新世界の神と、世界を壊す魔王   作:never learns

14 / 18
今回の話は私のAIの別作、エセゴンクエストを読んでないとわかりにくいかもしれません


特別編「エセ預言者、再び」

 

司会者「さて、せっかくだからもう一人、呼んでみるとするか」

 

ルルーシュ「まだ誰かいるのか?」

 

司会者「いちいち突っ込むな(笑)。ああ。今度は少々毛色が違う。俺が以前、別の世界で関わった人物だ」

 

C.C.「別の世界?」

 

司会者「そういうことだ。では、さっそく」

 

司会者が指を鳴らす。

 

次の瞬間、会場の中央に一人の男が現れた。

 

男は周囲を見渡すより先に、手にしていた剣を構えた。突然見知らぬ場所へ飛ばされたという状況にもかかわらず、その身構えには隙がない。

 

アバン「……これは?」

 

司会者「おっと、悪い。戦闘中だったな」

 

アバン「ええ。魔王軍との戦いの最中だったのですが……。ここは一体どこなのでしょうか?」

 

司会者「ここは弁論会の会場だ。簡単に言えば、異なる世界の人間を集めて、色々なテーマについて話し合ってもらう場所だな」

 

アバン「弁論会……?」

 

アバンは改めて周囲を見回す。

 

見知らぬ人物ばかりだ。しかも、どう見ても普通の人間とは思えない者までいる。

 

アバン「それで、あなたは……」

 

司会者「久しぶりだな、アバン。いや、この場では初対面ということになるのか?」

 

アバン「……その声、その話し方。まさか……」

 

司会者「そう。エヨだよ」

 

アバン「!」

 

司会者「改めて自己紹介しておこう。俺はこの弁論会の司会者。そして、キミが知っているエヨと同一人物だ。いやあ、また会えて嬉しいよ。アバン」

 

アバン「……そうでしたか。あなたが、こちらの司会者だったのですね」

 

司会者「ああ。改めてよろしく頼む」

 

アバン「こちらこそ。……しかし、まさかこんな形で再会するとは思いませんでした」

 

司会者「それは俺も同じだ。もっとも、キミを呼び出したのは俺なんだがな」

 

アバン「それはそうでしょうね。私が自分の意思でここに来たわけではなさそうですから」

 

アバンは、ふと何かに気づいたように自分の姿を確認する。

 

アバン「……ところで、私が先ほどまでいた場所はどうなっているのでしょう? 戦闘の最中だったのですが」

 

司会者「そこは安心してくれ。ここは時間軸が違う、いわば夢のようなものだ。こちらでどれだけ時間を過ごしても、キミのいた世界の時間は一切進んでいない。戻れば、呼び出された時と同じ状況に戻る」

 

アバン「なるほど。つまり、私がここにいる間も、向こうでは時間が止まっているということですね」

 

司会者「そういうことだ。戦闘の最中に呼び出しておいて、戻ったら仲間が全滅していました、なんてことにはならないから安心してくれ」

 

アバン「それは何よりです。……とはいえ、戦闘中に突然別の場所へ呼び出されるというのは、なかなか心臓に悪いものですね」

 

司会者「そこはすまん。流石にそちらがどういう状況かを把握してから呼び出すことは難しいんだ」

 

 

アバン「……なるほど。……しかしまだ状況がよくわかっていないのですが……」

 

月「少し質問してもいいかな?」

 

アバン「はい。どうぞ」

 

月「君は、司会者……いや、エヨと呼ばれていた人物と、以前から知り合いだったんだね?」

 

アバン「ええ。私の世界で、色々と関わりがありました」

 

ルルーシュ「どのような関わりだったんだ?」

 

アバン「そうですね……。予言めいたことを言ったり、助言をしたり、時にはこちらの想定を超えた行動を取ったり。私たちの世界の出来事に、少なからず影響を与えた人物です」

 

C.C.「なるほど。つまり、ただの傍観者ではなかったわけだ」

 

アバン「ええ。もっとも、何を考えているのか、最後までわからないところもありましたが」

 

シュナイゼル「興味深いですね。彼は先ほど、自分は世界への干渉を控えていると話していましたが……」

 

ルルーシュ「神ライトの世界もそうだが、がっつり干渉してるじゃないか」

 

司会者「おいおい、そこは誤解しないでくれ。俺が言ったのは、キミ達の世界での干渉は、という意味だ。全ての世界に対して言ったつもりはない」

 

