「(フローラさん……いくら盾のためとはいえ、お互い殆どよく知りもしないのに結婚までしていいのか……?)」
サラボナの町。
天空の盾を手に入れるため、ルドマン氏の依頼を受けて炎と水のリングを探し出した僕は、今まさに人生最大の選択を迫られていた。
結婚相手を選べ、と。
「(ビアンカ……確かに幼馴染で、冒険も一緒にした。ある程度はよく知っている……が、僕の目的はあくまで母と伝説の勇者を探し出すことだ。それに、これからの冒険は子供の頃の比じゃない)」
「(そもそも、なんでいきなり結婚なんて話になってるんだ? 何度でも言うが、僕の目的は母>伝説の勇者≒盾>>>その他。結婚も含む。今はとにかく最優先に集中したい……それに、もう少し独身を謳歌していたい……仲間ならモンスター達がいるし……。うーむ……なんとか盾だけ頂くわけには……)」
「悩んでおるようじゃな……しかし、二人と結婚はできんのだ。一人を選ぶのだ」
ルドマン氏の言葉が重く響く。
「(それもおかしいよな。なんで一人とだけなんだ? 一夫多妻なんて別に珍しくもないだろ(当社比。※この世界はそうなってるということにしておいてください)。いや、そもそも僕はこの二人に限らず、本当に結婚したいと思っているのか……?)」
ヘンリーとマリアさんのことを思い出す。
確かに、多少なりとも羨ましさは感じた。
だが、今はそれどころではない。
「(というか、なんかもうフツーにイライラしてきた。……よし! ベタだが、これでいこう!)」
僕は意を決して口を開いた。
「今更こんなことを言うのは気が引けますが……色々な意味で、今の僕は結婚を考える状況じゃないんです」
ルドマン氏も、フローラさんも、ビアンカも、静かに僕を見つめている。
「リングの代わりに、盾だけ頂くというお話にはできませんか?」
「なっ……!」
ルドマン氏が驚きの声を上げる。
「そもそも、こんな状況でこんなことを思ってしまう僕なんか、お二人の伴侶としてはふさわしくないでしょう。月並みですが、僕なんかより相応しい相手がきっと見つかりますよ」
僕はフローラさんに向き直った。
「フローラさん。アンディとはどうなんですか?」
彼女の表情が僅かに揺れる。
「彼は本気であなたを愛し、命までかけてきました。それを、ただリングを持ってきたというだけのポッと出の僕なんかと結婚して、本当に後悔しないんですか?」
そして、ビアンカを見る。
「ビアンカ。僕の目的はあくまで伝説の勇者と母だ。キミと天秤にかけるような状況になったら、おそらく僕はキミを選ばない。こんな僕なんかで本当にいいのか?」
ビアンカは何も言わなかった。
「ここまで言って、それでもどうしてもというのなら……僕が目的を達成するまで待っていてくれないか? 本気で愛してるなら、結婚したいなら、できるはずだ」
……我ながら、最低な言い草だったと思う。
しかし、ここまで言えば食い下がったりはしないだろう。
結局、その場では結婚の話はお流れとなった。
そして僕は、希望通り天空の盾だけを頂いて、スタコラサッサとサラボナを後にした。
その後、なんやかんやあった。
グランバニアの王になり、母の故郷を見つけ、天空城を復活させ、父の仇であるゲマを倒した。
そして、イブールというよくわからんワニも倒した。
さらに、どことなく見覚えのあるリングが湧いてきた。
帰ろうとしたら、何故かその輪っかから母マーサの交信が来た。
魔界に行くには三つのリングが必要らしい。
「……いや、これ、以前も探したような……」
などとぼやきながらも、リングを借りに行った。
そして、ついに母と再会できた。
しかし、目の前で無駄死にとかいうクソの極みみたいなことをされた。
「母さん……」
悲しみに暮れる暇もなく、僕は魔界の王にして王の中の王()とかいうジジイを倒した。
ちなみに、結局伝説の勇者は見つからなかった。
仲間モンスター達は充実していたし、装備も万全。レベルも十分。
正直、余裕でした。
「……伝説の勇者、必要だったか?」
いや、まあ、母を探すためには必要だったのかもしれない。うんそういうことにしておこう。
でも、戦力としては本当に必要なかった。
グランバニアに帰還してから、色々あった。
国は平和になり、世界から魔物の脅威も消えた。
僕もようやく落ち着いてきた。
すると、サンチョやオジロンから、そろそろ嫁を云々と言われるようになった。
「……そういえば、あの二人はどうなったんだろう」
ふと思い立ち、フローラさんの様子を見に行った。
結果は予想通りだった。
彼女はアンディと一緒になっていた。
「よかった。あの時の判断は間違っていなかったんだな」
そして、ビアンカを訪ねた。
お互い、いい相手もいない。
今後の憂いも当分ない。
「……じゃあ、結婚すっか」
「……んだ」
ということで、晴れてビアンカを王妃に迎え、末永く暮らしていきましたとさ。
おしまい。
その夜。
グランバニアの城で、パパスは静かに息子の寝顔を見つめていた。
「……マーサよ」
パパスは、遠い空を見上げる。
「これでよかったのだろうか」
息子は、母を探し、世界を救い、そしてようやく伴侶を得た。
勇者の血筋に頼ることもなく。
「たぶん……これでよかったんだと思います」
そして、静かに微笑んだ。
蛇足。絶対こっち(独身ルート)の方が色々丸く収まったと思った。
妻子関連がないのでデモンズタワーや石像等はまるっと回避できるし実際勇者いなくても余裕だし、いくら話の都合とはいえあのタイミングあの状況で結婚とか違う、そうじゃないと思わなかったのか。
ちなみにこのルートでの結婚までの期間は……5年くらいじゃね(適当)。どちらもまだまだ全然結婚適齢期だろうし(面倒な方々の苦情お断り。こんな た゛ふ゛んに まし゛に なっちゃって と゛うするの)お互いどっしり落ち着いてるだろうしうん……考えれば考えるほど原作の結婚は色々性急すぎにも程があると思った。
プロポ時のビアに対してはとにかく無かったことにしたかったので少々口が過ぎてしまったかもしれませんね。しかし改めてフローラマジなんなん。アンディはほんまにただの幼馴染だったてことか? の割には選ばんかった場合はちゃっかり一緒になってるし。キープくんとしか(ry。やっぱ某い○○ト関係なく実は腹黒(ry