新世界の神と、世界を壊す魔王   作:never learns

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今回の議題は、リューク希望の『人間の欲望』


番外編・希望議題編 第三話「人間はなぜ欲しがるのか」

 

会場には、今回の弁論者たちが集まっていた。

 

円卓に着いているのは、月、神ライト、ルルーシュ、シュナイゼル、C.C.、リューク、L、ニア、メロ、松田、ミサ、太公望、申公豹、怨み屋、アバン。

 

観客席には、その他の招待客が控えている。

 

司会者はいつもの席に座り、隣に立つミレイへ視線を向けた。

 

司会者「それじゃあ、今回はミレイに進行をお願いしようかな」

 

ミレイ「はい。お任せください。せっかくですから、今回は私がしっかり進めてみますね」

 

リヴァル「おお、会長の本領発揮か?」

 

ミレイ「リヴァル、今は観客席ですよ。静かにお願いしますね」

 

リヴァル「はい……」

 

司会者「では、よろしく」

 

ミレイ「はい。それでは始めます。今回の議題は、ルーレットで選ばれた6番。リュークさんが希望したテーマです」

 

リューク「おっ、オレの番か」

 

ミレイ「議題は『人間の欲望』。かなり幅広いテーマですね。まずは希望者であるリュークさんから、議題を出した理由を聞いてみましょう」

 

リューク「理由なんて大したもんじゃねえよ。人間ってのは、とにかく何かを欲しがる生き物だろ? 金、権力、名誉、愛情、寿命……挙げればきりがねえ」

 

ミレイ「なるほど。人間が何かを求めること、そのものに興味があるということでしょうか?」

 

リューク「そうだな。自分の欲しいものを手に入れるために、どこまでやるのか。どんな言い訳をするのか。見ていて実に面白いんだよ」

 

ミレイ「ありがとうございます。それでは、最初の問いを提示します」

 

ミレイは円卓の参加者を見渡した。

 

ミレイ「欲望は人間にとって必要なものなのか。それとも、できるだけ抑えるべきものなのか。 まずは自由に意見をお願いします」

 

ルルーシュ「必要だ。欲望がなければ、現状を変えようとする意志も生まれない。自由を求めることも、平等を望むことも、より良い社会を作ろうとすることも、広い意味では欲望だ」

 

シュナイゼル「ただし、個人の欲望が他者の利益と衝突することもある。社会を維持するには、欲望を制限する仕組みが必要だろう」

 

月「欲望を持つこと自体は悪ではない。問題は、その欲望を実現するために何をするかだ。目的と手段を混同すべきではない」

 

神ライト「同意する。人間が何かを望むからこそ、努力や発展が生まれる。しかし、自分の満足だけを追求する人間が増えれば、社会は成り立たなくなる」

 

松田「でも、欲望を抑えろって言われても難しいですよね。お金が欲しいとか、いい暮らしがしたいとか、そういうのは普通のことじゃないですか」

 

ミサ「そうだよ! 好きな人に振り向いてほしいとか、もっと幸せになりたいとか、そういう気持ちまで悪いって言われたら困るもん!」

 

メロ「欲望を否定すること自体が無意味だ。人間は欲しいもののために動く。問題は、どこまで犠牲を許容するかだろう」

 

ミレイ「意見が出揃ってきましたね。欲望そのものを否定する人はいないようですが、他者への影響や手段については意見が分かれています」

 

リューク「へえ。みんなずいぶん真面目に考えるんだな」

 

C.C.「欲望を持つことと、欲望に振り回されることは違う。自分が何を求めているのか分かっていない人間ほど、扱いにくいものはない」

 

太公望「欲望を完全に抑え込むなど無理じゃろうな。人は何かを求めるから動く。食べたい、眠りたい、楽をしたい、勝ちたい。そうしたものまで否定しては、生きることそのものが窮屈になる」

 

申公豹「欲望を抑えることと、欲望を理解することは別でしょう。自分が何を求めているのかを把握する。それが第一歩ではありませんか」

 

怨み屋「人間は自分の欲望を正当化するのが得意ですからね。自分の利益のために他人を犠牲にしておきながら、それを正義や愛情だと言い換えることもある」

 

アバン「しかし、誰かを助けたいという気持ちも、欲望の一種と考えられるのではありませんか? その気持ちによって救われる人もいるでしょう」

 

ミレイ「今のアバンさんの発言は興味深いですね。欲望という言葉を、悪い意味に限定してよいのか。そこをもう少し掘り下げてみましょう」

 

リューク「そうそう。自分の欲しいものを手に入れたいって気持ちだけじゃねえ。誰かを助けたい、自分の理想を実現したい。それだって欲望だろ?」

 

月「善意も欲望の一種だということか」

 

リューク「違うって言うのか?」

 

月「いや、分類としては間違っていないだろう。ただし、欲望という言葉でまとめたところで、善意と利己心の違いがなくなるわけではない」

 

ニア「分類することと、評価することは別です。欲望の種類を分けたうえで、その行動が誰にどのような影響を与えるのかを考えるべきでしょう」

 

L「同感です。例えば、誰かを助けたいという欲望があったとしても、相手が助けを望んでいない場合もあります。善意であることと、正しい行動であることは必ずしも一致しません」

 

松田「うわ……それは確かにありますね。良かれと思ってやったことが、相手にとっては迷惑だったり」

 

ミサ「でも、だからって何もしないのも違うと思うけどなあ」

 

ミレイ「ありがとうございます。では、次の問いに移ります」

 