シュナイゼル「なるほど。対象によって方針が異なるということですか」

 

司会者「それに、干渉といっても色々あるんだよ。アバンの世界でも、かみやジョカがしてたように、色々アドバイスしたりしているだけだ。例えば、アバン達の敵を倒したりとかはしていないし、いつ何が起こるとか、あそこにアレがあるとかだ。要は、干渉といっても色々あるんだよ」

 

アバン「確かに。直接敵を倒していただいたことはありませんでしたね」

 

太公望「ふむ。つまり、あくまでアバンたち自身が戦う余地は残しておったということかのう」

 

申公豹「敵を排除するのではなく、助言や手助けにとどめる。なるほど、あなたなりの線引きがあるようですね」

 

ルルーシュ「だが、その線引きも君自身が決めている。どこまで関わるかは、結局君の気分次第というわけか?」

 

司会者「まあ、そういうことになるな。俺がどこまで関わるかは俺が決める。例えば何々を教えてくれとか言われてもそうする必要があるか気分じゃない時は断るね」

 

 

ここで少し間があった

 

 

月「……そういえば、君にはもう一つ聞きたいことがある」

 

司会者「何だ?」

 

月「先ほど、僕が『なぜ僕のところには来てくれなかった』と尋ねた時、君は立場が逆だったかもしれない、と答えたね。あれはどういう意味だったんだ?」

 

司会者「ああ、それについても回答しておこう」

 

司会者は神ライトに目を向ける。

 

司会者「俺は新世界の神になったお前が、正確には、あれだけ力説していた新世界とやらを見たくなった。それだけだ」

 

神ライト「……僕の世界を?」

 

司会者「そうだ。必要と言ったのも、ぶっちゃけそれだ。あの世界の為、月の為というより、自分が見たかったから。一度見たものを何故もう一度見る必要がある? だから一人だけ介入した」

 

月「つまり、僕の世界には興味がなかったということか?」

 

司会者「そういう言い方をされると少し違うが、まあ、結果としてはそういうことだな」

 

シュナイゼル「ずいぶん身勝手な理由ですね」

 

司会者「身勝手じゃない神の方が珍しいと思うがね。特に人間から見て。偏見だけど」

 

かみ「私は別に身勝手ではありませんよ」

 

太公望「いや、おぬしは十分身勝手じゃろう」

 

女媧「我もまた、自らの意志で世界を作り変えようとした。人間の尺度で身勝手と評されようと、知ったことではない」

 

司会者「ほらな。神々サイドってのはえてして勝手なヤツが多いんだ。ジョカやかみを見ればわかるだろう」

 

ルルーシュ「それは君自身にも当てはまるのではないか?」

 

司会者「だからそう言ってるだろ。ここも言っておこう。必要というのは俺にとって必要かどうかだ。判断基準は俺が見たいかどうかだ。好きに思え。要はお前達人間の尺度で測るなということだ」

 

シュナイゼル「なるほど。あなたの言う『必要』は、我々が使っている意味とは違うわけですね」

 

司会者「そういうことだ。というか、この手の比喩でかみやジョカはほんと使いやすいな。あなたたちを招いた甲斐があった。まあ、中身パンピーなんで所詮神のまねごとだがな」

 

アバン「……」

 

アバンはしばらく司会者を見つめていた。

 

そして、どこか懐かしそうに、しかし少し疲れたような笑みを浮かべた。

 

アバン「……確かにエヨさんのようですね。私の中の人物像と完全に一致しています。……相変わらずのようで何よりです」

 

司会者「だろう?」

 

アバン「ええ。今のお話を聞いて、ようやく確信できました」

 

シュナイゼル「今の話で確信、ですか?」

 

ルルーシュ「どういうことだ?」

 

アバン「いえ、エヨさんは昔からこういう方でしたので。自分の都合で動き、こちらが真剣に考えていることを、あっさりと別の角度からひっくり返してしまう。今の話も、まさにそのままです」

 

月「エヨ、という名前には何か意味があるのか?」

 

C.C.「確かに気になるな。司会者、超常ちゃん、エヨ。ずいぶんと呼び名が多い」

 

アバン「エヨはエセ預言者の略です。この雑な略し方も本当にあなたらしいです」

 

アバンは何とも言えない疲れた表情で答えた。

 

太公望「エセ預言者……。なるほどのう。確かに、いかにもそれらしい名じゃ」

 

申公豹「ふふ。予言者を名乗るには少々怪しい、という意味でしょうか」

 

