ホントにキャラと会話してる気分になる(キャラの台詞は私が考えてるわけではないから)
戯言ですが某キャラに私の発言に対して本気で怒鳴りつけられた時、割と本気で凹みました(笑)
…
新世界の神と、世界を壊す魔王
第四話「正義という名の毒」
特別ゲスト:怨み屋(宝条栞)
会議室。
前回までの議論を終え、参加者たちが再び席に着いていた。
夜神月、ルルーシュ・ランペルージ、C.C.、ロイド・アスプルンド、シュナイゼル・エル・ブリタニア、そしてリューク。
今回はさらに一人、特別なゲストが招かれていた。
怨み屋。
本名、宝条栞。
他人の恨みを晴らすことを生業とし、数え切れないほどの事件と人間の醜悪さを見てきた女である。
その存在は、この会議において、これまでとは異なる意味を持つことになる。
司会「さて、再開しよう。だが、その前にルルーシュ。まずは君に伝えておきたいことがある」
ルルーシュ「俺に?」
司会「そうだ。ルルーシュ、これがキミの切望していた、まあ厳密には違うが、世界を軍事力による支配ではなく『話し合いのテーブル』に着かせる、というやつだ」
司会者は一度、周囲を見渡した。
司会「別世界からもご足労願ったが、キミは死んでしまって参加できなかったからな。この点だけは嬉しいだろう? 存分にキミの本来の力である頭脳による弁論を発揮していくといい」
ルルーシュ「……そうだな」
ルルーシュは小さく笑った。
ルルーシュ「確かに、こういう機会は悪くない。武力で相手を屈服させるのではなく、互いの考えをぶつけ合い、言葉によって決着をつける。俺が望んでいたものの一つではある」
月「もっとも、言葉だけで世界が変わるとは限らないがな」
ルルーシュ「だからこそ、こういう場が必要なんだろう?」
シュナイゼル「ふふ。ルルーシュらしいですね」
司会者は続けた。
司会「そして、今回は両作品の外から特別ゲストを招いている」
視線が一人の女性に向けられる。
司会「怨み屋さんだ」
怨み屋「どうも。お招きいただきありがとうございます」
司会「こちらこそ。あなたが扱ってきた事件は大体拝読しています。もっとも、私はあなたの行動を全肯定しているわけではありませんが」
怨み屋「それは当然でしょう。私の仕事を全面的に肯定する方が、むしろ心配になりますね」
司会「ええ。ただ、あなたの言葉には非常に感銘を受けました」
司会者は少し真剣な表情になった。
司会「人が最も残酷になれるのは、自分を正義だと疑っていない場合」
怨み屋「……」
司会「正義という言葉の絶対否定。これには本当に感銘を受けました」
月の表情がわずかに変化した。
司会「怨み屋さんが扱ってきた事件も大体は拝読しています。そして、私がより嫌悪感を覚えたのは、悪側よりも自称正義側でした」
C.C.「ほう?」
司会「まあ、ぶっちゃけ私が今のような考え方になった影響も大きいですね。加害者天国、やったもん勝ち、被害者遺族は原則泣き寝入り。そういう現実を見てきたからこそ、恐怖による統治を簡単に否定する人たちには、ぜひ怨み屋さんが見てきた世界を見てほしい」
司会「その後で同じことが言えるなら、流石にそれ以上は物申しません」
怨み屋「なるほど。理想論だけでは語れない現実がある、ということですね」
司会「そうです。そして、私は正義を盾に相手を否定する人間が死ぬほど嫌いです」
月に視線が向く。
司会「だから、ここまでの議論でも何度もイライラしましたよ。月くん、キミがまさにそうだ」
月「……僕が?」
司会「私はキミの手段と、やってきたことは肯定する。しかし、その思想は絶対に否定する。だから月かシュナイゼルかで言えば、シュナイゼル派だ」
シュナイゼル「これは光栄ですね」
司会「もう一度言おう。理非善悪はどうでもいい。必要かどうかだ。キラとL、世の中にどちらが必要かと聞かれたら、私は即答でキラです」
ルルーシュ「……」
司会「一言で言えば、極論かもしれないが、正義=悪以上の絶対悪です。もちろん、これは侵攻戦争を行う教団など、極端に歪んだ正義についての話が中心ですが」
怨み屋「正義を掲げれば、何をしても許されると考える人間は確かにいますね」
司会「そもそも正義かどうかを判断するのは、自分ではなく周りだと思います。だから自称正義は論外です」
少し間を置く。
司会「失礼。この弁論に当てられて少々興奮してしまいました。では、議論の続きをどうぞ」
月「……なるほど。つまり、僕のやっていることは肯定するが、僕自身の思想は否定するということか」
