。

 

「保持せず、と言うのなら自分の決心です。けれども『オーソライズド』という字を使った所は、ほかにないでしょう。ここに限って『ネヴァ・ビー・オーソライズド』と書いてある。それが何となく、私たちにはつらいので。だから、保持してはならない、という受け身の形でなく、自分から進んで、これを保持せず、と……」

 

「そう神経過敏に考えなくてもよいと思います。『オーソライズド』というのは、要するに……」

 

「それは法理の上では、あなたのおっしゃる通りだと思う。ただ、読んだときにこの文句が気になる人は、私ばかりでなく、相当多いと思う」

 

 鈴木は、自分たちも一度は同じように考えたのだ、と打ち明けた。

 

「私たちもそういう感じから、この修正案を考えて出したわけですが、さて、だんだん思案して手をつけてみると、また元へ戻ってきて、これしかない、というような感じがしたものですから……」

 

 原は自分の案をもう一度説明した。原案は一項と二項をきちんと分けている。それなら順序はそのままにして、一項の戦争放棄の頭に、国際平和を誠実に願うという一句を冠のように載せればよい。冠がかかれば、文章の具合もよいし、考え方の上からも非常によいのではないか。吉田安は、やはり委員長の案がよいと言った。

 

「将来、これを読むたびに、国民の誰もが、いかにも他人の力によるようで情けなく感じるような気がします」

 

 協同党の林平馬へいまが言った。

 

「どうも、その日その日の気持ちでいろいろに変わると思うのですが、今の第九条は先日満場一致で修正されて、ただ宣言という文字を残すか残さないかだけが問題として残っていた。また引っくり返してしまうと……」

 

 同じ進歩党の原と吉田安でも、意見が割れていた。芦田は、これは後に回しましょう、やはり党の意見をまとめて述べた方が、と言った。

 

 鈴木は引かなかった。

 

「後にすると言っても、きりがないことですから、最後の結論が出てくるように、ここで一応は決めておきたいですね。私も、ほかの条文なら蒸し返しは決していたしません。これは非常に心配して、いつも考えていまして、佐藤君もご存じだが、議場の外でも、どうもあれは心配だから、よく国務大臣の意見も聞いてくれ、順序を変えるのもどうか、といろいろ話をしたくらいで。この条文は、おそらく関係方面に対しても、いちばん大事な条文になると思うから、ほかのことは決して蒸し返さないが、これだけは例外として蒸し返してもよいと思う」

 

「私も鈴木君と同じ意見だが、ここで英文の話から委員長の含みなど、いろいろ考えさせられる。ですから非常に研究になって喜んでいるのですから、もうこのくらいの所で、一応片づけていただきたい」

 

 と原が言った。

 

「私も一刻も早く終わりたいのですけれども、まとまりますか」

 

 芦田が言うと、犬養が案をまとめた。

 

「委員長のおっしゃった『前掲の目的を達するため』ということを入れて、一項、二項の仕組みはそのままにして、原委員の言われたように、冒頭に『日本国民は正義』うんぬんという字を入れたらどうか、とも思うのですが。それで何か差し障りが起きますか」

 

 前掲の目的、というのは、芦田の試案にあった句である。芦田はその句のわけを話した。

 

「『前項の』というのは、実は、両方とも国際平和を願っているということを書きたいけれども、重複するようなきらいがあるから、『前項の目的を達するため』と書いたので、つまり両方とも日本国民の平和を求める思いから出ているのだ、という風に持っていくにすぎなかった」

 

 自由党の廿日出厖が、思いのたけを話しはじめた。

 

「委員長がご心配になっている二項の、いわゆる他動的な文句、何だか属国ででもあるように国民に映る卑屈な気持ち、これを完全に除きさえすれば、この第九条は解決するのではないかと思う。実は新聞に載ったときの文は、これとは違って、『戦力保持は許されない。国の交戦権は認められない』となっています。それで誰も皆、気を腐らせた」

 

 それを今度、「保持しない」とぴしゃっとやっておけば、非常に心がすっとするのではないか。廿日出はそう言って、続けた。

 

「長いあいだ私はこれで苦しんでいる。皆からも責められた。この点だけでも直さなければならないと、ずいぶん言われた。そこで、どうか第二項の所は何も加えずに、さっとやってくだされば、いちばん解決するのではないかと思います」

 

 芦田が紙を取った。

 

「そうすると、今の進歩党の案は」

 

 犬養の案を、芦田は進歩党の案と呼んで読んだ。

 

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。それから第二項で、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」

 

「それでけっこうです。私は異論はありません」

 

 と廿日出が言った。

 

「それなら大賛成です」

 

 と鈴木は言った。

 

 小会派の笠井重治じゅうじが言った。

 

「この憲法については、ずいぶんマッカーサーの方でも力を入れているらしいですから、なるべくこの原案に、よほど力のある文章を作っていただきたいと思う。認めないとか何とか、簡単にでなく――そうお願いします」

 

「私もだいたい今の笠井さんのご意見と同じです。なるべく、こういうことは原案に忠実に作るように、ということでよいのではないかと思う。さっきの鈴木さんのお話にもあったように、私たちは、そう押さえつけられたという感じを、ことさら持たないのですけれども……」

 

 自由党の江藤夏雄だった。芦田が答えた。

 

「そこは非常に意見がある所で、感情というか、趣味の問題で、もちろんこれで何でもない人もたくさんいるに違いない。またこれを見るたびに、いつも悔しい気持ちのする人もあるのだから、これはもう百人百様の印象を受けるので……」

 

 話がまたほどけかけた。鈴木は皆の方を向いた。

 

「どうです、皆さん。せっかくまとまりかけてきたのだから、『保持しない』『認めない』ということで、原案通りご賛成願いたい」

 

「皆さんご賛成でしたら、私は異論はありません」

 

 と廿日出が言った。

 

「そうすると、保持しない、と直すのですか」

 

「そうです」

 

 芦田はもう一度、頭から読み上げて、確かめた。

 

「こういうことでしたね。それでは第三章に参ります」

 

 異論はもう出なかった。芦田は採決をとらずに、そのまま次の章へ進んだ。九条はこの形でまとまった。

 

三

 

 第三章は国民の権利と義務の章で、社会党の修正案がいちばん多い所だった。

 

 社会党の案は、どれも国民の生活の権利を国が保障する、ということに尽きる。芦田はそう言ってから、自分の考えを出した。細かな条をいくつも並べる代わりに、第十二条の「すべて国民は、個人として尊重される」に「その生活権は保障される」と一句を入れる。第二十三条の「生活の保障」は「社会保障」と言う方が正しいから、そう直す。休息の権利は、二十五条あたりの一項にして入れる。

 

 政府の案の二十三条は、法律は、すべての生活部面について、社会の福祉、生活の保障、及び公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない、という一文だった。法律がそう作られなければならない、と言うだけで、国民が何を求められるのかは書いていない。

 

 森戸が社会党の案を読んだ。一項に「すべて国民は、健康にして文化的水準に応ずる最小限度の生活を営む権利を有する」を入れる。二項で、国はそのために社会福祉や公衆衛生の向上に努めなければならない、とする。これで社会主義を憲法に持ち込もうというのではない、と森戸は言い添えた。

 

「あまりたくさんおっしゃったものだから、よくわからなかったですが、十二条は、これは修正しないのですね」

 

 と大島が尋ねた。十二条は手をつけない、と森戸は答えて、一項をもう一度読んだ。

 

 芦田は、重点はむしろ十二条の方にあるのですよ、と口をはさんだ。進歩党の吉田安も、この一項は十二条の幸福追求の所に入るのではないかと前から議論があり、私たちも十二条でよいという見方だ、と続けた。

 

「違うのです」

 

 鈴木が言った。十二条の初めの一項は、倫理の上の求めである。国民は個人として尊重される。そこへ経済上の生活の保障をつなげば、木に竹をついだようになる。

 

 原が、法律に任せればよい、と言った。

 