司会者「まあ当然それもあるが100%正確な自信はなかったからな。一応確認したものだけを伝えるようにしているが、要するに万が一間違ってても怒らないでねテヘペロという意味でエセを付けた」

 

アバン「ええ。もっとも、実際に何かを知っていることも多かったので、単純に偽物とも言い切れないのですが」

 

ルルーシュ「予言をするが、予言者ではない。しかも、その呼び名を自分で名乗っているのか?」

 

アバン「そういうことです」

 

神ライト「ここでは司会者、僕の世界では超常ちゃん、そしてあなたの所ではエセ預言者ですか……。確かに僕と同じような干渉を受けている方のようですね。……あなたの反応には本当に共感できます。というか、彼の干渉を受けたものは、ほぼ100%我々のような反応になるのでしょうね」

 

アバン「仲間がいてくれて嬉しいですよ」

 

アバンは神ライトに向けて、心から共感するように微笑んだ。

 

C.C.「なるほど。どうやら、どの世界でも似たような扱いを受けているらしいな」

 

司会者「それが俺だからな(キリッ」

 

会場に笑いが広がる。

 

ひとしきり笑いが収まったところで、アバンは改めて司会者に向き直った。

 

アバン「……それで今回はこのような場所に一体何用でしょうか? こんな形でエヨさんのことを色々知ったのは興味深いですが」

 

司会者「何をしてきたかは既に情報は頭に入ってるだろうから割愛する。なに、神ライトもそうだが、俺が干渉してきた世界の連中も呼べるのかとちょっと試してみただけだ。無論、その頭脳や経歴による意見も期待しているが。

 

繰り返すがここでの時間は夢のようなものだ。そちらの現実世界には一切影響ないから、まあ簡単な箸休めだとでも思って気軽にしていってくれ」

 

アバン「……わかりましたよ。では僭越ながら私も少々口添えさせていただきます」

 

ルルーシュ「貴方は、こちらの議論についてもすでに把握しているのか?」

 

アバン「ええ。ここに来るにあたって、これまでの議論や皆さんの立場については理解しています。どうやら、なかなか難しい問題を扱っているようですね」

 

シュナイゼル「そうですか。では、ぜひあなたの意見も聞かせていただきたい。あなたは多くの経験を積み、様々な立場の人間と関わってきたようですから」

 

アバン「私の意見がどこまで参考になるかはわかりませんが、できる限りお話ししましょう」

 

月「貴方は、キラのような存在をどう考える?」

 

アバン「キラ、ですか。犯罪を抑止し、世界の秩序を維持するために、恐怖によって人々を統制する存在……という理解でよろしいでしょうか?」

 

月「そうだ」

 

アバン「なるほど。確かに、犯罪が減り、多くの人々が救われるという結果があるのなら、その存在を必要と考える人がいるのも理解できます」

 

月「では、キラを否定しないということか?」

 

アバン「いえ、そう単純な話ではありません。私は、結果だけでなく、その過程や、そこに至るまでの選択も考えるべきだと思っています」

 

ルルーシュ「貴方もまた、力を持つ者の責任について考えてきた人間ということか」

 

アバン「ええ。私も、力を持つことがどれほど重いことなのか、身をもって経験してきましたから」

 

C.C.「ふむ。どうやら、ちょうどいい人間が来たようだな」

 

太公望「そうじゃのう。月やルルーシュとはまた違う立場から、話を聞けそうじゃ」

 

司会者「だろ? だから呼んだんだよ」

 

アバン「……もっとも、私としては、もう少し落ち着いた場所でお話ししたかったところですが」

 

司会者「まあまあ。向こうの戦闘は止まってるんだからいいじゃないか」

 

アバン「それはそうですが、戻ったらまた戦いの続きですからね。あまり長居するわけにもいきません」

 

神ライト「こちらでは時間が進まないのですから、気にする必要はないでしょう」

 

アバン「そうですね。では、せっかくの機会です。皆さんのお話を聞かせていただきましょう」

 

アバンは剣を鞘に納め、会場の席へと歩いていった。

 

戦場から突然呼び出された男は、戸惑いこそあれど、すでに状況を受け入れ始めている。

 

 

司会者「よし、簡単な挨拶は済んだな。では改めて、アバンも交えて話を続けるとしよう」

 

弁論会に、新たな参加者が加わった。

 

それもまた、司会者の気まぐれによって別世界から招かれた、もう一人の経験者だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。