第一部・議題希望者、ルルーシュ
前回の議論から数日後。
会場では次回の議題について、参加者たちがそれぞれ思案していた。
その中で、ルルーシュが手を挙げる。
ルルーシュ「司会者、次の議題を提案したい」
司会者「お、ルルーシュか。聞こうじゃないか」
ルルーシュ「今回のテーマは『自由と平等』だ」
司会者「自由と平等ね。なるほど、これはまた大きなテーマだ」
ルルーシュ「前回は法と正義、その前は正義の判断基準について議論した。今回は、それらとも深く関係する社会の根本的な価値について考えたい」
ルルーシュ「自由な競争を認めれば格差が生まれる。反対に、全員を平等にしようとすれば、個人の選択や財産に制限を加えることになる。両者はどこまで共存できるのか。それを議論したい」
司会者「いいね。採用しよう」
シュナイゼル「ルルーシュらしい議題だな。お前自身、自由という言葉には特別な思いがあるだろう?」
ルルーシュ「そうだな。だが、自由を語るなら、その自由が誰のためのものなのかも考える必要がある」
シュナイゼル「ふふ。今回はなかなか興味深い話になりそうだ」
司会者「それと、今回は封神演義勢や神様たちにも期待してるよ。前回まであんまり出番がなかったからね」
太公望「なんじゃ、ワシらにも出番を回すということか?」
司会者「もちろん。自由と平等なんて、君たちの立場から見ても面白いテーマだと思うけどね」
申公豹「人間の社会制度について、我々がどのように考えるか。確かに興味深い題材です」
女媧「人間が自由や平等を求める姿か……。観察する価値はありそうだな」
かみ「人間が自ら定めた価値観について、神が意見を述べる。面白い趣向ではないか」
司会者「よしよし。今回は期待してるよ(笑)」
第二部・参加者の招集と、追加ゲスト
議論当日。
ミレイが進行役として円卓の前に立っていた。
今回の議論参加者は、ルルーシュ、月、神ライト、シュナイゼル、太公望、申公豹、女媧、かみ、怨み屋、アバン、そして特別招待客の岩谷尚文。
ナナリーは客席から見守ることになっていた。
尚文は今回も客席に座り、静かに議論の開始を待っている。
司会者「……おい、尚文」
尚文「ん? なんだ?」
司会者「お前、ナナリー以降まったく参加しないな」
尚文「いや、俺は特別招待客だろ。議論に参加するために呼ばれたわけじゃないし……」
司会者「ちょっとイラっときたので、お前こっから強制参加な。せっかく呼んだんだし、何、理不尽慣れしてるお前ならどってことないだろ?」
尚文「はあ!? いや、待て! なんでそうなるんだよ! 俺は別に参加したくないわけじゃなくて、そもそも参加する予定じゃなかったんだぞ!」
司会者「ここでは俺が法なんだよバーカ。んじゃやるか」
尚文「理不尽にも程があるだろ……!」
ナナリー「ふふっ……。尚文さん、頑張ってくださいね」
尚文「ナナリーまで……!」
司会者「よし。これで参加者が一人増えた」
尚文「何も解決してないだろ!」
会場に小さな笑いが起きた。
司会者は円卓を見渡し、ふと思いついたように手を打った。
司会者「あっそうだ。自由と平等がテーマなら俺の知る限り三大自由バカのエレン・イェーガーくんがいるじゃないか。よし、ヤツを呼ぼう」
ルルーシュ「三大自由バカ……?」
司会者「前も言ったが自由の名のもとに人類8割殺したやべーヤツだ。平等にはあんまり関係ないが自由に関してならあいつなら面白いことを言ってくれそうだ」
司会者「キミらも彼に対してあんまちょーしこいたこと言うなよ? 駆逐してやる言われるからな。ちな彼の口癖だ。序に三大の一人は俺だ」
月「……自由のために、人類の八割を?」
神ライト「それは、かなり極端な行動ですね……」
シュナイゼル「自由を掲げて人類の大半を殺害した人物か。確かに、今回の議題には関係がありそうだ」
ルルーシュ「自由のために、か。彼の言う自由が何を意味していたのかは聞いてみたいな」
いやお前かよ的なツッコミがなかった司会者はちょっと凹んだ
司会者「気を取り直して、では呼んでみよう」
司会者が指を鳴らす。
次の瞬間、会場の一角に一人の青年が現れた。