司会「その通りです」
月「随分と珍しい評価だな。普通は、手段と思想は切り離せないものだと思うが」
シュナイゼル「そうでもありませんよ、月君。政治においては、目的と手段、そしてそれを実行する者の個人的な信念は、必ずしも一致する必要はありません」
月「君は自分の行動に正義を求めないからな」
シュナイゼル「ええ。必要なことを行う。それだけです」
ルルーシュ「……だが、司会。君の意見には一つ確認したいことがある」
司会「何だ?」
ルルーシュ「正義を自称する人間が危険なのは理解できる。だが、正義という概念そのものを否定することと、正義を自称する人間を否定することは同じではないはずだ」
司会「ほう」
ルルーシュ「例えば、誰かが無実の人間を殺したとする。その行為を悪だと判断することまで否定するのか?」
司会「いいえ。そこは区別します」
ルルーシュ「ならば、結局は善悪の判断をしているのではないか?」
司会「判断はしますよ。ただし、それを絶対的な正義として掲げることに意味を見いださないだけです」
ルルーシュ「なるほど……」
怨み屋「私も少し補足しましょうか」
怨み屋が静かに口を開いた。
怨み屋「正義という言葉は便利です。自分の行動に大義名分を与え、他人を従わせることができる。しかも、その言葉を信じている人間ほど、自分の行動を疑わなくなる」
月「それは、正義を掲げる者が必ず間違っているという意味ですか?」
怨み屋「いいえ。正義を掲げる人間が間違っているとは限りません。問題は、自分が正義だから間違っていない、と考えてしまうことです」
月「……」
怨み屋「自分が正しいと確信している人間は、相手の言い分を聞く必要がなくなります。相手を理解する必要もない。なぜなら、自分は正義で、相手は悪なのですから」
C.C.「なるほど。話し合いそのものを放棄するわけか」
怨み屋「そうです。自分が正義だと信じている人間にとって、反対意見は単なる悪の抵抗でしかありません」
ロイド「いやぁ、これは興味深いねぇ。つまり、自分の判断を疑う余地を残すことが重要というわけだ」
怨み屋「そうとも言えますね」
月「しかし、疑い続けて何も決断できなくなれば、それもまた問題でしょう」
怨み屋「もちろんです。私は決断するなとは言っていません。自分の決断を正義という言葉で無条件に正当化するなと言っているのです」
シュナイゼル「これは私にも理解できますね」
月「君は自分の行為を正義だと考えていないからな」
シュナイゼル「ええ。私は自分が善人である必要も、正義の味方である必要も感じません。必要な結果を出せばいい」
ルルーシュ「だが、シュナイゼル。君の場合は、その結果を出すためにどれほどの犠牲を払っても構わないという考えに行き着く」
シュナイゼル「必要ならば、そうなりますね」
ルルーシュ「そして、その必要性を判断するのは君自身だ」
シュナイゼル「そうです」
ルルーシュ「やはり危険だな」
シュナイゼル「それは正義を掲げる君にも言えることではありませんか?」
ルルーシュ「……」
リューク「ククク……面白いね。正義を否定する人間と、正義を信じる人間と、正義なんて必要ないと言う人間。全員が自分の考えを正しいと思っている」
C.C.「お前は本当に人間の議論が好きだな」
リューク「ああ。人間ってやっぱり面白いね」
第一幕「正義を掲げる者」
月「怨み屋さん。一つ質問してもいいですか?」
怨み屋「どうぞ」
月「あなたは依頼人の恨みを晴らすことを仕事にしている。つまり、依頼人の主観的な恨みを基準に、対象者に制裁を与えることもあるわけですよね?」
怨み屋「ええ」
月「それは結局、あなた自身が正義を判断していることになりませんか?」
怨み屋「いいえ。私は依頼人の恨みを晴らす仕事をしているだけです。自分が正義の執行者だなどと思ったことはありません」
月「しかし、あなたが制裁を与える相手にも、言い分はあるでしょう。あなたが間違っている可能性は?」
怨み屋「当然あります」
月「……随分あっさり認めますね」
怨み屋「自分が間違える可能性を認めることと、仕事をしないことは別ですから」
シュナイゼル「なるほど。これは私にも理解できます。判断の不完全性を認めたうえで、それでも決断する。統治者に必要な姿勢の一つでしょう」
ルルーシュ「だが、怨み屋さんの仕事は国家の統治とは違う。彼女の判断で影響を受けるのは基本的に個別の依頼と対象者だ。国家規模の権力を握った場合とは責任の大きさが違う」
