八幡「765プロ?」   作:N@NO

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期待、不安、そして文化祭。

 

 

その後文化祭がどうだとか夏祭りがどうだったとか由比ヶ浜と雪ノ下が話していると、昼休みの終わりを告げるチャイムがなりそのまま解散となった。

 

雪乃「それじゃあ、私はあっちだから。」

 

結衣「うん!またあとでね、ゆきのん。」

 

雪乃「それと比企谷君、さっきの件だけど詳しく決まったらまた話してもらえるかしら。」

 

八幡「ん。まぁ、さっきあんな感じに言ったけどまだ出来るかどうかは微妙だからな。あんまり期待しすぎないで待っといてくれ。」

 

雪乃「ふふ、わかったわ。それじゃあね、由比ヶ浜さん。」

 

おい、俺にはねーのかよ…。

 

 

 

 

結衣「ねぇ、ヒッキー?」

 

先を歩いていた俺の横に少し小走りで来た由比ヶ浜の方を向きながら返事を返す。

 

八幡「なんだよ。」

 

結衣「ヒッキー、ちょっと変わったね。」

 

そういうと由比ヶ浜は少し微笑んだ。

 

それはバカにしたような感じではなく、どこか優しさを感じさせるような笑みだった。

 

そんな由比ヶ浜をみて頬が熱くなるのを感じたのでそっぽを向きながらとりあえず答える。

 

八幡「…そうか?別にそんなことはないと思うが。」

 

結衣「ううん、変わったよ。プロデューサーになってからなんか頼りになるというかさ。」

 

八幡「まぁ、頼りがいがないと専業主夫になるのは無理だからな。頼りになるのは必然だな。」

 

結衣「プロデューサーになったのに、まだその夢諦めてなかったんだ!?」

 

諦めるわけねーだろ、働いたら負けだ。

働いたからこそ分かることだ。

 

そんなことを話していると2Fの教室が見えてくる。

 

教室から出てきた三浦がこちらから向かっている由比ヶ浜に気付き、手をふっているのも見える。

 

優美子「あ、ゆいー。ちょ、聞いてよー。姫菜がさぁー。」

 

由比ヶ浜がちらりとこちらを見つめる。

 

八幡「ほれ、呼ばれてんぞ。」

 

結衣「うん。それじゃ、ね、ヒッキー。えー、なになにー?」タッタッタ

 

由比ヶ浜はそう告げると三浦の方へと向かった。

 

俺は教室の後ろにあるごみ箱に、さっき食ったパンの袋が入ったコンビニの袋を捨てるために後ろの扉へと向かう。

そして扉を開けようとすると、なぜか勝手に開いた。

 

いつから自動になったのかしら、なんて思いながら正面を見ると葉山がそこに立っている。

 

葉山「あ、ヒキタニくん。」

 

八幡「お、おう。」

 

ヒキタニくんって誰ですか。いや、返事返しちゃったけどさ…。

 

葉山「頑張ってね。」

 

八幡「は?」

 

葉山は不意にそう一言だけ告げると教室の外のロッカーへと教科書をとりに行ってしまう。

 

一人教室の入口に取り残される俺。

 

葉山は何のことを言ってたんだ?

何を頑張るんだ?

 

俺は葉山の謎の発言について考えながら自分の席に着き先生が来るのを待つ。

 

 

って、葉山のせいでゴミ捨て忘れたじゃねーか。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

最後の授業はロングホームルームで文化祭についての配役決めをするようだ。

海老名さんが描いてきたシナリオを配ったあと、またまた海老名さんが大体の配役を考えてきたらしく、カカッとチョークを鳴らしながら名前を書いていく。

 

「いやだぁ!」「地理学者だけはやりたくねぇよ!」「どーして俺が蛇なんだよぉ!」

 

その度に各地からクラスの男子の絶望の声が聞こえてくる。

そんな地獄絵図が教室にひろがっていく。

 

流石にこれは選ばれていく奴等に同情してしまう。

 

そしてメインキャストの発表である。

 

王子様:葉山

 

まぁ、妥当だろう。俺もそうなるであろうことは予測出来ていたし、誰もがそう思っていたにちがいない。

女子たちもキャーキャー騒いでいる。

 

しかしどうだろうか。

 

海老名さんがぼく"の欄に名前を書いていくと見覚えのあるかたちになっていく。

 

こんなこと誰が想像できてのだろうか。

 

ぼく:比企谷

 

八幡「いや、むりだって…。」

 

見た瞬間にそう漏らしてしまう。

というか、明らかにミスキャスティングだろう。

それを耳ざとく聞いていた海老名さんが驚愕の表情をつくる。

 

姫菜「え!?でも、葉山×ヒキタニは薄い本ならマストバイだよ!?というかマストゲイだよ!」

 

何いっちゃってるですか、この人。頭おかしくなっちゃったのかしら?