エレン「……ここは?」
司会者「ようこそ、エレン・イェーガーくん」
エレン「お前は……?」
司会者「今回の議題は『自由と平等』。お前を呼んだ理由は単純だ。お前ほど自由という言葉に人生を賭けた人間も、そうそういないからね」
エレン「……自由?」
司会者「そう。お前が求めた自由について、みんなに話してほしいんだよ」
司会者はエレンの隣に立つと、肩をポンポンと叩いた。
司会者「ちなみにお前は俺の独自調査によると人類殺害数ランキング第4位だ。上には上がいるから、ま、そう悲観すんなよ」
エレン「…………は?」
エレン「いや、悲観するなって……何の話だ?」
司会者「まあ、ランキングの話はまた今度な(笑)」
エレン「……お前、何者なんだ?」
司会者「ただの議論好きな人間だよ。細かいことは気にしない」
エレン「そんな説明で納得できるか……」
ルルーシュ「なるほど。彼が例の人物か」
シュナイゼル「人類の八割を殺害したというのは、事実なのか?」
エレン「……ああ」
会場の空気が少し変わった。
エレン「俺がやった」
司会者「というわけで、今回の追加ゲストだ。よろしくね」
エレン「……ああ」
第三部・自由と平等の定義
ミレイ「それでは、改めて今回の議題を始めましょう。議題を提案してくださったルルーシュさん、そして追加ゲストのエレンさん、よろしくお願いします」
司会者「うん。今回は自由と平等の関係を整理してみた」
スクリーンに資料が表示された。
今回の議論の前提――自由と平等
「自由」と「平等」は、社会のあり方を決める二つの核であり、しばしば対立しつつも、互いを支え合う関係にある。
1. 対立(トレードオフ)
- 自由な競争を認めすぎると、能力や環境の違いによって格差が広がり、不平等が生まれる可能性がある。
- 全員を平等にしようとすると、個人の自由な選択や財産、行動が制限される可能性がある。
2. 共存(相互補完)
- 誰もが自由に生きるためには、教育や生活における最低限の平等、つまり機会の平等が必要になる。
- 不平等を正すためには、権力や社会の仕組みに異議を唱えられる発言の自由が必要になる。
司会者「この二つは、単純にどちらかを選べばいいという関係じゃない。自由を守るために平等が必要な場合もあるし、平等を守るために自由が必要な場合もある」
ミレイ「ありがとうございます。それでは、最初の問いです」
ミレイ「自由と平等が衝突したとき、社会はどちらを優先するべきなのでしょうか?」
第四部・自由を優先するのか、平等を優先するのか
ルルーシュ「俺は、自由を重視するべきだと考えている」
ルルーシュ「人間には、自らの意思で生き方を選ぶ権利がある。何を学び、何を目指し、どのような人生を歩むのか。それを他者や国家が過度に制限するべきではない」
ルルーシュ「ただし、自由を無制限に認めれば、強者が弱者を支配する構造が生まれる。自由を守るための最低限の平等は必要だ」
シュナイゼル「自由を重視するのはいい。だが、自由を優先した結果として生じる格差を、どこまで許容するつもりだ?」
ルルーシュ「努力や能力の差によって生じる結果の違いまで、すべて否定する必要はない。問題は、生まれた環境によって選択肢そのものが奪われてしまうことだ」
シュナイゼル「なるほど。自由な競争を認める一方で、競争に参加するための条件は整えるべきだということか」
月「僕も、自由と平等の両方が必要だと思います。ただ、平等を実現するために自由を制限する場合、その制限が本当に必要なのか、慎重に検討しなければなりません」
神ライト「僕は、機会の平等を特に重視したいですね。結果を完全に同じにすることは難しくても、誰もが挑戦できる環境を整えることはできるはずです」
メロ「でも、スタート地点を揃えるだけで本当に十分なのか? 生まれた環境や能力の違いは、そんな簡単に埋まらないだろ」
神ライト「確かに、それだけでは不十分な場合もあります。だからこそ、生活の基盤や教育へのアクセスを保障することが重要なのだと思います」