「憲法の決まりは、国政に関する事柄の具体的なことは法律で定めよ、という建前でやっているのですから、時々の政策で変わるような問題は、そこにゆとりをつけて、法律に任せておいて差し支えないではないですか。そうでないと、いくら論議しても……」

 

「それならば、打ち切りにしていただきたいのです」

 

 鈴木の声が強くなった。

 

「原委員のご意見から言えば、婚姻は両性の合意でやるとか、相続はどうする、住居の選定はどうする、令状を持ってこなければ縛れない、こんなことは皆、刑事訴訟法や民法に定めるべきもので、何の必要があってここに定めたのかわからない」

 

「それは人権に関する非常に大きい問題で……」

 

「それならば、生存権は最も重要な人権です。結局、十九世紀までの憲法の体裁でいくとお考えになるか、二十世紀になってからできている各国の憲法のような憲法を作ってもかまわないか、ということに帰着するのです。フランスの憲法でも、ソ連の憲法でも、労働者の権利などを、もっと詳しく書いてありますよ」

 

「それで、たとえば財産権の所の修正意見を見ても、あなた方の言われるのは、いわゆる社会主義……」

 

「アメリカの憲法に書いてあることなら黙って通すが、フランスやソ連やドイツの憲法に書いてあるのは通さない、というような意見が非常に強いので、私たちは心外に思っているのです」

 

 六月の初め、鈴木は社会党の修正を携えて司令部へ行き、二、三時間話してきた。生存権の一項も、その中に入っていた。いけないとは言われなかった。この一項を止めているのは司令部ではなく、この部屋の委員たちだった。

 

 犬養が間に入った。十二条は倫理の立場から個人を尊重するもので、二十三条は一人ひとりの実際の暮らしに触れる。扱いが別でよい。最低の文化的な生活の保障を二十三条の一項に入れ、二項は原文のような大まかな文章にして、細かな制度は社会立法に譲る。私の私見で恐縮ですが、と犬養は付けた。

 

 原はまだ言った。この間から、世界各国の主な憲法の話を、講演を聴くようにして聴いているが、たとえば所有権の問題にしても――。

 

「その講義はけっこうです……」

 

 鈴木はさえぎった。

 

「結局、立場が違っているのですから、解決できなければ討論を打ち切って、ほかの判断に委ねるよりほかない。ですから、そんなことを言うのはやめましょう」

 

「ですけれども、なるべく協調を保って……」

 

「協調が保てないではないですか」

 

 部屋が静かになった。自由党の江藤が、十二条についての鈴木さんの意見は私もそう思う、今日の時代には、社会党の言うように二十三条に入れる方がよいのではないか、と言った。

 

 大島が社会党に尋ねた。二十三条の原文をなるべく生かして、たとえば「すべての生活部面について、社会の福祉、最低文化生活の保障」という風に、短く書き直すことはできないか。

 

 鈴木は、森戸が読み上げた社会党の新しい一項を指した。

 

「書き直したのがこれであって、そうすれば後の方の休息権も、老年、そのほか病気などということも、皆省いてよいことになる。だから、こういう風に直したのです」

 

 犬養が、二項の「社会的生活保障制度」の所は社会立法に譲ってはどうか、と言い、芦田が二項を短くまとめた。そこへ佐藤達夫が字句を尋ねた。

 

「ちょっと参考までにお尋ねしたいのですが、字句の問題で恐縮ですが、『健康にして』というのは、健康な生活を営む、という所へ一つ入るのですね。それから『文化的水準に応ずる最小限度の生活』というのは、先ほど大島さんが最低限度の文化生活と言われましたが、それと違うのでしょうか」

 

「これは一律の最小限度ではない。文明の程度がありますから、日本がアメリカの程度の生活を保障することはできない。その国のその時の文化水準に応じた最小限度の生活、という意味です」

 

 森戸が答えた。

 

「わかりました」

 

 鈴木の手元の刷り物には、社会党の一項が、すべて国民は、健康にして文化的水準に応ずる最小限度の生活を営む権利を有する、と刷られていた。芦田はその「健康にして」の四字にこだわった。文化的な水準と言えば、健康を保てる水準のことだろう。健康が保てないような水準なら、それは文化的な最小限度の水準ではない。だから「健康にして」の字が果たして要るのか疑問だ、と芦田は言った。

 

「そういうことを言っていてはきりがない。生活の保障や公衆衛生の向上などと繰り返す必要はない。それは皆『社会の福祉』の中に入っている」

 

 その理屈なら、政府の案の二項も重なりだらけになる。鈴木はそう言い返したのだった。芦田は言った。

 

「だから、繰り返す必要がある所は繰り返す」

 

「それなら『健康にして』を付け加えても、一向差し支えない」

 

「『健康にして』というのは、どこに入るのですか。健康な生活ということですか」

 

「そうです。健康な生活……」

 

 芦田は引かなかった。

 

「『文化的水準』だけで、誰が見てもわかると思うのです。これを取ったところで害はないと思う」

 

「皆さんが『健康にして』というのが気になるというのであれば、それを削ることに別に反対はしません」

 

「私の意見を述べているのです」

 

 犬養が字面の方から入った。

 

「『にして』というのは、技術的にちょっと下手なように思いますね。何かうまい知恵はありませんか」

 

 芦田は、最小限度の生活と言えば健康を保つという意味ではないか、と言った。森戸は、つまり細々と生きていけるというのと、能率のある生活というのと、最小限度をどこに置くかが問題になる、と言った。

 

「『健康にして』を生かすのなら、『文化的』ですね」

 

 と犬養が言った。

 

「その方がいいですね」

 

 と森戸が言った。

 

「文化的水準、ですか」

 

 芦田が問い返した。鈴木が言った。

 

「『健康で文化的な』……」

 

「しかし『応ずる』というのだから、『文化的な』ではどうか」

 

 と芦田が言った。

 

「『健康にして』というのが、出しゃばっていますね」

 

 と犬養が言った。鈴木は言い直した。

 

「『健康で文化的な最小限度の生活の営み』でもよい」

 

 芦田が言った。

 

「それなら、『健康』という字がどこへ続くのか、わかりますね」

 

「それはそれでもかまいません」

 

 と森戸が言った。

 

「そうすると、一項は『すべて国民は健康で文化的な最小限度の生活を営む権利を有する』、こういうことですな」

 

「そうです」

 

「『健康にして』ですか、『健康で』ですか」

 

 芦田がもう一度確かめた。犬養が、ほかの条で「にして」は使ってありませんか、と尋ね、法制局の事務官が、使ってありません、と答えた。

 

「『で』の方が明るくてよいのではないですか」

 

 佐藤達夫が言った。

 

「近代的というか、現代的ですね」

 

 と森戸が言った。

 

 森戸の「現代的」を、芦田は軽く受けた。

 

「これは年の違いだね」

 

 そう言って、芦田は一項と二項を続けて読み上げた。すべて国民は健康で文化的な最小限度の生活を営む権利を有する。この権利を保障するため、国はすべての生活部面について、社会の福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

 鈴木は手元の紙に、その一項を書き取った。

 

 佐藤達夫が、二項の頭の「この権利を保障するため」は、ない方がかえってきれいで大らかではないか、と言った。芦田が森戸にそれを伝え、犬養も、その方が鷹揚ではないかと言った。森戸は承知しなかった。

 

「ただ、ちょっと誤解が起こるのは、この権利が言いっぱなしの権利であって、生活の権利を国家が妨げない、という意味のものだという風に、文相が言われたので」

 

 国に向かって求められる権利だ、と書いておきたい。森戸はそう言ってから、付け加えた。

 

「これはちょっと蛇足のようですけれども、実は蛇足ではなくて、なくてはならない、という考えを私は持つのであります」

 

 佐藤が言い直した。

 

「前項の方は、最小限度という風に非常に遠慮して書いてありますね。第二項の方は、もう最小限度どころではないので、もっと上へ行けば行くほどよいのではないか、という気分がありまして、かえって前項と引っかかりがない方が、理想まで高く、という気持ちが出やしないか」

 

「どうです、委員長、採決を……」

 

 と廿日出が急かした。

 

