扉間「聖杯戦争はワシが解体した」 作:ナハ
日が沈み、生徒の姿もまばらになった校舎で、遠坂凛と衛宮士郎は結界の調査を進めていた。
二人が探しているのは、校内に仕掛けられた魔術結界の基点である。結界が発動すれば内部にいる人間の生命力を吸収し、最悪の場合、学校中の生徒が犠牲になる。
「……やっぱり、ここにもあるわね」
凛は廊下の壁に手を当て、魔力の流れを確認した。
「遠坂、何か分かったのか?」
「ええ。校舎全体に結界の基点が配置されてる。しかも、思っていたより数が多いわ」
「だったら、全部壊せばいいんじゃないか?」
「簡単に言わないでよ。下手に壊せば術者に気づかれるし、最悪の場合、結界が暴走する可能性だってあるんだから」
「……魔術って面倒なんだな」
「貴方が単純すぎるのよ」
凛は調査結果を手帳へ記録した。
そのポケットには、今朝扉間から渡された起爆札が収められている。
『敵に接近された場合はこれを使え。術式を起動させれば爆発する。ただし、屋内で無闇に使用するな』
最初は物騒なものを渡すと呆れたが、試しに使い方を教わってみると、思いのほか扱いやすかった。あらかじめ札に仕込まれた術式を起動させるだけなので、凛自身が忍術を習得する必要もない。
「……遠坂、それ何だ?」
士郎が彼女の手元を覗き込んだ。
「お守りみたいなものよ」
「お守り?」
「ええ。いざという時に使える道具ね」
「へえ。遠坂が作ったのか?」
「……まあ、そんなところよ」
既に倒されたはずのアーチャーから渡されたなどと、説明できるはずもなかった。
「……遠坂?」
「ん? 何?」
「いや、考え事してたみたいだから」
「別に。それより衛宮君、昼間の慎二との話はどうなったの?」
「ああ、それか」
士郎は少し表情を曇らせた。
先日、間桐慎二から聖杯戦争についての話を持ちかけられていた。彼もまたマスターであり、士郎に共闘を申し出てきたという。
「断ったよ」
「……そう」
「慎二は俺と組めば有利になるって言ってたけど、あいつの話はどうにも信用できなかった」
「珍しく賢明な判断ね」
「珍しくって何だよ」
「普段の衛宮君を見ていれば、そう言いたくもなるわよ」
「……ひどいな」
凛は少し笑ったが、すぐに表情を改めた。
「でも、気をつけなさいよ。慎二がマスターなら、当然サーヴァントもいるはずだから」
「ああ。セイバーにも話してある」
「それならいいけど……」
その時、廊下の奥から拍手が聞こえてきた。
「いやあ、随分と仲がいいみたいじゃないか」
振り返ると、間桐慎二が立っていた。
その背後には、紫色の長い髪をした女性が控えている。目元を覆う黒い装具に、両手には鎖付きの短剣。
凛はすぐに身構えた。
「慎二……!」
士郎が声を上げると、慎二は楽しそうに笑った。
「やあ衛宮。前の返事、まだ変わってないのかい?」
「ああ。お前とは組まない」
「……へえ。遠坂と組むくせに、僕の誘いは断るんだ?」
「そういう問題じゃないだろ。慎二、お前は何をするつもりなんだ?」
「何って、聖杯戦争に決まってるじゃないか」
慎二は大げさに肩をすくめた。
「せっかくマスターに選ばれたんだ。勝たなきゃ意味がないだろ?」
「だからって学校を事巻き込む?」
「……ああ、結界のこと?」
慎二は愉快そうに笑った。
「気づいてたんだ。さすが遠坂、魔術師の家系ってだけはあるね」
「……やっぱり、貴方が仕掛けたのね」
