「さ、お腹診せて、神田君」
一通り、アレンの受診を終えると、帰るわけでもなく、今度は神田に向き合って、ニコニコと笑っていた。
「は?」
「は? じゃないでしょ? この前の受診からだいぶ経ってるし、いい機会だから、ちょっと診察させてよ」
「金持ってねーよ」
「いいからいいから」
そういうと、耳に聴診器を当てて、俺が腹を出すのを待っている。
「チッ」
こうなったら、テコでも動かないことは解りきっているので、カムイと向かい合う。
服をめくり、聴診器をあてやすいようにする。
大きく息を吸って、吐いて。
カムイは前を聞き終えて、手が離れると俺は、後ろを向く。
大きく息を吸って、吐く。
「――― うん。 大丈夫だね。問題なし」
「肺の音しか聞こえねーんじゃねーのか?」
服を戻しながら、疑問だったことを聞く。
はたして、作られたモノに、人外となったモノに、心音はあるのかと。
「心臓の音もちゃーんと、あるよ。だって、神田君は人間なんだから。自分を悲観しちゃダメだよ」
「フン」
メッ! とおイタをする子供を叱るように人差し指を立てるカムイに、俺はバカにしてんのか? と鼻で笑った。
***
カムイは急に上機嫌になってじゃべり出した。
「ところでぇ~・・・、僕のかわいいリナが来年、高校生なんだぁ♪」
まだいんのかよ。
「ローズクロス学園を志望してるんだけど」
また、めんどくせぇところを。
「あそこってさぁ、個性的な子が多く居る所じゃない?」
お前がいられたぐらいだからな。
「でね、僕、心配だから、一緒に高校生になって入学しようと思ったんだ」
神田は眉を寄せた。
潜入の間違いじゃねーのか?
「でも、『兄さんが高校生だなんて、あり得ないわ』って言われちゃってさぁ」
なんか、雲行きが怪しくなってきたぞ。
俺は立ち上がった。
「神田君、もう一度高校生やってみない? ……って、待った、待った! 神田君!」
「断る!」
俺が逃げないように腰に抱き着き、イヤイヤと首を振るカムイ。
うぜぇ・・・
カムイの顔を押し込んでも離さない。
「離せ!!」
「イヤだ!!」
チッ! あと、もうちょっとなのに……
俺の片手はドアの取っ手にかけられている。
後は、これをスライドさせれば、逃げられる。
病院内で走るなとか言ってられねぇ。
こっちは、死活問題だ!!
「だってぇーー! 『アレン君はどうするの!?』って言われちゃったら、断れないじゃないかぁ」
涙目で哀願され、ぐっと言葉が詰まる。
カムイだからこそ、アレンを安心して預けることが出来るというのに。(別の意味では不安が絶えないが)
このままだと、病院をほったらかして、何をしでかすか分かんねぇ……。
ぐっ・・・
神田の
カムイは、お願いだよぉ・・・と
「・・・」
神田は
カムイは、パァァァァ・・・と笑顔になる。
「ありがとう神田君!! じゃあ、
「は? 4月って……今年の?」
「そうだよ! あ、大丈夫! 先方にはもう連絡してあるから、入学式からちゃんと、出てね!」
何を勘違いしてんのか分かんねぇーけどな・・・
「~っ! ふざけんな!! 俺を行かせんのなんざ、虫よけのためだろうが!! んなもん、リナが居る時だけで、いいだろうが!!」
ここが病院だということも忘れ、カムイを怒鳴りつけた。
「だって~、変な虫が3年・・・いや、2年生にいたら、リナが入学した時に、危ないだろう!?」
「んなもん知るか!!」
「アレン君」
「・・・・・・」
弱みを握られ、ぐっと言葉が詰まる。
本当に昔から、こいつらは妹のこととなると、見境なく暴走しやがる。
***
「まさか、本当に神田さんが引き受けてくれるなんて、思ってもみなかったわ」
「だったら、お前の兄をどうにかしろ」
「無理よ。
あの後、婦長が騒ぎに駆け付け、めちゃくちゃ怒られた。
そのせいで、耳が痛い。
「はい、おかわり。 いる?」
俺の手の中にある
リナに頼まず、自分で入れようと腰を浮かすと、リナは「ん」と、
手と
今夜は俺の好物の蕎麦をリー家で食べている。
さっきまで、カムイも一緒に食べていたが、
病院で叱られた後、カムイが
腹減ったな。と思った時に、それを思い出し、来てみれば、晩御飯のメニューは寒い季節に優しい温蕎麦だった。
