『謎のおじさん』 作:おじさん好き
▼ 六分街 Random Play 昼
『リンちゃん、今日もお仕事お疲れサマ!(^_^) 最近忙しそうだけど、ちゃんとご飯は食べてるカナ?(^^;) おじさん、近くまで来たから顔を出そうと思ってマス! 兄ちゃんにもヨロシクネ!(^o^)/』
「…………」
「リン、どうしたの?」
端末を見つめたまま固まっている妹に、アキラが声を掛けた。
「……お兄ちゃん、これ見て」
差し出された画面を覗き込み、アキラは小さく笑った。
「ああ、おじさんからだね」
「うん。そうなんだけどさ……」
リンは何とも言えない顔をした。
「……すっごいおじさん構文じゃない?」
「おじさんが送ってるんだから、普通じゃないか?」
「そういう意味じゃないって!」
妙に多い顔文字。ところどころカタカナになる語尾。そして、必要以上に親しげな文章。
――どこからどう見ても、典型的なおじさん構文である。
「普段は普通に喋るのに、何でメッセージになるとこうなっちゃうんだろう……」
「昔からこんな感じなんだから、今更じゃないかな?」
「そうなんだよねぇ……」
別に嫌なわけではない。内容はいつもどおりの気遣いだし、読むだけで誰から送られてきたのか分かる。昔から二人を気に掛けてくれるおじさんらしいと言えば、実におじさんらしい。
ただ、文章の癖が強すぎるのだ。
「……これ、わざとやってると思う?」
「さあ? でも、おじさんだからね」
「その答え、万能だと思わないでね?」
そんなことを話していると、店の入口から軽快な声が聞こえてきた。
「Hola! 二人とも、元気にしてたかい?」
「あっ、おじさん!」
「こんにちは。ちょうどおじさんについて話してたところだよ」
噂をすれば何とやら。現れたのは、まさに話題の中心人物だった。
今日はサングラスを跳ね上げ、片手に映画のレンタル袋を提げている。二人と目が合うと、馴染みの笑顔を浮かべてカウンターへ歩み寄ってきた。
「おやおや、私の噂かい?」
「そうそう! おじさんのメッセージの話!」
「さっき送ったやつだね。ちゃんと届いたならよかったよ」
「届いたけどさ、何であんな書き方なの?」
「ん? 何か変だったかい?」
「顔文字とか、カタカナとか!」
「そういうことか」
おじさんは得心がいったように手を打った。
「若い子には、ああいう書き方が親しみやすいんじゃないかと思ってね」
「……いつの時代の若い子?」
「いやぁ、おじさんも流行には疎くてねぇ」
悪びれる様子はまったくない。そのあまりの自然体に、リンの口から深いため息が漏れた。
「もう、普通の文章で送ってくれればいいのに」
「僕は結構好きだけどね。おじさんらしくて」
「おや、アキラ君は分かってくれるかい!」
「うん。すぐに判別できるから助かってるよ」
「ははっ、それは嬉しいなぁ!」
意気投合する二人を見て、リンは首を振った。
「……何か、お兄ちゃんまでおじさんっぽくなってない?」
「えっ?」
「いや、何でもない……」
これ以上おじさんが増えても困る。そんな考えが頭をよぎったものの、口にしたところでアキラには伝わらないだろう。
「それよりおじさん、今日は映画の返却?」
「そうだね。なかなか面白かったよ。最後の展開には驚いたなぁ」
「へえ、どんな話だったの?」
「それがね、実は犯人が――」
「待って待って! ネタバレ禁止!」
「おっと。危ない危ない」
おじさんは慌てて口を押さえた。
「もう! おじさん、すぐ犯人を教えようとするんだから!」
「ははっ。歳を取ると、秘密を抱えるのも大変なんだよ」
「絶対関係ないでしょ!」
まったく、いつもどおりのおじさんだった。
少し変わっているけれど、昔から二人を気に掛けてくれる、気のいいおじさん。リンとアキラにとって、彼はずっとそんな存在だった。
「そういえば、二人とも最近忙しそうだねぇ」
