八幡「765プロ?」   作:N@NO

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文化祭への準備。

天海と菊地に色々聞いたお陰でいくらかどんな曲をやるか絞れてきた。

 

ノートパソコンと向き合いながら今後の予定や計画を打ち込んでいく。

 

いくら文化祭でやるライブだとしても有名なものでないと盛り上がらない可能性もある。

 

もしそんなことにでもなれば彼女たちは傷ついてしまうだろうし、なによりそれだと本来の目的が達成することはかなわないだろう。

 

その辺も考えねーとな。

 

ふと時計に目を向けるとパソコンに向かってから短針が60°回転している。

 

あ、僕細かいところは気にしないんで。

的なことをメガネのオタクくんが言ってた。

 

八幡「はぁ、少し休憩でもするか」

 

コーヒーをいれるためにリビングへと向かう。

 

キッチンでお湯を沸かそうとやかんに水をいれていると、勉強をしていたらしい小町が降りてきた。

 

小町「あ、お兄ちゃん、小町の分もよろしくー」

 

八幡「コーヒーでいいのか?」

 

小町「うんー」

 

インスタントコーヒーと砂糖を二つのマグカップに入れ、沸いた水を注ぐ。そこに一つには牛乳を、もう一つには練乳を入れる。

 

八幡「ほれ」

 

牛乳を入れた方を小町に渡す。

もちろん練乳のはぼくのです。

 

小町「ん、ありがと」

 

リビングで二人してフーフーしながらコーヒーを飲み始める。

 

うちの兄妹はどちらも猫舌だ。

なんか最近猫舌は舌の使い方がどうのこうのってやってたけど、言われた程度で治せるなら猫舌やってねーっつーの。

 

ズズーっと甘いコーヒーを飲んでいると小町がポツリと言葉をもらす。

 

小町「…小町、大丈夫かなぁ…」

 

八幡「小町にしては珍しく弱気だな」

 

小町「お兄ちゃんとはちがって小町は繊細なんですー、だから珍しくもなんともないですー」

 

八幡「いや、俺の方が繊細だろ。女子に陰口言われただけで一晩寝込む自信あるぞ」

 

小町「大丈夫だよ。陰口何て言われないよ」

 

そう、小町が俺のことを慰め?てくれる。

 

小町「誰もお兄ちゃんことなんて見てないから」

 

慰めてくれてなかった。

 

八幡「…そんなんしってるっつーの。…まぁ小町」

 

小町「なに?」

 

八幡「勉強してて不安になるって言うのはいいことなんじゃねーの?」

 

俺がそう言うと小町はなに言ってんのコイツ?的な目でこちらを見てくるので、それに答えるように続ける。

 

八幡「不安がでてくるってのは勉強してるからこそ出てくるんだよ。んで、その不安を消す為には勉強するしかない。そしたらまた不安がでる。そんな悪循環みたいなもんなんだよ、勉強なんてやつは。麻薬と一緒だ。そのうちやらないと不安になってやると心が落ち着くようになるさ」

 

小町「そ、それはいやだなぁ。というかお兄ちゃん、そんなことになったことないでしょ?」

 

八幡「…まぁ、ないけど」

 

小町「お兄ちゃん頭だけはいいからなぁー。羨ましいよぉー」

 

そう言う小町に俺だって影で努力はしているんだ、と言おうとすると小町が更に言葉を続けた。

 

小町「でも、小町も同じ学校行けるようにお兄ちゃんより頑張る」

 

小町の目にはやる気で満ちていた。

 

八幡「そーか、頑張れよ」

 

小町「うん。お兄ちゃんもね」

 

コーヒーを飲み干したマグカップを洗ったあと小町は自分の部屋へと戻っていった。

 

八幡「…ふぅ。もうちょい進めておくか」

 

俺も自室へと向かい文化祭の計画を練るのだった。

 

 

 

 

翌日、いつもより少しばかり早めに家を出てた。

 

チャリを漕ぎながら心地よい風を体一杯にうける。

いつもより少し早い時間というだけで普段見る景色と異なる。

登校している生徒の数も普段より少なくすいすいチャリを進めることができる。

こんなにも時間で景色は変わるんだな、なんて思いながら学校へとチャリを漕ぎ進めた。

 

普段より早めに学校に来たには訳がある。

昨日、というか今日完成させた文化祭765プロライブの企画書を平塚先生にみせ、今後についてや、開催の準備なんかについて話をしたかったからだ。

 

職員室へと行き平塚先生を呼ぶ。

 