「まあね。正確にはライダーにやらせたんだけどさ」
凛は慎二の後ろに立つ女性へ目を向けた。
「関係ない生徒を巻き込むつもり?」
「仕方ないだろ。僕だって勝ちたいんだから」
「慎二、お前……!」
士郎が一歩踏み出すと、慎二は懐から一冊の本を取り出した。
「ライダー、準備は?」
「……問題ありません」
「だったら始めようか。衛宮が僕と組まないっていうなら、仕方ないよね」
「慎二! やめろ!」
士郎の制止も聞かず、慎二は本を開いた。
次の瞬間、校舎全体を赤黒い光が覆った。
同時刻、遠坂邸。
屋敷の地下室では、三人の千手扉間が研究を進めていた。
いずれも影分身であり、それぞれ異なる作業を担当している。
3人はランサーの血液を調べ、魔術書と聖杯戦争の資料を照合し、教会から回収した第四次聖杯戦争の記録を読み込んでいる。
「……やはり、通常の血液とは異なるな」
容器に収められているのは、先日のランサーとの戦闘で採取した血液だった。
見た目こそ人間の血液と変わらないが、その性質は特殊だった。時間の経過とともに状態が変化しており、採取直後と比べても安定していない。
「肉体そのものが魔力によって構成されておるからか」
影分身は調査結果を書き留めた。
扉間が生み出した穢土転生は、生きた人間を依り代に死者の魂を呼び戻し、肉体を再現する術である。
しかし、聖杯戦争の英霊召喚はそれとは異なる。
英霊の座に記録された英雄の情報を呼び出し、クラスという器に収めて現世へ実体化させる。少なくとも、回収した資料にはそのように記されていた。
「……情報を複製しておるということか」
「だが、血液から得られる情報だけでは足りんな」
隣の影分身が答えた。
「英霊の座との接続方法が不明だ。霊基というものについても、まだ理解が浅い」
「うむ。聖杯の術式そのものを調べる必要がある」
穢土転生の理論を応用するにしても、英霊の情報をどのように扱うかが問題だった。
現状では仮説すら十分に検証できない。
「……こちらは少々面白いぞ」
第四次聖杯戦争の記録を調べていた分身が声を掛けた。
「何だ?」
「遠坂時臣の死亡記録だ」
二体が資料を覗き込む。
遠坂凛の父親にして、十年前の聖杯戦争に参加した魔術師である。
「遺体には刃物による刺創があったと記されておる。だが、戦闘による死亡としては記録が曖昧だ」
「……記録者は?」
「言峰綺礼だ」
三人の視線が、机の上に置かれた短剣へ向かった。
アゾット剣。凛が父親の形見として言峰から渡されたという魔術礼装である。
今回の調査のため、凛から借り受けていた。
しかし、遠坂家の古い資料には、時臣がこの剣を弟子である言峰綺礼へ贈ったという記述が残されている。
「……つまり、この剣は元々言峰のものだったわけか」
影分身はアゾット剣を手に取り、刃の状態を調べた。
十年もの年月が経過しており、残された魔力の痕跡も乏しい。それでも、刃の付け根から僅かな反応が確認できた。
「……遠坂家の資料にある時臣の魔力特性と似ておるな」
「同じものか?」
「断定はできん。保存状態も悪い」
「ならば、まだ証拠にはならんな」
影分身は剣を元の位置へ戻した。
ただし、状況は気になる。時臣から言峰へ贈られた剣。
刃物によって殺された時臣。
そして、娘へ形見として返されたアゾット剣。
「……言峰綺礼が時臣を殺した可能性はある」
「うむ。もしそうならば随分と悪趣味な男よ。師から贈られた剣で師を殺し、それを娘へ渡したことになる」