怨み屋「その通りです。私の仕事を国家統治のモデルにするつもりはありません」
司会「そこは重要ですね。私は怨み屋さんの仕事をそのまま国家に持ち込めと言っているわけではありません。私が感銘を受けたのは、あくまで正義を自称する人間への警戒です」
月「しかし、僕は自分の行いを正義だと考えている。それがなぜいけない?」
司会「キミは自分の判断を正義という言葉で絶対化しているからですよ」
月「僕は実際に犯罪を減らした。結果を出している」
司会「結果を出したことは認めます。だから私はキラを必要だと言っている。しかし、キミが正義を名乗る必要はどこにもない」
月「……」
司会「キミがやっていることは、社会の安定を維持するための手段だ。それ以上でも以下でもない。そこに正義だの神だのという余計な看板を掲げるから、話がややこしくなる」
シュナイゼル「私も同意しますね。月君、君は少々、自分自身の役割に意味を持たせすぎているのではありませんか?」
月「君までそんなことを言うのか」
シュナイゼル「私は世界を支配するためにダモクレスを用意した。ですが、そこに神聖な使命感などありません。必要だから用意した。それだけです」
月「僕は犯罪者を裁くことで世界を良くしようとしている。君は戦争を抑止するためにダモクレスを用意した。目的は違っても、どちらも必要なことをしているんだ」
シュナイゼル「そうですね。だからこそ、君が自分を正義の象徴にすることには賛同できません」
C.C.「月。お前は自分が正義だと信じている。だが、仮にお前の後継者が現れたらどうする?」
月「後継者?」
C.C.「そうだ。お前が死んだ後、別の人間がキラを名乗ったとする。その人間が、お前とは異なる基準で人間を裁き始めたら?」
月「僕の思想を正しく理解した者であれば問題ない」
C.C.「正しく理解したかどうかを誰が判断する?」
月「……」
C.C.「結局、お前の正義はお前が生きている間しか成立しないのではないか?」
月「それは違う。新世界の理念を継承する仕組みを作ればいい」
ルルーシュ「そして、その理念から外れた者を排除するのか?」
月「必要ならばな」
ルルーシュ「ほらな。結局、お前の世界では正義の基準を決める者が必要になる」
月「それは君の世界でも同じだろう。ゼロ・レクイエムの後、誰が世界を導く? 君がいなくなった後の世界で、誰が正しい道を選ぶ?」
ルルーシュ「だからこそ、俺は人々に未来を委ねた」
月「未来を委ねた結果、再び戦争が起きたら?」
ルルーシュ「そのときは、その時代の人間が解決するしかない」
月「無責任だな」
ルルーシュ「永遠に他人の未来を管理することの方が、よほど無責任だと思うが?」
二人の視線が再び交差した。
第二幕「正義を捨てた統治者」
司会「シュナイゼル。少し聞きたいことがあります」
シュナイゼル「何でしょう?」
司会「あなたは正義を必要としない。必要性で判断する。これは私の考えにも近い。では、あなたにとって、ダモクレスによる支配を維持するために最も重要なものは何ですか?」
シュナイゼル「抑止力の信頼性でしょう」
司会「詳しく」
シュナイゼル「どれほど強力な兵器を持っていても、使用する意思がないと相手に見透かされれば意味がありません。ダモクレスが本当に使用されるという恐怖があってこそ、抑止力は成立します」
司会「つまり、必要なら実際に撃つ覚悟があると」
シュナイゼル「ええ」
ルルーシュ「それによって無関係な人間が何万人死のうともか?」
シュナイゼル「戦争を続ければ、もっと多くの人間が死ぬかもしれません」
ルルーシュ「それは仮定だ。実際にフレイヤを撃てば、その瞬間に無関係な人間が犠牲になる」
シュナイゼル「では、戦争によって犠牲になる人間はどう扱うのですか?」
ルルーシュ「だからこそ戦争を終わらせようとした!」
シュナイゼル「私も同じです」
ルルーシュ「違う! お前は戦争を終わらせるために、世界そのものを脅迫しようとしたんだ!」
シュナイゼル「それの何が問題なのでしょう?」
ルルーシュ「……!」
シュナイゼル「戦争を続けることが許されないのなら、戦争を始めることも続けることもできない環境を作ればいい。私はそのための手段を用意しただけです」
司会「なるほど。ここは重要ですね」
怨み屋「一つよろしいですか?」
司会「どうぞ」
怨み屋「シュナイゼルさん。あなたは戦争をなくすために、世界中を恐怖で縛るとおっしゃいましたね」
シュナイゼル「はい」