「ちょっとお待ちください。今の佐藤君の意見に対して、ご意見はありませんか」

 

「そういう主張もごもっともと思いますから、よいと思います」

 

 森戸が折れた。

 

 大島が手を挙げた。

 

「最小限度ですか、最低限度ですか」

 

「最小です」

 

 と鈴木は答えた。

 

「最低の方がよくはありませんか」

 

「それはどちらでもよいです」

 

「どっちがよいですか。最小限度がよいですか、最低限度がよいですか」

 

 と芦田が皆に聞いた。

 

「それは最小の方が……」

 

 と森戸が言いかけ、芦田が、最低生活ということは言うけれども、と言い、森戸が、最大限、最小限という言葉があるから、と言った。

 

「最小でいいではないですか」

 

 と江藤が言った。

 

「理屈としては最低限度の方が正しいように思います。もっとも、言葉のニュアンスの問題は別ですが……」

 

 と佐藤達夫が言った。鈴木は刷り物の「最小限度」の字を見た。

 

「生活に関しては、最小ではあるまい。最小生活という言葉は聞かない」

 

 と大島が言った。

 

「限度です。最低限度、最大限度です」

 

 と江藤が言い直した。

 

「結局は、生活を表すのです」

 

 と大島が言った。

 

「生活が高いとか低いとかは言うが、大とか小とかは言わないだろう、というのだね。最低という論者の論拠は――どちらにしますか」

 

「最低ですね」

 

 と吉田安が言った。

 

「それでは、しばらく休憩します。午後は一時半から会議を開きます」

 

 零時十七分だった。吉田安の一言のあと、芦田はどちらにするとも確かめずに休憩にした。

 

四

 

 再開は一時四十六分だった。

 

 芦田は、二十三条に入った結果、社会党の古い案のうち要らなくなった部分を聞いておきたい、と言った。

 

「二十六条の休息権は、二十五条の中に二字だけ入れていただけば、それでよいことになります」

 

 鈴木が答えた。働く人の勤労条件の条に、休息の二字を入れる。

 

「ちょっと待ってください。私は五枚目を開けているのですが……」

 

「七枚目の表と裏です」

 

 鈴木は社会党の修正案の刷り物をめくって見せた。

 

 午後は第三章の残りから順に進んだ。宗教教育の条では、廿日出が、これは難しい問題だから、あたらぬ神に障りなしでやっていく方がよいですよ、と言い、この日はじめて笑い声が起きた。財産権の条では、午後から出てきた自由党の北れい吉が社会党の案に強く反対し、話が長くなった。耕作権の話で、鈴木はワイマール憲法を持ち出した。

 

「またワイマール憲法を持ち出すと叱られるが、ワイマール憲法にもあるのですから……」

 

「叱るわけではありません。ワイマール憲法は、ほとんど何の実効もあげずに流産してしまった。当時のドイツの国情に合わないものがあったからです。日本の憲法をワイマール憲法のようにしたくないと日夜思っているものですから、ワイマール憲法という名前を聞くと、ぞっとする、ということを私は申し上げたのです。それだけのことなのです」

 

「それは委員長の老婆心からでしょうが、私たちの見方はずっとそれとは違う。あの憲法がそのまま行っていれば、ドイツは救われた」

 

「だから、日本国民が実行できる憲法を作っておかなければならない」

 

「そういう点だったら、この憲法だって非常に理想主義的に過ぎると思うのですけれども、しかし政治的自由の方は、理想主義でも弊害はないと思う」

 

「これは余談ですから、これでやめましょう」

 

「一応議論を尽くすことは、私たちの責任を果たすことになるので申し上げるのですが、皆さんのご意見がそうであれば、それに従います」

 

 財産権の条は決まらないまま残った。参議院の六十日、最高裁判所の長官の任命と、条は次々に片づいていった。

 

 四時が近かった。鈴木はようやく、朝の宿題を出した。

 

「もう一つ大事なことは、社会党が前文に『窮乏と酷使』という言葉を入れていただきたいと申し上げたのですが、今日の午後に最終決定をするということで、もう一度皆さんの意見を問うてみていただきたい。それによって従う、ということに決めております」

 

「各派の意見を聞くわけですか」

 

「結論だけ……」

 

 犬養が、自由党と進歩党以外の、お隣の方々はどうですか、と小会派に振った。

 

「私の所は、社会党が熱心にご希望でもあるし、またそういう言葉を入れたところで悪くなるわけでもなく、その精神が通るという点から、賛成します」

 

 と大島が言った。林も、社会党案に賛成します、と言った。北が、前文の言葉は専制と隷従、圧迫と偏狭と、二つずつ対になっている、と口をはさんだ。犬養は、私個人としてはヒューマニズムの立場からおおむね賛成している、と言った。笠井は、皆さんがご賛成なら、私は議論を聞いていませんでしたが賛成します、と言った。

 

 芦田が、これまでの経過をまとめた。

 

「審議の内容はこういうことです。今朝、自由党、進歩党が、この字を入れることに不賛成だったわけです。そこで何とかならないかということで、一度党に帰ってよく意見も聞いてから午後に回答する、と言ってお帰りになったのですが……」

 

「不賛成とおっしゃいましたが、不賛成の人もあったが、賛成の人もありましたよ。自由党にも進歩党にも……」

 

 鈴木が口をはさんだ。

 

「そういうこともあったかね。それでは、ここの所も一度帰って考えてみないと、まとまらないようですね。私は自由党の方は反対のように考えていたから……」

 

「進歩党は賛成します」

 

 と吉田安が言った。

 

「自由党は帰って相談しましょう」

 

 と芦田が言った。

 

 廿日出は、その対が国の中のことか国と国のことかを考えはじめた。犬養が、私たちが賛成するのは社会主義の立場からではなく、ヒューマニズムの立場からだ、と言った。

 

 笠井が、また口を開いた。

 

「専制と隷従、圧迫と偏狭というのは四字の対句になっているわけですから、これにさらに二字を加える必要はないと思う。私は原案に賛成です」

 

 さっき賛成と言った笠井だった。笠井はそのまま続けた。

 

 前文には、国政は国民の信託によるもの、という一句がある。この「国政」は、英文ではガヴァメントである。笠井は七月二十六日の会から、ここは「政府」とすべきだと言い続けて、通らなかった。

 

「もう一つ、この場で申し上げたいのは、前文で、皆さんは前に『国政』という字にお決めになったが、あれは『政府』です。その根拠はどこにあるかと言えば、実は先ほど、マッカーサー司令部へ行って、今帰ってきたのですが、皆に集まってもらって聞きますと、『アクション・オブ・ガヴァメント』というのを政府と言っている。だから、皆さんはご反対でしたけれども、私は最後まで政府ということが正しいと考えていました。それを今、確かめてきましたから、そのことをちょっと……」

 

「言葉としては正しいのです。意味の上では少しも違わない。政府で……」

 

 鈴木は答えた。

 

 北が、自由党は党議で専制と隷従、圧迫と偏狭を通したのだから、社会党の提案に中身で反対するわけではないが、言葉の上では笠井君の言うように対句に妙味がある、英文もなかなかよくできている、党へ帰って態度を決めて、と言った。

 

「ここで決めるわけにはいかないので、党へお帰りになってご相談のうえ、後でお返事を願います」

 

 芦田はそう言って、明日の相談に移った。第一条の討議の準備は、明日の午前にできるかどうかわからない。午後なら間違いなくできると思うので、午前は休みにしたい。

 

「異議なし」

 

 と声が上がった。

 

「明日は午後一時から開会します。それから、ちょっと発表文をご相談します」

 

 芦田は新聞に出す文を読み上げた。

 

「小委員会は八月一日午後一時四十分開会、第三章以下各条にわたり修正案を再検討す、第二十七条、第八十四条の二箇条を除き修正案につき一致の意見に到達し、午後四時十分散会」

 

 一時四十分開会、と芦田は読んだ。前文のことも九条のことも、芦田はその文に出さなかった。

 

「二十七条と八十四条だけ残ったように記憶していますが、それで確かでしょうね。それでは本日はこれで散会します」

 

