転移した異世界で道化になった   作:夢野ココ

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4話目『フェルス村』

どうも。イブキです。俺はジュラの大森林を抜けて近くの村に来ています。ラプラスは用事があるから途中で別れた。今は村の門番さんに村長の場所まで案内されている。

 

俺は周りを見る。畑で働いている人や遠くで子供達が走り回っている。

 

「へえ…本当に村て感じの場所だな」

 

「ここはフェルス村だ。辺境の村でそんなに裕福では無いが一生懸命に生きている」

 

少し話をしながら歩いていると目の前に少し大きな木製の家の前に到着する。

 

「ここが村長の家?」

 

「そうだ。入るぞ」

 

門番が扉をノックすると中から掠れた男性の声が聞こえた。

 

門番が扉を開けて俺を中に入れる。そこには椅子に座っている白髪混じりの中年の男性がいた。

 

「お前は仕事に戻れゾドム。客人の相手は私がする」

 

「わかりました村長」

 

俺をここまで連れてきてくれた門番はゾドムと言うらしく村長に一礼をして家を出ていった。

 

「さて、旅のお方ここに座りたまえ」

 

村長は俺を椅子に座るように促したので座ることにした。

 

「私はこのフェルス村の村長のグエルと言う。自己紹介をしてくれないか?」

 

「俺はイブキだ。旅をしている途中で道に迷いこの村にやって来ました」

 

「旅人か…冒険者ライセンスなど身分を証明出来るものはあるか?」

 

「ありません…」

 

「ないか…お主の格好から見てブルムンド王国の物ではない…お主もしかして異世界人か?」

 

村長はイブキをまっすぐ見る。

 

「……そうだ。よく分かったな」

 

「私は過去にある国に仕えていた騎士だったからな。異世界人の事は少しだが知っている。それで誰に召喚されたんだ?」

 

「召喚?いや気がついたらジュラの大森林にいた。だから身分を証明するものがない」

 

「召喚されてない?それはまた珍しい…わかった」

 

「理解してくれて助かる」

 

すると頭の中で声がする。

 

───告。賭博師の勝利条件を満たしました。報酬が配られます。

 

身体の内側から力が溢れてくる。

 

「おお……!」

 

思わず自分の手を握ったり開いたりしてみる。

 

どうやら今回の賭けも成功したらしい。

 

「これで少しは安心だな」

 

──告。《賭博師》による報酬の配布が完了しました。

 

「よし!」

 

俺は小さくガッツポーズをした。

 

村に入るという目的を達成したことで、身体能力がさらに上昇した。これなら、いざという時にも少しは対応できるだろう。

 

「……ところで、イブキ君」

 

「あ、はい!」

 

村長のグエルさんが俺を見ていた。

 

しまった。目の前に人がいることを忘れていた。

 

「今、何か独り言を言っていなかったか?」

 

「えっと……少し考え事を」

 

「そうか。まあ、誰にでも考え事はあるものだ」

 

グエルさんは特に追及することなく、話を続けた。

 

「それで、イブキ君。これからの予定は決まっているのか?」

 

「いえ、まだ何も。正直、この世界のこともほとんど分かっていません」

 

「ふむ……」

 

グエルさんは顎に手を当てて考え込む。

 

「ならば、まずはこの村で生活してみるといい。ここは小さな村だが、しばらく過ごすには問題ないだろう」

 

「本当にいいんですか?」

 

「ああ。ただし、何もせずに世話になるわけにはいかない。村の仕事を手伝ってもらうことになるが、それでも構わないか?」

 

「もちろんです! むしろ、こちらからお願いしたいくらいです!」

 

今の俺にはお金もなければ、身分を証明するものもない。

 

そんな状態で滞在を許してもらえるだけでもありがたい話だ。

 

「決まりだな。詳しい仕事については明日説明しよう。今日は疲れているだろうから、ゆっくり休むといい」

 

「ありがとうございます!」

 

俺は深く頭を下げた。

 

こうして俺は、フェルス村に滞在することになった。

 

「所でグエルさん。先程異世界人の事を知っていると言っていましたが俺以外にも居るんですか?」

 

グエルは少し言いずらそうにして話し出す。

 

「イブキ君以外にも異世界人はこの世界に存在する。だが…その生き方はとても良いものではない。異世界人はこの世界に渡ってくる際に特殊なスキルを持ってくる。召喚者は召喚した異世界人に呪いをかけて逆らえなくすることが出来る。私が知っている異世界人はそんな人達だった。イブキ君みたいな異例も可能性としてあると判断したんだ」

 

「そんなことが…教えてくれてありがとございます」

 

「私は人を道具として使う国が嫌だったから騎士をやめてこの村にいる。イブキ君がどう生きるか分からないが気をつけてくれ」

 

グエルさんもラプラスも同じような事を言っている。つまり召喚者に呼ばれた異世界人は…気をつけないとな

 

「さて、イブキ君は旅で疲れているだろうから今日は宿に泊まって休みなさい」

 

「確かに結構歩いたから疲れています!久しぶりの安心できる場所で休めます!」

 

そうしてグエルさんに一礼してイブキは村長の家を出た。

 

村長の家を出ると、先ほどの門番が待っていた。

 

「話は終わったか?」

 

「はい。しばらくこの村に滞在させてもらえることになりました」

 

「そうか。それはよかったな」

 

門番は少しだけ表情を緩めた。

 

「俺はゾドムだ。村長から聞いていると思うが、村の見回りをしている」

 

「ゾドムさんですね。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。宿まで案内してやる」

 

ゾドムさんの後について歩き始める。

 

村の中は先ほどと変わらず、穏やかな雰囲気に包まれていた。

 