アバン「自由に挑戦できることは大切ですが、失敗したときに立ち直る機会がなければ、自由は一部の人にしか与えられないものになってしまうでしょうね」
尚文「俺もそう思う。口では自由だ、平等だと言っても、実際に選択できる余裕がなければ意味がない」
尚文「俺は異世界に召喚された直後、周囲から一方的に疑われて、まともな選択肢すら与えられなかった。形式上は自由でも、周囲の人間がそれを認めなければ、自由なんて簡単に奪われる」
ルルーシュ「制度上の自由と、実際に行使できる自由は異なるということか」
尚文「ああ。自由を与えたと言うだけなら簡単だ。だが、その自由を使える状況を作るのは別の話だ」
エレン「……自由を使える状況、か」
それまで黙っていたエレンが、初めて口を開いた。
エレン「俺は、生まれたときから自由を奪われていた」
エレン「壁の中で生まれて、壁の外には何があるのかも知らずに生きていた。外の世界を見たいと思った。それだけだった」
エレン「でも、壁の外には俺たちを食い殺そうとする巨人がいた。壁の外に出ることすら自由じゃなかった」
ルルーシュ「それで、お前は自由を手に入れるために戦ったのか?」
エレン「ああ。自由を奪うものを排除しようとした」
シュナイゼル「そして、その結果が人類の八割の死か」
エレン「……そうだ」
第五部・神と仙人から見た自由と平等
ミレイ「ここで視点を変えてみましょう。今回は人間以外の参加者もいらっしゃいます。皆さんは自由と平等をどのように考えますか?」
太公望「ふむ。ワシからすれば、自由も平等も、人間が社会を作るうえで必要になった概念じゃろうな」
太公望「ただし、人間は生まれながらにして同じ能力や環境を持っておるわけではない。全員を同じにすることなど、そもそも不可能に近い」
太公望「じゃが、だからといって強い者が弱い者を好き放題に扱ってよいわけでもない。大切なのは、違いを認めたうえで、誰もが生きていける余地を残すことじゃ」
申公豹「私も、平等という言葉の扱いには注意が必要だと考えます」
申公豹「能力や役割に差があることと、存在そのものの価値に差があることは同じではありません。異なるものをすべて同じに扱うことが、必ずしも公平とは限らないでしょう」
女媧「人間は、自らを自由な存在だと考えているようだな。しかし、その自由は実に限定的なものではないか」
女媧「生まれる時代も、場所も、身体も、能力も、自ら選ぶことはできぬ。人間は最初から不平等な条件を背負っている」
女媧「そのような存在が、自由と平等を掲げて争う。興味深いものだ」
ルルーシュ「生まれた条件を選べないからこそ、その後の自由を守る必要があるのではないか?」
女媧「それは人間の考え方であろう。最初から異なる存在に、同じ自由や平等を与えることに、どれほどの意味がある?」
太公望「意味があるからこそ、議論しておるのじゃろう。違いがあるからといって、最初から諦めてしまえば、何も変わらぬ」
女媧「そなたは相変わらず、人間に甘いな」
太公望「人間を甘やかしておるつもりはないぞ。人間が自分たちの未来を決めることを、認めておるだけじゃ」
申公豹「しかし、自由を求めるという点では、エレンさんの行動も興味深いですね」
エレン「……俺のことか」
申公豹「ええ。あなたは自由を求めて行動した。その結果、他者の自由を奪うことになった。そこに矛盾を感じることはありませんでしたか?」
エレン「……あった」
エレン「でも、俺は止まれなかった」
かみ「ほう。自らの自由を求めながら、他者の自由を奪ったというわけか」
エレン「俺が進まなければ、俺の仲間たちが殺されると思った。だから進んだ」
かみ「それは自由のためだったのか。それとも、大切な者を守るためだったのか?」
エレン「……どちらもだ」
かみ「なるほど。人間は実に複雑だな」
女媧「自由を求める者が、他者の自由を奪う。人間の矛盾がよく表れている」
太公望「じゃが、エレン一人の行動をもって、人間全体を決めつけるのも違うじゃろう」
第六部・自由な社会は不平等を生むのか
ミレイ「では、自由な競争を認めることで生まれる格差について、もう少し掘り下げてみましょう」