 

姫菜「やさぐれたかんじの飛行士を王子様が純粋無垢な温かい言葉で巧みに攻める!これがこの作品の魅力じゃない!」

 

いや、そんな作品じゃねーだろ。テグジュペリに怒られるぞ。

 

八幡「い、いや、悪いけど俺私的な用事で忙しくて無理そうなんだわ。」

 

葉山「そ、そうか。演劇だと稽古とか必要になるからそれだと現実的じゃないな。」

 

ナイスフォローだ、葉山。だけどなんで少し嬉しそうに言うんだよ。

 

姫菜「そっか…。残念。」

 

葉山「そう、だからさ、一度全体的に考え直した方がいいんじゃないか?……王子さま役とか。」

 

それが目的か、こいつ…。

しかし葉山がそう言い終わらないうちに海老名さんは書き直す。

 

王子さま:戸塚

ぼく:葉山

 

姫菜「まぁ、やさぐれ感は減るけどこんなところかな?」

 

葉山「俺は結局出ないといけないんだな…。」

 

姫菜「お、そのやさぐれてる感じ、いいねー。」

 

がくりと肩をおろす葉山。

葉山はどうでもいいが、戸塚を王子さまに選ぶとはなかなか良いセンスをしているな、海老名さん。

 

戸塚は自分が選ばれるとはおもってなかったのか不安そうにこちらをみる。

 

戸塚「僕で大丈夫なのかなぁ、星の王子さま読んだことないんだけど、」

 

八幡「なら、おれが原作貸してやろうか?参考になるだろうし。」

 

戸塚「え、いいの!ありがと、八幡!」

 

このとき初めて読書が好きでよかったとおもった。

 

キーンコーンカーン

 

幸せを感じながら最後の授業は終わったのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~

 

今日の仕事は事務所だけですむので制服のまま学校から事務所に直接向かうことにした。

 

まずは社長や音無さんに事情を説明して許可を貰わなくてはならない。

 

事務所につき、ドアを開ける。

 

八幡「おはようございます。」ガチャ

 

小鳥「はい、おはようございま…」

 

音無さんがこちらを目を大きく開きながら呆然としていた。

 

八幡「あ、あの、音無さん?」

 

小鳥「…あっ、ご、ごめんなさいね。制服姿ははじめてだったもので。…ギャップってすごいな…。」ボソッ

 

八幡「はぁ…?えっと音無さん、社長今いますか?」

 

小鳥「はい、いますよ。」

 

八幡「少し相談があるんで社長と一緒にいいですかね?」

 

小鳥「わかりました、ちょっと待っててくださいね。」

 

そう言ったあと音無さんは社長室へ行き何やら話をしている。

 

音無さんを待っている間自分の席に荷物をおき整理をしていると社長から声をかけられた。

 

社長「待たせたね、それじゃあ相談とやらをしてもらおうか。」

 

八幡「はい。」

 

社長室に行き俺は社長に今まで感じていたこと、彼女らの練習のこと、そして文化祭のライブについてのことを話した。

その間社長も音無さんも特に言葉を挟むことなく聞いていた。

 

社長「そうかそうか。しっかりと彼女たちのことを考えているようじゃないか。うん。彼女たちのことは君に任せるよ。君は彼女らのプロデューサーだからね。」

 

八幡「あ、ありがとうございます!」

 

八幡「それで、その文化祭の件なんですけど、学校の行事なのでそんなに予算がないと思うんです。だから今回のライブを依頼というかたちではなくライブの練習場所の提供という形にしたいんですけど、大丈夫ですかね?」

 

小鳥「彼女たちの為でもあるからその点については大丈夫ですよ。万全の体制で出来るわけでもないですし。」

 

社長「そうだね。これをうちのアイドルたちのファンにきっかけにできると良いね。それから、足りない機材はこちらのを使って構わないよ。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

小鳥「これから学校側とも打ち合わせなどしないといけないですね。」

 

八幡「それに関しては俺がやります。ある程度まとまったら事務所で具体的な打ち合わせをしようかと。」

 

社長「うむ。では、日付が決まったら教えてくれたまえ。頑張るんだよ、比企谷君。」

 

八幡「うす。」

 

小鳥「アイドルの子達にはいつ伝えますか?」

 

八幡「明日伝えようかと。明日学校である程度話をしてくるのでやる曲なんかもそのときに。」

 

小鳥「そうですか、わかりました。頑張ってくださいね。」

 

社長達との相談はそこで終わり、俺は今後の予定を考えるため自分の席についた。

 

暫く仕事をしていると天海と菊地が事務所に来る。

 

春香「おはようございます!…え?」

 

真「どうしたの?はる…か…。」

 

二人とも入ってくるなりこちらを見ながら固まっている。

 

八幡「どーしたんだよ。」

 

俺の声に二人ははっとし、慌てて答える。

 

春香「プロデューサーの制服姿初めてみたなーって。」

 

真「プロデューサーいつもスーツだから学生って感じしないですし。今日はどうして制服なんですか?」

 

八幡「いや、ちょっと急ぎの用があったからな。」

というのも、社長達との会話を他のやつらにはまだ知られてくなかったのでいつもより急いで来たのだ。

中途半端な情報だけ流れるのは面倒だからな。

 

春香「へぇー、そうなんですか。なんかラッキーだね、真。」

 

真「うん、そうだね。言ったら他のみんなも驚くだろうねー。」

 

八幡「というか、今日は練習ないだろ?なんか用事でもあるのか?」

 

春香「なんか、ここに来ないと落ち着かなくて。」

 

真「それに、僕部活とかやってないのでやることもないですから。」

 

八幡「そうか。」

 

ふと、今やっていることで思い付く。

 

八幡「なぁ、二人とも。好きな自分達の歌って何だ?」

 

文化祭のライブのための曲を考えていたのだが丁度困っていたのだ。

 

春香「え!?えっとー、なんだろう?」

 

真「急に言われるとなぁ…。」

 

春香「あ!」

 

真「何か思い付いた?」

 

春香「うん、 「The world is all one !!」です! 」

 

真「あ、いいね!僕もその歌好きだよ!」

 

なるほど、確かに。

 

そのあともライブの参考に二人に色々と質問をさせてもらった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

真「でも、なんでプロデューサーあんなこと聞いてきたんだろうね?」

 

春香「さぁ?」




次投稿するのは7月になると思います…。

意見、感想よろしくお願いします!

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