【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
今日からいよいよ『バラティエ編』がスタートします!
メリー号を手に入れた一味が辿り着いたのは、大海原に浮かぶ巨大な船上レストラン「バラティエ」。
原作の賑やかで活気あふれる店内の描写や、料理人たちの熱気を長文で丁寧にお届けします!
ルーサスの参謀としての圧倒的な洞察力でサンジの真価を見抜く展開をお楽しみください!
シロップ村を後にしたゴーイングメリー号は、穏やかな風を受けて順調に航海を続けていた。
「うおーーーーっ!! メリー号最高だぁぁぁっ!!」
甲板でルフィがはしゃぎ回る横で、ウソップは自分専用の狙撃スペースを手に入れて感動に震え、ゾロは静かに刀を研ぎ、ナミは快適な測量室で嬉しそうに海図を描いている。
そして数日後――俺たちの目の前に、広大な海原に突如として異彩を放つ巨大な構造物が姿を現した。
巨魚の姿を模した船体に、幾重にも重なるウッドデッキ。香ばしい肉の焼ける匂いと魚介の濃厚なスープの香りが、海風に乗ってこちらまで漂ってくる。
東の海(イーストブルー)が誇る有名な船上レストラン――『バラティエ』だ。
「うっひょーーーっ! 飯だぁぁぁっ! 肉の匂いがするぞーーーっ!!」
「ふふ、噂には聞いていたけれど、本当に海の上にレストランがあるなんてね」
ナミが海図を仕舞いながら微笑む。
俺たちはメリー号を係留し、活気に満ちたバラティエの店内へと足を踏み入れた。
店内は満席の客で溢れかえっていた。海賊、海軍、裕福な貴族、旅の商人――本来なら刃を交えるはずの者たちが、ここでは一切の争いを止め、一流の料理に舌鼓を打っている。厨房からはフライパンの跳ねる激しい音と、荒々しくも活気のある料理人たちの怒号が飛び交っていた。
「すげぇ……! 料理人がいっぱいいるぞ!」
ルフィが目を輝かせながら一番大きな丸テーブルに陣取る。
その時――一人の海軍本部将校(フルボディ)が連れていた女性をエスコートしながら、ワインの薀蓄(うんちく)を語り始めた。だが、給仕として現れた黒スーツに金髪の青年――サンジは、その将校の知ったかぶりをあっさりと皮肉で流し、更には女性客へとスマートに極上の料理を差し出した。
「お待ちどうさま、マドモアゼル。恋の試練に揺れる貴女に、最高の魚料理(プロヴァンス風)を」
「な、なんだ貴様は! 俺の注文したスープに虫が入っているぞ!!」
怒り狂ったフルボディがテーブルを叩き割り、暴れ始める。だが、サンジは煙草に火を点け、冷ややかな視線を向けた。
「海の料理人に、食べ物を粗末にする奴は客じゃねぇ。……失せろ」
ドカッ……!!
サンジの目にも留まらぬ速さの『蹴り技』が一閃。巨漢の海軍将校が一瞬で壁へと叩きつけられ、気絶した。
「な……なんだあのコック!? 足技だけで海軍の将校を沈めただと!?」
店内が騒然となる中、ルフィが口を大きく開けて大喜びする。
「うっひょーーー! あのコック、めちゃくちゃ強ぇしカッコいいぞ!」
俺はポケットに両手を突っ込んだまま、サンジの下半身の筋肉の付き方と、軸足のブレのなさを脳内演算(固有技:戦術眼)で分析していた。
(手は料理のために一切使わず、すべての戦闘を『足技』だけで完結させている。……ただの給仕ではないな。あの脚力、破壊力……一流の武闘家レベルだ)
そこへ、騒ぎを聞きつけたバラティエのオーナーシェフ――義足の豪傑『赤足のゼフ』が厨房から姿を現した。
「騒々しいぞサンジ! 客を殴る料理人がどこにいる!!」
「うるせぇクソババァ……じゃなかった、クソジジイ! 食べ物を粗末にする奴は客じゃねぇ!」
二人の激しい口喧嘩が始まる中、ルフィが興奮のあまり「俺たちと海賊やろうぜ!」と叫びながら、近くにあった大砲の試射レバーを誤って引いてしまった。
ドドォォォン!!
放たれた砲弾が、バラティエの屋根の一部を盛大に破壊した。
「ギャーッ!? やっちゃったーーーっ!?」ウソップが頭を抱えて叫ぶ。
ゼフが怒髪天を衝く勢いでルフィに掴みかかろうとした。
「貴様ぁぁぁっ! 俺の大切な店になにしてくれてんだ! 弁償できなきゃ一回につき一年間、ここで雑用係として無給で働いてもらうぞ!!」
「えぇぇっ!? 雑用なんて嫌だーーーっ!!」
ルフィが顔を青くする。
だが――俺は静かに二人の間へと割り込み、ポケットから一枚の『最高級の海軍発行無記名小切手』と、大量の金貨が詰まった袋をテーブルに置いた。
「待ってもらおう、オーナーゼフ」
「あ……? なんだ小僧、庇う気か?」
俺は冷ややかに、しかしスマートに言葉を紡いだ。
「修理費および、本日の一味全員の食事代だ。これだけで屋根の修理はもちろん、バラティエの増築まで十分に賄える額のはずだ。……これで文句はないだろう?」
ゼフが金貨と小切手を手に取り、その額面と俺の佇まいを見て目を細めた。
「……ほう。ただのガキの集まりかと思えば、随分と話のわかる『参謀』がついているようだな。……いいだろう、損害賠償はこれで手打ちだ」
「よしっ! ルーサスありがとー! 雑用しなくて済んだぞー!」
ルフィが大喜びで俺の肩を叩く。
「……へっ、金持ちのボッチャンか。だが、金で買えねぇ美味い料理を食わせてやるよ」
サンジが煙草の煙をくゆらせながら、俺たちのテーブルへ次々と極上の料理を運び始めた。
湯気を立てる極厚のステーキ、新鮮な魚介のパエリア、深みのあるスープ。
「う、うまぁぁぁぁいっ!! なんだこれ! ほっぺたが落ちそうだぞ!!」
ルフィとウソップが猛烈な勢いで料理を平らげ、ゾロは極上の酒に舌鼓を打つ。
俺は静かにグラスを傾けながら、厨房で忙しく立ち回るサンジの背中を見つめていた。
(確かな料理の腕、揺るぎない美学、そして圧倒的な足技。……麦わらの一味の『コック』として、これ以上の男はいない)
ルフィが満腹の腹を叩きながら笑う横で、バラティエの平穏を揺るがす『大物』の影が、静かにこの海域へと近づいていたのだった――。
ご覧いただきありがとうございました!
第23話より『バラティエ編』が開幕いたしました!
原作の活気あるバラティエの描写、サンジの格好良い登場シーン、そしてルーサスの豊富な資金力によって「ルフィの雑用回避」を見事に描きました!
(※ちなみに、ルフィたちが今まで乗っていた小さな探検船は、カヤが「一味とウソップが繋いでくれた大切な絆の証」として、屋敷の港で今も大切に保管・手入れしてくれています!)
次回第24話は、グランドラインから命からがら逃げ延びてきた『首領・クリーク艦隊』の襲来と、餓死寸前の海賊ギンへのサンジの優しさ、そしてルーサスが展開する圧倒的な情報網の攻防をお届けします!
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