 四時十分だった。

 

 鈴木は刷り物を閉じた。七枚目の裏に休息の二字の書き込みがあり、その前の方に、昼前に書き取った一項があった。最小か最低かは、まだ誰も決めていなかった。「窮乏と酷使」の返事は、自由党から明日以降に来る。

 






覚え書き(史実と創作の境)

史料
・台詞はすべて、衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録第7号(昭和21年8月1日)による。発言は速記録の発言番号。
・本文では、意味を変えないよう平易な現代語に訳した。原文は下の対照表に載せた。
・長い発言は、要所を台詞にし、残りを地の文で縮めた(発言88・108・155・170・196 など)。
・政府の案の二十三条の文は、古関彰一『日本国憲法の誕生』による(古関 本 365)。
・社会党が「窮乏と搾取」を入れたかったのが前文の「専制と隷従、圧迫と偏狭」の並び(国際社会の形容)であることは、芦田の発言5「専制、壓迫、窮乏等を地上から追拂はうとする國際社會」、発言34・681による。
・「何か外との関係ですか」:原文は「對外的の關係」。[補足]この時期の文脈では、司令部との関係を指すと読める。

・前書きの日本国憲法前文は、現行の条文(e-Gov 法令検索)による。

創作した所
・部屋の様子(速記者の席、英文の草案をめくる芦田、刷り物、鈴木と森戸が目を合わせる、速記者が鉛筆を置く、鈴木が首を振る、部屋が静かになる、など)は創作。速記録に場所・部屋・天気の記述は無い。
・鈴木が「健康で文化的な」の一項を書き取ったこと、最後に刷り物を閉じる場面は創作。社会党修正案の刷り物と「七枚目の表と裏」(発言291)は速記録による。
・鈴木の内心「英文では同じ一語になる。それなら日本語の方は通りのよい字を選べばよい」は創作。発言31「そこは我々の目的を達することになる」から逆算した。
・九条の場面で鈴木が思い出す金森の答えは、7月30日の小委員会(第5号)による。問いは鈴木の発言243「交戰權を先に持つて來て、戰爭抛棄を後に持つて來ることは、立法技術的に如何ですか」、答えは金森の発言244「第二項の方は永久と云ふ言葉を使ひませぬで、是は私自身の肚勘定だけかも知れませぬが、將來國際聯合等との關係に於きまして、第二項の戰力保持などと云ふことに付きましては色々考ふべき點が殘つて居るのではないか」。8月1日の速記録でも、鈴木(発言89「何か先達て金森國務大臣は」)、犬養(発言92「一寸此の間國務大臣の御發言があつたのですが」)、吉田安(発言107「昨日でしたか、金森國務大臣が一寸言うて居られた永久と云ふこと」)がこの答えを持ち出している。
・鈴木が順序にこだわる理由(「何か含みがあって変えたのかと、司令部にも国内にも読まれかねない」)は推測。発言85・89・92〜95・147(「此の條文は恐らく關係方面との關係に於ても一番大事な條文になると思ふから」)から逆算した。
・二十五条の場面の鈴木の内心「六月の初め、鈴木は社会党の修正を携えて司令部へ行き…」は、6月5日の第一回両議院有志懇談会での鈴木の発言による(小宮 本 144〜145 の引用。原記録は『憲政資料』所収、未見)。そこで鈴木は、社会党を代表して司令部で「二三時間懇談した」と言い、修正の中身に「凡て国民は健康的にして文化的生活をなす権利を有す」を挙げた。司令部の言葉(「まあやつて見給へ」)は別の日の言葉なので本文に引かず、知っていた事実だけを内心に置いた。「いけないとは言われなかった」はその言葉からの言い換え。
・芦田の「是は年齡的だね」(発言251)は「これは年の違いだね」と訳した。森戸の「現代的ですね」を受けた言葉だが、何を言いたかったのかは速記録から決められない(推測:「で」を明るい・現代的と感じるのは年代の好みだ、と軽く受けた)。
・廿日出の案が北の頼みで出し直されたことは、発言51「それを北委員が熱心にどうしても通して呉れと云ふ熱意もありまして」と発言53による。
・「その理屈なら、政府の案の二項も重なりだらけになる。鈴木はそう言い返したのだった」は、発言224の読み方(推測)。
・鈴木の手元の刷り物に社会党の一項が刷られていたこと、鈴木が「最小限度」の字を見たことは創作。社会党の修正案が印刷して配られていたことは速記録による(発言176「此處に記してある通り」、発言291)。
・「関係筋とは、司令部のことである」は推測。芦田の発言108が、第二項の「英文を書換へる」こと、「其の方面の交渉」を言うことから推した。
・「四時が近かった」は推測。発言656〜687の分量と散会の時刻(午後4時10分)から推した。
・「ようやく、朝の宿題を出した」:発言45「午後の劈頭に」と約束し、実際に出したのが発言656であることによる。
・前文の「国政」:笠井は7月26日の小委員会(第2号 発言294・299)で、前文の「國政」は英文の「ガヴァーメント」だから「政府」と直すべきだと主張し、通らなかった。本文の「笠井は七月二十六日の会から…言い続けて、通らなかった」はこれによる。
・廿日出の句読点の案:前文の案は各派の話し合いで一度落ち着き、委員長が刷り物にして配っていた(発言56・59)。廿日出の案は北の意向で自由党から出し直されたもの(発言51・53)。
・「笠井は対句を理由に原案へ回った」:笠井は発言668で賛成と言い、発言683で原案に賛成と言った。司令部へ行ったのは前文の「政府」の語を確かめるためで、「窮乏と酷使」に反対した理由ではない(発言683)。
・北は午前に席にいない(発言63)。この日の最初の発言は午後の宗教教育の所(発言368)。本文の「午後から出てきた」はこれによる。
・笑い声は、この日の速記録に一度だけ(発言382の「(笑聲)」)。
・大島の発言44の後半(「此の四字なら宜いけれども、それが六字になると少し長過ぎる」)は、何の四字・六字かが速記録から決められないので、台詞にせず地の文で「対の並びに字を足すと長すぎる」と縮めた。
・発言の順は速記録の順に従った。省いた発言は、「保持せず」の口語の議論(発言100〜104)、第十一条の件(発言262〜266)、午後の各条(地の文で数行)など。

研究の読み
・小宮:生存権の挿入は「押しつけ憲法論への有力な反証」とされてきたが、社会党は事前にGHQの了解を得ており、残るは他党の説得だけだった、と読む(小宮 本 140・144〜145)。
・仁昌寺:反対の多いなかで、規定の意義を説いて反対論者を最後に説得したのは鈴木だった、と読む(仁昌寺 本 016・212〜213)。
・古関:鈴木の「後の方の休息権も…皆省いてよい」を「一大妥協」とし、ほかの社会権の修正は「すべて水に流してしまう」と評する(古関 本 367〜368)。
・古関:九条について「この段階では鈴木義男は金森の魂胆に気付いていたようである。しかし芦田はまだ気付いていない」と読む(古関 本 389)。金森の7月30日の答えは、GHQへ渡す英訳の議事録から削られていた(古関 本 391。削除は全体で41か所、本 387)。