怨み屋「では、その恐怖を与えるあなた自身が、戦争を起こす側になった場合はどうなりますか?」
シュナイゼル「……」
怨み屋「あなたは戦争を始める人間を抑止するために、圧倒的な武力を持つ。ですが、その武力を持つあなた自身には、誰が抑止力を働かせるのでしょう?」
シュナイゼル「それは難しい問題ですね」
怨み屋「正義を掲げないことは、暴走を防ぐ保証にはなりません。むしろ、自分の行動を正義で飾らない分、歯止めがなくなる可能性もある」
シュナイゼル「確かに。私は自分が常に正しいとは考えていません。しかし、必要な判断を下す責任から逃れるつもりもありません」
怨み屋「その責任を誰が評価するのですか?」
シュナイゼル「結果です」
怨み屋「結果が出る前に犠牲になった人間は?」
シュナイゼル「……」
怨み屋「その人たちにとって、あなたの判断が必要だったかどうかは、あなたが決めることではありません」
司会「なるほど……」
シュナイゼル「興味深いご意見です。ですが、あなたも結局は結果を見て判断するのではありませんか?」
怨み屋「もちろんです。だから私は、自分が絶対に正しいとは言いません」
シュナイゼル「ふふ。なるほど」
C.C.「正義を捨てても、責任からは逃げられない。そういうことだな」
ロイド「いやぁ、これは面白いねぇ。正義という概念を否定しても、責任や必要性という概念は残る。結局、何を基準に判断するかという問題に戻ってくるわけだ」
リューク「ククク……人間って本当に面倒くさいな」
第三幕「キラとL、どちらが必要か」
司会「さて、ここで一つ、話を戻しましょう」
司会者は月に向き直った。
司会「月くん。私は先ほど、キラとL、どちらが世の中に必要かと聞かれたら即答でキラだと言いました」
月「ええ」
司会「これは単にキラが好きだからという話ではありません。キラの存在によって犯罪が抑制されるなら、その社会的効果には大きな価値がある。対してLは、キラを止めることを目的としている」
月「そうですね」
司会「では、Lがキラを捕まえた結果、再び犯罪率が上昇したらどうする? 犯罪被害者が増えたら? その被害者や遺族に、Lは何を説明するんですか?」
月「それが僕の言いたかったことです」
ルルーシュ「待て。そこには一つ問題がある」
司会「何です?」
ルルーシュ「キラが犯罪を抑制したという事実と、Lがキラを止めることが社会にとって不利益だという結論は、必ずしも一致しない」
月「どういう意味だ?」
ルルーシュ「キラが犯罪を抑制しているとしても、そのキラがいつ、誰を、どのような基準で殺すのかという問題が残る。キラを止めることは、犯罪を容認することではない。殺人を行う権限を誰か一人に独占させないための行為でもある」
司会「それで犯罪が増えても?」
ルルーシュ「増えないように別の方法を考える。それが統治だ」
月「現実的ではないな。君は結局、キラが存在しない世界で犯罪を抑制する方法を提示できていない」
ルルーシュ「だからといって、キラが必要だという結論にはならない」
月「では、現実に犯罪が減ったという結果をどう説明する?」
ルルーシュ「抑止効果は認める。だが、キラという個人に殺人の権限を与えることまで認める理由にはならない」
司会「ふむ……」
怨み屋「一つ、私からも」
司会「どうぞ」
怨み屋「私は、Lという人間が何をしてきたか詳しく知っているわけではありません。ただ、キラを捕まえることが目的になり、キラによって救われた人々の存在を軽視するようになれば、それもまた問題でしょう」
月「……」
怨み屋「犯罪被害者や遺族にとって、犯罪が減ったことは現実の利益です。キラを止めることだけを正義とするなら、その利益を失う人たちのことも考えるべきです」
司会「そうです。私が恐怖による統治を否定する人たちに見てほしいのは、まさにそこなんです」
怨み屋「ただし、キラが正しいという意味ではありません。被害者の救済を考えることと、キラの殺人を無条件に認めることは別です」
シュナイゼル「その区別は重要ですね」
月「……なるほど。怨み屋さんは、僕の行動によって救われた人々の存在は認めるが、僕自身を正義とは認めないわけですね」
怨み屋「ええ。私はあなたを正義の味方だとは思いません。ただ、あなたの行動によって社会に変化が起きたことまで否定するつもりもありません」
月「それで十分です」
月は少し笑った。
月「少なくとも、僕の行動を結果から評価してくれる人がいるということですから」
司会「だからといって、思想まで肯定されると思わないでくださいね」