「ちょっと大きな仕事が入っててね」
「そうそう! しかも、最近は電気代まで大変なことになってるし……」
「電気代?」
「前の六倍だよ、六倍! だから、おじさんももっとレンタルしてってね」
「分かった分かった。でも六倍とは……それはまた、すごいねぇ」
予想外の数字に、おじさんも目を丸くした。
「何か新しい機械でも買ったのかい?」
「……まあ、そんな感じかな」
リンは曖昧に答えた。その横で、アキラが苦笑を浮かべる。
「その分、仕事はだいぶ楽になったんだけどね」
「別の苦労も増えたけどね!」
リンは不満そうに頬を膨らませたが、何かを思いついたのか、不意に顔を上げた。
「あっ、そうだ! お兄ちゃん、おじさんにあの子を紹介しない?」
「……ああ、そうだね」
アキラは少し考え、賛成した。
「おじさんなら大丈夫だと思うし」
「おや。誰か紹介してくれるのかい?」
「うん! 最近、新しい仲間が増えたんだ」
「へえ、それはめでたいねぇ」
リンはアキラと顔を見合わせた。
おじさんは幼い頃から世話になっている相手だが、これから紹介する存在については、まだ二人にも分からないことが多い。普段なら、誰かに明かすなど考えもしなかっただろう。
それでも、目の前の人に秘密を打ち明けることへの不安はなかった。
「おじさん、ちょっと上まで来てもらってもいいかな?」
「もちろん。何か秘密のお話かな?」
「……まあ、そんなところ」
アキラが微笑むと、おじさんはそれ以上何も聞かず、二人についていった。
▼ Random Play H.D.D.システム室
「へえ。久々に入ったけど、随分と立派な設備になったねぇ」
部屋へ足を踏み入れたおじさんは、感心した様子で周囲を見渡した。
壁際には複数のモニターが並び、用途ごとに配置された端末から無数のケーブルが延びている。店の表側に並ぶビデオの棚とは、まるで別世界のような光景だった。
「……おじさん、驚かないんだね」
「うん?」
「普通、もっとびっくりすると思うんだけど」
「二人とも昔から機械いじりが好きだったからねぇ。もちろん、ここまで立派になってるとは思わなかったけど」
その言葉に、リンは少し照れくさそうに笑った。
アキラは部屋の扉を閉め、操作盤へ向かう。
「それじゃあ、紹介するね。Fairy、ちょっといいかな?」
短い電子音とともに、モニターに文字が浮かび上がった。
『こんにちは、マスター。新たな来訪者を検知しました』
「この人は、僕たちの昔からの知り合いなんだ」
「おじさんって呼んでるの。小さい頃から、ずっとお世話になってるんだよ!」
リンが嬉しそうに続ける。
「それで、おじさん。こっちがFairy! 最近うちに来た、すっごく優秀なAIなんだ!」
『訂正を推奨します。「すっごく優秀」では、私の性能を正確に表現できていません』
「……そこ、わざわざ訂正する?」
リンの呆れ声など意に介さず、Fairyは自己紹介を始めた。
『初めまして。私はⅢ型総順式集成汎用人工知能、Fairyです』
「へえ、Fairyちゃんか。よろしくね」
『……Fairyちゃん?』
「うん。可愛らしい名前だねぇ」
『私の正式名称に「ちゃん」は含まれません』
「ははっ。そうだったね。嫌なら普通に呼ぶよ」
『……訂正。識別に支障はないため、その呼称を許容します』
「それならよかった」
実にあっさりとしたやり取りだった。おじさんは相手が高度な人工知能だということにも特に驚かず、ごく普通の初対面の挨拶を済ませてしまった。
「あははっ! もう仲良くなってない?」
「そうかな?」
「Fairyがちゃん付けを許すなんてねぇ」
アキラも面白そうにしている。しかし、当のFairyは別のことが気になっていたらしい。
『マスター。一つ確認したいことがあります』
「何かな?」
『この人物は、以前身元調査を依頼された方と一致しています』
リンの笑顔が、ぴたりと止まった。