平塚「比企谷じゃないか、どうしたんだ?こんなに朝早くに」

 

八幡「先生に少し話があって。ここだと話しにくいんで部室でもいいですか?」

 

俺の顔をみて、真面目な話だと察したのかわかったと一言告げついてきてくれた。

 

奉仕部に入り俺はいつもの席、平塚先生は依頼人が座る席にすわった。

 

八幡「それでですね…」

 

俺は事のはじめから平塚先生に伝えた。

 

平塚「なるほど、話はわかった。だけど比企谷。この案が学校側に断られる可能性を考えなかったのかね。随分と計画だけはしてきたようだが」

 

平塚先生に言われて一番重要なことに気づかされる。そうだった、いくら765プロが良かろうが雪ノ下達が良かろうが、最終決定は学校側にあるのだ。

 

俺が苦虫を潰したような顔をしていると平塚先生は顔を緩ませる。

 

平塚「今回の件はやることに関しては問題はないよ。今後については765プロ側と相談しながら進めよう。比企谷。次はこういうミスに気を付けたまえ」

 

八幡「…すいません。それからもうひとつ頼みがあるんですけど、この件に関して情報が漏れないようにしたいんです」

 

平塚「それは秘密に計画を進めたいということでいいのかな」

 

八幡「はい、情報が流れたとき文化祭に他のファンとかが押し寄せたりすると学校的にも面倒なことになるだろうし何より何が起こるか分からなくなるんで」

 

学校でライブをするというのは、ライブ会場でライブをするのとは異なり安全対策なんかがおろそかになるだろう。それに乗じて変な輩が出て来る可能性は否定できない。

 

平塚「確かにそうだな。…うむ。では、校長と教頭、それから厚木先生にだけつたえるということでもいいかね?流石に私だけしか知らないというのは問題なのでね」

 

八幡「はい、それなら大丈夫だと」

 

平塚「ちゃんと先生方には理由を伝えて秘密にしてもらえるのう頼んでおくよ。まぁ、あの人たちはそういうのを漏らすような人たちではないと思うがね」

 

八幡「おねがいします」

 

平塚「生徒の方は君がなんとかしたまえ、頼れる奴等がいるだろう?」

 

八幡「…うす」

 

平塚「それじゃあ私は職員室に戻るよ」

 

八幡「よろしくお願いします」

 

…次はあいつらか

 

 

午前中の授業を終え教室の外で由比ヶ浜が出てくるのを待つ。

まぁ、あれだ、教室で待たないのは俺なりの気遣いってやつで下手に関わりすぎると変に勘ぐられるからな。

 

 

少しして教室から由比ヶ浜が出てきた。

 

結衣「あれ?ヒッキーどうしたの?」

 

八幡「お前を待ってたんだろうが…」

 

結衣「へ、へぇ。ヒッキーあたしのこと待っててくれたんだ…」テレテレ

 

八幡「また急に行って嫌な顔されるのもやだしな」

 

結衣「べ、別に嫌な顔してないし!」

 

八幡「どーでもいいけど早くいくぞ、時間が無くなる」

 

結衣「あ、ちょ、待ってよヒッキー」

 

奉仕部へとそのまま直行しドアを開ける。

 

八幡「うーす」

 

結衣「やっはろー」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、こんにちは。後ろにゾンビがついてきてしまっているけど大丈夫?」

 

八幡「おい、誰がゾンビだよ」

 

雪乃「あら、気がつかなかったわ、ごめんなさいね。ゾンビ君」

 

八幡「いや、全然謝る気ねーだろ、お前」

 

"これはゾンビですか。いいえ、比企谷です"

が始まっちゃうところだったわ。

なにそれ一周回って見てみたい。

 

雪乃「それで、あなたがここに来たってことは例の件が決まったのかしら?」

 

俺と由比ヶ浜が'いつもの'席に座ると雪ノ下がそうきりだす。

 

八幡「あぁ、事務所のほうと学校の方には許可がとれた。平塚先生もあとは生徒たちでやってくれだとさ」

 

雪乃「そう。それではこれから打ち合わせなどしないといけないわね」

 

八幡「その事なんだが、765プロがライブをすることを秘密にすることは出来ないか?できれは奉仕部内だけで進めたいんだが」

 

結衣「え、どゆこと?だって765プロが来るって分かったらみんなすごい盛り上がると思うし人も沢山来ると思うよ?」

 

八幡「それがダメなんだ。その事が校内中に知れ渡ると外部からファンが押し寄せる可能性があるだろ。只でさえ文化祭の警備なんてのはちょろ甘なんだ。何かあってからじゃ遅いからな」

