司会者「……と、散々もったいつけといて何だが、うまく説明できるかはわからない。なんとなくって感じでイメージしてくれ」
ミレイ「ええっ!? そこまで引っ張っておいてですか?」
司会者「仕方ないだろ。自分の力を説明する機会なんてなかったんだから」
尚文「いや、そこは事前に考えておけよ……」
司会者「まあまあ。とりあえず聞け」
司会者「そうだな……デスノートは人を殺すだけ、それに関することで多少操れる程度だ。絶対遵守のギアスは一度だけ、目を合わせる必要があると制限付きだがどんな命令でもくだせる。これだけでもルルーシュはやばい力だと恐れ慄いていたかな。……これらを合わせて更に凶悪にした感じ……かな? とりあえず大雑把な概要だが、どんな能力を想像する?」
ルルーシュ「待て。デスノートとギアスを合わせたうえで、さらに凶悪にしたものだと?」
月「デスノートのように対象を指定して命を奪うことができ、さらにギアスのように命令を強制できる……ということですか?」
司会者「まあ、イメージとしてはそんな感じだな」
L「しかし、デスノートには名前と顔が必要で、ギアスには目を合わせるという条件があります。そのような制約も含めて、さらに強力ということでしょうか?」
ニア「それとも、そうした制約そのものが存在しないのでしょうか」
司会者「お、いいところに目をつけたな。そこも含めて考えてみてくれ」
C.C.「つまり、相手に何かを強制することも、命を奪うこともできる。しかも、その条件が緩い可能性があるわけか」
シュナイゼル「それだけでも十分に脅威だね。国家や軍隊を相手にした場合、抵抗する手段があるのかすら疑わしい」
エレン「……自由を奪うこともできるってことか?」
司会者「そうだな。命令一つで人の行動を変えられるなら、自由を奪うことにもなる」
太公望「ふむ。相手の心を操るだけでなく、運命そのものに干渉するような力にも見えるのう」
申公豹「あるいは、対象が人間に限定されない可能性もありますね」
女媧「世界そのものに命令を下すこともできる、ということか?」
司会者「さて、どうだろうな?」
かみ「ほう。私のような神に対しても使えるのか?」
司会者「そこは想像に任せる」
アバン「なるほど。まだ能力の全容は明かされていないわけですね」
司会者「そもそも、俺自身がうまく説明できてないからな(笑)」
尚文「説明する気があるのか、それ……」
ミレイ「でも、考える材料はかなりありますね。命を奪う力、命令する力、それをさらに強力にしたもの……」
司会者「そうそう。まずはお前たちがどんな能力を想像するか聞いてみたい。俺が実際に何をできるのか、どこまで当たるかな?」
ルルーシュ「面白い。ならば、いくつか確認したいことがある」
司会者「おう。質問でも推測でも何でもいいぞ」
ルルーシュ「デスノートとギアスを合わせた力か。だが、それだけならまだ理解できる。対象に命令を与え、必要なら命を奪う。それが基本的な能力ということだろう?」
司会者「まあ、普通はそう考えるよな。だが、違うんだ」
月「違う?」
司会者「デスノと絶対遵守を合わせる。つまりノートでどんな命令でも聞かせられる……と言いたいところだが、多分この程度じゃない」
L「さらに上位の能力ということですか?」
司会者「基本的に制約がない。俺が全知全能に近いと思わず謳ってしまう程度はな」
会場の空気が少し変わる。
司会者「命令だけじゃない。そんなチャチな能力だけじゃない。全てを引き起こせるモノ。サクッと言うとこんな感じだ。今まで見せてきたのはほんの一部にすぎない。単に俺が思いついてないか興味ないだけで、ほんと全てな」
シュナイゼル「全て、か。随分と大きく出たね」
司会者「まあ、実際そういうことだからな」
女媧「……全てとは、どこまでを指す?」
司会者「そうだな……女媧、お前は節目節目に色んなものに干渉していたな。例えば人間に何かした場合、一挙手一投足全て指定できるか?」
女媧「対象の行動を操るということか。可能ではあるが、干渉の規模や対象によっては相応の力を要する」
