俺の恋人は永遠に子ども   作:灰恵

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後書きスペースに落書きを乗せております。




第2夜 見舞い①

第2夜 見舞い

 

 

 

神田は慣れた道をまっすぐ歩く。

この国でも有数な国立大学病院へと足を向ける。

 

ここに入院している人に会いに行くためだ。

 

常連となっている俺は、ここのナースたちとも顔見知りなので、面倒な手続きを(はぶ)き、身分証明書を見せるだけで、面会カードを受け取る。

 

「お変わりありませんか?」

 

カードを手渡される直前に、ナースに聞かれる。

 

「ああ」

 

カードしか見ていない俺は、そっけなく答える。

受け取ろうと、手を出せば、カードを持っていたナースが渡さないように、手を引っ込める。

 

何だコイツは。と顔を上げると、カードを持っていたのは、婦長だった。

 

「(ゲッ……)」

 

婦長は探るように、目をキョロキョロと動かし、俺を観察する。

以前、怪我をしたとき、大した治療もしないまま見舞いに来た。それが面会中にバレて、診察室に連行された記憶が新しい。おかげで、その後しばらく、物理的に耳が痛かった。

他は騙せても、この婦長だけは、昔からバレる。

 

「ねぇよ」

 

不貞腐(ふてくさ)れて、仏頂面で答えた。

 

「そのようですね。この前のようなことがあれば、さっそく、別のご案内をするところでした」

 

連行するの間違いじゃねーのか?

 

「いいだろ」

 

俺は()こせと催促(さいそく)した。

婦長はカードを渡した。

受け取ると、早々に立ち去り、病室へ向かう。

 

 

 

病室には、キーロックが掛けられており、ごく限られた人間しか入れない。

このカードはそういうカードだった。

電子ロックにカードを近づける。

蒼いランプが灯り、ドアが開いた。

 

ドアからは直接ベッドが見えないようにカーテンが仕切られていた。

 

俺はカーテンをそっとめくり、中を覗く。

 

白いベッドの中で眠る。白い彼。

 

窓の外は晴れ。

外に居るよりも、空に近いこの病室から良く見えた。

 

 

 

「まだ寝てんのかよ。バカモヤシ」

 

アレンだ! と言って、起きないだろうか? と期待があったのはいつの頃だろう?

 

14番目がアレンの体の中から、消えてから早十数年の月日が流れていた。

それ以来、ずっと老いることもなく眠り続けている。

 

「空、晴れてるぞ」

 

アレンを挟んで空が見える位置に、椅子を引いて座る。

あくびを噛みしめ、ぼーっと眺めていると、後ろのドアからトントン、と叩く音が聞こえた直後、カギが開けられ、人が入ってくる。

 

「やあ、神田君。久しぶり、怪我はないかい?」

 

この病院の医院長で、アレンの主治医でもあるカムイ・リーが入って来た。

 

「ねーよ。つか、こんな所にいていいのか?」

 

確か、診察時間じゃなかったはず。

仕事はどうした? と冷ややかな目を向ける。

 

「やだなぁ。 これだって、立派な仕事だよ?」

 

ニコニコしながら、アレンの状態を確認していく。

 

「どーせ、押し付けて来たんだろ」

 

仕事しろーー!とカムイに怒鳴る風景が目に浮かぶ。

 

「ハ、ハ、ハ、ハ」

 

笑ってごまかしてんなら、そうなんだな。

 

「そうそう」

「あぁ?」

「婦長さん、心配してたよ~。神田君のこと」

「チッ」

 

余計な事を、と舌打ちする。

 

「この前なんて、大怪我してたのに、治療もしないまま、ここに直行したんだもん。大したもんだよ。褒められたものじゃないけどね?」

「チッ」

 

バツが悪そうに顔を背ける。

 

「フフフ・・・」

 

カムイは悪だくみをした面でニヤリと笑う。

 

「――― 今回は長かったね」

 

そして、からかうことをやめると、一瞬で真剣な表情に変化した。

 

「……まぁな」

 

