昔やっていたゲームの世界に転生した男。
彼は前世の知識で無双できるのか─。

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属性を制するものはゲームを制する

「行け、ネズチュウ!10m Aビームだ!」

「ネ〜ズ、チュゥゥゥゥゥ!!」

 

オレの指示を受けて、黄色いネズミのような姿をしたモンスター、ネズチュウが技を繰り出す。

 

ネズチュウから放たれた電撃は文字通り稲妻を描きながら、相手モンスターに襲いかかる。

 

「ああっ、タートル!」

 

人間でも耐えられない程の電流だ。当然モンスターも堪えるだろう。

それにオレの記憶が正しければ、タートルは水属性。故にその威力は倍のものになる。

 

「カ……カメェ〜」

 

力無い鳴き声を上げたタートルはクルクルと目を回し、その場に倒れた。

 

「よし、オレの勝ちだな。さっさ賞金寄越せ」

「う、うう……」

 

ガキが大事そうに握りしめている1000マネーを掴み取り、オレはその場を後にした。

 

オレの名前は赤井 マサシ。俗に言う転生者だ。

前世はブラック企業勤めで連勤した挙句、事故に巻き込まれて死亡。

その後、何かの計らいで大人気ゲーム『バケットモンスター』

通称『バケモン』の世界へと転生した。

 

いやはや、まさか子供の頃にやり込んだゲームの世界に転生できるとは思わなかった。

そのおかげでオレは子供の頃の記憶を頼りにモンスターの捕獲、道中にあるバケモン道場の攻略をスムーズに行う事が出来ている。

 

まさに無双状態だ。このまま行けば、クリア目標のバケモンマスターになるのも時間の問題だ。

この世界を駆け抜けてやるぜ─!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「だから『ごうだのかんばん』を持ってるって言ってんだろ!」

「看板だけではお通しすることはできません。お引き取り下さい」

 

クソ……どういうことだ。

ガキを負かせてから十数分後。オレは行き詰まっていた。

 

次のダンジョンに行く際に要求されるアイテム。

それが最初のバケモン道場の道場主・剛田を倒すと貰える『ごうだのかんばん』だ。

 

オレの記憶が正しければ、コレを見せること警備員が通してくれるはずなのだ。

なのに通れない。ワケが分からねぇ……。

オレが困惑に陥っている時だった。

 

「おーじさん。困ってるの?」

 

声を掛けられて振り向いた先。

そこには動きやすそうなトレーニングウェアとピンクのキャップを身につけたヤツが立っていた。

 

誰だ……?こんなNPC居たか?

記憶を頼りに目の前のヤツの正体を探ろうとする最中。

ソイツはこう言い放った。

 

「おじさん、転生者でしょ?」

「……!?」

「アハハハッ!やっぱそーなんだ!実はボクも転生者なんだよ!」

「オレ以外の転生者だと……!?」

「ウンウン。それでさ、聞きたいことあるからちょっと来てもらっていい?」

 

こうしてオレは警備員の前から引き離され、近くの草むら付近へと連れてこられた。

 

「ボク、アリアって言うんだ〜。オジサンの名前は?」

「……マサシだ」

「ねぇねぇ、単刀直入に聞くね!オジサン、『バケモン』最後にやったのいつ?」

「ガキの頃だが……それがどうしたんだよ」

「やっぱりなぁ〜。どおりであんな事してたんだ〜」

 

なぜそんな事を聞いてくるのか。

オレが理解に苦しむ中、アリアは言葉を続けてくる。

 

「オジサンさ、『バケモン』初代しかやった事ないんでしょ?」

「だからなんだって……」

「オジサンが『バケモン』をしなくなったあとも、続編や関連作品が発売され続けたんだ。そして当然、昔のゲームはリ(・)メ(・)イ(・)ク(・)される」

 

 

「そう!ボク達がいるこの世界は初代『バケモン』のリメイクなんだよ!」

 

 

リメイクだと……!?

 

「それで新要素が色々追加されてるってワケさ」

 

クソ……!そういう事だったのか……!!

思えば道中にも違和感があった。

拾えるアイテムや出現するバケモンの違い。

なによりさっきの警備員の件がそれを物語っている。

 

「だからぁ〜。オジサンには攻略出来ないかな〜♡」

「……あ?」

 

コイツが発した逆撫で声はオレを即座に苛立せる。

大人を……オレを舐め腐った態度だ……!!

 

「前世の知識で無双〜?ムリムリ!所詮、初代しかやってないロートルプレイヤーじゃん!現行作品までやってるボクなら分かるけどね〜♡」

 

その言葉で更にイラつく。

コイツ、知っててワザと話しかけてきたのか……!!

目の前のガキを分からせなければ。

その本能がオレとオレの分身を奮い立たせる。

 

「ガキが……舐めやがってぇ!!」

「じゃあ、やろうよ。バケモン勝負♡」

「上等だァ!」

 

てんせいしゃ の アリア が

バケモンしょうぶをしかけてきた。

 

「行け、ネズチュウ!」

「チュウ〜ワ」

「へぇ。いいバケモン、持ってるじゃん。だけど……勝てないよ!」

 

ヤツが繰り出したバケモン。

それはタートル。

さっきのNPCのガキを潰したのと同じバケモン。

つまり、属性相性はコチラが有利……!!

 

「行け、ネズチュウ!10mAビームだ!」

「チュュュュ……ワ!」

 

オレは有無を言わさず先制攻撃をしかける。当然、弱点なんだ。一発でオトしてやる……!!

 

「やっぱりオジサン、属性相性が古いね〜」

「古いだと……?負け惜しみも大概に…」

「タートル、『アダマンミラー』」

「カァァ……メェェ!」

 

タートルが鳴き声を上げた途端、全身を蒼色をしたプレートのような物が包み込む。

 

「なんだ……!?」

「『バケモン』は日々進化してるんだよ。新しいバケモン、技、もちろん属性もね。リメイクされたら当然、後続作品の要素も入ってくる。タートルの属性はオジサンが知ってる水。そしてア(・)ダ(・)マ(・)ン(・)タ(・)イ(・)ト(・)」

 

アダマンタイトだと……!?

 

「今使った技、『アダマンミラー』の効果は受けた弱点属性の攻撃を無効にして、2(・)倍(・)にして返すんだよ」

「……!ネ、ネズチュウ!攻撃をやめ…」

「ざんね〜ん♡もう遅いよ♡」

 

プレートに放たれた電撃はそのまま取り込まれ、中で何度も何度も反射を繰り返す。

 

「カァァメェェェェェ!!」

 

叫ぶタートルの声。

そして、眩い閃光と共にソレは放たれた。

目が眩んだオレが次に瞼を開いた時。

 

ネズチュウは地面にだらしなく横たわっていた。

 

「これでボクの勝ちだね。オジサン、他にバケモン持ってる?いや、持ってるワケないよね〜。初代最強のネズチュウしか育ててないんだから♡」

 

たたかえるバケモンがない。

こうしてオレの視界は真っ暗になった。




アプリ ライトレ ー三題噺ーの
お題[電気][属性][攻撃]で執筆。

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