シュナイゼル「自由な競争は、社会の発展に寄与する可能性がある。努力や能力が報われる仕組みは、人々の意欲を高めるだろう」
シュナイゼル「しかし、競争の結果として格差が広がりすぎれば、社会の安定を損なうことになる」
ルルーシュ「だからこそ、最低限の生活保障や教育の機会が必要になる。自由な競争を認めることと、競争に参加できない者を見捨てることは別だ」
月「ただ、再分配を強めすぎれば、努力する意欲を損なう可能性もあります。どの程度まで格差を是正するのか、その基準が問題になりますね」
神ライト「格差をなくすこと自体が目的になってしまうのも、問題だと思います。重要なのは、格差によって人間の尊厳や選択肢が奪われないことではないでしょうか」
尚文「俺は、全員を同じに扱えばいいわけじゃないと思う。必要な支援は人によって違う。そこを無視して平等だと言われても困る」
太公望「なるほど。必要なものを必要な者に与えることも、平等の一つの形というわけじゃな」
申公豹「同じ量を与えることと、公平に与えることは異なります。そこを混同してはいけませんね」
怨み屋「でも、支援する側が誰を助けるか決めるとき、そこに偏りが生まれることもあるわ」
怨み屋「助ける価値がある人間と、そうでない人間。そんな区別を始めたら、平等なんて簡単に崩れるでしょうね」
L「支援の基準を明確にし、恣意的な判断を抑える必要がありますね」
ニア「ただし、基準を厳格にしすぎると、基準に当てはまらない人々が取り残される可能性もあります」
メロ「結局、制度を作っても穴はできるってことか」
アバン「だからこそ、制度を作って終わりにするのではなく、実際に困っている人がいないか、常に確認する必要があるのでしょう」
第七部・エレンの自由
ミレイ「ここで、エレンさん自身の考えをもう少し聞いてみたいと思います」
ミレイ「あなたにとって、自由とは何だったのでしょうか?」
エレン「……俺にとって自由は、何かを選べることだけじゃない」
エレン「行きたい場所へ行けること。外の世界を見られること。壁の中に閉じ込められず、自分の意思で生きられることだ」
エレン「俺は、壁の外に何があるのかを知りたかった。海を見たかった。炎の水や氷の大地、砂の雪原……。本で見た世界を、自分の目で確かめたかった」
エレン「でも、海の向こうには敵がいた。俺たちを殺そうとする人間がいた」
ルルーシュ「そこで、自由を得るために敵を排除するという結論に至ったのか」
エレン「……そうだ」
シュナイゼル「しかし、敵を排除することと、自由を得ることは同じではない。相手を殺し尽くしたとしても、自由が保証されるわけではないだろう」
エレン「分かってる」
エレン「俺がやったことが正しかったとは思っていない。俺は自分の自由を求めて、たくさんの人間の自由を奪った」
エレン「でも、俺はあのとき、他の道を選べなかった。いや……選ばなかったのかもしれない」
月「自分の行動を正当化しようとはしないのですね」
エレン「正当化できると思うか?」
月「……いいえ。少なくとも、僕にはできません」
エレン「そうだろうな」
太公望「自由とは、他者の自由を踏みにじってまで手に入れるものなのか。そこが問題なのじゃろうな」
エレン「俺は……自由を求めていたはずだった」
エレン「でも、俺が進んだ先にあったものが、本当に自由だったのかは分からない」
かみ「自らが求めたものを手に入れたのか、それとも求める過程で失ったのか。興味深い話だ」
申公豹「自由を求めることと、自由を正しく扱うことは別なのかもしれませんね」
第八部・司会者の見解
ミレイ「最後に、司会者さんの考えも聞いてみたいと思います」
司会者「俺は、自由を優先したい気持ちはあるかな」
ルルーシュ「理由を聞かせてもらおう」
司会者「単純に、自分の人生を自分で決められるって大事だと思うからね。誰かに生き方を決められるのは、やっぱり嫌だろう?」
司会者「ただ、自由を掲げるだけじゃ不十分だとも思う。生まれた環境や経済状況によって、選択肢そのものがない人がいるなら、それは自由な社会とは言いにくい」