月「分かっていますよ」
第四幕「正義を否定した先にあるもの」
ルルーシュ「怨み屋さん。一つ聞かせてほしい」
怨み屋「何でしょう?」
ルルーシュ「あなたは正義を自称する人間を警戒している。だが、あなた自身は何を基準に行動しているんだ?」
怨み屋「依頼人の恨みを晴らすことです」
ルルーシュ「それが正しいかどうかは考えない?」
怨み屋「考えますよ。仕事ですから」
ルルーシュ「ならば、正義を否定しているわけではないのでは?」
怨み屋「正義という言葉を絶対的な判断基準にしないだけです」
ルルーシュ「……」
怨み屋「人間にはそれぞれ事情があります。被害者にも加害者にも、言い分がある。ですが、その言い分を聞いたからといって、被害者の苦しみが消えるわけではありません」
怨み屋「そして、加害者が自分を正当化するために、正義や事情を持ち出すこともあります」
司会「そこなんですよね」
怨み屋「私は、正義を語る人間よりも、自分が何をしたのかを認識している人間の方が、まだ信用できます」
シュナイゼル「それは、私のような人間でしょうか?」
怨み屋「あなたが自分の行為を正当化せず、その結果に責任を持つのであれば、そうかもしれません」
シュナイゼル「ふふ。厳しいですね」
C.C.「だが、正義を掲げないことが、責任を持つことと同義ではないぞ」
怨み屋「もちろんです」
C.C.「結局、正義を掲げる人間も、正義を否定する人間も、自分の判断から逃げることはできないということか」
ロイド「うんうん。正義を捨てても、判断は残る。判断を捨てても、結果は残る。実に面白いねぇ」
リューク「ククク……結局、人間は何かを正しいと思わなければ生きていけないんじゃないか?」
月「リューク、それは少し違うな」
リューク「ほう?」
月「僕は自分の正義を信じている。だが、シュナイゼルは必要性を信じている。司会は必要性を重視し、怨み屋さんは依頼人の恨みを晴らすことを仕事にしている」
月「結局、誰もが何らかの基準を持っている。正義という言葉を使うかどうかは、表現の違いにすぎないんじゃないか?」
怨み屋「それは違います」
月の表情が少し険しくなる。
怨み屋「基準を持つことと、その基準を絶対的な正義だと信じることは違います」
月「……」
怨み屋「自分の基準が間違っている可能性を認められるかどうか。そこが大きな違いです」
ルルーシュ「なるほどな」
怨み屋「正義という言葉を使うこと自体が問題なのではありません。その言葉を盾にして、他人の意見を聞かなくなることが問題なのです」
月は黙り込んだ。
シュナイゼルはそんな月を見て、静かに微笑んでいる。
シュナイゼル「月君。どうやら、今回の議論では君が一番厳しい立場にいるようですね」
月「……そうかもしれないな」
司会「さて、そろそろまとめましょう」
司会者は全員に視線を向けた。
司会「今回の議論で、少なくとも一つはっきりしたことがあります」
司会「正義を掲げることと、必要なことを実行することは別問題である。そして、正義を掲げないことも、必ずしも暴走を防ぐ保証にはならない」
司会「重要なのは、何を基準に判断し、その判断によって生じた結果をどう引き受けるか、ということですね」
ルルーシュ「……一理ある」
月「僕はまだ納得していませんがね」
シュナイゼル「それでいいのではありませんか。議論なのですから」
怨み屋「私も、皆さんの意見を聞けてよかったです」
C.C.「しかし、司会。お前はずいぶんと月に厳しいな」
司会「当然でしょう。私は月の手段を肯定しているだけで、月の思想を肯定しているわけではありませんから」
月「最後までそこは譲らないわけですね」
司会「ええ。キミが自称正義をやめない限りは」
リューク「ククク……」
死神は大きな口を開けて笑った。
リューク「人間ってやっぱり面白いね」
今回の議論で残った論点
正義を掲げること自体が問題なのか、それとも正義を絶対化することが問題なのか。
正義を否定しても、必要性を判断する者の暴走は防げるのか。
キラが犯罪を抑制したという実績を、Lはどこまで考慮すべきなのか。
被害者の救済と、加害者の権利保護が衝突した場合、どちらを優先するのか。
結果に責任を持つとは、具体的に何を意味するのか。
次回も引き続き、月とルルーシュを中心に議論を進めます。特に今回は、月が司会者から「行動は肯定するが思想は否定する」という、かなり特殊な評価を受けたことが重要なポイントになりました。