事実の注
・「最低」に決めた発言は、この日の速記録に無い。吉田安「最低ですね」(発言281)の直後に休憩に入る。8月21日の委員会報告(委員会第21号 発言7)で「健康で文化的な最低限度」として出る。
・「健康で文化的な」の組み立て:犬養「「健康にして」を生かすのなら、「文化的」ですね」(発言235)→ 鈴木(発言238・241)→ 芦田の確認(発言244)→ 佐藤達夫「「で」の方が明るくて宜いのぢやないですか」(発言249)。
・九条の冒頭の句を最初に出したのは原(発言115)。骨組み(目的の句・冒頭の句・一項二項の順は原案)は犬養(発言152)で、芦田はそれを「進歩黨の案」として読んだ(発言156)。
・「前項の目的を達するため」について、芦田はこの日、両方とも平和を願う気持ちから出ていることを言うために入れた、と説明した(発言153)。自衛の含みはこの日の速記録に無い。
・小委員会は7月23日の委員会で鈴木の動議により置かれ、7月25日の第1回で委員が加えられて14人になった。秘密会で、記者は入れなかった([補足])。この日の出席者名簿は委員長を含め12人。
・発表文(発言687)は「午後一時四十分開會」から書き、午前の前文・九条にふれない。午前の分の発表が別にあったかどうかは、この日の速記録からは分からない。本文の「芦田はその文に出さなかった」は、読み上げた文に入っていない、という事実だけを言う。
・第一条の速記中止(発言81)の中身は記録に無い。
・前文に「窮乏」「酷使」の語は入らなかった([補足]現行前文に無い)。
・「法制局の事務官」は佐藤功(速記録の表記「佐藤(功)法制局事務官」、発言248)。出席者の名簿には無い。
・[補足]政府案の条番号と現行憲法:政府案9条=現9条、12条=現13条、23条=現25条、25条=現27条、27条=現29条、84条=現88条。
・[補足]所属:芦田・廿日出・江藤・北は日本自由党、犬養・原・吉田安は日本進歩党、鈴木・森戸は日本社会党、林は協同民主党。大島多藏は新政会、笠井重治は無所属倶楽部(仁昌寺 本 201)。小宮は大島を院内会派の新光倶楽部とする(小宮 注39)。速記録で党名を名のらない人もいる。
・委員14人のうち、高橋泰雄(自由党)と西尾末廣(社会党)はこの日の出席者名簿に無い(委員の名は仁昌寺 本 201)。
・小委員会を置いた日は本によって違う(仁昌寺「七月二二日」本 200、古関「七月二五日からは」本 333)。速記録では7月23日の委員会で置かれ、25日が第1回。
・[補足]この速記録は1995年に公開された。鈴木(1963年没)も芦田(1959年没)も公開を見ていない。