仕事の事を聞いているんだなと、言葉の意味を理解した俺は、言い訳のように口を開く。

 

「仕事上、ここに長く居られるわけじゃねぇ」

「そうか」

 

カムイは、仕方がないのだと、肩を落す。

アレンはすやすやと眠っている。

 

「――― 僕はね。今でも思うんだ」

 

俺はカムイの横顔を見た。

 

「医者になるか、教師になるか、どっちになったら、君の役に立てるんだろう?って ―――」

 

カムイは窓に目を移す。遠くを見ていた。

 

「学生時代に、机を隣り合わせにして、君と僕が同じ勉強をしていた頃から、ずっとね」

「役に立ってる」

 

(あいだ)を入れずに俺は直ぐに答えた。

カムイは驚いたように俺を見る。

 

「少なくとも、アレンをお前に預けられる」

 

俺はまっすぐにカムイを見た。

カムイは、彼の優しさに触れて、笑った。

 

「本当に君は、優しいね」

「あ? ボケてんのか?」

 

んなわけねーだろ。と、そっぽを向く。

でもそれが、彼なりの照れ隠しなのだと、カムイは笑った。

カムイは眠っているアレンに話しかけた。

 

「ね? そう思うでしょ? アレン君」

 

アレンは答えない。

でも、「だな」と同意しているように思えた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 




今回からあとがきスペースに、「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。



***


「はじめまして、セレスちゃん」
此処は黒の教団。イノセンスの適合者に選ばれた私は、入団するためにここにいる。
「私は、室長助手のリナリー。よろしくね」
入団を許可されたは私の前にいるのは、ショートカットの女性。彼女はローズクロスが胸元で光る黒い服を着ていた。
「本日から入団する、セレス・シードです」
警官のようにびしっと敬礼する。
「よろしくお願いします」
その声から、緊張していることは容易に知れた。
「よろしく。室長の所まで案内するわ」
セレスはリナリーに付いて行った。
書室、談話室、食堂……―――
フードの付いた白いコートを着た人々にすれ違ったり、白衣を着た人とぶつかりそうになったり。
いろんな人が、私に声を掛けてくる。
「おかえり」と―――
私はそれに首を傾げながら、「ただいま?」と答える。
「教団ではここを、ホームって呼ぶ人もいるから」
どうして?と聞けば、リナリーはにっこりと笑って答えてくれた。
「アレン! ちょっと来てくれ!」
研究室を通った時、白衣を着た人が白髪(はくはつ)の少年を呼び止めた。
金の刺繍が施された、黒い服を身に着けた少年に。
呼ばれた少年は「はーい」と返事をして、パタパタと行く。
「こっちよ」
私はリナリーに呼ばれて階段を下りて行く。
「どうもぉ。科学班室長のコムイ・リーです」
眼鏡をかけた傷心の男性に会った。
室長と聞いて、慌てて敬礼する。
リナリーやあの少年を同じローズクロスを胸に付けている変人に ―――。
「変人は、ひどいなぁ~」
笑いながら医務室のような薬品棚がある部屋へと連れてかれた。
「さ、君のイノセンスを見せてもらえるかな?」
私はイノセンスを発動させた。
「ふむ。キミは装備型だね」
イノセンスの事、その種類の事を教わった。
私のイノセンス ―――
天使と悪魔(エンジェル・デビル)
天使(エンジェル)』は私の背中に白い羽を生やし、空を飛ぶことや、光のビームを放つ事の出来る。
対して、『悪魔(デビル)』は死神のような姿で、装備する大鎌で敵を両断する。
「デビルチェンジ。イノセンス発動」
刹那、その姿は死神。
冷たく冷え切った瞳に、大鎌を持った、空想上に存在する死神そのもの。
この時、私は『悪魔(デビル)』を見せた。
「その鎌でアクマを・・・?」
リナリーは少し驚いていた。
ムリもない。
「はい」
コムイは眼鏡を光らせていた。
そして、イノセンスの番人。へブラスカの下へ。
「シンクロ率。76%」


End.

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