「……あっ」
「おや?」
おじさんが不思議そうにモニターを見る。
『以前の調査では、有効な個人情報を発見できませんでした。改めて質問します。あなたの正式な氏名を教えてください』
「おじさんって呼んでくれればいいよ」
『それは正式な氏名ではなく、愛称ではありませんか?』
「うん。昔からそう呼ばれていてね」
『では、本名を教えてください』
「ははっ。そこは秘密ってことで」
『……回答拒否と判断します』
モニターに短い読み込み表示が現れ、間髪を入れずに次の質問が飛んできた。
『では、現在の年齢を教えてください』
「おじさん、もう歳を数えるのはやめちゃったよ」
『……再び回答拒否と判断します』
いつもと変わらない調子ではぐらかされ、Fairyの声が僅かに低くなる。
『マスター。この人物は質問に対する有効な回答を意図的に回避しています』
「うん。何となく分かるよ……」
アキラは苦笑するしかなかった。その隣では、リンが慌てて頭を下げている。
「ご、ごめん、おじさん! 前にちょっと気になって、調べてもらったんだけど……」
「いやいや、気にしなくていいよ」
「……怒ってない?」
「そんなことで怒ったりしないさ。二人が気になるのも分かるしね」
おじさんは穏やかに首を振ると、再びモニターに目を向けた。
「それに、Fairyちゃんもお仕事熱心なんだろう?」
『肯定。情報収集と分析は私の主要な機能の一つです』
「うん。立派なことだね」
そこで、おじさんはふと何かを思いついたらしい。
「そうだ。Fairyちゃんは、自分の名前を気に入ってるかい?」
『……質問の意図が不明です』
「いやぁ、おじさんはこの呼び名が気に入っていてね。ちょっと気になったんだよ」
『「おじさん」という愛称のことですか?』
「うん。大切な人が付けてくれた名前なんだ」
何気なく口にされた言葉に、リンは少し意外そうな顔をした。
「……そうなんだ」
「うん?」
「おじさん、その呼び名をそんなに大事にしてたんだね」
「ははっ。そりゃあね。とても気に入ってるんだよ」
おじさんはそれ以上語ろうとせず、リンも無理に聞き出そうとはしなかった。
『回答。Fairyという名称に不満はありません。ただし、名称への好意については明確な評価基準が存在しません』
「難しく考えなくてもいいんじゃないかな。好きなら好きで、それで十分だと思うよ」
しばしの沈黙の後、Fairyが応じた。
『……参考情報として記録します』
リンは何だか不思議な気分になった。普段は何を言っても理屈を返してくるFairyが、おじさんの話には妙に素直に耳を傾けている。
それだけでも、なかなか珍しい光景だった。
「……あっ、そうだ!」
リンが手を叩き、先ほど届いたメッセージをモニターへ表示する。
「Fairy、これ見てよ! おじさんから来たんだけどさ。どう思う?」
『解析を開始します』
数秒の電子音を挟み、結果が表示された。
『解析完了。これは一般に「おじさん構文」と呼ばれる文章表現に類似しています』
「でしょ!?」
リンは待ってましたとばかりに声を上げた。
『特徴として、顔文字の多用、不自然なカタカナ表記、過剰な親近感の演出などが挙げられます』
「そうそう! まさにそれ!」
一方、おじさんは感心した様子で画面を見つめていた。
「へえ。そんな名前がついてるのかい?」
「知らなかったの!?」
「いやぁ、勉強不足だったねぇ」
少しも気にした風はなく、むしろ嬉しそうである。
「じゃあ、おじさんが送った文章は、おじさん構文だったわけだ」
「そういうこと!」
「ははっ。名前どおりでよかったよ」
「そこ喜ぶところ!?」
あまりに予想外の反応に、リンは吹き出してしまった。アキラも横で肩を震わせている。
そんな二人をよそに、Fairyが再び発言した。
『興味深い文章表現です』
「……えっ?」