訳と原文
本文(訳)速記録の原文
会議を開きます。今日は前文から、もう一度審議したいと思います會議を開きます、今日は前文から再應の審議を致したいと思ひますが(発言1)
まず森戸君の案の、窮乏と搾取を入…いう点をお諮りします先づ森戸君の案の窮乏と搾取、之を入れるか入れないかと云ふ點を御諮りします(発言1)
この言葉については、この前も少し…たい、と思っています此の言葉に付ては此の前一寸申したやうに、搾取と云ふ言葉に付て色々「イデオロギー」的な聯想が伴ふと云ふことで非常に受入れ難いと云ふやうな説もあつたのであります、それでは寧ろ酷使と云ふ一般的な言葉に變へたい、斯う思つて居ります(発言2)
搾取と言えば、近代国家でもしばし…のやっていることでね搾取と言へば、是は近代國家に於ても屡々問題になつて居ると思ふのだが、酷使と云ふやうなことは、餘程の野蠻國のやつて居ることでね(発言16)
(地の文)これは私の私見だったのですが是は私の私見であつたのですが……(発言19)
それはごもっともな私見です。使い…に使おうというのです是は御尤もな私見です、使ひたくない言葉ですけれども、無理に使はうと云ふのです(発言20)
欲を言えば、第三のよい字がほしいですね慾を言へば第三の宜い字が欲しいですね(発言29)
これでちょっと面白いのは、酷使と…ーション』でしょうね是で一寸面白いことは、酷使と云ふことは英語では「エクスプロイテーション」、兒童を酷使してはならないと云ふ所の箇條を見ると、酷使と云ふことは「エクスプロイテーション」と譯して居る、日本では「エクスプロイテーション」と言へば、酷使と云ふ意味にも使へば、搾取と云ふ時にも「エクスプロイテーション」でせうね(発言30)
だから、これを訳すときには『エク…達することになりますそれだから之を譯す時には「エクスプロイテーション」になる、そこは我々の目的を達することになる(発言31)
議事進行の上から――議事進行の上から──(発言44)
どうでしょうか。あなた方のお気持…はお願いできませんかどうでございませうか、あなた方の御氣持は能く分りますが、全般的な御贊成もなささうに思ひますので、此の點は御願ひ出來ませぬか(発言44)
それでは、この点については、もう…の決定をお持ちしますそれでは此の點に付ては今一應社會黨で協議致しまして、午後の劈頭に最終の決定を御持ち致します(発言45)
(地の文)委員はそのつもりで持ち帰ったが、党の内部で異議が出た委員はさう云ふ積りで持歸つたのですが、黨の内部でさう云ふ異議が出て來た、それでどうしても委員の立場としては一應御相談をせざるを得なかつたから、持つて來たと云ふことです(発言59)
事情はわかりました。やむを得ない…うまくいくはずはないそれは結構です、已むを得ないが、反對です、此の通りで宜しい、今まで考へ拔いて來たのだ、どんなに名文でも、三日間考へたつて、言葉が不完全なのですから、さう巧く行く筈はない(発言60)
そういう風にここで討議をすると、…られてくるのでは困るさう云ふやうに此處で討議をすると、私共の方は後の第三章の勞働の方で隨分問題がある、委員は見識を持つて居ると云ふことが大切だ、歸つて第三者に追捲られて來るのでは困る(発言61)
撤回します撤囘します(発言62)
北さんがいないで、そう言っておい…てこなければいけない北さんが居られないで、さう言つて置いて呉れと云ふことは反對です、自分で忠實に出て來なければいけない(発言63)
それでは第一条ですが、まだこの第…ですが、いかがですかそれでは第一條でありますが、まだ此の第一條の問題を最後的に討議する準備が出來て居ないのですが、明日まで此の討議を延期して下さることを希望して居るのです、如何ですか(発言78)
賛成贊成(発言79)
やむを得ませんが、何か外との関係…党の方のご事情ですか已むを得ないですが、何か對外的の關係ですか、或は黨に對する御關係ですか(発言80)
速記を止めて速記を止めて〔速記中止〕(発言81)
念のために、もう一度……今一度念の爲に……(発言83)
(地の文)読みましょうか讀みませうか(発言84)
読まなくてもわかりますが、私は非…ださったのでしょうか讀まなくても分りますが、非常に私は心配するのです、どうも交戰權を先に持つて來て、陸海空軍の戰力を保持せずと云ふのでは、原案の方が宜いやうに思ふのです、其の點に付て十分御考慮下さつたでせうか(発言85)
私は、これを保持してはならない、という書き方が……私は之を保持してはならないと云ふ書き方が……(発言86)
いや、書き方を変えるのは賛成しま…うのは順序のことですいや其の書き方を變へるのは贊成しますが、順序を變へることです(発言87)
順序を変えるのはその人の趣味で、…は最後に言う人もある順序を變へるのは其の人の趣味で、例へば演説をする時に、一番大事なことを一番初めに言ふ人もあれば、一番大事なことは最後に言ふ人もある(発言88)
ある国際法学者も、交戦権を前に持…にこれを放棄する……或る國際法學者も、交戰權を前に持つて來る方が、自衞權と云ふものを捨てないと云ふことになるので宜いのだと云ふことを説明して居りました、だから色々利害はあるのですけれども、何か先達て金森國務大臣は、戰爭の方は永久に之を抛棄する……(発言89)
金森君と私の意見は、その点で違うのです金森君と私の意見は、其の點に於て違ふのです(発言90)
それもわかります。十分ご考慮くだ…はしいて反対しませんそれも分ります、十分御考慮下さつた後で、それで宜いと云ふことであれば私は強ひて反對しませぬ(発言91)
ちょっと法制局に伺いますが、第九…いう含みがありますか是は一寸法制局に伺ひますが、第九條の第一項は今一寸鈴木君が觸れられましたが、是は永久不動、第二項は多少の變動があると云ふ、何か含みがあるやうに、一寸此の間國務大臣の御發言があつたのですが、さう云ふ含みがありますか(発言92)
正面から、そういう含みがあると申…たのだろうと思います正面からさう云ふ含みがあると云ふことを申上げることは出來ないと思ひますが、唯氣持を分り易く諒解して戴けるやうに、金森國務大臣はああ云ふ言葉を御使ひになつたのだらうと思ひます(発言93)
したがって、この順序は無意味ではなくて、相当意味がある……隨て此の順序は無意味でなくて、相當意味がある……(発言94)
意味があるということを言いたいた…われたのだと思います意味があると云ふことを申したい爲にああ云ふ表現を使はれたと思ひます(発言95)
原文のまま第二項に置いて文句を変…ことがやぶへびになる原文の儘に第二項に置いて、さうして文句を變へると、關係筋で誤解を招くのではないか、獨立の條項として置く限りは「これを保持してはならない」、「これを認めない」と云ふ風にしないと、どうも却て修正することが薮蛇になるのだから(発言108)
だから、どうしても日本は国際平和…当難しいのではないかそこでどうしても日本は國際平和と云ふことを誠實に今望んで居るのだ、それだから陸海軍は持たないのだ、國の交戰權も認めないのだ、斯う云ふ形容詞を附けて「戰力を保持せず」と言ふことの方が、其の方面の交渉の時には説明がし易いのではないか、此の儘に置いて此の第二項の英文を書換へると云ふことは相當困難ぢやないか(発言108)
委員長の修正案の『日本国民は、正…所ではどうでしょうか委員長の修正案の「日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求し」そこまで取つて、さうして前文に續ける、それ位の所ではどうでせうか(発言115)
賛成です贊成です(発言116)
(地の文)委員長のご苦労に感謝して、賛成はしていたのですが委員長の勞苦を感謝して、贊成はして居つたのですが……(発言117)
そうすると、原案通りになるのですねさうすると原案通りになるのですね(発言118)
原案の前に『日本国民は、正義と秩…まま残しておいてよい原案の前に「日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求し」、それから「國の主權の發動たる戰爭」、斯う云ふ風に續けて、やはり一項、二項と云ふことを原案の儘に殘して置いて宜い(発言119)
そうすると、二項は変えないということですかさうすると二項は變へないと云ふことですか(発言120)
そうですさうです(発言121)
これは人の趣味の問題だが、これを…のですね。自分で……是は人の趣味の問題だが、之を讀んで、陸海空の戰力は之を保持してはならないと云ふと、何だか日本國民全體が他力で押へ付けられるやうな感じを受けるのですね、自分で……(発言122)
もともと戦争の問題ですから、何か…も最初は持ったのです元來戰爭の問題だから、何か委員長のやうな感じを私共も最初は持つたんですが(発言127)
けれども考えてみると、憲法は国家…し支えないと思います考へて見ると、憲法は國家機關に對する命令を規定して居ることが非常に多い、何々を保障する、何々をしてはならない、思想及び良心の自由を侵してはならないと云ふのであつて、國家機關が、將來の政府は陸海空軍を設置してはならないと云ふことを命令して居るんですから、差支へないと思ひます(発言127)
だから、初めに申し上げたように、…ることが、何だか……だから初め申上げたやうに、是は趣味の問題だが、我々の趣味では、其の他の戰力は之を保持してはならないと云ふやうな言葉を讀まされることが何だか……(発言128)
それはわかる。つらいそれは分る、辛い(発言129)
保持せず、と言うのなら自分の決心…れを保持せず、と……保持せずと云ふならば自分の決心だが、「オーソライズド」と云ふ字を使つた所は外にないでせう、此處に限つて「ネヴァ・ビー・オーソライズド」と斯う書いてある、それが何となく我々には辛いので、そこで保持してはならないと云ふやうな、一種の受動的な形でなく、自發的に之を保持せずと……(発言130)
そう神経過敏に考えなくてもよいと…うのは、要するに……さう神經過敏に考へなくても宜いと思ふ、「オーソライズド」と云ふことは、要するに……(発言133)
それは法理の上では、あなたのおっ…なく、相当多いと思うそれは法理的にはあなたの仰せられる通りだと思ふ、唯讀んだ時に、此の文句が氣になる人は、私ばかりではなく、相當多いと思ふ(発言134)