「記録だけで決めつけるわけにもいかん。もう少し調べるぞ」
「教会の資料を洗い直そう。第四次聖杯戦争の参加者にも手掛かりがあるかもしれん」
三人は再び作業へ戻った。
一方、本体の扉間は穂群原学園にいた。
穂群原学園、二階廊下。
校舎全体に赤黒い光が広がり、結界が発動した。
鮮血神殿――ブラッドフォート・アンドロメダ。
内部の人間から生命力を吸い上げ、サーヴァントの魔力へ変換する大規模な結界である。
「……っ!」
凛は顔をしかめた。
魔力を持つ自分ですら、全身から力を奪われるような感覚がある。
廊下の向こうでは、まだ学校に残っていた生徒たちが倒れていた。
「慎二! 今すぐ結界を止めろ!」
士郎が怒鳴った。
「何怒ってるんだよ衛宮。これも聖杯戦争なんだぜ?」
「ふざけるな! 関係ない奴まで巻き込んでどうするんだ!」
「だったら、お前が降参すればいいだろ?」
慎二は本を掲げた。
「ライダー!」
「……はい」
ライダーが両手の短剣を構えた。
鎖を伴った刃が凛と士郎へ向かって飛来する。
「危ない!」
士郎が凛を庇おうとした瞬間、二人の前へ金髪の剣士が割り込んだ。
甲高い金属音が響き、短剣が弾き飛ばされる。
「シロウ、お下がりください!」
「セイバー!」
駆けつけたセイバーは、不可視の剣を構えてライダーと対峙した。
「貴女がこの結界の術者ですか」
「……そうです」
「ならば、直ちに解除しなさい。無関係な人々を犠牲にするなど、騎士として見過ごせません」
「申し訳ありませんが、それには従えません」
ライダーは淡々と答えた。
「……そうですか」
セイバーは剣を握り直した。
「ならば、力ずくでも止めてやろう!」
二騎のサーヴァントが激突した。
その戦いを、廊下の隅で倒れている女子生徒が観察していた。
壁にもたれかかり、意識を失っているように見える少女。制服を着た、ごく普通の穂群原学園の生徒だった。
しかし、その正体は千手扉間である。
扉間は結界が発動する以前から校内へ潜入していた。
凛には伝えていない。伝えれば視線、動作から怪しまれる可能性があるからだ。特にセイバーの直感は侮れない。故に独断行動をしている。
戦闘が始まってからは、自らも生命力を奪われて意識を失ったように装い、壁際へ倒れ込んでいた。
呼吸や身体の反応まで調整しているため、よほど注意深く調べられない限り、ただの被害者にしか見えないはずだった。
(……あれがライダーか)
扉間は瞼を僅かに開き、戦いを観察していた。
ライダーは壁や天井を足場にしながら、セイバーへ攻撃を繰り返している。
その動きは非常に速く、鎖付きの短剣を利用した間合いの取り方も巧みだった。
しかし、セイバーは攻撃を的確に捌き、徐々に相手を追い詰めている。
(……正面からの戦闘ではセイバーが上か。だが、あの女も相当な手練れよ)
ライダーはまともに剣を受けようとはせず、機動力を活かして攻撃を仕掛けていた。
相手の得意な間合いで戦わない。
忍にも通じる考え方だった。
ただ、扉間にはもう一つ気になることがあった。
(……あの小僧、令呪が見当たらんな)
彼は先ほどから一冊の本を使い、ライダーへ命令を与えている。
凛から聞いた説明によれば、マスターには令呪という命令権が与えられるはずだった。
しかし、慎二にはそれらしいものが見当たらない。
(……あの本が令呪の代わりをしておるのか?)