俺に迷惑をかけている自覚はあるようだ。
「いいなぁ、神田さん。 一足先に入学しちゃうんだもの。ますます、入学が楽しみになってきちゃったわ」
「その前に受験だろ」
「わかってます。 主席で取ってみせるわ」
自信満々で答えるリナ。
ああ、マジでやりそう。
注意書き:「書き始めたけど、最後まで書けずに、あれ?これってどんな設定で書いたんだっけ?」という、中途半端なものを、落書きのように載せていきます。時間軸などバラバラですので、ご注意ください。
***
此処は黒の教団。アクマと戦う者にとって、ひとときの安らぎを与えるホーム。その本部である。
今日も平凡な ――。
「室長!」
一日に ―― ならないんだよねー。うん。分かってる。
リーバー班長の怒声とも言える声が司令室に響く。
「ん~? なんだい? リーバー班長?」
「っ・・・く、クロス元帥が帰還しました!」
「何!?」
ぜーはーぜーはーと、言いながら、コムイに報告する。それを聞いたコムイも驚き、聞き返す。
ムリもない。 二年近く音信不通だったのだ。それを、なんの報告もないままの帰還とは、驚くばかりである。
「それから、入団希望者が二名いまして、来てください」
「わかった」
コムイ達はモニタールームへ小走りで行く。
「あ、兄さん」
そこでは、一足先にリナリーが来ていた。
コムイは、マイクを受け取る。
「クロス元帥、その二人が入団希望者ですか?」
『ああ、弟子はこっち。あっちは希望者だ』
弟子の
希望者の
『アレン』
『マナ・ウォーカーです』
弟子のアレンはそっけなく答え。
希望者のマナはにこやかのまま、答えた。
「わかりました。門番の人体検査を受けてください」
―― クロスside.
「マナが先に受けて」
アレンは小声でマナに伝えた。
「わかりました」
マナは頷くと、門番の前に出た。
『レントゲン検査! アクマか人間か判別!!』
結果はセーフ。マナの許可が下りた。
一方、アレンはというと。
『コイツ、アウトーーーー!!!』
「「「なにーーーーー!!?」」」
『アウトだ、アウト!! コイツ、呪われてやがる。ペンタルクはアクマの印!! 千年伯爵の仲間(カモだ)――!!』
城内に響き渡る警戒音。
『スパイ侵入。スパイ侵入!!』
言われている、当の本人は、耳をふさいだまま、そっぽを向いている。
バアァァーーン!!!
警戒音を遮るようにクロス元帥が空に向けて一発撃った。
「うるせぇ!! テメェら!!」
クロスはマジ切れ。低い重低音はガラス千本割ったような声が響いた。
警戒音を聞いて、来た神田も、門の上で固まってしまう。
「クロス! 落ち着いて!!」
マナはなだめるように、落ち着けと言ってはいるが、聞く耳持とうとしない。
我に返った神田は下に降りた。
「クロス元帥? これはどういうことですか?」
神田は怒り口調で聞いた。
「あ゛ぁん? どうもこうもねぇよ。エクソシストだって言ってるだろうが」
クロスが切れると余計に状況が悪くなる。それだけは、避けなければならないので、マナが必死に止めている。
アクマと疑われているアレンは、面倒くさいと言っているような顔で、小さくあくびをしていた。
「エクソシスト?」
神田はアレンを見た。
「なら、対AKUMA武器は?」
シャキンと、アレンは剣を前につき出した。刃先は神田に向いている。
「コレ」
ピンっと、真っ直ぐにつき出した刃先を地面に向けるて、ピッと柄についている十字架を指さした。
(…… 装備型?)
「まったく、とんだ拾いもんだぜ。おい、アレン。お前は疫病神か?」
「別に」
アレンはそっけなく答え、剣を鞘に納める。
「さっきので引っかかったのって、その左目だよね?」
マナはアレンに聞いた。アレンは何も言わずに、こくりと頷く。
『ふむ。なるほどねぇ。うん、大丈夫。二人とも、入城を許可しまーす』
コムイの拍子抜けした声がゴーレムから聞こえ、門が開いた。
そして、4人は中へ入っていく。
――― ここが終わり。そして始まり。
ココロの闇が少しづつ、光へと変わっていく。
――― はやく気づいて、はやく溶かして。
凍りついたその心を。
――― 陽だまりの温かさで。
To be continued.