後書きに短編小説あり。
『――― 次のニュースです。 ・・・でスーパーセルが発生しました ―――』
朝、テレビをつけると、ここから遠く離れた場所で、災害が起きたことを知る。
「チッ」
テレビの向こうは、廃墟と化した街が映っていた。
アナウンサーが被害を報告している。
内容は
突然に現れては、突然に去っていく。
出現も不定期で、なかなか捕まえられずにいる。
俺が、追っているモノ ―――
それがもたらす被害は、テレビで映すことのできないほど悲惨なのだということを、神田ユウは知っていた。
「やっと、現れたか」
ピピピピピ・・・―――
テレビとは別の場所から音源が聞こえる。
ピピピピピ・・・―――
充電中のタンマツを手に取り、耳に押し当てる。
「――― ああ。今、見た。・・・わかってる」
通話相手と二言三言、言葉を交わして、静かに切った。
――― 窓の向こうは、晴天 ―――
***
「やあ、神田君。 いらっしゃい」
「資料くれ」
「そんなに急がなくても」
「今、取り逃がすと、次がいつだか、分からねぇンだよ」
室長室に入ったとたん、資料を寄こせと手を出す神田に、カムイは苦笑いを浮かべた。
「これが、今回の資料だ」
「ん」
リーバーから資料を受け取る。
カムイはコホンと咳払いし、話を切り出した。
「マレーシアでアクマが確認された。今もなお、北上していて、被害も
「言われるまでもねぇ」
神田は座っていたソファーから、立ち上がる。
「十分、気をつけろよ」
気を付けろとリーバーは心配した。
「行ってらっしゃい」
部屋を出る直前に、カムイに言われた。
「行って来る」
久しく言っていない言葉を口にした。
パタンとドアが閉められる。
リーバーとカムイは目を丸くした。
「・・・初めて聞いた気がします」
「僕もだよ~。 いや~、人間、誰でも丸くなるもんだね~」
カムイは鼻歌交じりに、コーヒーを入れる。
「室長」
「なんだい?」
カムイはコーヒーの香りを楽しみながら、一口飲んだ。
直ぐに返ってくるはずの返事がこない。
カムイはリーバーを見た。
彼はまだ、神田が出て行ったドアを睨んでいる。
「俺には『サヨナラ』に聞こえました」
リーバーはゆっくりと、カムイと顔を合わす。
「考えすぎだよ。リーバー班長」
――― 300年続く、この戦争も終わりが近づいていた。
千年伯爵が倒れ、ノアが倒れた今、残っているのはアクマのみ。
イノセンスの半数を失った黒の教団は、その機能を失い、今や学園都市として現代に残っている。
それでも、最後まで戦っている者にとって、「行ってきます」は「さよなら」を言っているようで、私は好きじゃないんだ。と父の言葉を思い出した。それでもちゃんと「ただいま」が言えればいい。
カムイはそう、思っていた。
***
アッハハハハハハハ・・・・・
目の前に広がるスーパーセル。
そこから聞こえる不気味な高笑い。
「Lv.9 ――― ワルプルギスの夜 ―――」
神田は、乱れる髪を耳にかけ直し、
金の懐中時計。蓋の表にはローズクロス。その裏にはノアの紋章が彫られている。
針を見ると、0時0分2秒だ。
しばらく見ても、秒針は動かない。
壊れているのか? いいや、そうではない。
この時計は、これでいい。
例え、動いたとしても、3秒にはならないのだ。
アクマの数が増えなければ・・・
「(残り・・・あと、2体)」
神田は目の前に広がるスーパーセルを見上げた。
懐中時計を戻し、素早く左手を腰に当て、身を低くする。
右手を左手に近づけ、そこに見えない刀があるように形をつくる。
―――― 六幻、 抜刀 ――――
左手に付けていた赤黒い数珠が光り出した。
数珠の玉の形が変化していき、そこから刀身が姿を見せる。
なおも、光を増す六幻。
刀を両手でもち、抜刀した。
ザン!!!!