本来の契約とは異なる方法で、英霊を使役している可能性がある。
扉間は慎二の手元にも注意を向けながら、戦闘の行方を見守った。
「くそっ! 何なんだよ、あのセイバー!」
慎二は苛立たしげに叫んだ。
ライダーは速さを活かして攻撃を繰り返しているが、セイバーの防御を崩せない。
むしろ、徐々に押され始めていた。
「慎二! もうやめろ!」
士郎が叫ぶ。
「このままじゃ学校中の人間が死ぬぞ!」
「うるさい! 衛宮、お前は黙ってろ!」
「黙れるわけないだろ!」
「何だよ! お前だってマスターじゃないか! だったら僕のやってることも理解できるだろ!?」
「できるわけないだろ!」
士郎は即座に否定した。
「聖杯が欲しいからって、関係ない人間を犠牲にしていい理由にはならない!」
「……っ!」
慎二の表情が歪んだ。
「アンタ……本当に自分が何をしてるのか分かってる?」
今度は凛が口を開いた。
「学校全域から生命力を吸収する結界なんて、発動すれば大勢の人が死ぬわよ」
「だから何だっていうんだよ! 魔術師なら、それくらい普通だろ!? 遠坂だって魔術師じゃないか!」
「……一緒にしないでくれる?」
凛は慎二を睨んだ。
「魔術師だからって、何をしても許されるわけじゃないのよ」
「……偉そうに!」
慎二は歯を食いしばった。
「サーヴァントも失ったくせに、何でそんなに偉そうなんだよ!」
「……あら」
凛は不敵に笑った。
「サーヴァントがいなくなったら、魔術師としての力までなくなると思ってるの?」
「……何?」
「だったら、少し教えてあげるわ」
凛はポケットから一枚の札を取り出した。
扉間から渡された起爆札である。
「……何だよ、それ」
「ちょっとしたお守りよ」
札に仕込まれた術式へ魔力を流す。
そして、凛は慎二たちから離れた廊下の壁際へ向かって札を投げた。
「……え?」
慎二が目を向けた直後、爆発が起こった。
ドンッ!
「うわああっ!?」
予想以上の爆風に、慎二は慌てて身を伏せた。
「……ちょっと、思ったより威力あるじゃない!」
凛も思わず声を上げた。
扉間は威力を抑えてあると言っていたが、どうやら基準が違うらしい。
ただし、爆発そのものは狙い通りだった。
ライダーが一瞬だけそちらへ注意を向けたのである。
「セイバー! 今よ!」
「承知しました!」
セイバーが踏み込んだ。
ライダーは咄嗟に反応したものの、不可視の剣を避けきれなかった。
「……っ!」
肩口を斬られ、後方へ跳躍する。
「ライダー! 何やってるんだよ!」
慎二が怒鳴った。
「……これ以上の戦闘は危険です」
「はあ!? ふざけるな! まだやれるだろ!」
「セイバーの能力は想定以上です。それに、魔術師による援護もあります」
ライダーは負傷した肩へ目を向けた。
「このまま続ければ、撤退することも難しくなります」
「……くそっ!」
慎二は悔しそうに顔を歪めた。
セイバーは剣を構えたまま、ライダーを見据えていた。
「結界を解除しなさい。そうすれば、これ以上の追撃は控えましょう」
「……どうしますか、慎二」
ライダーが尋ねる。
慎二は凛と士郎を睨みつけた。
「……覚えてろよ、衛宮! 遠坂もだ!」
「慎二!」
「ライダー、撤退だ!」
「……承知しました」
ライダーは慎二を抱えると、窓から外へ飛び出した。
「ちょっと! 逃げる気!?」
凛が窓へ駆け寄った時には、二人は既に遠ざかっていた。
セイバーも追撃しようとしたが、士郎が制止した。
「待ってくれ、セイバー!」
「シロウ?」
「今は学校の人たちが先だ。結界を何とかしないと!」
「……分かりました」
セイバーは剣を下ろした。
慎二たちが撤退すると、校舎を覆っていた赤黒い光は徐々に薄れ、やがて消失した。
結界の発動は停止したようだった。
しかし、廊下には倒れた生徒たちが残されている。
「衛宮君、手分けして確認するわよ」
「ああ!」
凛と士郎は、近くの生徒から容態を確かめ始めた。
廊下の隅では、扉間が引き続き倒れたふりをしていた。
(……ライダーの能力は概ね把握できたな)
戦闘そのものは短時間だったが、得られた情報は少なくない。
ライダーの機動力に慎二が使っていた本。学校に仕掛けられた結界。そして、セイバーの戦闘能力。
(……しかし、あのセイバー。妙だな)
扉間は先ほどの戦闘を思い返した。
剣技は一流、身体能力も申し分ない。だが時折動きに僅かな鈍りがあった。
相手の技量を考えれば、もう少し余裕を持って戦えてもおかしくない。
(……魔力の供給に問題があるのか?)