ミレイは少し間を置いた。

 

ミレイ「欲望には際限がないのでしょうか。人間はどこで満足すればよいのでしょう?」

 

シュナイゼル「満足する地点は人によって異なる。ある者は生活に必要なものが揃えば満足するが、別の者は社会的な地位や影響力を求め続ける」

 

ルルーシュ「目標を達成した後に、次の目標を見つけること自体は悪くない。だが、そのために他者の自由を奪うなら話は別だ」

 

月「そもそも、満足する必要があるのか? 欲しいものがあるなら追い求めればいい。限界を決めるのは本人だ」

 

神ライト「個人の中だけで完結するなら、それでもいい。しかし、欲望が際限なく膨らみ、他者を犠牲にし始めた場合は制限が必要になる」

 

メロ「制限する側が正しいとは限らない。誰がその基準を決める?」

 

ニア「だからこそ、基準を一人の判断に委ねない仕組みが必要です」

 

怨み屋「ただ、制度があっても、それを運用する人間の欲望までは消せません。権力を持つ側が自分に都合よく制度を利用する可能性もあります」

 

太公望「結局、欲望を持つ人間が欲望を制御する制度を作るわけじゃな。なかなか皮肉な話じゃ」

 

リューク「ククッ。人間ってのは本当に面倒くせえな」

 

ミレイ「では、ここで議論を少し整理します。欲望をなくすことは現実的ではない。かといって、すべての欲望を自由に認めれば、他者への被害が生じる。つまり、欲望を認めることと、その実現をどこまで許すかは分けて考える必要がありそうですね」

 

司会者「うん。いい整理だね」

 

ミレイ「ありがとうございます。それでは、司会者からも何か質問はありますか?」

 

司会者「そうだね。ひとつ聞いてみたい」

 

司会者はリュークに目を向けた。

 

司会者「リューク。キミは人間の欲望を面白がっている。では、もし人間が欲望を失ったら、どう思う?」

 

リューク「つまらねえな」

 

即答だった。

 

リューク「何も欲しがらず、何も求めず、ただ毎日同じことを繰り返す。そんな人間を見ていても面白くねえ」

 

司会者「やっぱりそうか(笑)」

 

リューク「人間は欲望があるから面白いんだ。欲望のために努力する奴もいれば、犯罪に走る奴もいる。誰かを愛する奴もいれば、誰かを殺す奴もいる。結果がどうなるか分からねえから、見ていて飽きない」

 

月「ずいぶんと身も蓋もない結論だな」

 

リューク「オレは死神だからな。人間の生き方に正解を求めちゃいねえよ」

 

ミレイ「リュークさんにとっては、欲望そのものが人間の面白さにつながっているんですね」

 

リューク「そういうことだ」

 

ミレイ「では、最後に参加者の皆さんから、今回の議題について一言ずつお願いします。簡潔で構いません」

 

月「欲望は否定するものではない。だが、目的のために手段を選ばなくなった時、人間は危うくなる」

 

神ライト「欲望を社会の発展につなげることはできる。ただし、他者の権利を守る仕組みが不可欠だ」

 

ルルーシュ「欲望を持つ自由と、他者の自由を侵害しない責任。その両方が必要だ」

 

シュナイゼル「欲望を抑えるのではなく、社会の中で調整する。それが現実的な方向だろう」

 

C.C.「満足できるかどうかは本人次第だ。誰かに決められるものではない」

 

L「欲望を評価する際には、動機だけでなく行動と結果を見るべきです」

 

ニア「欲望の存在を前提として、他者への影響を検証する仕組みが必要です」

 

メロ「欲望を持つことを恐れる必要はない。だが、覚悟もなく他人を巻き込むな」

 

松田「普通の欲望まで悪者扱いしないでほしいですね。誰だって幸せになりたいんですから」

 

ミサ「好きな人を大切にしたいとか、幸せになりたいとか、そういう気持ちは大事にしたいな」

 

太公望「欲望は人を動かす原動力じゃ。なくすより、付き合い方を考えるべきじゃろう」

 

申公豹「自分の欲望を理解し、その結果に責任を持つこと。それが重要だと思います」

 

怨み屋「欲望を正義や善意にすり替える人間には、注意が必要ですね」

 

アバン「欲望そのものを否定せず、その力を誰かのために使えるようにする。それも一つの答えでしょう」

 

リューク「人間が欲望をなくさないでいてくれれば、それでいいぜ」

 

ミレイ「皆さん、ありがとうございました。今回の議論では、欲望そのものを否定するのではなく、その欲望をどう扱うかが重要だという意見が多く見られました」

 

司会者「うん。なかなか面白かったよ」

 

ミレイ「以上で、今回の議題は終了です。リュークさん、議題の提供ありがとうございました」

 

リューク「おう。なかなか面白かったぜ」

 

司会者「ミレイもありがとう。進行役、ちゃんとできてたじゃないか」

 

ミレイ「ふふっ。ありがとうございます。次回もお任せください」

 

リヴァル「会長、今日はちゃんと司会してたな!」

 

ミレイ「リヴァル。最後まで観客席で静かにしていてくださいね?」

 

リヴァル「はい……」

 

司会者「じゃあ、今回は解散!」

 

こうして、リュークの希望した「人間の欲望」を巡る議論は終了した。

 

欲望は人間の欠点なのか。

それとも、人間を人間たらしめるものなのか。

 

少なくとも、欲望を完全になくした人間社会が、リュークにとって退屈なものであることだけは間違いなさそうだった。

 

――第三話・了。

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