私たちもそういう感じから、この修…したものですから……私共もさう云ふ感じから、此の修正案を考へて提案した譯ですが、偖て段々思案して行つて手を着けて見ると、又元へ戻つて來て、是しかないと云ふやうな感じがしたものですから……(発言135)
将来、これを読むたびに、国民の誰…じるような気がします將來之を讀む度毎に、國民の誰もが如何にも他力的に情なさを感ずるやうな氣がします(発言140)
どうも、その日その日の気持ちでい…り返してしまうと……どうも其の日其の日の氣持で色々に變ると思ふのですが、今の第九條は先日滿場一致で修正され、唯宣言と云ふ文字を殘すか殘さないかと云ふことだけが問題となつて殘つて居つた、又引繰返してしまふと……(発言141)
後にすると言っても、きりがないこ…し返してもよいと思う後にすると云つても、切りがないことですから、最後の結論が出て來るやうに、此處で一應は決めて置きたいですね、それで私も外の條文ならば蒸返しは決して致しませぬ、是は非常に心配して始終考へて居りまして、佐藤君も御存じだが、議場外に於ても、どうもあれは心配だから能く國務大臣の意見も聞いて呉れ、順序を變へることもどうかと色々話をした位で、此の條文は恐らく關係方面との關係に於ても一番大事な條文になると思ふから、他の事は決して蒸返ししないが、是だけは除外例として蒸返しても宜いと思ふ(発言147)
私も鈴木君と同じ意見だが、ここで…片づけていただきたい私も鈴木君と同意見だが、此處で英文の話から委員長の含みなど色々考へさせられる、ですから非常に研究になつて喜んで居るのですから、もう此の位な所で一應片付けて戴きたい(発言150)
私も一刻も早く終わりたいのですけれども、まとまりますか私も一刻も早く終りたいのですけれども、纏まりますか(発言151)
委員長のおっしゃった『前掲の目的…差し障りが起きますか委員長の仰しやつた前掲の目的を達する爲めと云ふことを入れて、一項、二項の仕組は其の儘にして、原委員の言はれたやうに冒頭に日本國民は正義云々と云ふ字を入れたらどうかとも思ふのですが、それで何か差障りが起りますか(発言152)
『前項の』というのは、実は、両方…ていくにすぎなかった前項のと云ふのは、實は双方ともに國際平和と云ふことを念願して居ると云ふことを書きたいけれども、重複するやうな嫌ひがあるから、前項の目的を達する爲めと書いたので、詰り兩方共に日本國民の平和的希求の念慮から出て居るのだ、斯う云ふ風に持つて行くに過ぎなかつた(発言153)
委員長がご心配になっている二項の…誰も皆、気を腐らせた委員長の御心配になつて居る二項の所謂他動的な文句、何だか屬國ででもあるやうに國民に映る卑窟な氣持、之を完全に除きさへすれば、私は此の第九條は解決すべき問題ぢやないかと思ふ、實は新聞に載つた時の文は、是より違つて、「戰力保持は許されない。國の交戰權は認められない」、斯うなつて居ります、そこで誰も皆氣を腐らした(発言155)
長いあいだ私はこれで苦しんでいる…ではないかと思います長い間私は是で苦しんで居る、皆からも責められた、此の點だけでも直さなければならぬと隨分言はれた、そこでどうか第二項の所は何も加へずに、さつとやつて下されば一番解決するのではないかと思ひます(発言155)
そうすると、今の進歩党の案はさうすると、今進歩黨の案は(発言156)
日本国民は、正義と秩序を基調とす…権は、これを認めない「日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平和を誠實に希求し、國權の發動たる戰爭と、武力による威嚇又は武力の行使は、國際紛爭を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、それから第二項に於て「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戰力は、これを保持しない。國の交戰權は、これを認めない」(発言156)
それでけっこうです。私は異論はありませんそれで宜しうございます、私は異論はありませぬ(発言157)
それなら大賛成ですそれなら大贊成です(発言158)
この憲法については、ずいぶんマッ…――そうお願いします此の憲法に付ては、隨分「マッカーサー」の方でも力を入れて居るらしいですから、成べく此の原案に餘程力のある文章を作つて戴きたいと思ふ、認めないとか何とか簡單でなく──左樣に御願ひします(発言163)
私もだいたい今の笠井さんのご意見…いのですけれども……私も大體今の笠井さんの御意見と同じです、成たけ斯う云ふことは原案を忠實に作るやうにと云ふことで宜いのぢやないかと思ふ、さつきの鈴木さんの御話にもありましたやうに、私等はさう抑へ付けられたと云ふやうな感じを殊更持たないのですけれども……(発言164)
そこは非常に意見がある所で、感情…印象を受けるので……そこは非常に意見がある所でありまして、感情と言ふか、趣味の問題で、勿論是で何でもない人も澤山あるに違ひない、又之を見る度に始終口惜しい氣持のする人もあるのだから、是はもう百人百樣の印象を受けるので(発言165)
どうです、皆さん。せっかくまとま…案通りご賛成願いたいどうです、皆さん、折角纏まりかけて來たのだから「保持しない」「認めない」と云ふことで原案通り御贊成願ひたい(発言166)
皆さんご賛成でしたら、私は異論はありません皆さん贊成でしたら、私は異論はありませぬ(発言167)
そうすると、保持しない、と直すのですかさうすると保持しないと直すのですか(発言168)
そうですさうです(発言169)
こういうことでしたね。それでは第三章に参ります斯う云ふことでしたねそれでは第三章に參ります(発言170)
あまりたくさんおっしゃったものだ…は修正しないのですね餘り澤山仰しやつたものだから能く分らなかつたですが、十二條は是は修正しないですね(発言173)
違うのです違ふのです(発言195)
憲法の決まりは、国政に関する事柄…いくら論議しても……總て憲法の規定に從つて國政に關する事柄の具體的なことは法律で規定せよと云ふ建前でやつて居るのですが、それならば其の線に沿うて、大體註釋的な希望的な時々の政策で變るやうな問題も中には起ると思ふのですが、そこにはゆとりを付けて法律に任して置いて差支へないではないですか、さうでないと幾ら論議しても……(発言196)
それならば、打ち切りにしていただきたいのですそれならば打切りに願ひたいのです(発言197)
原委員のご意見から言えば、婚姻は…定めたのかわからない原委員の御意見から言へば、婚姻は兩性の合意でやるとか、相續はどうする、住居の選定はどうする、令状を持つて來なければ縛れない、こんなことは皆刑事訴訟法や民法に規定すべきもので、何の必要があつて此處に規定したものか分らぬ(発言197)
それは人権に関する非常に大きい問題で……それは人權に關する非常に大きい問題で……(発言198)
それならば、生存権は最も重要な人…しく書いてありますよそれならば生存權は最も重要な人權です、結局十九世紀までの憲法の體裁だと御考へになるか、二十世紀になつてから出來て居る各國の憲法のやうな憲法を作ることが差支へないかと云ふことに歸着するのです、「フランス」の憲法でも、「ソ」聯の憲法でも、勞働者の權利とか色々なことをもつと詳しく書いてありますよ(発言199)
それで、たとえば財産権の所の修正…いわゆる社会主義……それで例へば財産權の所の修正意見を見ましても、あなた方の言はれるのは所謂社會主義……(発言200)
アメリカの憲法に書いてあることな…外に思っているのです「アメリカ」の憲法に書いてあることなら默つて通すが、「フランス」や「ソ」聯や「ドイツ」の憲法に書いてあるのは通さないと云ふやうな意見が非常に強いので、我々心外に思つて居るのです(発言201)
その講義はけっこうです……其の講義は宜しうございます……(発言204)
結局、立場が違っているのですから…言うのはやめましょう結局立場が違つて居るので、解決出來なければ討論を打切つて他の判斷に委ねるより外ない、ですからそんなことを言ふのはやめませう(発言204)
ですけれども、なるべく協調を保って……ですけれども、成べく協調を保つて……(発言205)
協調が保てないではないですか協調が保てないではないですか(発言206)
書き直したのがこれであって、そう…いう風に直したのです書直したのが是であつて、さうすれば後の方の休息權も、老年、其の他疾病とか云ふことも皆省いて宜いことになる、それだから斯う云ふやうに直したのであります(発言209)
ちょっと参考までにお尋ねしたいの…れと違うのでしょうか一寸參考までに御尋ねしたいのですが、字句の問題で恐縮でありますが、「健康にして」と云ふのは、是は健康な生活を營むと云ふ所へ一つ入るのですね、それから「文化的水準に應ずる最小限度の生活」と云ふのは、先程大島さんが最低限度の文化生活と言はれましたが、それと違ふのでありませうか(発言220)
これは一律の最小限度ではない。文…生活、という意味です是は統一的最小限度ではない、文明の程度がありますから、日本が「アメリカ」の程度の生活を保障することは出來ない、其の國の其の時の文化水準に應じた最小限度の生活と云ふ意味です(発言221)
わかりました分りました(発言222)
そういうことを言っていてはきりが…祉』の中に入っているさう云ふことを言つて居つては切りがない、生活の保障及び公衆衞生の向上などと繰返す必要はない、それは皆「社會の福祉」の中に入つて居る(発言224)
だから、繰り返す必要がある所は繰り返すだから繰返す必要がある所は繰返す(発言225)
それなら『健康にして』を付け加えても、一向差し支えないそれなら「健康にして」を附加へて一向差支ない(発言226)
『健康にして』というのは、どこに…生活ということですか「健康にして」と云ふのは何處に入るのですか、健康なる生活と云ふことですか(発言227)
そうです。健康な生活……さうです、健康なる生活……(発言228)
『文化的水準』だけで、誰が見ても…ころで害はないと思う「文化的水準」だけで、誰が見ても分ると思ふのです、之を取つた所で害はないと思ふ(発言229)
皆さんが『健康にして』というのが…に別に反対はしません皆樣が「健康にして」と云ふのが氣になると云ふのであれば、それを削ることに別に反對はしませぬ(発言230)