 

結衣「あ、そっか。」

 

雪乃「そうね、比企谷君のような輩が沢山押し寄せたらそれこそバイオハザードね」

 

八幡「だから俺をゾンビ扱いするのはやめろって…」

 

雪乃「まぁ、秘密にすることは無理ではないわ。相模さんには上手く伝えておくわ」

 

八幡「そうか、ありがたい」

 

雪乃「ただ…ただあと一人には伝えないといけないでしょうね。これを秘密にするためにも」

 

八幡「…誰に伝えんだ?」

 

材木座?ないな。秘密にすることに役に立たないだろう。戸塚…も伝えたいけど伝えるメリットはないな…。

 

…誰?

 

雪乃「葉山君には伝えることになるけどいいかしら?」

 

八幡「葉山?どうして葉山なんだ?」

 

結衣「あー、葉山くんイベント係のリーダーなんだよ」

 

八幡「なるほど、葉山らしいな」

 

葉山は葉山で自分がそういうことで求められていることを自覚してんのな。さすがイケメン。

 

八幡「まぁ、葉山なら秘密を漏らしたりしねーだろうからいいんじゃねーの?」

 

雪乃「そう。なら彼に伝えておくわ、それともあなたがつたえる?」

 

八幡「いや、雪ノ下が伝えておいてくれ」

 

雪乃「わかったわ。それから、765プロ側と打ち合わせとかは出来るのかしら?」

 

八幡「そうだな、平塚先生が打ち合わせするときに一緒に来てもらえるか?」

 

結衣「え、あたしもいっていいの?」

 

八幡「いいんじゃねーの?雪ノ下がいいのなら」

 

雪乃「えぇ、構わないわ」

 

結衣「やったー、アイドルに会える?」

 

八幡「いや、そんときにいるかどうかは分からねーし。」

 

結衣「むー。会えるといいなぁ」

 

八幡「打ち合わせ早い方がいいよな?」

 

雪乃「えぇ、そうしてもらえるとこちらとしては助かるわ。けどあまり事務所に迷惑はかけられないし…」

 

八幡「平塚先生と事務所に聞いとくから放課後にいつやるか伝えるわ」

 

雪乃「そう、ありがとう」

 

一通り雪ノ下達と話し合いが済んだところで昼休みの終わりが近づいていることを告げる予鈴がなった。

 

結衣「あ、そろそろ戻らないと」

 

雪乃「そうね、鍵は私が返しておくから」

 

八幡「いや、今日は俺がいくわ。平塚先生に聞いておきたいしな」

 

雪乃「そう、ならおねがいするわ」

 

八幡「あぁ」

 

雪ノ下から部室の鍵を受け取り走りながら職員室へと向かう。

 

職員室で平塚先生を呼ぼうとしたときら丁度平塚先生が出てくるところだった。

 

八幡「あ、平塚先生。部室の鍵を」

 

平塚「おや、珍しいな比企谷が返しに来るなんて」

 

八幡「さっき聞きそびれたことがあったんで。打ち合わせの件なんすけどいつがいいとかありますか?」

 

平塚「私は今週は放課後ならいつでも大丈夫だよ」

 

八幡「そうすか、分かりました。日にち決まったら伝えますんで」

 

平塚「あぁ、頼んだよ」

 

 

これであとは小鳥さんだけか。

 

ちらりと腕時計を見ると次の授業まで5分もなかったので、後で連絡することにして教室へと戻った。

 

 

休み時間の間に小鳥さんにメールをして確認すると明日でもいいとのことだったから明日の放課後にいくと伝える。

 

 

 

八幡「由比ヶ浜」

 

結衣「ん、なに?」

 

八幡「打ち合わせ明日の放課後に決まったから雪ノ下にも伝えておいてくれ」

 

結衣「えぇ!?明日!?」

 

八幡「ちょ、声でけーよ」

 

結衣「あ、ごめん…うぅ、緊張するなぁ」

 

八幡「とにかく頼んだぞ」

 

結衣「うん、明日楽しみにしてるね!」

 

由比ヶ浜はそう笑顔で告げる。

 

 

いや、だからいるかどうかは分からないんだって…。

 

 

 

 

というか、もしいたらあいつらとアイドルらを会わせることになるのか…

 

 

はぁ、何も起きない事を願おう…。

 

 

 




7月6日5時です。765です。はい、これがやりたかっただけです。
お気に入り登録500超えありがとうございます。
これからもがんばって更新していきたいと思います。
意見、感想よろしくお願いします。

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