セイバーのマスターである衛宮士郎は、魔術師として未熟だと聞いている。
その影響がサーヴァントにも及んでいるのかもしれない。
詳しく調べる必要はあるが、今ここで確認することではない。
扉間は凛たちが別の生徒を救助していることを確認すると、姿勢を変えようとした。
その時だった。
「あっ! 衛宮君、こっちにも倒れてる子がいる!」
(……む)
凛の声が聞こえた。
どうやら、自分を見つけたらしい。扉間は動きを止めた。
「大丈夫か!?」
士郎が駆け寄ってくる。
続いて凛も膝をつき、少女の顔を覗き込んだ。
「……呼吸はあるみたいね」
「よかった……」
「でも、意識がないわ。早く運ばないと」
(……仕方あるまい)
扉間は気づかれないように呼吸を整え、少し間を置いてから瞼を動かした。
「……う、うぅ……」
「……あっ! 気がついた!」
凛が声を上げた。
「大丈夫? 立てる?」
「……はい。少し、気分が悪いだけです」
女子生徒の声で答える。
扉間は変化の術を解くつもりはなかった。
凛にとっては、見知らぬ女子生徒が結界に巻き込まれて倒れているだけである。ここで余計なことをしなければ、正体を疑われることもない。
「無理しない方がいいわよ。結界の影響で生命力を奪われてる可能性があるから」
「……結界?」
「……ああ、こっちの話よ」
凛は慌てて言い直した。
「とにかく、ここは危ないから早く帰りなさい。歩ける?」
「……はい。ありがとうございます」
扉間は女子生徒らしい動作を意識しながら立ち上がった。
その際も、二人を必要以上に観察することはしない。
「……ありがとうございました」
「気をつけてね!」
「はい」
女子生徒は軽く頭を下げ、廊下を歩いていった。
足取りも、少しだけふらついているように見せておく。
「……よかったな、遠坂」
士郎が息を吐いた。
「ええ。とりあえず、無事みたいね」
「他の人たちも早く助けないと」
「そうね。急ぎましょう」
二人は再び救助へ向かった。
廊下を曲がった扉間は、女子生徒の姿を維持したまま校舎の外へ向かった。
変化を解くのは、完全に人目のない場所へ移動してからでよい。
(……やはり、凛に見つかっても問題はなかったな)
凛は最後まで何の疑いも抱かなかった。
これで士郎やセイバーに余計な情報が伝わる心配もない。
扉間は校舎の外へ出ると、周囲を確認してから人目のない場所へ移動した。
「解」
変化の術を解除し、元の姿へ戻る。
「……さて」
扉間は学校を振り返った。
今回の戦闘で得られた情報は十分だったが、結界についてはまだ調べたいことが残っている。
教会の地下で発見した魔術設備と同じく、人間の生命力を魔力へ変換する術式である。
構造は異なるものの、研究材料としては興味深かった。
「……もう少し調べておくか」
扉間は人目を避けて校舎へ戻り、廊下に残された結界の痕跡を確認した。
既に術の発動は停止しているが、基点に施された魔術式は残っている。
それらを記録し、邪魔にならない場所へ飛雷神のマーキングを施した。
「これでよし」
必要があれば、後から影分身を送り込んで詳しく調べることもできる。
扉間は手帳を閉じた。
その時、離れた場所に配置していた影分身から情報が届いた。
間桐慎二とライダーが学校から離れ、街へ向かって移動しているという。
「……ほう」
扉間は先ほど慎二が持っていた本を思い出した。
マスターでありながら令呪を持たず、術具を介してサーヴァントへ命令する少年。
その仕組みは、まだ分かっていない。
「……あの小僧も調べておく必要があるな」
扉間は影分身へ追跡を継続するよう指示し、自身も学校を後にした。