私の意見を述べているのです私の意見を述べて居るのです(発言231)
『にして』というのは、技術的にち…い知恵はありませんか「にして」と云ふのは、技術的に一寸下手のやうに思ひますね、何か旨い智慧はありませぬか(発言232)
『健康にして』を生かすのなら、『文化的』ですね「健康にして」を生かすのなら、「文化的」ですね(発言235)
その方がいいですね其の方が宜いですね(発言236)
文化的水準、ですか文化的水準ですか(発言237)
『健康で文化的な』……「健康で文化的な」……(発言238)
しかし『応ずる』というのだから、『文化的な』ではどうか併し「應ずる」と云ふのだから、「文化的な」ではどうか(発言239)
『健康にして』というのが、出しゃばっていますね「健康にして」と云ふのが出しやばつて居りますね(発言240)
『健康で文化的な最小限度の生活の営み』でもよい「健康で文化的な最小限度の生活の營み」でも宜い(発言241)
それなら、『健康』という字がどこへ続くのか、わかりますねそれなら「健康」と云ふ字が何か續く所が分るですね(発言242)
それはそれでもかまいませんそれはそれでも構ひませぬ(発言243)
そうすると、一項は『すべて国民は…、こういうことですなさうすると、一項は「すべて國民は健康で文化的な最小限度の生活を營む權利を有する」、斯う云ふことですな(発言244)
そうですさうです(発言245)
『健康にして』ですか、『健康で』ですか「健康にして」ですか、「健康で」ですか(発言246)
『で』の方が明るくてよいのではないですか「で」の方が明るくて宜いのぢやないですか(発言249)
近代的というか、現代的ですね近代的と云ふか、現代的ですね(発言250)
これは年の違いだね是は年齡的だね(発言251)
ただ、ちょっと誤解が起こるのは、…、文相が言われたので唯一寸誤解が起るのは、此の權利が言ひ放しの權利であつて、生活の權利を國家が妨げぬと云ふ意味のものであると云ふ風に文相は言はれたので(発言257)
これはちょっと蛇足のようですけれ…私は持つのであります是は一寸蛇足のやうですけれども、實は蛇足でなくて、なくてならないと云ふ考へを私は持つのであります(発言257)
前項の方は、最小限度という風に非…気持ちが出やしないか此の前項の方は最小限度と云ふ風に非常に遠慮して書いてありますね、第二項の方はもう最小限度どころではないので、もつと上へ行けば行く程宜いのではないかと云ふ氣分がありまして、却て前項と引掛かりがない方が、理想まで高くと云ふ氣持が出やしないか、さう云ふ氣持で私は大らかと云ふ言葉を使つたのです(発言258)
どうです、委員長、採決を……どうです、委員長、採決を……(発言259)
ちょっとお待ちください。今の佐藤…ご意見はありませんか一寸御待ち下さい、今の佐藤君の意見に對して御意見はありませぬか(発言260)
そういう主張もごもっともと思いますから、よいと思いますさう云ふ主張も御尤もと思ひますから、宜いと思ひます(発言261)
最小限度ですか、最低限度ですか最小限度でございますか、最低限度でございますか(発言267)
最小です最小です(発言268)
最低の方がよくはありませんか最低の方が宜しうございませぬか(発言269)
それはどちらでもよいですそれはどちらでも宜いです(発言270)
どっちがよいですか。最小限度がよ…最低限度がよいですかどつちが宜いですか、最小限度が宜いですか、最低限度が宜いですか(発言271)
それは最小の方が……それは最小の方が……(発言272)
最小でいいではないですか最小で宜いぢやないですか(発言275)
理屈としては最低限度の方が正しい…の問題は別ですが……理窟としては最低限度の方が正しいやうに思ひます、尤も言葉の「ニュアンス」の問題は別ですが……(発言276)
生活に関しては、最小ではあるまい…という言葉は聞かない生活に關しては最小ではあるまい、最小生活と云ふ言葉は聞かぬ(発言277)
限度です。最低限度、最大限度です限度です、最低限度、最大限度です(発言278)
結局は、生活を表すのです結局は生活を現はすのです(発言279)
生活が高いとか低いとかは言うが、…――どちらにしますか生活が高いとか低いとか云ふことで、大とか小とか云ふことは言はないだらうと云ふのだね、最低と云ふ論者の論拠は──どちらにしますか(発言280)
最低ですね最低ですね(発言281)
それでは、しばらく休憩します。午後は一時半から会議を開きますそれでは暫時休憩致します、午後は一時半から會議を開きます(発言282)
二十六条の休息権は、二十五条の中…でよいことになります二十六條の休息權は二十五條の中に二字だけ入れて戴けば、それで宜いことになります(発言285)
ちょっと待ってください。私は五枚目を開けているのですが……一寸待つて下さい、私は五枚目を開けて居るのですが……(発言290)
七枚目の表と裏です七枚目の表と裏です(発言291)
またワイマール憲法を持ち出すと叱…もあるのですから……又「ワイマール」憲法を持出すと叱られるが、「ワイマール」憲法にもあるのですから……(発言504)
叱るわけではありません。ワイマー…れだけのことなのです叱る譯ではありませぬ、其の點は私一應申上げて置きますが、「ワイマール」憲法の結果は殆ど何等實效を收めずに流産してしまつた、何故流産したかと云ふと、當時の「ドイツ」の國情に副はないものがあつたから實效力がなかつたのです、そこで日本の憲法も「ワイマール」憲法の如くならしめたくないと日夜思つて居るものですから、「ワイマール」憲法と云ふ名前を聞くと、ぞつとすると云ふことを私は申上げたのです、それだけのことなのです(発言505)
それは委員長の老婆心からでしょう…ば、ドイツは救われたそれは委員長の老婆心からでせうが、我々の觀察はずつとそれとは違ふ、あの憲法は其の儘行つて居れば「ドイツ」は救はれた(発言506)
だから、日本国民が実行できる憲法を作っておかなければならないだから、日本國民が實行し得る憲法を作つて置かなければならない(発言507)
そういう点だったら、この憲法だっ…でも弊害はないと思うさう云ふ點だつたら、此の憲法だつて非常に理想主義的に過ぎると思ふのですけれども、併し政治的自由の方は理想主義でも弊害はないと思ふ(発言508)
これは余談ですから、これでやめましょう是は餘談ですから是で止めませう(発言509)
一応議論を尽くすことは、私たちの…れば、それに従います一應議論を盡すことは、私共の責任を果すことになるので申上げるのですが、皆樣の御意見がさうであれば、それに服します(発言510)
もう一つ大事なことは、社会党が前…ことに決めております今一つ大事なことは、社會黨が前文に「窮乏と酷使」と云ふ言葉を入れて戴きたいと云ふことを申上げたのですが、今日の午後に最終決定をすると云ふことで、今一度皆さんの意見を問うて見て戴きたい、それに依つて服すると云ふことに決して居ります(発言656)
各派の意見を聞くわけですか各派の意見を聽く譯ですか(発言657)
結論だけ……結論だけ……(発言658)
私の所は、社会党が熱心にご希望で…う点から、賛成します私の所は社會黨が熱心に御希望でもあるし、又さう云ふ言葉を入れた所で惡くなる譯でもなく、其の精神が通ると云ふ點から、私の所は贊成します(発言660)
審議の内容はこういうことです。今…になったのですが……審議の内容は斯う云ふことです、今朝自由黨、進歩黨が此の字を入れることに不贊成であつた譯です、そこで何とかならないかと云ふやうな譯で、一旦黨に歸つて能く意見も聽いてから午後に囘答すると言つて御歸りになつたのですが(発言669)
不賛成とおっしゃいましたが、不賛…党にも進歩党にも……不贊成と仰しやいましたが、不贊成の人もあつたが、贊成の人もありましたよ、自由黨にも進歩黨にも……(発言670)
そういうこともあったかね。それで…に考えていたから……さう云ふこともあつたかね、それでは此處の所も一遍歸つて考へて見ないと纏まらないやうですね、私は自由黨の方は反對のやうに考へて居つたから……(発言671)
進歩党は賛成します進歩黨は贊成します(発言672)
自由党は帰って相談しましょう自由黨は歸つて相談しませう(発言673)
専制と隷従、圧迫と偏狭というのは…。私は原案に賛成です専制と隸從、壓迫と偏狹と云ふのは四字對句になつて居る譯ですから、之に持つて行つて更に二字を加へる必要はないと思ふ、私は原案に贊成です(発言683)
もう一つ、この場で申し上げたいの…のことをちょっと……もう一つ此の場合申上げたいことは、前文に於きましては、私はあの前の國政と云ふことをおやりになつたが、是は政府でございます、其の根拠は何處にあるかと言へば、實は先程「マッカーサー」司令部へ行つて今歸つて來ましたが、皆に寄つて戴いて聽きますと「アクション・オブ・ガヴァーメント」と云ふのを政府と言つて居る、だから皆さんは御反對でありましたけれども、最後まで政府と云ふことが正しいと云ふことを考へて居りました、それを今究めて來ましたから、其のことを一寸……(発言683)
言葉としては正しいのです。意味の…違わない。政府で……言葉的には正しいのです、意味的には少しも違はない、政府で……(発言684)
ここで決めるわけにはいかないので…後でお返事を願います此處で決める譯には行かないので、黨へ御歸りになつて御相談になつて後で御返事を願ひます(発言686)
異議なし〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕(発言686)
明日は午後一時から開会します。そ…発表文をご相談します明日は午後一時から開會致します、それから一寸發表文を御相談致します(発言687)
小委員会は八月一日午後一時四十分…し、午後四時十分散会「小委員會は八月一日午後一時四十分開會、第三章以下各條に亙り修正案を再檢討す、第二十七條、第八十四條の二箇條を除き修正案に付き一致の意見に到達し、午後四時十分散會」(発言687)
二十七条と八十四条だけ残ったよう…日はこれで散会します二十七條と八十四條だけ殘つたやうに記憶して居りますが、それで確實でせうね、それでは本日は是にて散會致します(発言687)

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