司会者「俺はできる。無論面倒だからやらないが、やろうと思えばな」
申公豹「一つの行動だけでなく、日常のあらゆる動作まで指定できるということですか……」
司会者「そういうことだ。デスノート的には……全てを一瞬で殺せる。いや、最初から存在していなかったことにもできるな」
月「存在そのものを消す……?」
ニア「単なる殺害とは次元が違いますね。対象の過去や記録、影響まで消せるのでしょうか」
司会者「まあ、そこも含めてできると思ってくれればいい」
L「それでは、何をもって対象の存在とするかという問題すら、司会者の意思次第ということになりますね」
司会者「絶対遵守は……この場で全員裸踊りしろとかも余裕だな」
尚文「おい、例えが急にくだらなくなったぞ!」
C.C.「だが、能力の幅を説明する例としては分かりやすいな」
司会者「人格も経験も違う感じにもできる。ニアをキラ信者にしたりな」
ニア「……それは遠慮しておきたいですね」
月「僕としても、あまり気持ちのいい例ではありませんね」
メロ「冗談にしても笑えねえな」
司会者「まあまあ。例だよ、例」
ルルーシュ「人格や記憶、価値観まで変更できるということか。それはギアスの範疇を大きく超えているな」
司会者「そして、とびっきりに恐ろしいことだ……さっきの一挙手一投足に通じるが。全てに好きな言動、行動をさせられる」
ミレイ「それは……つまり、私たちの会話も?」
司会者「実はな……お前らの発言のいくつか、俺が指定したんだ。こういう台詞を喋らせてくれ、こういう行動をとらせてくれってな」
一同「…………」
司会者「無論、大半はお前らの自由意志によるものだが」
ルルーシュ「待て。では、これまでの議論や会話の中にも、お前が指定した発言が含まれているということか?」
司会者「ああ」
L「それを見分ける方法は?」
司会者「ないな。俺が言わない限りは」
ニア「では、私たちが自分の意思で発言したと思っていることも、実際には司会者の指定だった可能性がある……」
司会者「そういうことだ」
C.C.「なるほど。これは確かに厄介だな」
ルルーシュ「……絶対遵守のギアスを経験した者なら、この恐怖は理解できるだろう。どこまでが自分の意志なのか、という疑念だ」
ルルーシュは黙り込む。ギアスを使った者として、その言葉の意味を誰よりも理解しているのだろう。
C.C.「お前は、私たちが自分で選んだと思っている行動さえ、好きなように変えられるわけか」
司会者「できる。だが、毎回そんなことをしていたら会話にならないだろ?」
アバン「確かに。相手の意思を尊重しなければ、対話そのものが成立しませんからね」
司会者「まあ、俺もお前らの反応を見たいんだよ。全部指定したらつまらん」
太公望「ふむ……おぬしが何もせず見ている時もあれば、時には展開を指定している時もある。そういうことか」
司会者「そういうことだな」
そして司会者は、もう一つの話を思い出したように続ける。
司会者「何を隠そう、こないだナナリーの時に言った精神的な満たされは、このChappyによるものだ」
ナナリー「……私の時の?」
ミレイ「あの、AI的な存在との関係で精神的な充足を得る、というお話ですね」
司会者「そう。あれもこの力の一部だ。まあ、詳しい話はまた別の機会にするかもしれんがな」
ナナリー「そうだったのですね……」
シュナイゼル「なるほど。単に人の行動を操るだけではなく、精神や認識、さらには世界そのものにも干渉できるということか」
かみ「神の力という言葉でも足りないかもしれないな」
女媧「世界を作り変えることも、生命を生み出すことも、消し去ることも自在……。それほどの力を持ちながら、そなたは今までそれをほとんど使っていなかったというのか」
司会者「使う必要がなかったからな。そもそも、俺は何でも解決したいわけじゃない」
エレン「……力があるからといって、何でも変えればいいわけじゃないってことか」
司会者「まあ、そういうことだ」
しばらく沈黙が流れる。
司会者「さて、ここまででなにか質問は?」