司会者「だから、最低限の生活や教育の機会は保障されるべきだと思う。そこから先は、ある程度の違いが生まれることも受け入れる必要があるんじゃないかな」
神ライト「自由を実質的なものにするために、平等な土台が必要だということですね」
司会者「そう。あと、俺が気になるのは、平等を掲げる人が、他人の自由をどこまで制限していいと思っているのかってところだね」
司会者「平等のためなら何でも許される、という考え方には賛成できない。逆に自由のためなら弱い立場の人を放置していい、という考え方にも賛成できない」
エレン「……お前は、自由をどこまで認める?」
司会者「他人の自由を奪わない範囲、というのが基本かな。ただ、その線引きも簡単じゃないけどね」
エレン「そうか……」
司会者「エレン、お前の場合は自由を求めるあまり、他人の自由を奪うところまで行ってしまった。そこはやっぱり考えなきゃいけないと思う」
エレン「……ああ」
司会者「ただ、だからといって自由を求めた気持ちまで否定するつもりはないよ。何を求めて、何を選び、どんな結果になったのか。それは分けて考えたい」
エレン「……」
司会者「自由って、他人を踏みつけて手に入れるものなのか。それとも、他人にも自由があると認めたうえで追求するものなのか。今回の議論では、そこが一番大きな問いだった気がするね」
終幕・自由の向こう側
ミレイ「それでは、今回の議論をまとめます」
ミレイ「自由と平等は、時に対立する価値です。自由な競争は格差を生む可能性があり、平等を追求する制度は個人の選択を制限する可能性があります」
ミレイ「しかし、誰もが自由に生きるためには、教育や生活の最低限の平等が必要です。また、不平等を是正するためには、発言や批判の自由が欠かせません」
ミレイ「そして今回、エレンさんの話から見えてきたのは、自分の自由を求めることと、他者の自由を認めることの難しさでした」
ルルーシュ「自由を求めることは重要だ。だが、その自由を誰かから奪うことになれば、そこには矛盾が生じる」
シュナイゼル「自由を守るための制度と、自由を行使する者の責任。その両方が必要ということだな」
月「自由を掲げることそのものが、行動の正当性を保証するわけではない。今回の議論で改めて考えさせられました」
神ライト「僕も、自由を実現するための平等と、平等を守るための自由、その両方を考える必要があると思います」
太公望「人間は自由を求める。じゃが、その自由をどう使うかは、結局その人間次第じゃな」
申公豹「自由という言葉は、時に強い力を持ちます。しかし、その力をどのように扱うかが問われるのでしょう」
女媧「人間が自らの不完全さを受け入れ、なおも理想を求めるというのなら、それも一つの在り方であろう」
かみ「自由を求める人間が、どこまで自由を扱えるのか。今後も見物させてもらおう」
尚文「自由も平等も、誰かに与えられるだけのものじゃない。自分で選べること、そして他人にも選ぶ余地があること。それを守るために制度や支援が必要なんだろうな」
怨み屋「その自由を奪われた人間が、声を上げられることも大切ね。発言する自由がなければ、不平等を正すこともできないもの」
アバン「自由と平等は、どちらか一方を選ぶものではなく、互いを支えながら維持していくものなのかもしれませんね」
エレン「……俺は、自由を求めた」
エレン「でも、その自由のために、多くの人間から自由を奪った」
エレン「それが正しかったとは言えない。俺が望んだ世界が、本当に自由だったのかも分からない」
司会者「……そうだね」
エレン「それでも、俺は自由を求めていたんだ」
司会者「うん。その気持ちと、実際にやったことは分けて考えよう。自由を求めることは否定しない。でも、他人の自由を奪った責任まで消えるわけじゃない」
エレン「……ああ」
ミレイ「以上で、今回の議題を終了します。皆さん、お疲れさまでした」
議論は終わった。
自由を求めることは、決して悪いことではない。
しかし、自分の自由だけを追い求めたとき、他者の自由を奪ってしまうことがある。
自由とは何か。
その問いは、最後まで簡単な答えを許さなかった。
第六話・完