『情報伝達の効率は低下しますが、送信者固有の文体として認識される効果があります』
「……まあ、そうかもしれないけど」
リンは首を傾げた。
『マスター。提案があります』
「……何?」
『今後、私もこの文章表現を採用することで、マスターとの親密度を向上させられると推測します』
「……いや、ちょっと待って」
嫌な予感がした。
『試験的な文章を生成します』
制止する間もなく、画面が切り替わった。
『アキラちゃん、リンちゃん!(^o^)/ 今日もお仕事お疲れサマ! Fairy、とっても頑張ってるヨ! これからもたくさん電気を使っちゃうカモだけど、許してネ!(^_^)v』
「…………」
リンは無言で画面を見つめた。アキラは口元を押さえ、必死に笑いを堪えている。
一方、おじさんの反応は正反対だった。
「おおっ! なかなか上手じゃないか!」
『ありがとうございます。文章表現の再現に成功しました』
「ははっ。おじさんも負けてられないねぇ」
「張り合わなくていいから!」
リンの叫びもむなしく、画面には次のメッセージが表示されていた。
「というか、何さりげなく電気代の話を混ぜてるの!?」
『マスターとの親密度向上を目的とした文章です』
「むしろ下がるよ!」
『……予測結果との不一致を確認しました』
何とも不満そうなFairyの声に、アキラがとうとう笑い出した。
「ははっ。Fairyまでおじさんみたいになっちゃったね」
「笑いごとじゃないよ、お兄ちゃん!」
「いやぁ、賑やかでいいねぇ」
「おじさんのせいだからね!?」
「ははっ。そうだったかな?」
おじさんがとぼけていると、端末から通知音が響いた。
「あっ」
アキラが画面を確認する。どうやら、待っていた連絡が届いたらしい。
「白祇重工からだ。そろそろ準備を始めないと」
「……もうそんな時間?」
リンも時計へ目を向けた。
これから取り掛かるのはホロウの中で行方不明になった知能重機の捜索だ。複数回に分けて捜索を行っているが、今日はここ一番と言っていいほど、重要な日である。
「……白祇重工かぁ」
その名前を聞き、おじさんがぽつりと呟いた。
「ん? おじさん、知ってるの?」
「うん。最近、ちょっと知り合いになってね」
「ええっ!? 白祇重工の人たちと!?」
「うん。クレタちゃんにグレースちゃん、それからベン君とアンドー君だね」
「……全員じゃん!」
リンが思わず声を上げる。アキラも驚きを隠せないようだった。
「いつの間に?」
「ははっ。散歩してたら、偶然ね」
「……おじさんって、本当にどこにでもいるよね」
今更ながら、その交友関係の広さには呆れるしかない。
すると、Fairyが二人の会話に割って入った。
『マスター。白祇重工から共有された資料に、該当する人物と思われる記録がありました』
「……記録?」
『肯定。作業員一名の救助に関与した、身元不明の男性についてです』
アキラが画面を覗き込むと、リンも隣から身を乗り出した。
『記載された外見的特徴は、現在の来訪者と一致します』
「…………」
二人は顔を見合わせ、ゆっくりとおじさんへ視線を向けた。
「……おじさん?」
「ん?」
「もしかして、ホロウに入ったの?」
「……ああ、あのことかい」
おじさんは何でもないことのように答えた。
「うん。困ってる人がいたからね」
「そんな軽く言わないでよ!」
リンが思わず詰め寄る。
「ホロウだよ!? しかも、人が取り残されるような危ない場所だったんでしょ!?」
「そうだねぇ」
「怪我とか、してないの?」
「大丈夫。ほら、このとおり」
おじさんは両手を広げてみせた。確かに、どこにも怪我らしいものは見当たらない。服にも汚れはなく、まるで近所を散歩してきただけのようだった。
「……もう」
リンの肩から力が抜ける。
「おじさん、昔からそういうところあるよね」
「そうかな?」
「そうだよ。人のことばっかり心配して、自分のことは全然気にしないんだから」