畑で作業をしている人たちや、家の前で話をしている人たち。子供たちは相変わらず元気に走り回っている。

 

「平和そうな村ですね」

 

「今はな。だが、森が近いから魔物には気をつけなければならん」

 

「やっぱり魔物が出るんですか?」

 

「ああ。頻繁に村まで来るわけではないが、森の近くでは見かけることもある」

 

なるほど。

 

やはり、この世界では魔物の存在が日常にあるらしい。

 

「村の周囲には柵もあるが、完全に防げるわけではない。だから村の男たちで交代しながら見張りをしている」

 

「大変ですね……」

 

「まあ、これも村を守るためだ」

 

そんな話をしているうちに、一軒の建物に到着した。

 

「ここが宿だ。村長から話は通してある」

 

「ありがとうございます」

 

「何かあれば村長か俺に言ってくれ」

 

そう言い残し、ゾドムさんは仕事へ戻っていった。

 

俺は宿の扉を開ける。

 

「いらっしゃい!」

 

中から女性の声が聞こえてきた。

 

「えっと、村長から紹介されて来たんですが……」

 

「ああ、あなたが旅人さんね。話は聞いているわ」

 

女性は笑顔で迎えてくれた。

 

「私はミリア。この宿をやっているの。よろしくね」

 

「イブキです。よろしくお願いします」

 

「部屋は二階よ。荷物を置いたら下に降りてきてね。夕食を用意しておくわ」

 

「ありがとうございます!」

 

案内された部屋は小さかったが、ベッドと机が置かれていた。

 

俺は荷物を置くと、ベッドに腰を下ろす。

 

「はぁ……」

 

ようやく一息つけた。

 

ジュラの大森林ではずっと気を張っていたからな。

 

「それにしても、これからどうするかな……」

 

この世界について知らないことが多すぎる。

 

まずは情報を集めること。そして、この世界で生きていくための力を身につけることだ。

 

俺は自分の手を見つめた。

 

「なぁ…《開拓者》。《開拓者》は何が出来るんだ?」

 

──告。マスターのサポートと新たな可能性の確立です。

 

新たな可能性の確立?それはなんだ?

 

──新たな可能性の確立は未知のものなど可能性のある事を確定し固定が出来ます。

 

…それてチートじゃね?

 

──告。チートではありません。

 

《開拓者》がそういうならチートじゃないか〜

 

な訳あるか!可能性を確立出来るてことは色々と出来るぞ!例えば魔法を作ったり、他にはレアドロップを出したり!とんだチートじゃねぇか!

 

──告。マスターの考えてる事は大抵出来ますが魔法を作るには魔法を知る事が必要です。知識が無いものは出来ません。

 

「なるほど…知識があれば可能てことだな。なんだかやる気が出てきたぞ!」

 

「そうだ。スキルの事について知りたい」

 

──告。スキルとは世界が認めた特殊現象を発動させるものです。

 

─分類として、コモン エキストラ ユニークに別れています。

 

──強さ順はコモン→エキストラ→ユニークとなっています。

 

「なるほどな。もしかして賭博師で手に入れた魔素操作や魔素感知はスキルなのか?」

 

──告。マスターは《魔力操作》《魔力感知》を獲得しています。2つともエキストラスキルです。

 

「正式名称が魔力操作と魔力感知て言うんだな。てことは賭博師は条件次第でスキルも獲得出来るてことだな」

 

──告。可能ですが欲しい報酬が大きいほど難しい勝利条件やチップを決めなければなりません。

 

「わかったよ《開拓者》」

 

イブキが《開拓者》と話を終えた時、部屋の扉がノックされる。

 

コンコン。

 

「イブキさん。もう寝てしまいましたか?夕食の準備が出来ていますよ」

 

ミリアだった。

 

「今行くよ」

 

そうしてイブキは夕食を食べるために部屋を出て階段を降りる。

 

テーブルに温かそうな料理が並んでいた。

 

「おお……!」

 

スープにパン、それから焼いた肉らしきもの。

 

森での食事とは比べものにならない。

 

「いただきます!」

 

俺はさっそくスープを口に運んだ。

 

「……うまい!」

 

「ふふっ。そんなに喜んでもらえると、作った甲斐があるわ」

 

「本当に美味しいです!」

 

食事をしながら、俺はミリアさんに色々なことを尋ねた。

 

この村のこと。近くにある街のこと。

 

「この村から一番近い街は、ブルムンド王国の首都のロンドだね。馬車で半日ほどの距離にあるわ」

 

「ロンドの街……」

 

「そこなら商店も多いし、自由組合もあるわよ」

 

自由組合?《開拓者》それはなんだ?

 

──告。自由組合とは冒険者が依頼などを受ける場所です。

 

冒険者ギルドみたいな場所て事か。

 

「自由組合って、誰でも登録できるんですか?」

 

「基本的にはね。ただし、登録にはいくつか手続きが必要よ。それに冒険者になるなら、魔物についての知識も必要になるわ」

 

「なるほど……」

 

いつかは行ってみたいな。

 

冒険者になれば、この世界のことをもっと知ることができるかもしれない。

 

「そういえば、イブキ君は魔法を使えるの?」

 

「魔法ですか?」

 

「ええ。旅人なら魔法を使える人もいるでしょう?」

 

「実は、まだ使ったことがないんです」

 

「そうなの? それなら、いつか街で魔法について学んでみるといいわ」

 

「参考にします」

 

そうしてイブキは食事を終えて部屋に戻る。明日からは村の仕事をして今後の方針と強くなるために動く。

 

イブキはゆっくりと眠りに落ちるのだった

 

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