横一線に切れるスーパーセル。
そこから現れたのは、青いドレスを着た、顔のない、逆さの女性。
一度でも、人間を殺す為に姿を現わせば、それは自然災害となって、爪痕を残す、災厄のアクマ。
魔女とも呼べるアクマに、神田は高く飛び上がる。
「お前をさえ、倒せば、あとは!!!!」
――― アクマ 残り 1体 ―――
***
『ほら、コレやるよ』
『なんだこれは?』
白い髪のヤツに渡されたのは、金色の懐中時計。
『俺が作った』
『お前が?』
蓋をあけて、時間を確認する。
――― 動いていない。
『壊れてんじゃねぇのか?』
『違げぇよ。バーカ』
ヤツは懐中時計に
『お前、俺が消えた後でも、アクマを倒し続けるつもりだろう?』
『ああ』
『なら、それは俺からの
神田は首を傾げた。
一体、どう繋がるのか。
『それは残りのアクマが表示される』
俺は目を丸くした。
『何?』
『千年公も、ノアも、イノセンスもいない。あとは、アクマを全て倒し終えれば、全てのイノセンスは役目を終えて、消滅する』
『ああ』
神田は懐中時計に目を向ける。
そう。全ていなくなれば、アイツの願いは叶う。
でも・・・
俺の願いは・・・
『その時計には、一つ、
神田はネアの目を見る。
『“害あるアクマ”を表示するんだ』
だから・・・と続けて、ネアは自分の左目をそっと触る。
割れ物を扱う様に、そっと。
『“最後のアクマ”は表示されない』
―――― ボクはね。 アレンの中に居るアクマなんです ――――
昔、夢の中で出会ったピエロ。
一度も人間を殺したことのない、
それが、左目のなかに居ることは、以前から知っていた。
だから、それも、いずれ壊さなければ。と思っていた。
『どういう意味だ?』
ネアはフンと鼻で笑うと、
『あとは、自分で考えな』
そう言って、
***
腕がもげた
足が冷たい
寒い
決して、周囲の温度は低くはない。
なのに、身体は寒く感じた。
この土地にあった街並みは消え、無残にも
神田は、痛む足に鞭を打って、移動していた。
「はぁ・・・・っ、・・・・はぁ」
息は上がり、意識は
Lv.9のアクマと戦うのは、これで二度目だった。
以前、戦った場所は教団の影響力が残っていた場所だった。
そのため、その場で意識が途絶えようとも、事情を知る人間が教団関係の病院まで運んだ。
でも、ここは、そうじゃない。
教団の助力が得られにくい場所だ。
それに、今はLv.9が起こした災害の影響で、住民は避難している。
だが、そろそろ、戻ってくるはずだ。
「・・・っ、 ・・・・はぁ、はぁ」
こんなところで、くたばってたまるか。
ほっといても、もげた腕は元に戻る。
イノセンスを知らない人間にとって、俺のような存在は、バケモノでしかない。
神田は
「(・・・マズイ・・・・前の様には、いかねぇか・・・)」
視界に霞がかかり、
―――― ジャリ ――――
砂利の踏む音が聞こえる。
「(・・・・誰だ?・・・)」
逆光で相手の顔が見えない。
今、気を失うのは危険だ。と頭の中で警報が鳴る。
しかし、疲労と体力の限界で、
神田は意識を失った。
***
第10夜 非日常は俺の日常・あとがき(第9夜 神田、行方知らず・あとがき 続き)
注意書き:「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。
***
【12歳の鎮魂歌~レクイエム】
「見つからないわね。神田」
リナリーがため息を付いた。
「一般人にしか情報がないんだ、このぐらい当然だろ」
神田もリナリーの意見に賛成だったがあえて言わなかった。
「相手はファインダーのことも分かっているみたいだから、見つけずらいのよね」
二人はある街で同じエクソシストであるラビとブックマンをカフェで合流するのに待っていた。
「それにしても……」
神田は赤毛の眼帯野郎を睨み付けた。
「おせぇぞ。馬鹿ウサギ」
「こんにちはラビ、ブックマン」
リナリーは来た二人に微笑んだ。
「おはようさ~、リナリー。そして、今日もきれいだねユウちゃん♪」
ラビはニコニコ顔で挨拶。神田はそんなラビに抜刀!名前で呼ぶな!と叫ぶ一方、ブックマンは早速本題に入っていた。
「――なるほど、ぬしら二人がかりでも見つけずらいという訳か」
「そうなんです。ブックマン」
「なんか、こうして聞いてみると、俺らの行動が筒抜けさ。そう思わね?ユウちゃん」
だから、なんど言えば……。
「……そうだな」
不機嫌に答える神田。
End.