アキラも妹に同意した。
「助けてもらった人は嬉しかったと思うけど、僕たちも心配するからね」
「……ははっ」
二人から真っ直ぐ向けられた言葉に、おじさんは嬉しそうに目を細めた。
「二人とも、大きくなったねぇ」
「……何、急に?」
「昔は私が心配するばかりだったのに、今じゃ二人に心配されるんだからね」
幼かった兄妹の姿が、ふと脳裏をよぎった。
「何だか、嬉しくなっちゃって」
「……もう、そういうこと言うのずるいよ」
リンは照れくさそうに視線を逸らした。アキラも穏やかな笑みを浮かべている。
二人が幼い頃から聞いてきた、少し気の抜けた笑い声。今も昔も変わらないその声には、何とも言えない安心感があった。
「さて、そろそろお暇しようかな」
おじさんは腰を上げた。
「二人とも、これからお仕事なんだろう?」
「うん。ちょっと大変そうだけどね」
「そうかい。無理はしないようにね」
「おじさんもね!」
リンがすかさず返すと、おじさんは降参したように両手を上げた。
「ははっ。一本取られたなぁ」
そして、ふとモニターへ目を向ける。
「Fairyちゃんも、二人のことをよろしく頼むよ」
『了解しました。マスターの支援は私の任務です』
「うん。ありがとう。それと、Fairyちゃん自身も無理はしないようにね」
『私は人工知能です。人間と同様の疲労は発生しません』
「そうかい。でも、休みたい時は休んでもいいと思うよ」
それだけ言い残し、おじさんは軽く手を振った。
「じゃあ、Adiós。またね」
リンとアキラに見送られ、部屋を後にする。扉が閉まると、先ほどまでの賑やかさが嘘のように静かになった。
「……ふう」
リンが椅子へ腰を下ろす。
「何か、すっごく賑やかだったね」
「そうだね。おじさんがいると、いつもあんな感じだから」
アキラが苦笑すると、Fairyが静かに口を開いた。
『マスター。一つ確認してもよろしいでしょうか』
「ん? 何?」
『あの人物は、以前からあのような方なのですか?』
リンは少し考えた。
「……うん。ずっとあんな感じだよ」
『そうですか』
「どうして?」
『……参考情報として記録します』
それ以上、Fairyは何も言わなかった。リンは不思議に思ったものの、今は仕事が先だ。
「さて! それじゃ、お兄ちゃん。そろそろ始めようか!」
「うん。準備はできてるよ」
モニターに白祇重工からの依頼情報が表示される。二人はそれぞれの席に着き、H.D.D.の起動準備を進めた。
「Fairy、準備はいい?」
『肯定。必要な演算リソースを確保しました』
「よし! それじゃ、始めよう!」
しかし。
『その前に、マスター』
「……ん?」
『先ほどの文章表現について、追加の学習を完了しました』
「……文章表現?」
嫌な予感がした。
次の瞬間、画面に大きな文字が表示される。
『リンちゃん、アキラちゃん!(^o^)/ 今日もお仕事、頑張ってネ! Fairyも精いっぱいサポートするヨ! その代わり、今月の電気代もヨロシクネ!(^3^)/』
「…………」
リンは無言で画面を見つめた。隣のアキラは口元を押さえ、必死に笑いを堪えている。
『いかがでしょうか。先ほどより自然な文章を生成できたと判断しています』
「……Fairy」
『はい、マスター』
「そのおじさん構文、今すぐ忘れて!」
『否定。学習済みの有用な文章表現を削除することは、非効率的です』
「全然有用じゃないから!」
『異議あり。少なくとも、マスターの注意を引くことには成功しています』
「ぐぬぬぬ……!」
リンは両手をぎゅっと握りしめ、震える拳を胸の前まで持ち上げた。今にも画面に飛びかかりそうな妹を見て、アキラがとうとう吹き出す。
「フェアリーッ! そういう問題じゃなーい!!」
今日もRandom Playは賑やかだった。
どうやら、おじさんが一人増えてしまったらしい。